(27ページ) 7 外国籍県民等  言語、宗教、習慣等への理解不足から生じた外国籍県民等への偏見により、様々な人権課題が生じています。多文化共生社会の実現のためには、一人ひとりが多様な文化や民族の違いを理解し、認め合うことが重要です。  しかし、特定の民族や国籍の人々を排斥する差別的言動、いわゆる「ヘイトスピーチ」が、近年大きな社会問題となっています。 ヘイトスピーチは、異なる文化や民族性を持つ他者を社会の一員として認めず、排除しようとする動きのあらわれであり、その被害に遭った方に甚大な精神的苦痛を与える、決して許されないものです。  ヘイトスピーチの解消に向けては、県民一人ひとりが「ヘイトスピーチを許さない」という認識を持つことが重要です。そこで、偏見を払しょくし、差別を解消するための啓発活動等を推進するとともに、文化や歴史に関する正しい理解と認識を深めるための学校教育や社会教育の実践に一層努めます。 (1)主な取組みの方向 【人権尊重の社会づくりに向けた環境整備】 ア 多文化共生・多文化理解の促進  国籍・文化・民族等の違いによる偏見や差別をなくすために、それぞれの文化や歴史を理解し、外国籍県民等の人権課題についての理解を得られる環境づくりを推進します。 イ 外国籍県民にかかわる法律・制度の改善  外国籍県民に対して法律的に地域参加の道が閉ざされている制度の改善に向けた取組みを進めていきます。なお、定住外国人の地方参政権の制度化については、十分に議論を深める必要があります。 【教育・啓発等の推進】 ウ 多文化理解を深める教育の推進  多文化理解を深めるため、幼児・児童・生徒の発達の段階に応じて、国籍・文化・民族等の違いによる偏見や差別をなくす教育を推進します。 エ ヘイトスピーチの解消に向けた啓発活動の推進  外国籍県民等への偏見に基づく不当な差別的言動を許さない社会環境づくりを推進するため、国等と連携して、正しい理解や認識を深めるための啓発活動や、ヘイトスピーチの解消に資する啓発活動を推進します。 (28ページ) 【当事者支援等の推進】 オ 多言語による情報の提供や相談機能の充実  言葉による障壁をなくすため、外国籍県民等向けの多言語による各種情報提供や相談機能を充実します。 カ 外国籍県民等への生活支援の充実  外国籍県民等のくらしやすい環境づくりのため、日本語教育、医療、福祉、住居、就労など外国籍県民等の生活にかかわる支援を推進します。また、女性への暴力や在留資格などから派生する人権課題の解決に向けた取組みを推進します。 キ 外国につながりのある子どもたちの教育の充実  外国籍幼児・児童・生徒に対する教育の充実を図り、民族や母語などに誇りをもち、本名が名乗れる教育環境づくりを支援します。さらに、日本語の理解が十分でない外国につながりのある幼児・児童・生徒に対し、学校生活を円滑に送ることができるよう、NPO等と連携し、日本語学習の支援等を行うなど教育環境の充実を図ります。 ク ヘイトスピーチによる被害の早期解決に向けた相談・支援体制の充実  特定の民族や国籍に対する不当な差別的言動の被害を受けた方に対し、問題の早期解決をめざすため、弁護士による専門相談を実施するなど、切れ目ない支援を行います。  併せて、インターネット上で行われるヘイトスピーチについても、被害の拡大を防ぐため、差別的言動をモニタリングし、法務局を通じて削除依頼を実施します。 (2)主な関係法令 出入国管理及び難民認定法 本邦外出身者に対する不当な差別的言動の解消に向けた取組の推進に関する法律 日本語教育の推進に関する法律 外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する法律 (3)県の主な関係審議会等 かながわ国際政策推進懇話会 外国籍県民かながわ会議