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更新日:2018年7月24日

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3つのCH=変化(change)に挑戦(challenge)することは好機(chance)

キーワードは、支援と貢献

 日本企業は、経営判断は長期的視点に立脚していたとしても、職場におけるマネジメントは短期的視点に終始している。例えば、大企業の管理職はせいぜい2年から3年のポジションで異動し、ローテーションを繰り返す。任期中にいかに数字を挙げるかを競い合っているため、配下に子育て中の社員が紛れ込むのは迷惑だと考える管理職は、少なからずいる。

 日本では過去20年間、妊娠・出産・育児を機に働く女性の6割が辞めざるをえない状況が続いている。その一因に、管理職の不適切な言動がある。

 2013年5月に日本労働組合総連合会の調査が公表されてから、「マタニティ・ハラスメント(マタハラ)」という言葉が広く世に知られるようになった。マタハラとは、妊娠した女性社員に対して、「妊娠・出産は業務上支障をきたす」として退職を促すなどの、嫌がらせ行為を指す。さらに、男性社員とはこうあるべきという先入観により、上司が男性部下の育休取得を妨げる「パタニティ(父性)・ハラスメント」も水面下では進んでいる。いずれも近視眼的な態度であり、到底、社員のワークもライフも「俯瞰」している企業だとは言えない。

 これからは日本企業も、社員のワークとライフの双方を「俯瞰」する姿勢が大切だ。俯瞰する際は、「支援と貢献」というキーワードを軸に考えるとよいだろう。

 企業は、社員のライフ面を俯瞰し、折々のニーズとリスクを「支援」する。同時にワーク面を俯瞰し、行き過ぎた「配慮」を避けることも大切だ。上司の部下への「配慮」は必要だが、「遠慮」になってはいけない。優しさの履き違えは制約社員を甘やかすだけだ。多くの先進企業で権利主張型社員が増えたのは、WLBやD&Iの本質を理解させずに進めたからだ。

 そして社員は、自分のワーク面を俯瞰し、会社に「貢献」する。この正の連鎖を起こさなければ、WLBやD&Iに取り組む意味がない。

「葛藤」を恐れない

 最後に、JFKのK=「葛藤」。これを恐れてはいけない。

 例えば、それまで女性がいなかった部署に、試しに少人数の女性を配置して、たまたまうまくいかないと「それ見たことか」とすぐにあきらめてしまう。そのように日本企業の多くが、葛藤が生じるのを避けている。しかし、これではWLBやD&Iに取り組んでも、成果は上がらない。

 いつも同じ顔ぶれの、似たような価値観の集まりから、世界をアッといわせるような発想が生まれるだろうか。成果を上げている企業は、組織に波風を立て続ける面倒な側面になるのを覚悟の上で、葛藤を継続させている。女性活躍の次は、性的マイノリティ(LGBT=レズビアン、ゲイ、バイセクシャル、トランスジェンダー)が活躍できる職場作りというように、絶えず新たに葛藤を生むようなテーマを設定している。

 個人も同じだ。私は生まれつき発達障害ということもあり、いつも「自分の居場所はここにはない」という、いわば“異邦人”の感覚がつきまとっていた。社会人になってからはなおさらで、長時間労働は美徳という職場風土にまったく馴染めず、長いものには巻かれろという同質化圧力の強い職場には、嫌悪感さえ覚えてきた。

 人は、アウェーな環境に置かれると、どうしたらこの局面を切り抜けられるだろうかと悩み、葛藤し、持てる力をすべて出そうとする。私は、アウェーな環境に身を置き、常に居心地の悪さを感じていたからこそ、能力発揮できたという面もあると考えている。逆に、職場風土に染まって、ぬるま湯に浸かっているような感覚でいたら、その快適さに眠りこけてしまったかもしれない。

 したがって、WLBやD&Iから遠い職場ほど葛藤が生じやすいことから、むしろチャンスだといえる。闘うことをあきらめたり、自己嫌悪に浸るのは尚早だ。アイデンティティがぐらぐら揺れるくらいの葛藤からしか、イノベーションは生まれない。

 最近では、人口減少が急速に進む地方においては、地方創生の戦略のひとつとして、「ダイバーシティ」の推進が挙げられている。そのためには、自律型人材が動き、中長期的な俯瞰した視点で、葛藤を恐れずに、変化を起こしていくべきだ。これを、私は3つのCH=変化(change)に挑戦(challenge)することは好機(chance)と呼んでいる。

(執筆:渥美 由喜氏)

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