産業人材育成フォーラム「進めよう障がい者雇用!~障がい者が生き生きと働く職場を目指して~」【終了しました】

掲載日:2019年10月23日

趣旨

県内企業の障がい者雇用の理解促進のため、企業経営者や人事担当者の方々等を対象に、障がい者の雇用事例の紹介などを行うフォーラムを開催しました。

今年度は障がい者が企業で自分の能力をしっかりと発揮し、生き生きと働くことができる就労環境の整備に向けた取組など、「障がい者が働きやすい職場づくり」をテーマとして開催しました。

日時

令和元年(2019年)9月4日(水曜日) 13時から16時30分まで (開場12時)

会場

場所 はまぎんホール ヴィアマーレ(横浜市西区みなとみらい3-1-1)

交通 JR・横浜市営地下鉄線 桜木町駅下車 動く歩道利用5分

みなとみらい線 みなとみらい駅下車 徒歩7分

内容

「ともに生きる社会かながわ」の実現に向けた取組の紹介

  •  神奈川県

知事あいさつ

障害者雇用優良事業所等表彰式

基調講演

慶應義塾大学商学部教授 中島隆信氏

【画像】基調講演

企業の本業において障がい者を戦力にする雇用への転換に向けて、必要な制度設計と、障がい者を受け入れる社会に求められる意識の変革について、経済学の視点からご講演いただきました。

  • 障がい者の就労が経済学の観点から合理性を持つには条件がある。それは障がい者が就労することによって生み出す付加価値(障がい者に支払われる給与)が障がい者の就労に必要な配慮のコストを上回ることである。
  • 障がい者の生み出す付加価値が障がい者に対する配慮のコストを上回らなければ、事業が持続しない。すなわち、社会全体で配慮のコストを下げる努力をしなくてはならず、障がい者の給与を上げる努力をすると同時に配慮のコストを下げる工夫をする必要がある。
  • 配慮のコストを下げるため、行政がすべきこととして、「みなし雇用制度」の導入が考えられる。企業が社内にあるいくつかの業務を、就労継続支援A型事業所(※)などに一定額以上の発注をした場合には、発注した企業の雇用率と「みなす」という仕組を行政が整備すれば、直接雇用が難しい中小企業でも、障がい者雇用に取り組むことができる。
  • また、「みなし雇用制度」においては、障がい者を直接雇用した場合に生じる、突然の退職や体調を崩し出勤できなくなるといったリスクの一部を福祉側が負うため、企業側の配慮のコストを減じることが可能になり、結果的に障がい者雇用は促進される。
  • 次に、障がい者雇用について企業がすべきことは、本業における障がい者の就労機会の確保である。現在、大企業は親会社が東京で本社機能のみを担い、本業となる仕事は事業現場である子会社が行うケースが多い。さらに、親会社は単純な事務作業を一手に担う特例子会社を設立し、グループ全体の障がい者雇用を特例子会社に肩代わりさせている。なぜかというと、子会社の事業現場には障がい者が担う仕事がないため、特例子会社に障がい者雇用を全て任せているのである。
  • しかし、親会社から発注できる単純事務作業には限りがある。法定雇用率は2020年度末までに2.3%となり、今後も引き上げが予想されるが、特例子会社に単純事務作業を発注し、障がい者雇用をするシステムは限界にきている。
  • したがって、これからは、事業現場に本業の仕事が多くある子会社で、いかにして障がい者を雇うかを考える必要がある。
  • また、企業にはテレワークを活かした地方人材の活用も求めたい。地方にも働く能力と意欲が十分ありながら、雇用機会が少ないため働けない障がい者が数多く存在する。そこでテレワークを活用し、データ入力等の仕事を地方の人材が担う仕組を考えてほしい。
  • 最後に、障がい者雇用を進めていく際に社会に求められることを話したい。それは、「障がいの社会モデル」を理解することである。「障がいの社会モデル」とは、障がいがあっても社会がそれを問題視していなければ障がいとはいえず、障がい者にもならないということ。つまり、障がいの原因は障がい者の心身の機能不全ではなく、社会の見方にあるという考え方である。
  • 「障がいの社会モデル」の考え方を浸透させ、社会全体が障がい者の心身の機能不全を障がいにしないよう、様々な工夫をすることで、障がい者というカテゴリー自体が意味のないものとなり、障がい者とともに働く私たちにとってベストな働き方を実現できる。
  • 今、障がい者を生み出しているのは私たち自身である。障がい者の心身の機能不全を社会の側が受容できるか、生活上の困難さを取り除けるかが重要である。

※就労継続支援A型事業所

通常の事業所に雇用されることが困難であり、雇用契約に基づく就労が可能である者に対して、雇用契約の締結等による就労の機会の提供及び生産活動の機会の提供その他の就労に必要な知識及び能力の向上のために必要な訓練等の支援を行う事業所

