資料4 2 県立中井やまゆり園における改革プログラム等について   令和5年5月12日に、「県立中井やまゆり園における利用者支援外部調査委員会で調査継続となった事案の調査結果報告書」(以下「調査結果報告書」という。)及び「県立中井やまゆり園当事者目線の支援改革プログラム」(以下「改革プログラム」という。)を公表したので報告する。 (1) 経緯・経過 【令和3年9月】 ・ 県立中井やまゆり園当事者目線の支援改革プロジェクトチーム(以下「支援改革プロジェクトチーム」という。)を設置。 ・ 支援改革プロジェクトチームは、身体拘束事案に係る支援内容の確認などを行うとともに、令和元年7月に発生した骨折事案の県による再調査への助言を実施。 【令和4年3月】 ・ 県は、骨折事案の再調査を行う中で「事実であれば不適切な支援と思われる情報」を複数把握し、これらの情報を調査するため、支援改革プロジェクトチームのメンバーを構成員とする県立中井やまゆり園における利用者支援外部調査委員会(以下「外部調査委員会」という。)を設置。 【令和4年9月】 ・ 「事実であれば不適切な支援と思われる情報」91事案について、外部調査委員会による調査結果を公表。 ・ 外部調査委員会は、事実が判然としない24事案について、県本庁と園で調査を継続すること、また、支援改革プロジェクトチームで虐待が発生した背景の分析等を行い、改革プログラムを作成することについて提言。 ・ 支援改革プロジェクトチームで、県本庁と園が実施する調査への助言を行うとともに、改革プログラムを検討。 【令和5年5月】 ・ 県本庁と園が作成した「調査結果報告書」と、支援改革プロジェクトチームが作成した「改革プログラム」を公表。 ? (2) 調査結果報告書の概要 外部調査委員会の調査結果 ※令和4年9月公表 虐待が疑われる 25件 不適切な支援等であり、速やかに支援方法等を見直すべき 12件 事実の特定が困難 17件 事実が判然としていない 24件 事実ではなかった 8件 過去、通報・公表済等 5件 県本庁と園の 調査結果 ※令和5年5月公表 事実の特定が困難 18件 過去、通報・公表済等 2件 死亡事案における利用者支援を検証し 課題等を抽出 4件 (3) 虐待が疑われる事案(25件)の認定結果    外部調査委員会から虐待の疑いがあるとされ、関係自治体に虐待通報した25事案の虐待認定等の結果は次のとおりである。   ・ 虐待と認定された事案 9件   ・ 虐待とは認定されないが不適切な支援と判断された事案 8件   ・ 通報内容の事実が確認できなかった事案 8件   ※ 各事案の詳細は参考1を参照 (4) 改革プログラムの概要   ア 不適切な支援が行われてきた背景の分析結果    ・ 施設運営の指針となるべき理念がなく、人材育成に関するビジョンもなかった。    ・ 地域に戻れるようにすることを想定していたが、地域生活移行は進まず、支援が難しい利用者が特定の寮に滞留した。    ・ 問題行動の減少のみを目的とした手順書に沿って、機械的な支援が行われていた。    ・ 利用者の身体機能の低下が職員によって見過ごされ、入所前よりも状態が重度化した。    ・ こうした背景が、「人権意識の欠如」「利用者を人間として見られなくなった」と指摘を受けるような状態に陥らせた可能性がある。   イ 支援改革プロジェクトチームからの主な提言    (ア) 当事者目線の障がい福祉を実現するための理念     ・ 利用者が主体となるよう、一人ひとりの人生を支援する。     ・ 障がい者が街の中で当たり前に暮らせる社会を目指す。    (イ) 園での取組            a 施設の見直し      ○ 定員規模の見直し       ・ 定員60名・1ユニット10名程度の規模を目指すべき。      〇 寮体制や職員体制の見直し       ・ 強度行動障害専用棟(泉寮)の見直しや利用者の暮らしを中心とした勤務割振りへの見直しを進めるべき。     b 当事者目線の支援      ○ 園運営の方針       ・ 利用者一人ひとりの人生や想いを、分かち合い共感する。       ・ 地域で多くの人とのつながりを大切にしながら、利用者一人ひとりの人生を豊かなものにする。       ・ 県本庁も園と一体となって、利用者一人ひとりの理解を深め、利用者の地域での生活を念頭において、必要な環境整備に取り組み、利用者の地域での暮らしを豊かなものにする。      ○ 当事者目線の支援の実践       ・ 利用者と関わることで人生や想いに共感する。       ・ 利用者の暮らしを作る。       ・ 当事者目線で運営するマネジメント。      ○ 県本庁と園が一体となって行う取組       ・ 利用者を支える地域のネットワークづくり。       ・ 当事者目線の支援を実践できる人材の育成。       ・ 利用者の暮らしをつくり、権利を守る。    (ウ) 地域の取組に対する県の支援       理念に基づき、当事者目線の支援を実践するための地域での取組を行うべきである。     a 地域生活移行の受皿の整備      ・ 利用者一人ひとり、地域での暮らしをチームで考える場を設置する。     b 地域生活移行の支援の強化      ・ 地域生活移行に取り組む民間事業者や民間人材を育成する。      ・ 施設入所中であっても重度訪問介護が活用できる支援策を検討する。    (エ) 進捗状況の確認      このプログラムが確実に実施されているか、定期的に第三者が進捗状況を確認すべき。   