神奈川県教育委員会における障害を理由とする差別の解消の推進に関する対応要領 (目的) 第1条 この要領(以下「対応要領」という。)は、障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律(平成25年法律第65号。以下「法」という。)第10条第1項の規定に基づき、また、障害を理由とする差別の解消の推進に関する基本方針(平成27年2月24日閣議決定)に即して、法第7条に規定する事項に関し、教育委員会に属する職員(非常勤職員を含む。以下「職員」という。)が適切に対応するために必要な事項を定めるものとする。 (不当な差別的取扱いの禁止) 第2条 職員は、法第7条第1項の規定のとおり、その事務又は事業を行うに当たり、障害(身体障害、知的障害、精神障害(発達障害、高次脳機能障害を含む。)、難病(治療方法が確立していない疾病その他の特殊の疾病であって「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律施行令(平成18年1月25日政令第10号)」で定めるもの)その他の心身の機能の障害をいう。以下同じ。)を理由として、障害者(障害及び社会的障壁により継続的に日常生活又は社会生活に相当な制限を受ける状態にあるもの。以下同じ。)でない者と不当な差別的取扱いをすることにより、障害者の権利利益を侵害してはならない。これに当たり、職員は、別紙に定める留意事項に留意するものとする。 なお、別紙中、「望ましい」と記載している内容は、それを実施しない場合であっても、法に反すると判断されることはないが、障害者基本法(昭和45年法律第84号)の基本的な理念及び法の目的を踏まえ、できるだけ取り組むことが望まれることを意味する(次条において同じ。)。 (合理的配慮の提供) 第3条 職員は、法第7条第2項の規定のとおり、その事務又は事業を行うに当たり、障害者から現に社会的障壁の除去を必要としている旨の意思の表明があった場合において、その実施に伴う負担が過重でないときは、障害者の権利利益を侵害することとならないよう、当該障害者の性別、年齢及び障害の状態に応じて、社会的障壁の除去の実施について必要かつ合理的な配慮(以下「合理的配慮」という。)の提供をしなければならない。これに当たり、職員は、別紙に定める留意事項に留意するものとする。 (監督者の責務) 第4条 職員のうち、所属長相当職以上(「神奈川県教育委員会人事事務取扱規程(平成20年教育委員会教育長訓令第9号)」第2条第4号に定める所属長以上の者をいう。)の地位にある者(以下「監督者」という。)は、前2条に掲げる事項に関し、障害を理由とする差別の解消を推進するため、次の各号に掲げる事項を実施しなければならない。 一 日常の執務を通じた指導等により、障害を理由とする差別の解消に関し、その監督する職員の注意を喚起し、障害を理由とする差別の解消に関する認識を深めさせること。 二 障害者等から不当な差別的取扱い、合理的配慮の不提供に対する相談、苦情の申し出等があった場合は、迅速に状況を確認すること。 三 合理的配慮の必要性が確認された場合、監督する職員に対して、合理的配慮の提供を適切に行うよう指導すること。 2 監督者は、障害を理由とする差別に関する問題が生じた場合には、迅速かつ適切に対処しなければならない。 (懲戒処分等) 第5条 職員が、障害者に対し不当な差別的取扱いをし、又は、過重な負担がないにも関わらず合理的配慮の不提供をした場合、その態様等によっては、職務上の義務に違反し、又は職務を怠った場合等に該当し、懲戒処分等に付されることがある。 (相談体制の整備) 第6条 職員による障害を理由とする差別に関する障害者及びその家族その他の関係者からの相談を受けるため、教育局行政部行政課に相談窓口を置く。 2 相談等を受ける場合は、性別、年齢、状態等に配慮するとともに、対面のほか、電話、ファックス、フォームメールに加え、障害者が他人とコミュニケーションを図る際に必要となる多様な手段(手話、点字、拡大文字、筆談、実物の提示や身振りサイン等による合図、触覚による意思伝達など(通訳等を介するものを含む。))を可能な範囲で用意して対応するものとする。 