(29ページ) 8 貧困等にかかる人権課題  混迷する社会経済情勢を背景に、職に就けない方や、非正規雇用労働者をはじめ、不安定な就労状態にある方が増加しています。 貧困に悩む方の中には、ネットカフェ等の終夜営業の店舗等で寝泊まりするなど住居喪失状態に陥ったり、適切な支援につながらず、健康で文化的な最低限度の生活さえできない状態に追い込まれてしまう方もいます。また、世帯の貧困が子どもの教育に影響し、貧困が次世代に渡って連鎖するといった問題、高齢者の貧困問題、さらに、男性より女性のほうが貧困に陥りやすい環境にあること、母子家庭の多くが低所得層にあることなども指摘されています。  加えて、駅周辺・公園・河川敷等に起居する、ホームレスとなることを余儀なくされた方への偏見から、地域社会から排除されるという人権課題も発生しています。  そこで、貧困を背景として生じる複合的な人権課題の解消に向けて、各種支援制度や相談窓口の周知を図り、適切な支援につなげるとともに、ホームレスの人権擁護のための教育・啓発活動等を推進します。 (1)主な取組みの方向 【人権尊重の社会づくりに向けた環境整備】 ア 子どもの貧困に対する連携体制の構築  子ども食堂などの子どもの居場所づくり活動を支援するため、ホームページの充実強化や、NPO団体との協働によるオンラインセミナー等を開催し、子どもの貧困についての理解を深め、すべての子どもたちを社会全体で支援する機運の醸成を図ります。  また、定期的にかながわ子ども支援協議会や子どもの貧困対策県市町村連絡会議を開催し、学識者や関係団体、NPO、教員、市町村等と連携し、子どもの貧困対策に関する情報共有を行います。 【教育・啓発等の推進】 イ 生活困窮者やホームレスの人権擁護のための教育・啓発活動の推進  生活困窮者やホームレスへの偏見や差別をなくすため、生活困窮者やホームレスについての正しい理解を深める人権教育・人権啓発を推進します。 【当事者支援等の推進】 ウ 貧困に悩む方に対する支援等の推進  生活に困窮している方が抱える様々な課題に対応するため、就労支援、生活福祉資金等の貸付や給付金、生活保護などの制度施策の周知を図り、適切な相談窓口へつなげるなど、一人ひとりの状況に応じた支援を推進します。 (30ページ) エ ひとり親世帯に対する支援等の推進  ひとり親世帯に対し、パソコン基礎講座の開催や自立支援プログラムの策定などの就業支援、母子父子寡婦福祉資金の貸付、母子・父子自立支援員やSNSを活用した相談など自立に向けた支援を推進します。 オ ホームレスの自立支援に関する施策の推進  ホームレスやホームレスとなるおそれのある方に対し、就業の機会の確保、安定した居住の場所の確保、保健及び医療の確保に関する施策、生活に関する相談・指導等について、国、市町村、NGO等と協働・連携を図り、自立の支援を推進します。 (2)主な関係法令 生活保護法 生活困窮者自立支援法 ホームレスの自立の支援等に関する特別措置法 子どもの貧困対策の推進に関する法律 母子及び父子並びに寡婦福祉法