あつぎの学生食堂のページ 3時限目、神奈川工科大学の取材内容 厚木保健福祉事務所学生食育ボランティア2名とともに、神奈川工科大学を取材させていただきました。 学生課長の鈴木さんに、キャンパスの概要について伺いました。 キャンパスの概要について教えてください。 神奈川工科大学には、5学部10学科、大学院5専攻が設置されています。学生は学部と大学院あわせて約4,300人で、女性は全体の約16%です。 学内の食環境としては、食堂が2つある他、日替わりでオープンするキッチンカーや、売店があります。 大学として、どのような健康づくり支援を行っていますか。 食生活はとても大切ですが、中には関心の低い学生もいます。 学生の中には食費よりもスマートフォン等の通信費、ゲーム等への課金にお金を使ってしまう傾向が見られ課題と認識していたところに、昨今の物価高です。 特に食料品、食材の高騰により更に食費を削っているのではと心配しています。 こうした学生の生活状況を踏まえ、後援会(父母会)の支援をいただき食費を補助する取組を始めています。 コロナ禍から始まった制度で、当初は200円定食を期間を限定して提供していましたが、最近では年間を通して定価より100円引きで購入できる制度に変更しています。 この制度により、栄養満点の定食を500円以下で食べることができます。 できるだけきちんと食べてもらいたいという思いから、継続的に支援を行えるよう後援会と相談し、この取組を続けています。 学生の食習慣や生活習慣について、気になることはありますか。 朝食欠食が気になっています。食事付きの寮で朝食を欠食する寮生が一定数いることから、朝食を摂らないことが習慣化している学生が一定数いるのではと類推でき、健康面で大変心配しています。 また、カップラーメンを食べる学生が多く、売店でもよく売れると聞いています。物価高騰もあり、安く手軽に食べられるものを選んでいるのかもしれません。 食堂や健康管理室とどのように連携していますか。 各食堂の運営会社とは定期的に打合せを行い、学生や食堂の状況について情報共有しています。 また、学生相談室とも定期的に情報交換を行うなど、各部門と連携し、学生の健康面をサポートしています。 健康管理室の九嶋さん(看護師)に、学生の健康支援について伺いました。 学生の健康状態について、気になることはありますか。 最近の学生の傾向として、レポート作成や試験勉強の際にエナジードリンクを多飲したり、徹夜をしたりして体調不良になり、健康管理室に来ることがあります。生命維持のためには食事や睡眠が大切ですが、物価高騰の影響も受け、食べること・寝ることを含めた「しっかり生きる」ことの難しさを感じます。 健診結果から、極端にBMIが高い学生と低い学生で二極化していますが、こうした傾向や体調不良は男性の方が多く、自炊の一人暮らしの学生はより顕著な傾向が見られます。物価高騰の影響が出ているのではないかと懸念しています。 健康管理室として、どのような健康支援をされていますか。 健康管理室では、学校医による健康相談、健康に関する啓発ポスターの掲示、また季節性感染症の感染拡大を予防する取組を行っています。 各食堂での取組や、トレーニングルームを活用した健康支援など、学内では健康に関わる様々な取組を行っていますが、それぞれの取組の連携が弱いため、今後は連携を意識した支援を目指していきたいと考えています。 食堂をのぞかせていただきました。 第1食堂(フードコートカモメ) 講義棟の2階にあります。座席数は623席で、大学のメイン食堂です。昼休みの時間帯は、多くの学生で賑わいます。 食堂に入ると、メニューのサンプル展示がありました。 デジタルサイネージには本日のおすすめメニューが表示されており、視覚的な効果によりぱっと目を引きます。 定番メニューは唐揚げ定食やカレー、うどん、そばがあります。 日替わりメニューは毎日2種類あり、定食につく小鉢は、3種類以上から選べるように内容を考えています。 