3 第1項の相談窓口に寄せられた相談等は、関係する課(神奈川県教育委員会教育局組織規則(昭和28年神奈川県教育委員会規則第4号)第2条に規定する室及び課をいう。)又は所(教育事務所、給与事務所及び学校事務センター並びに県立学校その他の教育機関をいう。)に伝達し、的確に対応する。また、相談者のプライバシーに配慮しつつ関係者間で情報共有を図り、以後の相談等において活用することとする。 4 第1項の相談窓口は、必要に応じ、充実を図るよう努めるものとする。 (研修・啓発) 第7条 教育委員会において、障害を理由とする差別の解消の推進を図るため、職員に対し、必要な研修・啓発を行うものとする。 2 新たに職員となった者に対しては、障害を理由とする差別の解消に関する基本的な事項について理解させるために、また、新たに管理職手当受給者となった職員に対しては、障害を理由とする差別の解消等に関し求められる役割について理解させるために、それぞれ、研修を実施する。 3 前項の内容、回数等の詳細は、総務室長及び教職員企画課長が定める。 4 職員に対し、障害の特性を理解させるとともに、障害者に適切に対応するために必要なマニュアルの活用等により、意識の啓発を図る。   附 則 この対応要領は、平成28年4月1日から施行する。? 別紙 神奈川県教育委員会における障害を理由とする差別の解消の推進に関する対応要領に係る留意事項 第1 障害を理由とする差別の解消の推進に関する対応の基本的な考え方 教育委員会は、すべての県民を対象に「ひとりひとりを大切にする」という「かながわ障害者計画」の基本理念に基づき、また、障害の有無にかかわらず、誰もが相互に人格と個性を尊重し、認め合う共生社会の実現に向けて、障害者の自立及び社会参加を促進するため、障害者の活動を制限し、社会の参加を制約している社会的障壁(社会的障壁とは、障害がある者にとって日常生活又は社会生活を営む上で障壁となるような社会における様々な事柄や物、制度、慣行、観念その他一切のものをいう。)の除去に努めるものとする。 第2 不当な差別的取扱いの基本的な考え方 法は、障害者に対して、正当な理由なく、障害を理由として、財・サービスや各種機会の提供を拒否する又は提供に当たって場所・時間帯などを制限する、障害者でない者に対しては付さない条件を付けることなどにより、障害者の権利利益を侵害することを禁止している。 ただし、障害者の事実上の平等を促進し、又は達成するために必要な特別の措置は、不当な差別的取扱いではない。したがって、障害者を障害者でない者と比べて優遇する取扱い(いわゆる積極的改善措置)、法に規定された障害者に対する合理的配慮の提供による障害者でない者との異なる取扱いや、合理的配慮を提供等するために必要な範囲で、プライバシーに配慮しつつ障害者に障害の状況等を確認することは、不当な差別的取扱いには当たらない。 このように、不当な差別的取扱いとは、正当な理由なく、障害者を、問題となる事務又は事業について、本質的に関係する諸事情が同じ障害者でない者より不利に扱うことである点に留意する必要がある。 第3 正当な理由の判断の視点 正当な理由に相当するのは、障害者に対して、障害を理由として、財・サービスや各種機会の提供を拒否するなどの取扱いが客観的に見て正当な目的の下に行われたものであり、その目的に照らしてやむを得ないと言える場合である。職員は、正当な理由に相当するか否かについて、具体的な検討をせずに正当な理由を拡大解釈するなどして法の趣旨を損なうことのないよう、個別の事案ごとに、障害者、第三者の権利利益(例:安全の確保、財産の保全、損害発生の防止等)及び教育委員会の事務又は事業の目的・内容・機能の維持等の観点に鑑み、具体的場面や状況に応じて総合的・客観的に判断することが必要である。 職員は、正当な理由があると判断した場合には、障害者及び必要に応じて障害者の家族、支援者、介助者、法定代理人等、コミュニケーションを支援する者にその理由を説明するものとし、理解を得るよう努めることが望ましい。 第4 不当な差別的取扱いの具体例 不当な差別的取扱いに当たり得る具体例は以下のとおりである。なお、第3で示したとおり、不当な差別的取扱いに相当するか否かについては、個別の事案ごとに判断されることとなる。 