人材確保に向けた働き方改革の推進(第2回)

掲載日:2020年2月18日

働き方改革が求める多様な人材の育成

働き方改革が高める多様な人材の就業可能性

 長時間労働の抑制などを中心とする働き方改革は、育児や介護といった仕事以外のことにも時間を必要とする従業員の就業継続と働きやすさを高めている。例えば、短時間勤務制度を利用して定時より1時間早く退社する、もしくはフルタイム勤務だが保育園のお迎えがあるので残業ができないといった従業員の働きやすさは職場全体の労働時間によって大きく異なる。
 管理職も含め、多くの同僚がいつも長時間にわたり残業をすることが当たり前の職場では、短時間勤務制度利用者や残業ができない従業員は、非常に肩身の狭い思いをし、働きにくさを感じる。一方で、ほとんど残業がない職場では、皆が定時に帰ることから残業ができない従業員が目立つことなく、短時間勤務制度利用者も働きやすい。このように働き方改革は多様な人材の就業可能性と働きやすさを高める。

働き方改革が求める人材育成

 しかしながら、働きやすさが高まることはとても重要だが、働きやすさが高まることだけでは職場としては不十分である。大事なことは限られた時間の中でも、必要な成果を上げ続けることである。そのためには、短時間勤務制度の利用等により、たとえ労働時間が限られた従業員でも仕事で成果を上げ、できることを増やすべく能力を向上させ、必要に応じて昇進昇格を果たしていくことができる道筋を作ることが求められる。働き方改革が企業経営という観点にとって意味あるものとなるためには、力のある従業員を確保する、すなわち人材育成が不可欠だ。ここが働き方改革の難しい点である。

「限られた時間の中での育成」という難しさ

 「労働時間を短くしながら、人材育成もしていく」ことは非常に難しい。何故ならば、人材育成は基本的に時間がかかるからである。例えば、管理職が部下に対して、部下の足りない点を指摘しようとすると、管理職には丁寧に話す時間、部下の話を聞く時間、指摘した後のフォローの時間が必要になる。しかし労働時間が限られてくると、その時間を割くよりは、より成果に直結する仕事をしようという意識、すなわち人材育成よりも目の前の仕事の方が優先度が高いといった意識が働きがちになる。

「多様な部下の育成」という難しさ

 働き方改革がもたらす人材育成の難しさはもう1つある。それは従業員側の価値観が多様化することである。例えば、両立支援策の浸透や働き方改革の推進は、育児や介護をしながら働く従業員を増やしてきた。このことは、企業や管理職にとっては、これまで自社にはいなかった、もしくは少数だったタイプの従業員の増加を意味する。
 自分とは異なるタイプの部下に対して、管理職は戸惑いや、時にはいら立ちを感じることがあるだろう。そういった感情は、「あいつはダメだ」「あいつはやる気がない」といった判断につながり、その判断は部下の成長を抑え込むことにつながる。働き方改革が進んだ会社では、管理職には多様な価値観の部下を育てることが求められる。

限られた時間で多様な人材を育てることを通じて成果を上げる職場に

 働き方改革が進む企業では、今後どのように人材育成を進めていけばよいのだろうか。ここでは管理職を通じた人材育成について2点指摘したい。まず、労働時間が限られる中で、管理職の部下育成に対する意識が薄くならないようすること、また限られた時間の中で従業員をどう育成していくかについて、現場に任せきることなく会社として考えていくことが、働き方改革の両輪として必要になる。管理職が人材育成の中核となるならば、管理職の仕事の見直しも検討すべきである。
 また、管理職には、部下それぞれについて「この人をどう伸ばすか」「どう力を引き出すか」を考える視点が求められる。そのためには、自分とは異なるタイプの部下とも話をし、自分の中の思い込みを減らしていくことと同時に、上司としてその部下にどうあって欲しいのかを伝えることが大事になる。多様な部下を育成する際には、相手を理解するだけでなく、自分の考えを伝えることも重要になる。

(執筆:法政大学キャリアデザイン学部 教授 坂爪 洋美 氏)

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