建築基準法第43条第2項第二号の規定による許可基準 神奈川県県土整備局建築指導課 制定 平成19年 3月30日 改正 平成30年 9月20日 改正 平成30年10月23日 T 趣旨、手続き等 1 趣旨  この基準は、建築基準法(以下「法」という。)第43条第2項第二号の規定による許可(以下「法第43条の許可」という。)に係る建築物(以下「計画建築物」という。)について交通上、安全上、防火上及び衛生上支障がないと認める際に必要な内容を示すものである。また、神奈川県知事(以下「知事」という。)が法第43条の許可をしようとする際に、許可相当として神奈川県建築審査会(以下「建築審査会」という。)に、許可に係る同意を求める場合の内容を示したものである。  なお、この基準に適合する場合にあっても、知事は許可するにあたり、法第92条の2の規定に基づき条件を付すことがある。 2 適用の範囲  この基準は、計画建築物が、建築基準法施行規則(以下「省令」という。)第10条の3第4項に定める基準に適合する場合において適用することができる。  なお、同項第一号に適合する場合にあってはU1に定める基準、同項第二号に適合する場合にあってはU2に定める基準、同項第三号に適合する場合にあってはU3に定める基準をそれぞれ適用するものとする。 3 条例による許可への準用  神奈川県建築基準条例(以下「条例」という。)第52条の6(敷地と道路との関係)第2項第2号の規定による許可(以下「条例の許可」という。)については、この基準の規定を準用する。この場合において、この基準中「省令第10条の3第4項第一号」とあるのは「条例第52条の6第2項第2号ア」と、「省令第10条の3第4項第二号」とあるのは「条例第52条の6第2項第2号イ」と、「省令第10条の3第4項第三号」とあるのは「条例第52条の6第2項第2号ウ」と、「法第52条第2項」とあるのは「条例第52条の9各項」と、「法第56条第1項、第2項、第6項」とあるのは「条例第52条の12各項」と読み替えるものとする。 4 用語の意義  この基準における用語の意義は、法、建築基準法施行令(以下「施行令」という。)及び省令の例による。   U 許可基準 1 敷地の周囲に空地を有する場合の基準  計画建築物が、省令第10条の3第4項第一号に適合する場合にあっては、次の(1)及び(2)の内容に適合していなければならない。 (1)省令第10条の3第4項第一号に掲げる空地が、次の基準に適合していること。 ア 空地は、将来にわたり安定的に存続するものであること。 イ 空地は、必要な限りにおいて計画建築物の利用者が継続して利用可能なものであること。 ウ 空地は、計画建築物の用途及び規模を考慮し、十分に広いと認められるものであること。 (2)計画建築物及びその敷地が、次の基準に適合していること。 ア 計画建築物及びその敷地の位置は、計画建築物の利用者が安全に利用することのできるものであること。 イ 計画建築物の利用者が当該空地を通行利用することについて、空地の所有者若しくは管理者が認めるものであること。 ウ 計画建築物の用途及び規模は、空地の実態を考慮し適切であること。 2 敷地が道等に接する場合の基準  計画建築物が、省令第10条の3第4項第二号に適合する場合にあっては、次の(1)及び(2)の内容に適合していなければならない。 (1)省令第10条の3第4項第二号に掲げる道が、次の基準に適合していること。 ア 道は、国、地方公共団体又はこれに準ずる公的機関(以下「公共団体等」という。)が所有若しくは管理するものであること。 イ 道は、将来にわたり安定的に存続するものであること。 (2)計画建築物及びその敷地が、次の基準に適合していること。 ア 計画建築物の利用者が当該道を通行利用することについて、公共団体等が認めるものであること。 イ 計画建築物は、当該道を法第42条第1項に規定する道路とみなして法及び施行令の規定を適用した場合に、適合したものであること。 3 敷地が通路に接する場合の基準  計画建築物が、省令第10条の3第4項第三号に適合する場合にあっては、次の(1)及び(2)の内容に適合していなければならない。 (1)省令第10条の3第4項第三号に掲げる通路、計画建築物及びその敷地が、次に示す項目にすべて適合していること。 ア 通路は、通行に有効な範囲が明確であること。 イ 通路は、アの通行に有効な範囲内において、その上空に工作物が突き出したものでないこと。 ウ 通路は、砂利敷きその他ぬかるみとならない構造であること。 エ 敷地の境界線は、通路の中心線からの水平距離2メートルの線であること。ただし、当該通路がその中心線からの水平距離2メートル未満でがけ地、川、線路敷地その他これらに類するものに沿う場合においては、当該がけ地等の通路の側の境界線から通路の側に水平距離4メートルの線を敷地の境界線とし、また、(2)ウ(ア)に掲げる通路の拡幅整備に係る協定が締結された場合その他やむを得ないと認められる場合においては、協定に定めた位置又は別に知事が認めた位置の線を敷地の境界線とする。 