みそ汁の具も毎日必ず変えているそうです。 メニューにはすべて栄養成分表示がされています。 一番人気の唐揚げ定食は、5個・6個・7個から選べます。 以前は6個のみでしたが、物価高騰を受け、少しでも価格を変えずに提供できるよう、個数を選べるようにしました。 本日のおすすめメニューの1つ、「スタミナ冷しゃぶ油そば」は、食堂と管理栄養学科のコラボメニュー。 管理栄養学科の学生は、メニューの考案方法や原価管理等について学んだ上で、メニューを考案します。行列ができるほどの大反響! アンケートでいただいたご意見には、丁寧に回答しています。 栄養士によるこうした手書きでのお知らせや、ちょっとした盛り付け方や小鉢の内容の工夫等により、女性の利用者がとても増えています。 栄養コラムを作成し、2か月に1回の頻度で発信(掲示)しています。季節に合わせてテーマを変え、学生の健康意識の向上に努めています。 第4食堂(カフェレストラン) 情報学部棟の最上階(12階)にあり、眺望がすてきな食堂です。 女性の利用をイメージしており、ランチプレートやパスタなどを提供しています。 ランチプレート等の他、パンやお弁当などのテイクアウトメニューも充実しており、思わず目移りしてしまうほどでした。 第1食堂を運営する株式会社ガクメシの秋岡さんに、学生食堂について伺いました。 メニューを考案する際に配慮していることや、調理時の工夫はありますか。 第1食堂では、1日400食から500食程度提供しています。 メニュー考案においては、お客様からのリクエスト、仕入先からの提案、日替わりメニューの出数、原価、栄養面など、様々な要因を考慮して検討しています。  定番メニューの改善も随時行っています。一番人気の唐揚げは、塩分を抑えるために昆布だしを加えて味付けし、揚げる直前に片栗粉をまぶす方法に変え、ふわふわ・サクサクの食感を叶えました。 食事を提供する上で大切にしていることは何ですか。 『毎日来ても飽きない食堂』をコンセプトに、2つの日替わりメニューや選べる小鉢、唐揚げ祭りなどの多彩なイベントを企画しています。 日替わりメニューは昨年度まで週替わりでしたが、お客様の反応を見ながらメニューの入れ替えを行い新陳代謝を図るなど、新しいチャレンジがしやすいメニューです。 食堂には、スムーズな列誘導やメニュー説明などを担うコンシェルジュと呼ばれるスタッフを配置しています。 声かけをするだけで食堂での食事がいつもより美味しくなるのではないかと考え、学生と積極的にコミュニケーションをとるように心がけています。 今後も、学生が何十年経っても記憶や思い出に残るような食事や空間を作っていきたいと考えています。 第1食堂を利用している学生さんに聞いてみました。 食事で気を付けていることや、メニューを決める時のポイント、学生食堂のよいところを教えてください。 普段は、野菜を最初に食べるようにしています。第1食堂の良さは、安さと量です。定番の唐揚げも、日替わりで色々と味付けが変わるところが良いです。 だいたい日替わりメニューを食べることが多いです。食堂スタッフの方はとても優しく、いつも声をかけてくれます。大学ではお母さんのような存在です。 まず日替わりメニューをチェックします。手頃な値段で食べられるところ、家では食べられない揚げ物などを食べられるところが良いです。 日替わりメニューも定番メニューもあって、飽きずに楽しめます。 第1食堂で試食させていただきました。 一番人気の『唐揚げ定食(5個入)』をいただきました。 唐揚げは、食べた瞬間、熱々で衣がサクサク!味付けをリニューアルしたということで、控えめな味付けでも食べ応えがあり、あっという間に食べてしまいました。 小鉢もついてとても満足感が大きく、人気メニューというのも頷けました。 学生にとって、家庭のように温かく、安心できる場所になっている食堂。 その裏側にはたくさんの人々の想いがあり、その想いが繋がって学生の食と健康を支えていました。 取材日:令和6年12月17日 御協力ありがとうございました!