(表紙) 県立障害者支援施設の方向性について 当事者目線の障がい福祉の実現に向けて 令和5年9月5日 神奈川県福祉子どもみらい局福祉部障害サービス課 (1ページ) 目次 1議会での知事の答弁 2県立施設の概要 3将来展望検討委員会の提言 4中井やまゆり園支援改革プロジェクトチームの提言 5当事者目線の障害福祉推進条例 6今後の県立施設の方向性 7「(仮称)県立施設の方向性ビジョン」の作成 (2ページ) 1議会での知事の答弁(令和5年6月20日) (質問)今後の県立施設のあり方についてどのように検討を進めていくのか。 (知事) 将来展望検討委員会からは、大規模施設は管理的、閉鎖的。民間の中にも先進的な取組をしているとの指摘。県立は規模縮小の上民間移譲を検討すべきとの提言。 〇中井の取組を持続するため組織執行体制の見直しが必要。 〇老朽化が著しい愛名、しらとりは対策について検討が必要。 〇7つの施設の方向性を年内を目途に「(仮称)県立障害者支援施設の方向性ビジョン」としてまとめていく。 (3ページ) 2県立施設の概要 <県立施設の位置> 横浜市 芹が谷やまゆり園  相模原市 津久井やまゆり園、さがみ緑風園 横須賀市 三浦しらとり園 厚木市 厚木精華園、愛名やまゆり園 中井町 中井やまゆり園 (4ページ) 3将来展望検討委員会の提言(令和4年3月) (1)県立施設の方向性 県立施設は率先して地域生活移行に取り組む。 また、規模を縮小の上、民間移譲も視野に入れた検討を行う。 <規模縮小の考え方>  〇大規模施設の問題点 ・集団生活で行動障がいのある人には不向き。 ・閉鎖的で管理的な支援に陥って、身体拘束に頼る支援が繰り返されてきた。 ・状態像をより重篤なものに変容させていくという構造的な課題。 〇望ましい定員規模 ・個室化、小規模ユニット化を進めていき、施設全体で小規模化を進め、津久井・芹が谷と同じ60名程度の定員としていく。 《一人ひとりに目が行き届く施設で、本人の望む生活を支援することが可能》 (2)県の役割の方向性 研究、人材育成は県の役割である。 (5ページ) 4中井やまゆり園支援改革プロジェクトチームの提言(令和5年5月) (1)中井やまゆり園における不適切な支援  県が把握した91件の情報のうち、虐待と認定9件、不適切な支援と判断8件 (虐待と認定された事案例) ・居室の天井が便まみれとなっている環境で食事をさせていた。 ・肛門内にナットが入っていたことに対し、速やかに原因究明・救急対応のための行動をとらなかった。 ・居室施錠したままこまめに状況確認をしなかった。 民間の支援改善アドバイザーによる実践指導等、利用者支援やガバナンスの改善を進めているが、改革は途上 (2)プロジェクトチームの提言 ・民間の支援改善アドバイザーがいなくなった後、改革が後戻りしないか懸念 ・3〜4年という短期間での人事異動、硬直化した予算執行等、県直営の運営は限界 ・当事者目線の障がい福祉を実践し、持続していくためには、柔軟かつ迅速な意思決定や、当事者目線の支援ができる人材の確保・育成が必要 ・施設は「利用者の人生を支援する場」として、適切な運営体制を検討すべき (6ページ) 5当事者目線の障害福祉推進条例(令和5年4月施行) 県の主な責務・役割 ア、県の責務(第4条) ・当事者目線の障害福祉に関する総合的な施策策定、実施 ・障害及び当事者目線の障害福祉に関する理解を深めるための普及啓発 イ、意思決定支援の推進(第10条) ・意思決定支援の推進に関する情報提供、相談及び助言等の体制整備、研修実施 ウ、支援手法に関する調査研究(第22条) ・障害特性に応じた支援手法の確立を図るための先進的取組の情報収集、調査研究 エ、人材の確保、育成等(第26条) ・人材の確保、育成及び技術向上を図るための情報提供、研修その他の必要措置 オ、障害福祉サービス提供事業者の責務(第7条) ・地域住民、関係団体等と連携し、地域の社会資源の活用、創出等を図りながら、当事者目線の障害福祉の推進に努める 条例の範を示すため、県立施設が率先して実効性ある取組を実践 (7ページ) 6今後の県立施設の方向性 @県立施設は小規模化の上、基本は民間移譲 A県立施設として存続すべき施設の役割 ・当事者目線の先駆的な支援 ・重度障がい者の地域生活移行 ・福祉科学研究・人材育成 上記役割を効果的に果たすため、独法化も含めて組織執行体制を検討 (8ページ) 7「(仮称)県立施設の方向性ビジョン」の作成 現状と課題、役割等を踏まえて、今後の各施設の方向性や組織執行体制を検討し、県議会、利用者やその家族等と調整を図りながら、「(仮称)県立施設の方向性ビジョン」を年内を目途に作成する <スケジュール> 令和5年6月、ビジョンを作成することを知事が答弁しました。 (今後)利用者・家族会等に検討の考え方や内容を説明します。 <ビジョンの骨格> ・現状と課題 ・外部委員会からの提言 ・県の考え方  ・各施設の方向性 ・組織執行体制 ・スケジュール (9ページ) 【参考1】存続すべき県立施設の取組イメージ 県立施設は、現入所者の地域生活移行を進めるとともに、通過型施設として 〇地域での暮らしが難しくなった場合の一時的な入所の受入 〇有期での新規入所の受入 を行い、新たに受け入れた入所者の地域生活移行を進める 県立施設<通過型施設>から、自宅・グループホーム等、公共施設、教育・生涯学習、スポーツ、国際交流、防災・防犯、家族・友達・支援者(仲間との居場所)、交通、文化・芸術、買い物・旅行、医療、就労・ボランティア活動といった地域へ地域生活移行。地域から、県立施設<通過型施設>へ地域での暮らしが難しくなった場合の一時的な入所。地域と県立施設を循環。 併せて、他施設・自宅等から、定員60名程度の県立施設<通過型施設>へ有期の新規入所。 (10ページ) 【参考2】地方独立行政法人とは 民間主体では必ずしも実施されないおそれがある事業を、効率的・効果的に行わせるために、地方公共団体が設立する法人 〈県(設立団体)と法人の関係〉 ○県知事が法人理事長の任命・解任権を持つ。 ○法人の運営に必要な金額を県から交付できる。 ○県は法人の中期目標を定め、その実績を評価する。 ○法人が作成した中期計画を県が認可する。 柔軟な人事制度による職員の確保・育成・配置や法人理事長による柔軟迅速な決定ができるという特徴のある制度であるため、障害者支援施設の運営に生かした取り組みが期待できる。 (取組例) ・施設の汚れや破損の迅速な修補が可能となる ・同じ職員による長期支援が可能となる ・グループホームや生活介護事業所等、支援に必要な施設等の設置運営が容易となる ・事業内での予算の組み換え等、柔軟な予算執行が可能となる 〈障害者支援施設を運営する独立行政法人の先行事例〉 国立のぞみの園…重度の知的障害がある人を対象とした障害者支援施設 (11ページ) (2)地方独法化の先行事例 法人名病院機構 設立年月22年4月 地方独法化の主なメリット ・法人・病院が独自に採用できるため、迅速な採用が可能 ・職員定数の制限がないため、7対1看護基準への対応や医師等の増員が可能 ・事務職員のプロパー化により、診療報酬制度や病院経営に精通した職員の養成・配置ができるため、効率的な経営が可能 ・中期的な視点で、計画的に職員体制や施設・機器の整備を実現可能 法人名産業技術総合研究所 設立年月29年4月 地方独法化の主なメリット ・研究開発費を確保するための管理法人機能の付与や、単年度予算主義からの脱却による柔軟な予算執行が可能 ・専門人材を柔軟に確保できる体制の構築や、企業支援の幅広いノウハウを継承するための独自の人材育成が可能 ・大学や他機関とのネットワークや相互に資源を活用できる体制の構築が可能 ・新規成長分野への迅速な対応のため、柔軟かつ計画的な設備機器の整備が可能 法人名保健福祉大学 設立年月30年4月 地方独法化の主なメリット ・理事長を中心とした一体的な組織体制でトップマネジメントが強化され、意思決定が迅速かつ柔軟になるため、大学の自立性が高まる ・大学独自の効果的な教職員の人事制度により教育・研究・地域貢献・国際貢献機能の充実に向けた人材の確保が可能 (例、教職員のクロスアポイントメント制度の導入) ・単年度主義によらない大学独自の予算編成により、企業や他大学との柔軟な連携が可能