様式３
審議（会議）結果
審議会等名称	第37回 神奈川県障害者施策審議会
開催日時	令和５年６月２日（金曜日）　14時00分から16時40分まで
開催場所	神奈川自治会館２階会議室（オンライン参加有り）
出席者	【会長】蒲原委員、【副会長】佐藤委員、（以下名簿順）嵩委員、鈴木委員、相馬委員、小山委員、市川委員、榛澤委員、内藤委員、河原委員、小杉委員、隈元委員、成田委員、在原委員、眞保委員、德田委員、桐ケ谷委員、山梨委員（計18人）
次回開催予定日	令和５年７月頃
所属名、担当者名	障害福祉課企画グループ　加藤
電話（045）285‐0528  　ファクシミリ（045）201‐2051
掲載形式	議事録
審議経過	以下のとおり

≪議　　題≫
(1) 当事者目線の障害福祉推進条例に基づく基本計画の骨子案について
(2) 当事者目線の障害福祉推進条例に基づく基本計画の目標設定の考え方について

≪報告事項≫
(1) 県立中井やまゆり園における改革プログラム等について
(2) 意思決定支援の推進について

≪配布資料≫
資料１　　：当事者目線の障害福祉推進条例に基づく基本計画の骨子案（たたき台）
資料２　　：「障害」の「害（がい）」の字の記載について
資料３　　：当事者目線の障害福祉推進条例に基づく基本計画の目標設定の考え方について
資料４　　：県立中井やまゆり園の改革プログラム等について
資料５　　：県立中井やまゆり園における利用者支援外部調査委員会で調査継続となった事案の調査結果報告書
資料６　　：県立中井やまゆり園　当事者目線の改革プログラム
資料７　　：意思決定支援の推進について
参考資料１：当事者目線の障害福祉推進条例に基づく基本計画の記載予定（一覧）
参考資料２：当事者目線の障害福祉推進条例に基づく基本計画策定のスケジュール案
　

≪その他資料≫
　・　第６期神奈川県障がい福祉計画
　・　かながわ障がい者計画
　・　当事者目線の障がい福祉に係る将来展望検討委員会報告書
　・　神奈川県当事者目線の障害福祉推進条例～ともに生きる社会を目指して～
　・　みんなで読める　神奈川県当事者目線の障害福祉推進条例～ともに生きる社会を目指して～

【事務局による進行】
　・　福祉部長挨拶
　・　会議運営に関する事務連絡
　
【蒲原会長による進行】
（蒲原会長）
会長の蒲原でございます。本日も皆様の協力を得て、円滑に議事を進めていきたいと思います。よろしくお願いいたします。
本日の議題の進め方についてです。次第にありますとおり、まず議題が２つあり、そのあと報告事項が２つあります。議題になっている事項を中心に議事を進めていきたいと思いますが、議題１の計画の骨子案については、説明と質疑をあわせて概ね1時間弱ぐらい、しっかりと議論していきたいと思います。
その後10分間休憩した後、議題２の目標設定の考え方ついて、説明と審議をあわせて40分ぐらい議論したいと思います。
16時前後には報告事項２つに入って、概ね16時半には終わりたいと思います。皆様、御協力をよろしくお願いいたします。
それでは議題(1)「当事者目線の障害福祉推進条例に基づく基本計画の骨子案について」、事務局から説明をお願いします。

（事務局）
　資料１、２に基づいて説明

（蒲原会長）
ありがとうございました。それではただいま説明があった事項につきまして、皆様から御意見御質問をいただきたいと思います。それでは河原委員、お願いします。

（河原委員）
資料の見方の確認です。参考資料１の右側に既存計画の記載内容、左側に大柱、中柱、小柱とありますが、その小柱を横に見ていくと、この基本計画の内容であるという理解でよろしいでしょうか。資料の見方がよく分からないので、補足をしていただければと思います。

（蒲原会長）
今後の議論の大前提になりますので、少し丁寧に事務局で説明してください。

（事務局）
今おっしゃったとおり、大柱、中柱、小柱、３つの柱に大きく分けてございます。この小柱は括弧書きの数字で表しているもので、この中に右側の番号１、２、３、新規等があります。番号１、２、３と書いてあるのは、もともと県で作っている既存計画の管理番号となっております。新規と書いてあるのは、事前に庁内で調査した内容や、今回新たに加えるべき内容と当課で考えた内容を記載しております。
再掲と書かれているものは、もともと後ろに書かれていたものを改めて見直した時に、これは前の方にきちっと書いた方がいいだろうと、項目立てて書いた方がいいだろうといった考えから持ってきたものになります。ですので、括弧数字の内容が右に書かれているという認識でお願いできればと思います。

（蒲原会長）
右側は表題が既存計画の記載内容と書いてありますが、既存計画に書いてある内容に加えて、庁内で議論して新しくここの項目に盛り込みたいものも新規として入っているということで理解すればよいでしょうか。つまり、この資料上、たたき台の項目ごとについてはこういう中身を、既存の部分及び新規の部分はこういう中身を書きたいと考えているという趣旨だということですね。

（河原委員）
そうすると、今日の議論のポイントとしては大柱、中柱、小柱等、その辺りの議論と、この記載内容の細かい内容について意見出しをしていいという、そういう理解でよろしいでしょうか。

（事務局）
御意見を中心にいただきたいのは、左側の項目の部分、骨子に当たる部分ですが、右側の内容につきましても、今後検討が必要となってくる部分ですので、御意見を頂戴できればと考えております。

（蒲原会長）
分かりました。本日の議論は、それを前提として進めていきたいと思います。
それでは成田委員、よろしくお願いします。

（成田委員）
資料１の大柱、共生社会の実現に向けた県民総ぐるみの取組みの「８教育における取組み(3)高校教育における障害学生支援の推進」について、「障害学生」という文言について違和感があります。
先ほど「害（がい）」の字のひらがな、漢字表記という話がありましたが、社会的障壁があるという考え方を踏まえて、「障害のある人」という言い方、捉え方が大切だと考えています。そういう意味では、「障害のある学生」という表記について、再考していただきたいと考えております。

（蒲原会長）
わかりました。それでは眞保委員、よろしくお願いいたします。

（眞保委員）
先ほど資料の見方の確認がありましたが、私も同様でして、資料１の細い下線の意味を教えていただきたい。
例えば、当事者目線という単語に下線が引いてあるところと引いていないところがあって、それは何か重み付けとか意図があるのか。裏面を見ると、例えば条例という単語に一つ下線が引いてあるが、下線の使い方の意図を教えていただければと思います。