また、以下に記載されている具体例については、正当な理由が存在しないことを前提としていること、さらに、それらはあくまでも例示であり、記載されている具体例だけに限られるものではないことに留意する必要がある。 なお、具体例は、施行後も必要に応じて見直しを行うものとする。 (不当な差別的取扱いに当たり得る具体例) ○ 障害を理由に窓口対応を拒否する。 ○ 障害を理由に対応の順序を後回しにする。 ○ 障害を理由に書面の交付、資料の送付、パンフレットの提供、情報提供等を拒む。 ○ 障害を理由に説明会、シンポジウム等への出席を拒む。 ○ 事務・事業の遂行上、特に必要ではないにもかかわらず、障害を理由に、来庁や来校の際に付き添い者の同行を求めるなどの条件を付けたり、特に支障がないにもかかわらず、付き添い者の同行を拒んだりする。 ○ 障害を理由に社会教育施設等やそれらのサービスの利用をさせない。 ○ 障害を理由に学校への入学の出願の受理、受検、入学、授業等への参加、入寮、式典参加を拒むことや、これらを拒まない代わりとして正当な理由のない条件を付す。 ○ 試験等において合理的配慮の提供を受けたことを理由に、当該試験等の結果を学習評価の対象から除外したり、評価において差を付けたりする。 第5 合理的配慮の基本的な考え方 1 障害者の権利に関する条約(以下「権利条約」という。)第2条において、「合理的配慮」は、「障害者が他の者との平等を基礎として全ての人権及び基本的自由を享有し、又は行使することを確保するための必要かつ適当な変更及び調整であって、特定の場合において必要とされるものであり、かつ、均衡を失した又は過度の負担を課さないもの」と定義されている。 法は、権利条約における合理的配慮の定義を踏まえ、行政機関等に対し、その事務又は事業を行うに当たり、個々の場面において、障害者から現に社会的障壁の除去を必要としている旨の意思の表明があった場合において、その実施に伴う負担が過重でないときは、障害者の権利利益を侵害することとならないよう、社会的障壁の除去の実施について、合理的配慮を行うことを求めている。合理的配慮は、障害者が受ける制限は、障害のみに起因するものではなく、社会における様々な障壁と相対することによって生ずるものとのいわゆる「社会モデル」の考え方を踏まえたものであり、障害者の権利利益を侵害することとならないよう、障害者が個々の場面において必要としている社会的障壁を除去するための必要かつ合理的な取組であり、その実施に伴う負担が過重でないものである。 合理的配慮は、教育委員会の事務又は事業の目的・内容・機能に照らし、必要とされる範囲で本来の業務に付随するものに限られること、障害者でない者との比較において同等の機会の提供を受けるためのものであること、事務又は事業の目的・内容・機能の本質的な変更には及ばないことに留意する必要がある。 2 合理的配慮は、障害の特性や社会的障壁の除去が求められる具体的場面や状況に応じて異なり、多様かつ個別性の高いものであり、当該障害者が現に置かれている状況を踏まえ、社会的障壁の除去のための手段及び方法について、「第6 過重な負担の基本的な考え方」に掲げる要素を考慮し、代替措置の選択も含め、双方の建設的対話による相互理解を通じて、必要かつ合理的な範囲で、柔軟に対応がなされるものである。さらに、合理的配慮の内容は、技術の進展、社会情勢の変化等に応じて変わり得るものである。 合理的配慮の提供に当たっては、障害者の性別、年齢、状態等に配慮するものとする。なお、合理的配慮を必要とする障害者が多数見込まれる場合、障害者との関係性が長期にわたる場合等には、その都度の合理的配慮とは別に、後述する環境の整備を考慮に入れることにより、中・長期的なコストの削減・効率化につながる点は重要である。 3 意思の表明に当たっては、具体的場面において、社会的障壁の除去に関する配慮を必要としている状況にあることを言語(手話を含む。)のほか、点字、拡大文字、筆談、実物の提示や身振りサイン等による合図、触覚による意思伝達など、障害者が他人とコミュニケーションを図る際に必要な手段(通訳等を介するものを含む。)により伝えられる。 また、障害者からの意思表明のみでなく、知的障害や精神障害(発達障害、高次脳機能障害を含む。)等により本人の意思表明が困難な場合には、障害者の家族、支援者、介助者、法定代理人等、コミュニケーションを支援する者が本人を補佐して行う意思の表明も含む。 