マスメディア露出数の推移から見る「テレワーク」~「自宅」から「サテライトオフィス」への広がり~

掲載日:2020年2月18日

 「あなた、在宅勤務はあまりしなくていいわよ。」
 テレワークの制度が導入され、自宅で仕事をしている男性社員が、妻からこう言われました。毎日の満員電車から解放され、朝もゆっくりできて、妻からも喜ばれる・・・と思っていたので、びっくりです。子育ても一段落し、平日は自分の時間を過ごす妻にとっては、「ダンナ元気で留守がいい」ということなのでしょうか(笑)。実際、他にも、「小学生の子どもが帰ってくると、落ち着いて仕事に集中できない」、「自宅の椅子とノートパソコンだと、長時間の仕事はつらい」等の意見も少なくありません。子育て中の方や、親の介護など、自宅で仕事ができると助かる人はたくさんいますが、通勤時間や移動時間の短縮が目的の人にとっては、必ずしも「在宅勤務」がベストの働き場所ではないのかもしれません。

 

 テレワークとは、「ICT(情報通信技術)を活用して、時間や場所を有効活用する柔軟な働き方」と定義されています。つまり、「在宅勤務」は、テレワークのひとつの形に過ぎません。テレワークは、子育て等の事情のある人はもちろん、それ以外の人にも、また、企業にとっても、さまざまなメリットがある働き方なのです。

図1 テレワークのメリット(企業・働く人)
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 ところが、以前は「テレワーク」は、福利厚生的な制度と考えられ、企業が導入する場合、多くが「育児・介護中の社員が在宅勤務」という制度設計でした。以下のグラフを御覧ください。「在宅勤務」というワードが、新聞・雑誌・ニュースで取り上げられた数の推移を示したものです(※注)。グラフには、2011年と、2017年に高い「山」があります。

(※注)日経テレコンで、キーワードを検索した結果を集計
検索実施日:2019年12月31日 検索対象期間:2018年01月01日~2019年12月31日
検索対象媒体 新聞、雑誌、ニュース

 
図2 「在宅勤務」という言葉のマスメディア露出数の推移
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 2011年は、東日本大震災が発生した年です。神奈川県では約67万人、首都圏全体で約500万人が帰宅困難となりました。また企業も、災害時のBCP(事業継続計画)の重要性を痛感しました。災害時には社員が無理せず、仕事をして、業務を継続するという意味で、テレワーク、特に「在宅勤務」が注目されたと言えるでしょう。

 

 その後、いったんは減るものの、2015年の女性活躍推進法の施行も後押しし、露出数は順調に上って行きました。2017年は「働き方改革実行計画」が決定し、国が大きく「働き方改革」に動きました。毎日朝、会社に通勤し、夜遅くまで仕事をするという従来の働き方に対し疑問を持つ人が増え、「柔軟な働き方」を求める声も高くなりました。

 

 ところが2017年を境に、「在宅勤務」という言葉の露出数が減っています。これだけ見ると、縮小方向のように見えますね。ここで「テレワーク」という言葉の露出数のグラフを重ねてみましょう。

 
図3 「テレワーク」という言葉のマスメディア露出数の推移
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 「在宅勤務」という言葉は、「テレワーク」を上回っていたのですが、2016年にほぼ同数になり、2017年には、「テレワーク」が大きく引き離しました。これは、2017年から、東京オリンピック・パラリンピックに向け、「テレワーク・デイ」が策定され、国と企業が一丸となって、推進活動を実施してきたのもひとつの要因です。「テレワーク」が福利厚生ではなく、企業戦略として認知され、広がりを見せた、ターニングポイントとも言えるでしょう。

 

 子育てや親の介護など、事情のある人の在宅勤務はもちろん、営業や出張の効率化、通勤負荷の軽減、災害時のBCP(事業継続計画)などを目的に、社員全員がテレワーク可能な企業も増え始めました。当初は、在宅勤務制度のみだった企業が、対象者やテレワーク可能な場所を拡大するケースも少なくありません。

 

 そんな中、「会社」や「自宅」以外で、テレワークができる場所、つまり、「サテライトオフィス」が求められるようになりました。「サテライトオフィス」の定義はいろいろありますが、筆者は「本来働くべき場所から離れた場所にある、企業が認める仕事スペース」と考えています。つまり、サテライトオフィスでする仕事は、基本テレワークという働き方になります。
 「サテライトオフィス」という言葉は1980年代から使われていましたが、テレワークが普及する中、新しい「働く場所」として、ニーズが高まっています。それはその企業専用である必要はありません。共同利用のコワーキングスペースも、賃貸のシェアオフィスも、企業にとってはサテライトオフィスになります。また、最近は、都市部だけでなく、郊外にも「サテライトオフィス」が増えてきています。自宅の近くにサテライトオフィスがあると、冒頭の「自宅で仕事がしにくい」人にも、メリットがありますね。
 さらに、地方にもサテライトオフィスが設置され、地方活性化の視点からも期待されています。

 

(執筆:株式会社テレワークマネジメント 代表取締役 田澤 由利 氏)

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