（蒲原会長）
　議論の前提なので、先に事務局から説明お願いします。

（事務局）
　今回の計画につきましては、当事者目線という言葉の強調というわけではなく、新たに加えるべき言葉と考え、下線を引いております。ただ、ここをどうしていくかというところも踏まえて、御意見を頂戴できればと考えております。当事者目線や条例といったところにつきましては、骨子として最終的に載せていくべきものなのかどうかということも考えておりますので、そういった部分も御意見を頂戴できればと考えております。

（眞保委員）
　要するに、検討が必要という意味で下線を引かれているという理解でよろしいでしょうか。
当事者目線という単語すべてに下線が引かれているわけでもないですし、憲章７のところの条例には下線が引かれています。これは条例という文言を入れるかどうかということを検討する必要があるという意味で入れられているのか、強調という意味で入れられているのか、そうだとするならば当事者目線という単語すべてに入れる必要があるのではないかですとか、統一がとれていないので、どういう意図があるのか、確認をした次第です。

（蒲原会長）
　私も何でここだけ下線があるのかなと不思議な感じがします。重点的に議論してほしい、あるいはそんなに強い意味がないのか、全体のことですので丁寧に説明をお願いします。

（事務局）
総論の部分につきましては、これまでの計画から全体的に新しくしているという意味で、特に当事者目線や条例という言葉について、部分的に下線は引いておりません。すべてが新しくなったという意味で下線を引いておりません。各論の部分につきましては、これまでの計画から新たに当事者目線ですとか条例ですとか、新しい言葉を加えたといった意味で下線を引かせていただいております。

（眞保委員）
　分かりました。

（蒲原会長）
　大事な点と意識しながら、中身の議論を進めていくということでよいかと思います。成田委員の意見については、いくつか意見を聞いた後にまとめてお話したいと思います。それでは佐藤委員、お願いします。

（佐藤委員）
この後の報告事項にあります、中井やまゆり園の改革案の中で、社会福祉連携推進法人を作るということが記載されています。ところが、基本計画を見ているとそれに関する言及がない。これは基本計画には入れなくて別立てで考えるのか、あるいは全く考えないのか。基本計画の立て付けの中で社会福祉連携推進法人というものが、どういう立て付けになっているのかということを教えていただければと思います。
これは、障がい者の地域移行の１つの重大なファクターとして入れられているものなので、どこかで基本計画の中に入らないとおかしいのかなと思いますが、入れなくてもいいのだとお考えであれば、そのお考えを説明していただければと思います。

（蒲原会長）
　ありがとうございました。それでは事務局から御二方の質問に対して、あるいは御意見に対して説明をお願いします。

（事務局）
　御意見どうもありがとうございました。まず成田委員からいただきました、高等教育における障害学生支援の推進というところ、「障害のある学生」というふうに書いてはどうかという御意見を頂戴いたしました。文言の修正につきましては、教育局とも調整をして、検討したいと思いますが、非常に重要なことと捉えております。
続けて、社会福祉連携推進法人の件ですが、佐藤委員も入っていただいたプロジェクトチームで御検討いただいたところでございまして、そのプロジェクトチームからいただいた提言を受けて、アクションプラン、具体的なものを作成していきます。そういったこともあわせて、こういった障がい福祉の計画とも整合性をとるような形で今後入れ込むことになるかと考えております。

（佐藤委員）
　いずれは基本計画の中に入ってくるということですか。

（事務局）
どういう形で、というのはまだ分かりません。アクションプランの方も今検討中なので、別の障害サービス課で作るものとも整合性をとりながら入れさせていただくような形になるかなと思います。

（佐藤委員）
基本計画から落としているわけではない、そういう理解でよろしいですか。

（事務局）
今はまだ我々の方からすり合わせをしていないのです。

（佐藤委員）
わかりました。

（蒲原会長）
　成田委員の方は、先ほどの説明でよろしいですか。

（成田委員）
検討していただければと思います。

（蒲原会長）
私も教育分野で障害学生支援という言葉が普通に使われているのか分からないので、よく検討していただければと思います。引き続きまして、小山委員、よろしくお願いします。

（小山委員）
　まず、私たちが読んでも難しい福祉用語ばかりが並んでいるので、実際私たちにどれくらい関係があるのかなと思う時があります。第１回の時に私たちから話を聞いてもらって、何年か先には直すよみたいなことを言われたが、それはずっと来なかった。
次に住む場所の話ですが、我々の仲間には、不動産屋で精神障がい者はアパートやマンションが借りられないと言う方がいます。知的障がい者なら２人ぐらい補助をつければいいのだけど、精神障がい者が何でなかなか借りられないのかと言われました。
免許を取るのも、精神障がい者は難しい。私もそうですが、医者の許可が必要で、それで免許をなかなか取れないのは何でなのか、という話も聞いている。
それから、外国人の障がい者も出てくると言われているので、そういった人たちの支援はどうなっているのかも気になります。
全然関係ないとは思いますが、職務質問を受けた仲間がいて、自分の知っている人には話ができるのですが、知らない人には話ができなくて、そのまま警察署に１日泊まってしまったことがあった。手帳を持っていたからいいのだけれども、持っていなかったらどうやってそれを証明するのかなという話がありました。
それから、精神障がい者の障害者手帳が使えるところが少ない。博物館とか遊園地とか動物園とか、一緒に行動するのですが、交通機関を使えるものも少ない。障害者手帳が有効に使えていない状況なのかなと思います。
そういったことも、私たちが暮らす上で、こうすればいいということではなくて、それぞれの地域で暮らし方は違う中で、いかに地域で障がい者について理解してもらうかが大事だと思います。

（蒲原会長）
　ありがとうございます。それでは榛澤委員、お願いします。

（榛澤委員）
　当事者目線についての話は今だけですか。

（蒲原会長）
　この後もできると思いますが、今日はここが一番の時間を割くところで、当事者目線についてはこの項目の中にたくさん出てきます。榛澤委員が思ったことをおっしゃっていただいて結構だと思います。