なお、意思の表明が困難な障害者が、家族、支援者、介助者、法定代理人等を伴っていない場合など、意思の表明がない場合であっても、当該障害者が社会的障壁の除去を必要としていることが明白である場合には、法の趣旨に鑑みれば、当該障害者に対して適切と思われる配慮を提案するために建設的対話を働きかけるなど、自主的な取組に努めることが望ましい。 4 合理的配慮は、障害者等の利用を想定して事前に行われる建築物のバリアフリー化、家族、支援者、介助者等の人的支援、情報アクセシビリティの向上等の環境の整備を基礎として、個々の障害者に対して、その状況に応じて個別に実施される措置である。したがって、各場面における環境の整備の状況により、合理的配慮の内容は異なることとなる。また、障害の状態等が変化することもあるため、特に、障害者との関係性が長期にわたる場合等には、提供する合理的配慮について、適宜、見直しを行うことが重要である。 5 教育委員会がその事務又は事業の一環として実施する業務を事業者に委託等する場合は、提供される合理的配慮の内容に大きな差異が生ずることにより障害者が不利益を受けることのないよう、委託等の条件に、対応要領を踏まえた合理的配慮の提供について盛り込むよう努めることが望ましい。 第6 過重な負担の基本的な考え方 過重な負担については、具体的な検討をせずに過重な負担を拡大解釈するなどして法の趣旨を損なうことなく、個別の事案ごとに、以下の要素等を考慮し、具体的場面や状況に応じて総合的・客観的に判断することが必要である。職員は、過重な負担に当たると判断した場合は、障害者及び必要に応じて障害者の家族、支援者、介助者、法定代理人等、コミュニケーションを支援する者にその理由を説明するものとし、理解を得るよう努めることが望ましい。 ○ 事務又は事業への影響の程度(事務又は事業の目的、内容、機能を損なうか否か) ○ 実現可能性の程度(物理的・技術的制約、人的・体制上の制約) ○ 費用・負担の程度 第7 合理的配慮の具体例 第5で示したとおり、合理的配慮は、具体的場面や状況に応じて異なり、多様かつ個別性の高いものであるが、具体例としては、次のようなものがある。 なお、記載した具体例については、第6で示した過重な負担が存在しないことを前提としていること、また、これらはあくまでも例示であり、記載されている具体例だけに限られるものではないことに留意する必要がある。 なお、具体例は、施行後も必要に応じて見直しを行うものとする。 (合理的配慮に当たり得る物理的環境への配慮の具体例) @主として物理的環境への配慮に関するもの ○ 管理する施設・敷地内において、車椅子利用者のためにキャスター上げ等の補助をする、段差に携帯スロープを渡す、移動の支援等の補助や、スロープがある移動経路を案内などする。 ○ 配架棚の高い所に置かれた図書やパンフレット等を取って渡す。図書やパンフレット等の位置を分かりやすく伝える。 ○ 目的の場所までの案内する場合は、障害者の歩行速度に合わせた速度で歩いたり、介助する位置(前後・左右・距離等)について、障害者の希望を聞いたりする。 ○ 障害の特性により、頻繁に離席の必要がある場合は、会場や教室の座席位置を出入口付近にする。 ○ 疲労を感じやすい障害者から別室での休憩の申し出があった場合は、別室の確保が困難である場合に、当該障害者に事情を説明し、対応窓口の近くに長椅子を置くなど、臨時の休憩スペースを設ける。 ○ 不随意運動等により書類等を押さえることが難しい障害者に対し、職員が書類を押さえたり、バインダー等の固定器具を提供したりする。 ○ 災害や事故が発生した際に、施設内の放送で避難情報等の緊急情報を聞くことが難しい聴覚障害者に対し、電光掲示板、手書きのボード等を用いて、分かりやすく情報を伝え、避難場所を案内し誘導を図る。 ○ 移動に困難のある児童・生徒等の介助者のための駐車場を確保したり、通常使用する教室をアクセスしやすい場所とする。 ○ 聴覚過敏の児童・生徒等のために教室の机・椅子の脚に緩衝材を付けて雑音を軽減する、視覚情報の処理が苦手な児童・生徒等のために黒板周りの掲示物等の情報量を減らすなど、個別の事案ごとに特性に応じて教室環境を変更する。 