オ 敷地は、エの敷地の境界線を通路の境界線とみなし、その通路の境界線に2メートル以上接していること。 カ 計画建築物は、既存建築物の建て替え又は増築であること。ただし、新築で以下のいずれかに該当するものはこの限りでない。なお、ここでいう既存建築物の建て替えとは、従前からその敷地が当該通路に接していたもので、現に存する建築物を除却し、新たな建築物を建築するものをいう。 (ア)既存建築物の敷地を分割することにより生じさせた土地に、新築するもの (イ)従前に建築確認のなされた経緯の明らかな土地に、新築するもの (ウ)平成11年4月30日まで建築物の敷地であったことが明らかな土地に、新築するもの (エ)通路沿道の他の既存建築物の敷地と、通路の利用実態が同等であると認められる土地に、新築するもの (オ)法第43条の許可若しくは条例の許可に係る処分がなされた建築物の敷地であった土地に、新築するもの (カ)公益上必要な施設を新築する場合その他の場合で、計画建築物の立地上やむを得ないと認められるもの キ 通路の幅員が1.8メートル未満である場合、計画建築物は一戸建ての住宅又は既存建築物と同じ用途であること。 ク 通路の幅員が4メートル未満である場合、計画建築物の地階を除く階数は2以下であること。 ケ 計画建築物の外壁若しくはこれに類する部分から隣地境界線までの水平距離は、消火活動等を考慮し、0.6メートル以上有効に確保されていること。ただし、増築の場合、当該増築部分以外の部分においては、この限りではない。 コ 計画建築物は、通路を法第42条に規定する道路とみなして法及び施行令の規定を適用した場合に、適合したものであること。なお、各規定の適用の方法については、それぞれ以下のとおりとする。 (ア)通路の幅員が4メートル未満である場合は、原則として当該通路を法第42条第2項の道路とみなして各規定を適用するものとし、その場合の境界線の位置についてはエに示す内容による。ただし、次のaからcに掲げる規定については、通路の部分のみを道路とみなして適用する。なお、(2)ウ(ア)に掲げる通路の拡幅整備に係る協定が締結された場合におけるa及びbの適用については、当該協定に定めた内容によることができる。 a 容積率の算定(法第52条第2項) b 道路斜線制限(法第56条第1項、第2項、第6項) c 採光計算(施行令第20条第2項) (イ)通路の幅員が4メートル以上である場合は、当該通路を法第42条第1項に規定する道路とみなして各規定を適用する。 (ウ)法第56条第7項第一号(天空率による斜線制限の適用除外)の規定は準用できないものとする。 サ 計画建築物が、都市計画法第37条第一号により建築制限の解除が認められたものである場合は、その敷地が同法第29条の開発許可による整備予定の道路に2メートル以上有効に接するものであること。この場合においては、アからコまでの基準及びシの基準は適用しないものとする。 シ 既存建築物の敷地が道路に1.8メートル以上2メートル未満の長さで接するものにあっては、次の基準に適合していること。この場合においては、アからサまでの基準は適用しないものとする。 (ア)計画建築物における避難可能な開口部から道路までの間、避難上有効な幅員1.8メートル以上の敷地内通路が確保されていること。 (イ)既存建築物の建て替え若しくは増築であること。 (ウ)既存建築物及びその敷地が、平成11年4月30日以前の状況と同様であること。 ス 計画建築物又はその敷地が、都市計画法など関連する法令若しくはそれらに基づく条例の定めによる許認可を要する場合においては、それらの許認可が受けられるものであること。 (2)省令第10条の3第4項第三号に掲げる通路、計画建築物及びその敷地が、次の交通上、安全上、防火上及び衛生上支障がないものとして必要な性能を示す項目に、すべて適合していること。 (交通上支障がないこと) ア 日常生活において歩行者(自転車等の軽車両を含む。以下同じ)が円滑に通行できるものとして、次の基準に適合していること。 (ア)通路は、道路に接続するまでの間、歩行者が通行する上で十分な幅員が確保されていること。 (イ)通路は、その沿道の建築状況を考慮し、現状の通行利用及び将来予測される通行利用に適した構造であること。 イ 自動車が通行する通路又は将来自動車が通行することが予測される通路(幅員4メートル以上のものを除く)である場合は、緊急時に緊急車両が通行できるものとして、次のいずれかの基準に適合していること。なお、ここでいう緊急車両とは、消防関係車両、警察関係車両及びその他これらに類する車両を指すものとする。 (ア)敷地内に、一般車両の転回に有効な空地(計画建築物の利用者の用に供する駐車場を除く。)が確保されていること。 (イ)敷地内に、緊急車両を通行させるため一般車両が一時的に待避することのできる空地(計画建築物の利用者の用に供する駐車場を除く。)が確保されていること。ただし、この空地は、当該待避時において通路の有効幅員が2.5メートル以上確保されるものに限る。 (ウ)通路は、一般車両の転回広場(建築物の敷地内に設けられたものを除く。)が設けられたものであること。 (エ)通路は、その両端が道路に接続したもので、当該通路を一般車両が通り抜けることにより緊急車両が滞りなく通行できるものであること。   (安全上支障がないこと) ウ 通路の通行利用時における安全性の確保並びに災害時における避難及び消防活動に有効な空間の確保を目的とし、周囲の状況に応じ、次のいずれかの方法により、将来にわたり安定して通路の機能が維持されるものであること。 (ア)通路の沿道に、住宅その他の建築物(計画建築物を除く)の敷地が2以上ある場合は、それら建築物の所有者、管理者又は占有者(建築物のない土地がある場合はその土地の所有者)と申請者相互において、別に定める内容により、当該通路の拡幅整備に係る協定が締結されていること。 (イ)敷地が通路に接する部分から直近の道路に接続するまでにおける通路部分の土地所有者等より、計画建築物の利用者の通行及び当該土地の通路としての維持管理に係る同意が得られていること。ただし、道路法による道路の部分についてはこの限りでない。 エ 効果的な消防活動を促進するものとして、次の(ア)から(ウ)の基準に適合していること。 (ア)通路は、消防関係車両が通行するための十分な幅員が確保されること。ただし、幅員その他の構造上の理由により消防関係車両が通行できない通路である場合は、消火活動に関し消防本部等との必要な調整がなされ、消防活動に概ね支障が無いものであることが確認されたものであること。 (イ)計画建築物の周囲に、消火活動に有効な空地(敷地内のものに限る)を有するものであること。ただし、計画建築物が耐火建築物若しくは準耐火建築物(主要構造部が準耐火構造であるものに限る)である場合にあってはこの限りでない。 (ウ)計画建築物が3階以上の階を有する場合、非常用進入口若しくはそれに代わる進入口の位置は、通路から明確に視認できること。 オ 計画建築物の利用者が短時間で安全に避難できるものとして、次の(ア)及び(イ)の基準並びに(ウ)から (オ)のいずれかの基準に適合していること。 (ア)計画建築物における主要な出口から通路に至るまで、滞りなく安全に避難できること。 (イ)通路は、道路に至るための避難上主要な経路となるものであること。 (ウ)敷地内に、計画建築物の利用者の一時的な待避に有効な空地が確保されていること。 (エ)(イ)の主要な経路となる通路の他に、道路に接続する他の通路が存すること。 (オ)通路は、避難するための十分な幅員が確保され、かつ道路に至るまで、滞りなく安全に避難できること。   (防火上支障がないこと) カ 隣接建築物からの延焼及び隣接建築物への延焼を防止できるものとして、次の基準に適合していること。 (ア)計画建築物の配置計画及び平面計画は、隣接地など周囲の建築状況を考慮し、適切であること。 (イ)計画建築物の外壁及び軒裏は、防火地域等の指定若しくは周囲の建築状況を考慮し、適切な防火性能等を有するものであること。ただし、延焼のおそれのある部分に計画建築物が存しない場合は、この限りでない。 (ウ)計画建築物の屋根その他これに類するものは、防火地域等の指定若しくは周囲の建築状況を考慮し適切な構造であること。 (エ)計画建築物の開口部は、防火地域等の指定若しくは周囲の建築状況を考慮し、適切な遮炎性能を有するものであること。 (衛生上支障がないこと) キ 各居室の開口部について、道路に面する場合と同等の採光・通風性能が得られるものとして、次の基準に適合していること。 (ア)計画建築物の居室で、その開口部が通路にのみ面している場合は、通路から当該開口部までの距離が十分に確保されていること。 (イ)隣地境界線からの水平距離が、十分に確保されていること。 ク 汚水、雨水等の排水が敷地外に適切に排水されるものとして、次の基準に適合していること。 (ア)敷地内に適切な排水施設又は処理施設が設置されていること。 (イ)敷地内の排水施設又は処理施設から敷地外の排水施設に、有効に接続されていること。ただし、敷地内において適切に浸透処理される場合を除く。 附則 (施行期日) 1 この基準は、平成19年5月1日から施行する。 (経過措置) 2 この基準の施行の日までになされた許可の申請については、なお従前の例による。 附則 (施行期日) 1 この基準は、平成30年9月25日から施行する。 附則 (施行期日) 1 この基準は、平成30年10月23日から施行する。