（榛澤委員）
当事者目線について、前回踏み込んだ話をしました。前回は、県の職員は当事者目線になることや、当事者目線で障害政策を行うことは、本当はできないのではないかみたいな言い方をしましたが、今までの障害者施策が余りにも当事者目線から乖離していたので、これからは当事者目線を意識して障害者施策を考え、進めていこうという姿勢で、当事者目線という言葉を使うようになったと思うので、その姿勢自体が別にいけないと思ってなくて、むしろ良いことだと思います。ただ、この会議とか出て聞いていて、当事者目線という言葉が結構よく使われていますが、気軽に簡単に言っているような感じがしました。決して当事者目線になるって簡単なことではないので、軽い気持ちで言っているように感じたので前回言わせていただきました。
この施策を行う方法を、今回資料をいただいてしっかり読んだ中で考えまして、実は当事者目線の障害者施策を行う方法というのは、あることはあるなと思っています。本当に簡単なのですけども、実は難しい方法だと思っていて、それは当事者目線の人が障害者施策を行えばできます。というのは、当事者目線の人というのは誰かと言えば、当事者です。つまり、県の障害者施策の担当部署の職員を、例えば全員当事者にしたら、障がい者にしたら、紛れもなく当事者目線の障害者施策を行うことになります。入れ替えるだけなので、簡単なことです。
ただ、もちろん障がい者なら誰でもいいというわけではなくて、当たり前ですが県の職員なので、公務員の業務をしっかり行えるほどの能力がないと駄目で、今働いていらっしゃる方たちも健常者が多いと思いますが、難しい公務員試験に合格して、県の職員になるほどの能力ある方たちなので、健常者だって誰でもやれるわけではない。
ただ、障がい者を多く雇ってほしいと、そういう提案をしても、先ほど簡単なようだけど難しいと言ったのは、県は障がい者をなるべく雇いたくないように思うからです。というのは、2018年に発覚した障害者雇用水増し問題というのを覚えていらっしゃる方が多いと思いますが、水増しは神奈川県にもあったと聞いています。それこそ障がい者を雇いなさいと指導する立場の厚生労働省ですら、水増しがありました。残念ながら、行政も多くの民間企業もそうですが、本音では障がい者を雇いたがらない。だから、たくさん当事者を雇って当事者目線になることは、簡単ですが難しいと言いました。
神奈川県は相模原の事件や中井やまゆり園の酷い虐待があって、障害者目線の障害者政策を打ち出した以上、これは提案ですが、県の障害者支援部署の職員全員とは言いませんが、半分か、とりあえず３割でもいいので障がい者を、いきなりではなくても徐々にでも増やしていけないですかね。そうしたら、神奈川県のいう当事者目線というのは、本気でやろうとしているのだなというふうに私も思いますし、神奈川県民も、それこそ日本中、世界中から、神奈川県は本気だと、障がい者のこういうあってはならない事件があったことを踏まえて、本気でやろうとしているのだなと思うと思います。
よく女性の議員を一定数割り当てるクオータ制というのがありますが、例えば障がい者に関する部署の職員は３割以上障がい者を雇うという規定ができれば、本当に本気で障害者目線というのをやるなら、それぐらいの覚悟というか、思いがないとできないと思います。
これは黒岩知事もよく当事者目線と言いますが、知事自身にもぜひ、それだったら障がい者に関係する部署は障がい者で、高齢者の部門だったら高齢者とか、そういう人たちが職員の中に、しかも、ちゃんと職員としてある程度仕事ができる人を雇えば、本当の意味の、本気で障害者目線でやろうという意思を感じます。どうでしょうか。

（蒲原会長）
　ありがとうございました。当事者目線を進めるための公の部分のあり方について話がございました。また後程お話をもらいたいと思います。それでは河原委員、お願いいたします。

（河原委員）
まず柱の「ともに生きる社会を支える人づくり」のところで、どちらかというと人づくりの中で、研修の部分がとても細かくて多い。
今回の条例ができるにあたって、市町村も人材をどう確保していくかというのがこの条例に期待するところでありますし、実際に現場で働く福祉人材をどう確保するかが大きな問題だと思っておりますので、もう少しこの神奈川県で魅力ある働き方ができるというような内容を入れていただけるといいかなと感じています。
これですと、何となく研修ばかりで、神奈川県で働きたいというような魅力度があまり出てこないという印象は受けましたので、もし再考できるようでしたらばお願いしたいと思います。

（蒲原会長）　
ありがとうございました。人材の関係で、研修だけではなくて、働ける環境について話がありました。それでは、今まで出た御意見について、事務局からお願いします。

（事務局）
初めに小山委員からの御意見、ありがとうございます。難しい福祉用語が多いというところで、確かに書いてある骨子案を見ていても、カタカナや専門用語が多く入っています。これらの言葉が、できあがっている単語を使っておりますので、今後そういったものを置き換えていいものか、置き換えることによって意味が違ってしまわないかといったところも踏まえて、検討してまいりたいと思います。誰もが読み込んでいけるといった観点は非常に重要だと思いますので、その部分はできる限り検討させていただきたいと思います。
それから住宅や免許の部分につきましても、今まで以上に、記載ができるものや目標として持っていけるものといったところを、今後検討してまいりたいと思いますので、中身について、また御意見をたくさんいただければと思います。
　手帳についても、手帳を取得されている方々がこの計画を見て、どういった見方をしていただくか、どういった情報を計画に載せていくかといったところも踏まえて、現段階ではまだまだ検討が必要かなと考えております。
続いて、榛澤委員から、県の障害福祉関係の部署での当事者の雇用についてお話しいただきました。県の雇用であれば人事課であったり、障害者雇用率ということであれば雇用労政課というところが所管をしております。当事者でないと本来は当事者目線に立てないというところは、前回も榛澤委員から御意見をいただいて、それがさらに進むと榛澤委員がおっしゃられるような障がい者の方を雇用するべきだという御意見だったと思いますので、参考とさせていただきます。

（榛澤委員）
　本当に思い切ったことをやらないとできないと思います。そのぐらいのことをやらないと、障がい者の目線で、今苦しんでいる障がい者の人達を救うことは、僕はできないと思っています。本当に思い切った施策を期待しています。御理解いただきありがとうございます。

（蒲原会長）
ありがとうございました。事務局においては、いずれ各論を書くことになると思うので、先ほどの河原委員の意見も含めて、御三方の意見をよく踏まえて、検討をお願いしたいと思います。それでは、市川委員よろしくお願いします。

（市川委員）
　今回から参加させていただきます。よろしくお願いいたします。
相談支援体制の整備の中に入るかもしれませんが、大きな項目の中に障がい者の家族等への支援の充実というのを入れていただいて、とても良かったなと思っています。
家族支援に入るかもしれませんが、ライフステージの一貫した支援というところで、ライフステージの切れ目のところに、重点的に家族から当人に関わっていただけるような言葉が入っていると、家族としては安心できますし、当事者の方も安心だと思います。あとは、この計画を読んだ方が意識をして、こういうことに気をつけて支援をしていこうと気づいていただける機会にもなると思いますので、何か「ライフステージ一貫」とか、「切れ目には重点的に」、というような言葉が入るととても嬉しいです。

（蒲原会長）
　ありがとうございました。事務局でも今の意見を踏まえて、よく検討してほしいと思います。
それでは今回、骨子についての話でしたが、次の計画策定の目標策定の考え方とも関係するので、もし今のところで言いたいことを思い出されたら、次の議題２のところで、あわせてお話いただければと思います。計画の骨子案についての議論は一旦ここで終了いたしまして、10分間の休憩に入りたいと思います。よろしくお願いします。