ウ 今後の対応     改革プログラムにおける提言を受け、県本庁と園は、7月中に改革プログラムの実施に向けたアクションプランを作成する。 ? (参考1)虐待認定等の詳細  1 虐待と認定された事案(9件) @ 職員が利用者の両腕を後ろでクロスさせ、腕を押さえながら歩かせていたとされる事案(身体的虐待) A 居室の天井が便まみれとなっている環境で生活をさせていた事案(ネグレクト) B 顔を平手打ちし、こぶしで額を殴ったとされる事案(身体的虐待) C 脱衣場で服を脱がない利用者をふろ場に入れて、服を着たままシャワーをかけたとされる事案(心理的虐待) D 服薬用のコップの水等に、塩や砂糖が混ぜられていたとされる事案(身体的虐待、ネグレクト、心理的虐待) E 肛門内にナットが入っていた事案(ネグレクト) F 数百回に及ぶ回数のスクワット等の不適切な運動プログラムをさせたとされる事案(心理的虐待) G 利用者にコーヒーの提供を交換条件として、課題遂行をさせていたとされる事案(心理的虐待) H 職員が殴打した、又は興奮した利用者を居室施錠したまま放っておいたことで、顔が腫れ上がったとされる事案(ネグレクト)  2 不適切な支援と判断された事案(8件) @ 早く食え、早くしろと利用者の隣で言い続ける等したとされる事案 A 共用スペースであるデイルームで、利用者を全裸にしてボディチェックを行っていたとされる事案 B 利用者の足を蹴ったとされる事案 C 利用者が落とした食器を拾えと職員が大声を上げたとされる事案 D 利用者が起きてから寝るまで、廊下を歩かせ続けたとされる事案 E 4名の利用者に対し、食事の際に多量のオリゴ糖シロップをかけて食べさせていたとされる事案 F 利用者の頭に剃り込みをいれていることを職員が問題視していないとされる事案 G 複数の利用者に対して、顔をタオルで薄皮が剥けるほど洗っていたとされる事案  3 通報内容の事実が確認できなかった事案(8件) @ 背中に不自然なあざがあったにも関わらず、園は調査をしなかったのではないかとされる事案 A 職員が利用者を手のひらで小突いたとされる事案 B 利用者に洗濯カートをぶつけたとされる事案 C 水の入ったバケツを持って「お水をかけるよ。」と言って、トイレから出てもらったとされる事案 D 食事中に利用者を突き飛ばして蹴りを入れようとしたとされる事案 E 失禁で汚すという理由で利用者に寝具を提供しないとされる事案 F 職員が怒り、殴ったことで利用者が頭を打ち、失神したとされる事案 G 水やみそ汁を多量に飲ませていたとされる事案 (参考2)支援改革プロジェクトチームの構成員と開催状況  1 構成員一覧                   (50音順、敬称略) 氏名 所  属 区分 大川 貴志 社会福祉法人同愛会 てらん広場統括所長 施設関係 小川  陽 特定非営利活動法人かながわ障がいケアマネジメント従事者ネットワーク 理事 意思決定支援 小西  勉 ピープルファースト横浜 会長 当事者関係 佐藤 彰一 國學院大学 法学部 教授   学識関係 隅田 真弘 足柄上地区委託相談支援事業所相談支援センター りあん ピアサポーターフレンズ 当事者関係 野崎 秀次 汐見台病院 小児科、児童精神科、 精神保健指定医 医師  医療関係 渡部 匡隆 国立大学法人横浜国立大学大学院 教育学研究科 教授  学識関係 県 福祉子どもみらい局総務室長、福祉部長、障害サービス課長、県立障害者施設指導担当課長、中井やまゆり園長、支援改善アドバイザーほか  2 開催状況 〔第1回〕開催日 令和3年10月26日(火) 議 題 ・ 園の現状と課題について ・ 今後の進め方について 〔第2回〕開催日 令和3年11月30日(火) 議 題 ・ 改革プログラムについて ・ 再調査報告について 〔第3回〕開催日 令和3年12月28日(火) 議 題 ・ 改革プログラム中間論点整理について ・ 再調査の状況について  〔第4回〕開催日 令和4年2月15日(火) 議 題 ・ 改革プログラム最終報告の方向性について ・ 再調査の結果について 〔第5回〕開催日 令和4年2月24日(木) 議 題 ・ 改革プログラムの報告について ・ 再調査の結果について ? <支援改革プロジェクトチームの休止と再開>     ・ 支援改革プロジェクトチームメンバーを構成員とする外部調査委員会の設置により、支援改革プロジェクトチームを休止     ・ 令和4年3月から9月にかけて外部調査委員会を8回開催     ・ 同年9月5日に調査結果報告書を公表後、支援改革プロジェクトチームを再開 〔第6回〕開催日 令和4年11月8日(火) 議 題 ・ 支援改革プロジェクトチームの進め方 ・ 園の支援改善状況 ・ 不適切な事案が発生した背景・仮説 ・ 調査継続事案の調査状況の報告 〔第7回〕開催日 令和5年1月11日(水) 議 題 ・ 調査継続事案の調査状況の報告 ・ 園の支援改善状況 ・ 改革プログラムの作成に向けて 〔第8回〕開催日 令和5年2月15日(水) 議 題 ・ 調査継続事案の調査状況の報告 ・ 支援改善アドバイザーによる取組 ・ 改革プログラムに向けた振返り ・ 改革プログラムの論点整理 〔第9回〕開催日 令和5年3月15日(水) 議 題 ・ 調査結果報告書(たたき台) ・ 改革プログラム(素案) 〔第10回〕開催日 令和5年4月18日(火) 議 題 ・ 調査結果報告書・改革プログラム(素案) 〔第11回〕開催日 令和5年5月9日(火) 議 題 ・ 調査結果報告書・改革プログラム(案)