A主として人的支援の配慮に関するもの ○ 家族、支援者、介助者等の教室への入室、授業や試験でのパソコン入力支援、移動支援、校内での待機を許可する。 (合理的配慮に当たり得る意思疎通の配慮の具体例) ○ 学校、社会教育施設等において、筆談、要約筆記、読み上げ、手話、点字など多様なコミュニケーション手段や分かりやすい表現を使って説明をするなどの意思疎通の配慮を行う。 ○ 情報保障の観点から、見えにくさに応じた情報の提供(聞くことで内容が理解できる説明・資料や、拡大コピー、拡大文字又は点字を用いた資料、遠くのものや動きの速いものなど触ることができないものを確認できる模型や写真等の提供)、聞こえにくさに応じた視覚的な情報の提供、見えにくさと聞こえにくさの両方がある場合に応じた情報の提供(手のひらに文字を書いて伝える等)、知的障害に配慮した情報の提供(伝える内容の要点を筆記する、漢字にルビを振る、単語や文節の区切りに空白を挟んで記述する「分かち書き」にする、なじみのない外来語は避ける等)を行うこと。また、その際、使用している媒体によってページ番号等が異なり得ることに留意して使用する。 ○ 教育委員会が設置する会議に所属する視覚障害のある委員に会議資料等を事前送付する場合は、読み上げソフトに対応できるよう電子データ(テキスト形式)で提供する。 ○ ホームページなどで情報発信する場合は、音声読み上げソフトや点訳等に対応できるよう、テキスト(html形式等)での提供や、動画に字幕を付すなどアクセシビリティに配慮する。 ○ 言葉だけを聞いて理解することや意思疎通が困難な児童・生徒等に対し、絵や写真のカード、コミュニケーションボード、タブレット端末等のICT 機器の活用、視覚的に伝えるための情報の文字化、質問内容を「はい」又は「いいえ」で端的に答えられるようにすることなどにより意思を確認したり、本人の自己選択・自己決定を支援したりする。 ○ 駐車場等で通常、口頭で行う案内を、紙にメモをして渡す。 ○ 書類記入の依頼時に、記入方法等を本人の目の前で示したり、分かりやすい記述で伝達したりする。本人の依頼がある場合は、代読や代筆といった配慮を行う。 ○ 比喩表現等が苦手な障害者に対し、比喩や暗喩、二重否定表現などを用いずに具体的にわかりやすく説明する。 ○ 障害者から申し出があった際に、ゆっくり、丁寧に、繰り返し説明し、内容が理解されたことを確認しながら応対する。また、なじみのない外来語は避ける、漢数字は用いない、時刻は24時間表記ではなく午前・午後で表記するなどの配慮を念頭に置いたメモを、必要に応じて適時に渡す。 ○ 会議の進行に当たり、資料を見ながら説明を聞くことが困難な視覚又は聴覚に障害のある委員や知的障害や精神障害(発達障害者、高次脳機能障害者を含む)等のある委員に対し、ゆっくり、丁寧な進行を心がけるなどの配慮を行う。 ○ 会議の進行に当たっては、職員等が委員の障害の特性に合ったサポートを行うなど、可能な範囲での配慮を行う。 ○ 知的障害者、精神障害者(発達障害者、高次脳機能障害者を含む)等から、発言等を求める場合は、時間に余裕を持つなどの対応を行う。 ○ 教育委員会が開催する会議、セミナー等において出席者の状況に応じ、手話通訳者や要約筆記者等の配置、点訳やルビ付き資料等を提供する。 ○ 通知等に記載する問い合わせ先に、電話番号だけでなく、ファックス番号等を記載する。 ○ 点字や拡大文字、音声読み上げ機能を使用して学習する児童・生徒等のために、授業で使用する教科書や資料、問題文を点訳又は拡大したものやテキストデータを事前に渡したり、読みやすい形式に変換したりする時間を与える。 (ルール・慣行の柔軟な変更の具体例) ○ 障害の特性に応じて、順番を待つことが困難な障害者に対し、周囲の者の理解を得た上で、手続き順を入れ替える。 ○ 障害者が立って列に並んで順番を待っている際に、周囲の者の理解を得た上で、当該障害者の順番が来るまで別室や席を用意する。 ○ スクリーン、手話通訳者、板書等がよく見えるように、スクリーン、手話通訳者、黒板等に近い席を確保する。また、スクリーンの配置については出席者の状況に十分配慮する。 ○ 車両乗降場所を施設出入口に近い場所へ変更する。 ○ 教育委員会の施設の敷地内の駐車場等において、障害者の来庁が多数見込まれる場合は、通常、障害者専用とされていない区画を障害者専用の区画に変更する。 ○ 他人との接触、多人数の中にいることによる緊張により、不随意の発声等がある場合は、緊張を緩和するため、当該障害者に説明の上、障害の特性や施設の状況に応じて別室を準備する。 ○ 非公表又は未公表情報を扱う会議等において、情報管理に係る担保が得られることを前提に、障害のある委員の理解を援助する者、介助者等の同席を認める。 ○ 社会教育施設等において、移動に困難のある障害者を早めに入場させ席に誘導したり、車椅子を使用する障害者の希望に応じて、安全の確保をした上で、決められた車椅子用以外の客席も使用できるようにしたりする。 ○ 入学者選抜に係る検査や定期試験において、本人・保護者の希望、障害の状況等を踏まえ、別室での対応、検査や試験の時間延長、拡大文字、音声読み上げ機能の使用等を許可する。 ○ 聞こえにくさのある児童・生徒等に対し、外国語のリスニングの際に、音質・音量を調整したり、文字による代替問題を用意したりする。 ○ 障害により学習内容の習得が困難な児童・生徒等に対し、障害の状態や教育的ニーズに応じて、分かりやすい教材を用意する。 ○ 肢体不自由のある児童・生徒等に対し、体育の授業の際に、上・下肢の機能に応じてボール運動におけるボールの大きさや投げる距離を変えたり、走運動における走る距離を短くしたり、スポーツ用車椅子の使用を許可したりする。 ○ 日常的に医療ケア等を要する児童・生徒等に対し、本人が対応可能な場合もあることなどを含め、配慮を要する程度には個人差があることに留意して、医療機関や本人が日常的支援を受けている介助者等と連携を図り、個々の状態や必要な支援を丁寧に確認し、過剰に活動の制限等をしないようにする。 ○ 慢性的な病気等のために他の児童・生徒等と同じように運動ができない児童・生徒等に対し、運動量を軽減したり、代替できる運動を用意したりするなど、病気等の特性を理解し、過度に予防又は排除をすることなく、参加するための工夫をする。 ○ 治療等のため学習できない期間が生じる児童・生徒等に対し、補講を行うなど、学習機会を確保する方法を工夫する。 ○ 読み・書き等に困難のある児童・生徒等のために、授業や試験でのタブレット端末等のICT機器使用を許可したり、筆記に代えて口頭試問による学習評価を行ったりする。 ○ 発達障害等のため、人前での発表が困難な児童・生徒等に対し、代替措置としてレポートを課したり、発表を録画したもので学習評価を行ったりする。 ○ 学校生活全般において、適切な対人関係の形成に困難がある児童・生徒等のために、能動的な学習活動などにおいてグループを編成する時には、事前に伝えたり、場合によっては本人の意向を確認したりする。また、心理面で配慮を要する児童・生徒等のために、話し合いや発表などの場面において、意思を伝えることに時間を要する場合があることを考慮して、時間を十分に確保したり個別に対応したりする。 ○ 理科の実験などでグループワークができない児童・生徒等や、実験の手順や試薬を混同するなど、作業が危険な児童・生徒等に対し、個別の実験時間や実習課題を設定したり、個別のティーチング・アシスタント等を付けたりする。 第8 県立学校における相談体制の整備 各学校においては、校長のリーダーシップの下、全校的な支援体制を確立し、障害のあるなしにかかわらず、すべての児童・生徒等を対象とし、実態把握や支援方策の検討等を行う。  校長は、支援教育の実施の責任者として、自らが支援教育や障害に関する認識を深めるとともに、リーダーシップを発揮しつつ、相談体制を整備し、組織として十分に機能するよう職員を指導することが重要である。 相談体制は、校長、副校長、教頭、教育相談コーディネーター、教務グループのリーダー、生徒指導グループのリーダー、通級による指導担当教員、養護教諭、対象の児童・生徒等の学級担任、学年グループのリーダー、その他必要と認められる者で構成する。 相談体制を構成する者が、児童・生徒等からの相談及び現に社会的障壁の除去を必要としている旨の意思の表明について、校長のリーダーシップの下、合意形成に向けた検討を組織的に行う。学校と本人・保護者との対話による合意形成が困難である場合には、教育委員会が、法的知見を有する専門家等の助言を得るなどしつつ、法の趣旨に即して適切に対応することが必要である。