～10分間の休憩～

それでは先ほどの議題に続きまして、議題(2)「当事者目線の障害福祉推進条例に基づく基本計画の目標設定の考え方について」、事務局から説明をお願いします。

（事務局）
　資料３に基づいて説明

（蒲原会長）
　ありがとうございました。それではただいま説明がありました事項につきまして、御意見御質問等がありましたらよろしくお願いします。議題(1)の関係で言い残したこともあれば、それも含めて御意見いただいて結構でございます。
それでは佐藤委員、よろしくお願いします。

（佐藤委員）
　ＫＰＩ、これは流行り言葉みたいに今言われていますが、１ページ目、グループホームの利用人数が増えれば地域生活の移行が進んでいるというのは、確かにそういう見方もあるかもしれませんが、最近はグループホームだからいいという認識はだんだん薄れつつあります。神奈川県や横浜市はグループホームの設置や活動が盛んなところですから大丈夫なのだと思いますが、全国的に見ると、全国展開をしているグループホームの株式会社が増えています。ＫＰＩの数だけでいくと、そういうところが流れ込んでくるという可能性もありますので、グループホームの移行者数のカウントの仕方について、県の方でご検討いただきたい。今は、単にグループホームに移行すればそれでいいという話ではないと私は思っております。
それからもう一つは、項目の中に重度訪問介護の数字が入っていない。それから、地域生活の社会参加という意味合いでいうと、移動支援や行動援護というものが活性化しないと、なかなか社会参加できない。ここのところは、事業者側からするとかなり厳しい経営状態にあると思いますが、この移動支援や行動援護というものを検討して、数値目標として立てるのか立てないのか。
今ざっと見たところではそういう項目が立っていませんので、ＫＰＩ化はしないということなのかもしれませんが、県のお考えをお聞かせいただければと思います。

（蒲原会長）
　ありがとうございました。それでは成田委員、お願いいたします。

（成田委員）
指標、ＫＰＩ、それから活動指標と分けていただいたのは分かりやすいかなと考えています。特に、活動指標にいろいろな意見を盛り込むことができるのかなと思いました。
その視点で言うと、例えば、資料３の４ページ、当事者の社会参加を推進する環境づくりの項目等の中で、ここが適切かどうかまだ分からないですけれども、いろいろなところで地域とのネットワークが大切だという、いろいろな形での提言が県の方でもなされている部分が、こういうところに言葉として反映されてこないのかなと思います。
例えば、地域向けの講座の数が増えているとか、ネットワークをどういう形で作っているかとか、意思決定支援等で大事にしたいという活動の部分が反映できるような項目を少し加えていただければいいのではないかと思いました。

（蒲原会長）
　ありがとうございました。それでは在原委員、よろしくお願いします。

（在原委員）
目標設定の考え方については、最初の説明で成果と結果が混在しているので整理するという話でした。指標に参考と書いてありますが、参考でよいのかと思います。ＫＰＩというものがどういうものなのか詳しく分かっているわけではないのですが、事業目標に向かってちゃんと前に動いているか、目標を達成する方向に動いているかというのを確認するための、重要なチェック評価の指標だと思うのです。
まず、こんなにたくさんあっていいのかなと直感的に思いまして、私としては、もっと重要な項目を絞り込んで、それに向かって紐づいているいろいろな細かい事業を、皆が重要な指標に向かって意識してやることで、力の集中点というか、そういうものを持ってやることで目標の達成に向かっていくっていう、その繋がりがあった方が良いと思いました。その意味で、目標に向かっていくといったときに、この当事者目線の条例の目的は何かということですが、共生社会を作るという意味で、この指標に案として入れてくださっているのだと思いますが、それはもちろんそうなのですけど、そこに行く前、一歩手前というか、それとともに、第一条の目的を見ますと、やっぱり虐待を減らす、なくす、差別を減らす、なくす、そして誰もが望む暮らしを実現する、その３つは目標として掲げるべきだと思います。それに繋がっていくための重要チェック指標を、もう少し絞り込んでいった方がいいのではないかと思うのですが、ただ、いろいろ大事なことがある中で絞り込むのも難しいのかもしれないのですが、例えば、意思決定支援の全県展開をしていくというようなことは、神奈川県としては絶対だと思うので、それをしながら誰もが望む暮らしを実現していくという方向に向かっていくということだと思うのです。意思決定支援の全県展開をじわりじわりと着実に進めていくというようなことを、重要なチェック項目、チェック指標にしてくというのがいいのではないかと思います。
なので、今のこの３層があるとすると、目標の次にたくさんあるＫＰＩの上に１個、本当に重要だというのがあったらいいのでなはいかと思いました。例えば相談支援でいえば、何人受講したとか終了したとかそういうことのもう１個上に、相談支援の中でどこで暮らしたいかみたいなことをちゃんと確認できたかどうかというのを、ちゃんと何年かに１回調査して、そういうのを指標にするとか。そういう、事業をやっていれば自動的に出てくる数字ではないものを取って、確認のチェック事項にしていくとか。せっかくまた新たにこの基本計画を作るわけですから、また新たに同じようなものが１個増えたというのではなくて、神奈川県独自の、必ず目指すものに向かって、ちゃんと計画を作ってそれが動いていくっていうチェックの仕組みを入れ込むためには、その重要なポイントを絞り込んで、今ここで決めるって結構大事なことかなと思います。

（佐藤委員）
確認ですが、在原委員の御趣旨は、一つは項目が多すぎるということ、重要な話はもうちょっと別のところであるのではないかと。例えば、障がい者の方の満足度みたいなものをどこかで計った方がいいのではないかという御提案と理解してよろしいですか。

（在原委員）
　そうですね。数値として外せないものは多いのだと思うのですが、もっと絞り込んだものもあっていいと思います。
当事者目線なので、満足度を測るのは難しいと分かりますが、当事者目線で何か確認するようなことも入れ込むことが大事だと思います。

