(35ページ) 12 インターネットによる人権侵害  インターネットの普及により、情報の収集・発信やコミュニケーションにおける利便性は、大きく向上しました。さらに、スマートフォンやタブレット機器の普及に伴い、SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)や動画共有サイト等のソーシャルメディアの利用者も近年急増しています。  しかし、一方で、個人や特定の団体に対する誹謗中傷や差別を助長する書き込み、個人情報の無断公開など、匿名性や情報発信の容易さといったメディアの特性を悪用する事例も多く発生しています。また、一度公開された情報は完全に削除されることが非常に困難であるというインターネットの特性が、誹謗中傷や情報流出の被害の深刻化につながっています。  さらに、事実と異なる情報(フェイクニュース)をうのみにした安易な拡散や投稿が、誰かを深く傷つける結果となるなど、意図せず自らが加害者になってしまうケースも近年多く生じており、インターネットやソーシャルメディアの利用にあたっては、その特性を正しく理解することが非常に重要です。 また、インターネットによるサービスの提供や情報発信にあたっては、インターネットを利用する環境にない方がいることなどによる、情報格差の発生にも留意する必要があります。  そこで、関係機関と連携して、インターネットの適切な利用等に関する教育や啓発、誹謗中傷に苦しんでいる方への支援等を実施することで、誰もが人権を侵されることなく、個人として尊重される社会をめざします。 (1)主な取組みの方向 【教育・啓発等の推進】 ア インターネットの適切な利用等に関する啓発の推進  インターネットの特性や適切な利用について県民等の理解を促進し、ネット上における人権侵害の被害者も加害者も出さないよう、国、市町村、事業者団体等と連携して、啓発活動を推進します。 イ インターネットの適切な利用等に関する教育の推進  児童・生徒の発達の段階に応じて、インターネットの適切な利用や情報セキュリティ対策、ルールやマナーを守ること等についての教育を推進します。 【当事者支援等の推進】 ウ インターネットによる誹謗中傷等に関する相談・支援体制の充実  インターネット上の誹謗中傷等に苦しんでいる方に対し、個別の事案に応じた適切な支援を行い、問題の早期解決をめざすため、弁護士による専門相談を実施します。 (36ページ) エ インターネットによる人権侵害の早期解決に向けた取組み  インターネット上の差別的書き込みに対するモニタリングを実施し、問題のある書込みについては、法務局に削除依頼を実施します。また、モニタリング結果を共有するなど、国や市町村との連携を通じて、インターネットによる人権侵害の早期解決をめざした取組みを推進します。 (2)主な関係法令 特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律 インターネット異性紹介事業を利用して児童を誘引する行為の規制等に関する法律 青少年が安全にインターネットを利用できる環境の整備等に関する法律 私事性的画像記録の提供等による被害の防止に関する法律 個人情報の保護に関する法律 県青少年保護育成条例 【コラム】インターネット上の誹謗中傷への対策について  インターネットによる人権侵害、特にSNS等における誹謗中傷は、誰もが当事者になりうるものであり、インターネットを活用したコミュニケーションを行う際は、利用するプラットフォームサービスの性質を理解した上で、トラブルが生じないよう、留意する必要があります。  誹謗中傷の被害を受けた場合、削除依頼や加害者への賠償請求、違法行為にあたるものについては犯人への処罰など、様々な対策を講じることが可能です。被害にあわれた方は、一人で悩まず、まず専門機関(※)に相談することをお勧めします。  同時に、明確な加害の意図を持たずに投稿した内容が誰かを傷つけるものであった場合、自身が加害者になってしまうということも常に意識しておく必要があります。匿名による投稿であっても、その投稿が誰かを傷つけるものであったり、違法な内容であったりした場合は、情報開示請求などにより個人が特定され、訴えを提起される可能性があります。  SNS等での交流においては、画面の向こうにいるのが「人」だということを忘れず、直接顔を合わせて話をするときと同じように接することを常に心がけてください。 ※ 総務省では、インターネットに係るトラブルを未然に防止するため、「インターネットトラブル事例集」を毎年作成・公表するとともに、被害にあわれた方が、ご自身の希望に添った支援を受けられるよう、チャート形式の案内図(「インターネット上の誹謗中傷に関する相談窓口のご案内」)をホームページで公開しています。