(1ページ目) 令和元年12月5日 津久井やまゆり園の再生後の運営についての知事発言 私から、津久井やまゆり園の再生後の指定管理について、申し述べさせていただきます。 県は、「津久井やまゆり園再生基本構想」に基づき、建て替えする「津久井やまゆり園」と、新たに整備する「(仮称)芹が谷やまゆり園」の両施設について、元の津久井やまゆり園の指定期間である令和6年度までの間は、社会福祉法人かながわ共同会を指定管理者とする方向で調整してきました。 津久井やまゆり園の職員のみなさんが、あの凄惨な事件からこれまでの間、利用者の支援に取り組んでこられた姿を、私は忘れていません。 そうした中、先日、かながわ共同会が指定管理する愛名やまゆり園の元園長が、子どもに対する強制性交罪で逮捕されるという、県民の信頼を裏切る、許しがたい事件を起こしました。 この元園長は、かながわ共同会の理事でもありました。社会福祉法人として、人権を尊重し、すべての人の尊厳を守るべき立場にある、かながわ共同会の道義的責任は看過できません。 その後、この事件に端を発して、かつての津久井やまゆり園の利用者支援に関し、車いすに長時間拘束していた、園の外に出ての散歩がほとんどなかったなど、問題点を厳しく指摘する情報が、改めて次々と私のもとに寄せられてきました。 また、先般の決算特別委員会では、かながわ共同会を、「津久井やまゆり園」と「(仮称)芹が谷やまゆり園」の指定管理者とすることについて、再考を求める意見もありました。 加えて、何より、私が衝撃を受けたのは、利用者の意思決定支援を進める中で、かながわ共同会からグループホームや他の法人の施設に (2ページ目) 移った方々が、自由に買い物をしたり、地域の自治会の活動に参加するなど、生活を楽しみ、希望に満ち溢れた表情で、その人らしく暮らす姿を見たことでした。 それは、感動的なシーンでもありました。 私たちは、津久井やまゆり園の再生によって、神奈川の新しい障がい福祉のあり方をお示ししていく必要があると考えています。そのためには、その運営は、人権を尊重し、利用者中心の支援を実現するものでなければなりません。 そこで、新たな「津久井やまゆり園」と「(仮称)芹が谷やまゆり園」が、ご利用者、ご家族はもとより、県民の皆様からの信頼を受けて再スタートできるよう、これまでの方針を見直し、いずれの施設についても、指定管理者を公募で選定する方針に変更することを決断しました。 そのためには、令和6年度まで継続している、元の津久井やまゆり園の指定期間を短縮するため、「津久井やまゆり園の管理に関する基本協定書」に基づき、かながわ共同会に協議を申し入れていく必要があります。 また、新たな施設に令和3年度中に入居していただくためには、指定管理者に関する県としての考え方を、遅くとも次の定例会にご報告する必要があります。 こうしたことから、これまでの県の方針を変更することを決断した以上、より早く皆様にお伝えするため、本日、こうした形で発言しました。  津久井やまゆり園のご利用者、またそのご家族には、方針の変更について、ご理解いただけますよう、私から丁寧に説明させていただきます。 (3ページ目) 何よりも、ご利用者の皆様が望む暮らしを実現できるよう、お一人おひとりのご希望を丁寧に伺いながら、心を込めて対応してまいります。 なお、愛名やまゆり園の元園長の業務執行等について、既に、県は、障害者総合支援法に基づき特別監査を行い、また、津久井やまゆり園の支援について、指定管理者制度に基づく立入調査を行っています。 3年半前のつらい事件から始まった、再生のプロセスを通じて、これまでの福祉行政全般を見直し、新しい福祉のあり方を神奈川から提起していきたい。そして、「福祉先進県 かながわ」と呼ばれるように、県民の皆様とともに、力を合わせて全力を注いでいきたい。そのために、重大な決断をさせていただいたもので、ぜひ、ご理解をいただきたいと思います。