（蒲原会長）
大事な御指摘だと思います。それでは眞保委員、よろしくお願いします。

（眞保委員）
　今の指標のことで、在原委員がおっしゃったように、項目が多いは多いのですけれども、これらの指標も見ていかなくてはならないと考えています。
同じように、これを絞る、重要な指標を新たに立ち上げるということに関しては、もしそうするのであれば今日だけの議論では難しいので、そこはしっかりと議論して、新たな指標を作れたら、なおよろしいかなと考えています。
まず２ページ目、Ａ101に書いてある文言について、「障害のある人が身近で普通に」と書いてありますが、「地域で暮らしている」という文言でよいと思います。
それから、Ｂ201から203のところ、このデータもよろしいと思いますが、ともに生きる社会を支える人づくりというふうに考えますと、こうした専門職だけではなくて、例えば社会福祉協議会等が把握しているボランティア、障がいに関わるボランティアの登録人数・活動人数、こうしたものも実際に地域住民の社会をともに支えていく人たちの動向ということで、あるとよいのではないかと思いました。
それからＢ301から307のところの、305のところ、施設入所者数の減少数ですと、当然高齢化ということがありますので、ただ自然減少ということの数字になると思うのです。ですので、この点については少し工夫が必要だと思います。
次に３ページのＢ505なのですが、似たような項目が６ページのＣ506として、就労定着支援事業による支援の利用時点から１年後の職場定着率というデータがあります。さらにＢ505の方で、これも定着支援事業のうち定着率が8割以上の事業所の割合があります。これは場所を変えて記載しているのはどういう意味なのかということと、定着支援事業、これから雇用率が上がってきますので、今後もっと増えてはくると思いますが、現状まだそれほど実績値がない中で、定着率８割以上というのを、期限を設定していませんがどうやって取るのかということ、それであればＣ506の支援利用時点から1年後の方がわかりやすくて、どちらかでよいのではないかということと、記載する場所をどちらにするのか、私はＣのところにあるよりはＢのところの方がいいのではないのかなと感じました。
４ページ、教育における取組みですけれども、特別支援学校の教員免許の保有率、大変重要だと考えております。加えて、義務教育課程の中で福祉教育はかなり実施されておりますので、その実施の状況を、教育委員会等を通じてデータを取られるといいかなと思いました。
５ページ、Ｃ101から103のところですが、すべての人の権利を守るしくみづくりも、権利擁護事業をやっておりますので、その権利擁護事業に関わるデータを取られるということも必要なのではないかなと思いました。
それからその下のＣ201から207ですけれども、ともに生きる社会を支える人づくりということで、労働局の方で、例えば民間企業の中で、精神・発達障害者しごとサポーターという地域でともにサポートをしてこうという人達を育成するため、研修を行っておりますので、このデータを得ていくというのも、ともに生きる社会を支える人づくりで働く場の方がちょっとないので、そうしたことも再考していただいてもいいのかなと思いました。
それから６ページ、６の雇用・就業のところですが、障害者就労相談センターもございますので、こちらでの何らかの実績値等をデータ化してもよいのではないか、指標化してもいいのではないかと思いました。

（蒲原会長）
　ありがとうございました。この３つの指標の考え方、整理のところと、あとは各項目でもう少し加えてほしいという話がありました。各項目の方はこれから検討されることになると思います。前段についてはそれを設定するための基本的な考え方ですので、皆さんの意見を聞いておくことが良いと思いますので、その辺を踏まえて事務局から今の状況を説明願います。

（事務局）
貴重な御意見どうもありがとうございました。これまでの成果目標を３段階に設定をし直したというところで、まだ半ばでございます。これをこの先、どうしっかりと紐づけていくかといったところの分析がまだまだできていない、整理しきれていないというのが現状でございます。
今いただいた御意見をもとに、絞り込みの作業ですとか、そもそもこの数字をどう考えていくのか、どう取っていくのかといったところも踏まえて、検討してまいりたいと思います。
特に、(2)ＫＰＩに関しては、もともと障がい福祉計画に入っている成果目標とされていたもので、厚生労働省が基本指針の中で計画に盛り込むべき目標として上げているもので、入れないといけないものもありますので、それで数が多くなっているというところがあります。
それがベースにあって、３段階に考え方を分けていますので、今日いただいた御意見を参考にしながら、もう少し整理ができれば良いかなと思っております。どうもありがとうございます。

（蒲原会長）
ぜひよく整理してください。最終的には、障がいのある人たちが地域で安心して自分らしく暮らすというのが最終目標だと思います。議論で出たように、本人側の何かがより上位にあると良いのかなと思います。それはここでいう指標なのかＫＰＩの中での優先順位なのかわかりませんけども、この辺りは出た意見を参考にしていただき、これから御検討されたら良いと思いました。

（事務局）
　皆様貴重な御意見ありがとうございます。我々まだ議論の最中でございまして、御指摘いただいたような、当事者側、利用者側のことがわかるような指標、満足度といったものも設けられないか、いろいろ議論をしております。やはり当事者目線障害福祉推進条例に基づく基本計画というからには、そうした当事者側の視点での指標が必要ではないかというところを課題として認識しております。本日も皆様からそうした視点での御指摘いただきましたので、改めまして、検討を進めていきたいと思います。
また地域生活移行を進めていく際には、その地域のネットワークづくりですとか、それを支える重度訪問介護、大変重要なものだと思っておりますので、そういったことＫＰＩとか、活動指標レベルなのか、そういったことで盛り込めるのか、そうした視点でも検討してまいります。ありがとうございます。

（蒲原会長）
　ありがとうございました。それでは河原委員、よろしくお願いします。

（河原委員）
参考資料２のスケジュールを見ますと、進行のところで基本骨子案の作成、そこに並行して基本計画、障がい者計画、障がい福祉計画、それが最終的に一本化するということになっておりますが、要は今議論しているポイントとしては、障がい者計画と障がい福祉計画プラスアルファ今回の条例に基づく計画の検討で、最終的に基本計画とするというふうな考え方でよいでしょうか。

（蒲原会長）
　大事なポイントです。認識を共有したいので、事務局お願いします。

（事務局）
　これまでの既存の計画として、障がい者計画と障がい福祉計画がございました。そして、今回新たに計画の策定が必要になる条例に基づく基本計画というのがございます。これをただ単に一緒にして考えていくというものではなくて、これらを包括して一体として作成をしていくという計画でございます。障がい福祉計画と障がい者計画を足した計画というよりは、３つをあわせ持った新たな計画というイメージでございます。

（河原委員）
　分かりました。前回の施策審議会の時に、６か年の計画という説明があったかと思います。私は海老名の計画策定にも関わっており、同じようなスケジュール感で進めておりますが、ここで若干混乱が起きています。資料３にある数字で出やすい目標値は障がい福祉計画で、数字に出にくい成果目標は障がい者計画だと思いますが、今回条例として先ほど先生からあった条例としての特徴として、どういったものを計画に盛り込むかというところの頭出しがよく見えないのです。
おそらくこの資料３でいう指標の部分で、県民ニーズ調査で新規項目予定と書いてあり、これが該当するのではないかなと思います。一体化するのですけども、障がい者計画と障がい福祉計画で盛り込まなければいけない部分、それは必ずなければいけないのですよね。その上で条例の特徴をどう出していくかというポイントがすごく重要だと思っているので、今日はなかなか議論ができないと感じておりますが、その辺りの進行も含めて御検討いただけたらと思いました。

（蒲原会長）
　ありがとうございました。条例の位置づけが単純に１本化ではなくて、どう特徴があるのかというのをよく整理されることが大事だと思います。整理されていくと、障がい福祉計画についていうと、厚労省からこれとこれとこれをちゃんと指標を入れようと言われているので、割と指標として積み上がってしまうのだけれども、他のところが薄くなりがちなので、でも条例としてはこういう考え方ということがあれば、全体的に整合性の取れた指標が入ってくるのかなというふうに思います。ぜひ、これからよく整理していただきたいと思います。
それでは小山委員、お願いします。

（小山委員）
ずっと私も自立支援協議会を20年近くやっていますが、研修ばかりが多くて、それが本当に私たちの生活にどれだけ影響が出るのかということが全然見えません。
例えば相談だったら、私たちもやりたいという人がいます。精神障がい者だとケアサポーター、知的障がい者だと同じような相談員みたいな感じです。でも、その研修がどこにあるか分からない。あと会社とか学校とか、一般のところで実際に障がい者のことを知らない人が多くいるので、不気味がられてしまう。そのため、学校とかそういったところに我々が行って、こういった障がいだからと説明ができる場、研修会を月１回でも、会社とか、例えば小学校、中学校、高校みたいな感じで、実際に我々が支援されているばかりではなくて、実際に出て行っていろんな場所で、公民館みたいなところとか、こういう障がい者が私たちの地域にいますよ、みたいな感じで紹介できる場があれば良いなと思いますし、私たちもそれには協力します。車椅子とか実際に見てみないと障がい者のことは分からないもので、実際に働いてみると頭の中では分かっていても実際見て驚くということがあるので、そういった場をもっと設けてほしいです。
また、そういったことを告知できることが必要で、パソコンを見ればいいのではなくて、例えばこういったところで、こういったものがありますよ、こういうものが受けられますよ、みたいな、そういったチラシを見てもらえれば良いと思います。働く場や学校など、いろいろなところに、「こういったのがありますので、どうですか、会社訪問してみませんか」と。
私達が今でも分からないと言われていることがあって、例えば私の場合、いつ倒れるのとか、いつ倒れたとかという、そんなにしょっちゅう倒れてないなと思うのだけど、やっぱりニュースとかそういったテレビでイメージが作られてしまう。だから、実際そういった場がもっと増えるといいなと私は思っています。せっかくこういった計画を作るのなら、地域で障がい者を理解してもらえるための場が欲しいです。

（蒲原会長）
　ありがとうございました。地域での理解を深めるために、障がい者、当事者が地域で役割を果たすという御意見かと思います。
とりわけ今日は、この目標設定の活動指標、ＫＰＩ、指標という中での全体の構造、あるいはこうした考え方でいいのかということが、事務局としても皆さんから意見が欲しいところだと思います。
それでは市川委員から手が挙がりました。市川委員、よろしくお願いします。

（市川委員）
　数やパーセントがよく計画で出てきますが、根拠となる数を考える時に、やった数とは逆に、事業所が断らざるをえなかった数というのも私はすごく気になります。なぜその事業所が断らざるをえなかったか、その理由というのはいろいろあると思います。スキルがない、場所がない等、その原因も一緒に考えていただけると、これから計画を作るときにどこに力を入れていくべきなのかというのが、断られた数から見えてくるのかなと思います。

（蒲原会長）
　ありがとうございました。それでは事務局から、今の辺りを踏まえて全体的に言葉をいただいた上で、次の議題の方に移っていこうと思います。何かお気づきの点がもしありましたら、事務局どうぞ。

（事務局）
　委員の皆様、御意見いただきましてありがとうございます。もともとの考えは計画の評価をどうわかりやすくしていくかというところで、県の総合計画の中でも、このような指標とＫＰＩと活動指標を評価で使っていますので、それを今度、障害福祉の計画でも活用させていただいて、整理できるのではないかということで、資料３を作成しております。
一方で、障がい福祉計画であったり、障がい者計画、国が示すものでどうしても盛り込まなければいけないような内容もあるため、数が多くなり、分かりづらい部分もあったりするかと思います。本日いただいたお話、特に指標の部分で、今どちらかというと県民ニーズ調査を使った客観的な指標にしておりますけれども、本人たちがどう思うかという、当事者目線と言っている以上は、御本人たちの目線で何かできないかという御意見もいただいておりますので、もう少し今日の御意見を踏まえて検討させていただいて、次は素案を作成していきますので、その中で入れ込めれば良いかなと思っております。また次回、議論いただければと思っております。ありがとうございます。

（蒲原会長）
　はい、事務局ありがとうございました。
それでは議題の２つについての議論は以上ということにさせていただきまして、続きまして、報告事項に移りたいと思います。報告事項は２つありますけども、この２つをまとめて報告いただきまして、質疑応答をお願いしたいと思います。
それでは事務局から二つの報告をよろしくお願いいたします。

（事務局）
　資料４，５，６，７に基づいて説明

（蒲原会長）
ありがとうございました。それではただいまの報告につきまして、御質問等ありましたら、各委員からよろしくお願いいたします。それでは榛澤委員、お願いいたします。

（榛澤委員）
この調査結果報告書と各プログラム、結構なボリュームでしたが読ませていただいて、本当に読むだけでもすごく大変だったので、作成するのは本当に大変だったと思うのですけども、いろいろ気づいたこともあったので、率直に言わせていただきます。
当然、綿密に調査して、取組み等をしっかり書いてあるのだと思いますが、改革プログラムについて、ページ数が43ページで、結構なボリュームです。読んでいて同じ表現とか、同じような表現が繰り返し何度も出てきて、必要以上にページ数が増えてしまったのではないかと私は感じました。
また内容も、具体的な部分もなくはないのですが、少し抽象的であったりスローガン的な言葉が並んでいて、この後何かアクションプランみたいなものを作られるとおっしゃっていたので、もちろん具体的なものというか、これを作ったら相当大変だったと思いますが、もっとコンパクトに、読んだ方というか、実際にこのプログラムに沿って、現場でそういう活動、支援、仕事されている方たちが活動しやすいようなものにすると良いだろうと僕は感じたので、それは率直な意見です。
それから、読んでいてすごく思い出した言葉があって、ユマニチュードというフランスで始まったケア方法、ご存知の方もいらっしゃると思いますが、これは主に認知症の方へのケア方法として有名なんですけども、障がい者支援においてもとても有効な方法だそうです。おそらくこの改革プログラムを作成された方々というのはご存知かもしれませんし、私もそんなに詳しいわけではないですけども、以前ＮＨＫか何かのテレビでやっていて、そのあとネットとかで、日本ユマニチュード学会とか、いろいろ情報を調べたりして、僕も精神障がい者の支援施設で働いていますが、すごく参考になる部分が多いなと感じました。実際に支援の現場で働いている方たちというのは、利用者さんをケアしようとしても、利用者さんがケアを拒否したりとか、あと攻撃的な言動をしたりもすることはあるのですが、それは利用者さんが恐怖とか不安を感じてそのような言動をとる方が多いそうです。
ただ、ケアする職員としても、そんな拒否されたり攻撃されて思い通りにならないとやはり相当なストレスで、当然職員も疲弊して、心がすり減って、それでイライラして虐待に繋がることがあるとも書いてありました。改革プログラムの中にも、被害に遭った利用者さんだけでなく、不適切な支援と追い詰められた職員さんも救わなければならないと書いてあり、本当に僕もそう思いました。決して虐待したことは正当化できないし、ちゃんとやった人に対しては罰というか、非難しなければいけませんが、そういうふうになってしまう状況という構造的なお話もあり、そういう面もあったのかなと思います。ケアを受ける側の利用者さんの恐怖とか不安を取り除いて、ケアを拒否したり攻撃的な言動を減らすためには、例えば支援で右手を挙げる場面があったときに、無言でやるのではなくて、右腕あげますよと優しく声掛けしたりとか、優しい表情でアイコンタクトしたりすると利用者さんが安心したり、気持ちが和らいだり、人間としての尊厳を守りながらケアしていると感じるそうです。
この改革プログラムにも、支援職員が利用者さんを人間として見られなくなっているというのは、核心のことだと思いますが、このユマニチュードというのは日本語で言うと、人間らしさを取り戻す、人間らしさという意味でして、まさに本当に利用者さんが、物ではなくて尊厳を持った人間として扱うことが大事だというふうに、大切さを謳っています。僕も施設利用者だったことがありますが、職員のケアをする際の気持ちとか姿勢が結構わかったりして、自分を邪険に扱ったり、そう感じるとケアに抵抗したり攻撃的になったりとか、そうすると職員もイライラして余計扱いが雑になって、悪循環に陥るようなことを感じました。改革プログラムの中にもユマニチュードっぽいことは書いてありましたが、利用者のケアする際の不安を軽減すること、アイコンタクトか何か具体的に書いてあると、そういうのを加えたらいいのかなと思いました。それが一番根本的なことだと思います。
改革プログラムの９ページ、説明もありましたけども、強度障害と判定された障がい者を３年間で行動障害を軽減して、地域に戻れるようにするという目標、支援でありますけども、もちろん虐待をなくすことももちろん重要ですが、それよりも、将来的にこういう施設に閉じ込められて、不自由な生活を強いられ、生きているというよりは生かされているような状態ではなく、やはり地域生活のサポートを充実させることで、もちろん家族が抱え込むとかいうことではなくて、在宅で暮らせるようにしてほしいです。どんな手厚い支援があったって、こういう施設で暮らしたい当事者はいないと僕は思います。もし本気で当事者目線ということを考えるのであれば、家に帰りたいという当事者もたくさんおりますので、そういう当事者からの心からの叫びとかお願いに沿って支援を進めてほしいと思います。ここが終の棲家とか、出られる時は死ぬときだみたいな、それは精神障がい者の精神科病院もそうなのですけど、そういうことにならないように、当事者目線というのであれば、当事者が一番望んでいるのはやはり地域で暮らすことだと思うので、そこが一番大事なことかなと僕は思いました。いろいろ感じたことを言わせていただきました。

（蒲原会長）
　当事者の側からの貴重な御意見、どうもありがとうございました。それでは市川委員、よろしくお願いします。

（市川委員）
　一つは中井やまゆり園だけではなくて、県内のいろいろな入所施設から地域に戻る、改革プログラムの25ページのところに、家族への支援が必要だと書いていただいていて、やはり家族への支援があることで本人が、うちの子も自閉症が重度ですけれども、小さい時に重い人ほど少人数で個別の生活が必要だということを言われていて、私の子供も今グループホームにいますけれど、そうではない方法をこれから模索していきたいなと考えているところです。以上、感想です。

（蒲原会長）
　家族の立場からの貴重な意見、どうもありがとうございました。では、佐藤委員は少しこの関係に携わっておられましたので、一言いただきたいと思います。

（佐藤委員）
プロジェクトチームの委員として参画しておりましたので、その立場でお話をいたします。
中井やまゆり園で何かおかしい話があるというのは聞いていて、その通りでてきたと思います。しかし全部が全部調査できているわけではありません。結局職員のインタビューができなかったりとか、いろんなものがあって20数件、調査できずに終わっております。しかしいつまでも調査できないのを持ったまま委員会を継続しても、時間の無駄ですし、できるだけ中井やまゆり園の改善を図っていただくということで、委員会としては一つの区切りをつけて、知事に報告書を提出させていただきました。
私が最初に中井やまゆり園に行ったのは、もう何年も前ですが、その当時に比べると今の中井やまゆり園の状況はかなり改善をされております。日中活動もそうですし、それから食事の提供についてもそうですし、いろんなところが改善されております。しかし、便所の扱いとか、いくつかの点でまだまだ改善が必要だなという点が残っております。
したがって、知事に報告をした時には、これは改革のスタートラインについたということであり、改善ができていると思ったらとんでもない間違いだと申し上げました。先ほど事務局の報告にもございましたけれども、強度行動障害というレッテルを張って、この人たちは駄目な人だという意識をもって職員が見ていると、どうしても支援が手抜きになります。その手抜きの支援が、ようやくそうではない支援に変わってきましたが、今いるアドバイザーたちが消えた時に、それがそのまま改善されていくかどうかということについては、また元に戻るのではないかと、私どもは大変不安を持っております。
一番我々が愕然としましたのは、ここ数年で死亡事案は４件であり、その検証は死亡の医療診断書が出ていて全部誤嚥性肺炎なのですが、なぜ誤嚥性肺炎になったかというアセスメントができていない。要するに食事の提供がまずいわけです。ずっと何年にも渡って変な食事の提供をしているからそういう事態になってしまう。支援がその人に向いた支援になっていなかったから、そういう事態が出てきているということが調査の結果、明らかになっております。
なので、まだまだ改善をしなければならない点がいっぱいあるということなのですが、報告書の方にも書かせていただきましたけども、強度行動障害の人を３年で強度行動障害でない人にして地域に戻すというようなことを謳っている施設は全国にいっぱいありますが、３年で戻せた施設は全くありません。それは無理なのです。なぜ無理かというと、地域の方が変わらないと、戻せないのです。そういう意味では、職員も利用者も、それから保護者の皆さんも、みんなが地域生活をしたいと思いながらも、やっぱりできないかなと思わされてしまう。こういう時代になっているということなのです。
そういう視点で見ると、実はこれは中井やまゆり園だけの話ではなくて、県立施設全体の問題であり、かつ、日本全国のこういう入所施設が抱えている構造的問題でもあります。中井やまゆり園を初めとした改革のスタートは、日本全国にも影響を与える。まさに神奈川県から声を上げるという話になっていくという思いで、この報告書を書かせていただきました。
先ほど榛澤委員が言われたように、ちょっとくどいというか、長いというのは私もそうだと思いますけども、こういう書き方しかできなかったので、その点はご容赦いただきたいと思います。

（蒲原会長）
　ありがとうございました。それでは山梨委員、お願いいたします。

（山梨委員）
中井やまゆり園の報告書の中で確認したいことが２点あります。
一つは、令和３年に発覚した時までは、職員の人事異動は基本的にはそこに長らく停滞することによる関係者との癒着の問題や恣意的な不法行為等、長いことによる弊害を防ぐためだと思います。同時にこういった事件・事案について、異動により発覚することも可能性として十分あったにもかかわらず、それが起きなかった。骨折により今回発覚して、調査に入っておりますが、それ以前にそういった人事上の職員の引き継ぎのコミュニケーションの中で、こういった問題があるのではないかという認識はなかったのかという意見についてはいかがでしょうか。

（佐藤委員）
　人事上としては３年か４年で、県職員ですので異動していきますが、現地にはそういう正職員、いわゆる県職員だけではなくて現場で任用された臨時職員といいますかね、そういう方がいらっしゃって、この方々は３年４年では異動しないです。長期間勤めていらっしゃる臨時職員の人と正職員の人が、我々外部の委員から見ると、コミュニケーションが取れない状態になっている。事務局はなかなか語りにくいと思いますけども、我々の委員としてはそういう印象を持っています。
臨時職員の人たちが見聞きした不祥事というものを管理職に伝えても、管理職や他の正職員の人達は一切反応しなかったとインタビューで聞いております。何を言っても無駄なのだという生の声を聞きました。
それが本当かどうかわかりませんが、そういうふうに臨時職員の人たちがおっしゃっているわけで、職場環境は、事件が発覚するまでは、大変悪かったと言ってよいと思います。大分改善されたと思いますが、それを今どうやって改善していくかということが課題になっているわけです。

（山梨委員）
わかりました。あともう１点なのですが、改善・改革は非常に大事なことなので良いことだと思いますし、課題の洗い出しもとても大事なことだと思いますが、一方で、こういった組織的といいますか、構造的な問題という線の評価が今回多いと思いますが、構造的な問題の中にも、構造的に良い面、参考にすべき面、継続すべき面、つまり中井やまゆり園のこれまでの取り組みについての評価というものでは、良い評価も必ずあったはずなのですね。
先ほど申し上げたように、その問題を進言することができないのであれば、問題を防ぐ方が中にはいらっしゃったのではないかと思います。そういう点についての指摘、先ほど榛澤委員から、職員がご苦労されているとおっしゃいましたけども、ご苦労がどれだけあったのかがよく分からない。確かに構造的な問題なので問題を改善したいのは分かりますが、もともと良い構造があったのではないかという点についてはいかがでしょうか。

（佐藤委員）
　施設が持っている一般的な問題ももちろんありますが、中井やまゆり園で特徴的なのはマネジメントが機能していなかったということです。管理職の人が現場を見ない。現場を見ると、先ほど申し上げましたように職員間の対立があったり、見てはいけないものが見えたりするので、なるべく現場を見ないという、そういう形で動いていたのは過去の中井やまゆり園だと思います。
ただ、中井やまゆり園はずっとそんな状態だったわけではなくて、一時その支援の質というものを考えるということで、一生懸命努力した時期も確かにあります。それがだんだん失われてきてこういう事態になったということで、なぜ失われてきたのかということの分析をしないといけないのですが、そこの分析がまだ足りないと思っております。一番大きいのは管理職の問題ですね。職場の中で、管理職がきちっと現場を把握して、状態について指示を与えるということを断ってきたという時期が何年か続いたという、こういう問題が発生してからは、その管理職の方々も随分変わって、いろいろ積極的に関与されるようになってきてはいますが、今人事異動がありまして管理職の方も変わりましたけれども、かつて良かったのだけれども、長年に渡ってだんだん落ちていったという、そういう施設なのだろうなと思っています。

（山梨委員）
　わかりました。確かに県の職員からすると課題という意識があるので、課題解決という視点がどうしてもあるかと思いますが、加害・被害というその対立した構造の改革ではなくて、あくまで当事者目線、それは働く側の当事者もあると思いますし、同時にともに生きるというのは、こういう障害がある方もない方もじゃないですか。ない方に対しても、こういう職場を良くしていこうという、もしくはない方もこうして頑張ってきたというものを書いた上で、こういった努力をしようというアクションプランがぜひまとまるといいなと思います。
すべてが課題なのだという被害者意識をどうしても公務員は持ちがちなので、そうではなく正しかったこと、そして間違ったことを冷静に分析したものすべてが書けるべきだと思います。ぜひ、障害のある方もない方もともに当事者意識を持てるような、障がいのある方だって十分御理解できる方がたくさんいらっしゃいますから、こういうふうに施設を過ごしましょうということを厳しく書いたっていいと思います。お互いという目線をぜひ入れてもらえたらいいなと思いました。アクションプラン、楽しみにしています。

（佐藤委員）
　知事に報告書を提出した時に記者会見で、施設の存廃も含めて、今後県として検討してほしいと、報告書に書いていないことを申し上げました。我々委員会の委員の認識としては、職員も被害者だと思っています。保護者も被害者で、保護者も困っている。職員も困っている。利用者が一番の被害者ですが、それを改革するためには地域を変えないとどうしようもない。そういう認識で報告書を出させていただいております。

（山梨委員）
　その被害・加害という考え方自体がどうなのかという視点も、多様性を、すべてを認めた上でというのもあっていいのではないかと思います。

（佐藤委員）
おっしゃることはよくわかります。その通りだと思います。

（蒲原会長）　
ありがとうございます。それぞれ大変だった点や改善すべき点もありますし、だけど一方で一生懸命やってきた仕事もある、その両方を見ながら、きちっとこれから対応するということではないかと思います。
それでは皆さんよろしいでしょうか。本日の議題、報告事項について、特に他になければ、本日の審議は終わりとしたいと思います。皆さん、大変長い間ありがとうございました。事務局にお返しします。

（事務局）
　蒲原会長、ありがとうございました。本日は限られた時間の中で、委員の皆様から数多くの貴重な御意見をいただきまして、心より感謝申し上げます。なお、次回の神奈川県障害者施策審議会は７月末頃を予定しておりますので、日程につきまして改めて調整をさせていただきます。これをもちまして、第37回神奈川県障害者施策審議会を終了いたします。本日は誠にありがとうございました。