雇用事例発表

東急リバブル株式会社経営管理本部人材開発部長 野中絵理子氏

【画像】東急リバブル雇用事例発表

東急リバブル株式会社の取組をお話いただきました。

  • 企業における精神障がい者の就職1年後の定着率は49.3%だが、当社の1年後定着率は100%である。
  • その後退職した者についても、障がいの悪化や働きにくさで退職した者はほぼおらず、正社員としての就職や資格取得を目指す等の前向きな理由での退職となっている。
  • 当社では、現在3つの障がい者チームがありそれぞれに活躍しているが、その中でも2014年から採用を開始したチャレンジスタッフチームが障がい者雇用転換のキーポイントとなった。
  • チャレンジスタッフチームは、精神の障がい者で構成され、主に社内の事務作業を担っている。当初は、精神障がい者の雇用のノウハウがなかったため専門家である支援機関の力を借りて準備と採用を始めた。
  • 当初から変わらない採用のポイントとして、「本人の障がい認識」「配慮・サポート事項の発信」「ご家族の障がい受容とサポート」、そして「仕事への意欲」が重要と考えている。
  • チーム発足当初は、社内から反復的なルーティーン業務を切出し、郵便の配布、全国から集まる社員の経理伝票のチェックなど4つのコア業務を担当してもらった。
  • また、業務指示等彼らとのやり取りを専任の担当者に一本化し、口頭だけでなくメール・文書で明示し、全ての業務を見える化した。
  • チーム運営では、毎日2回のミーティングで全員が自分の体調を5段階で自己申告したり、定期的な個別面談を行い、必要なサポートを受けられるようにした。
  • 以上のような運営・サポート体制によりチャレンジスタッフが他部門からのプレッシャーを受けずに安心して働くことができる職場づくりに努めてきた。
  • チームの立ち上げから半年後、新しいスタッフの採用をきっかけに、彼らが後輩職員のため、また自分たちも効率よく正確に仕事を進めるために、自発的に業務マニュアルの作成を始めてくれた。
  • 障がいの特性から、自発的に行動することは苦手であると判断していたが、マニュアル作成のような非定型な業務ができるようになっていたことにチームの成長を感じた。彼らは障がいを乗り越えて、成長していくことを理解できた瞬間だった。
  • この出来事を境に、障がい者が働きやすい職場にとどまらず、成長できる職場づくりの必要性を認識し、障がい者だけで自走できる組織づくりへの模索を始めた。
  • 現在はチャレンジスタッフのみで業務を完結できるチームになっており、障がい者雇用専門部門の社員は困ったときの相談相手、メンバーの体調が悪くなったときの対応要員という位置づけになっている。
  • 当初4つだった業務も、現在では業務の質や、納期の順守が信頼・評価され、難易度の高い業務も含め、社内各部門から180以上の業務依頼が来ており、日々新規依頼が増えている状況だ。
  • まとめを申し上げると、障がい者の職場定着には、「働きやすい」だけでなく、「働き甲斐があり、成長できる」職場であることが大切だと思っている。
  • 今後も、彼らが自立して生活できるようサポートするとともに、定年後もシニア社員として活躍していける会社をつくっていく。
株式会社スタックス専務取締役 星野佳史氏

【画像】スタックス雇用事例発表

株式会社スタックスの取組をお話いただきました。

  • 当社は川崎本社の検査部門で3名の障がい者を雇用している。本日は、精神障がい(発達障がい)の社員の雇用事例を中心にお話しする。
  • この社員は現在週25時間勤務しているが、雇用開始時は1日2時間週10時間の勤務からスタートした。
  • こうした勤務形態は川崎市の「短時間雇用創出プロジェクト」に基づくもので、短時間からでも雇用が可能な企業はないかという話が当社にあり、雇用を快諾した。
  • 理由としては、以前、社内の業務を「重要かつ緊急の仕事」、「重要ではないが緊急の仕事」、「重要だが緊急ではない仕事」、「重要でも緊急でもない仕事」の4つのカテゴリーに分類したところ、進捗状況の良くないカテゴリーがあった。
  • それは、「重要だが緊急ではない仕事」で、「いつかはやりたいが、結果としてできていない仕事」を意味する。これができれば企業価値が上がり、他社との差別化に繋がる。
  • 具体的には製品の目視検査である。当社では多品種少量生産を行っており、専任の検査員が多くの同一製品を目視検査するような作業量は確保できない。
  • しかし、1日2時間程度の短時間で目視検査をしてくれる社員がいると非常に助かるので、市のプロジェクトは当社の雇用ニーズと合致していた。
  • 採用に際しては、目視検査という業務にあった障がい特性、具体的には、「曖昧さを許さない」「集中力が持続する」といった特性がある人材を選考し、精神障がい(発達障がい)の方を1名採用した。しかし、採用後にはトラブルが発生した。
  • 本人は、決められた手順から逸脱することができないところがあり、先輩社員が一緒に作業をした際、より効率的な方法をアドバイスしたが、聞く耳を持たなかった。その場では、先輩社員には本人の障がい特性について説明し、本人には断るときの言い方をもう少し考えることなどを指導した。
  • トラブルを受け、会社としてどうするかを考えた時、同じ作業を繰り返すことができる本人の特性を活かし、業務の効率化につながるとしても、作業手順は一切変更しないことにした。この対応により、会社と本人との間で仕事のやり方の方向性を定めることができた。
  • また、採用当初は、2時間働けない日や出勤できない日も多かった。そこで、本人の体調を最優先にしつつ、「5分でもよいから」と話し、まずは毎日出勤する実績を積んでもらった。
  • こうした経緯を経て、徐々に不良品の減少という成功体験を積み重ね、本人の自信につながっていった。
  • 他の2名の障がい者の社員についても、成功体験を積み重ねてもらうことを大切にしている。さらに、当社では人工衛星や防衛関連製品の部品などを製造しているが、本人が携わった製品が宇宙に飛び立ち、国を守っていることをモチベーションにしてもらっている。そうしたことが、職場定着につながると考えている。
  • 障がい者雇用には、業務の切出しや会社側の柔軟な対応など、多くの労力が必要だが、当社はある程度それに成功していると自負している。小さな会社でも、障がい者雇用ができることを知っていただき、参考にしていただければ幸いに思う。

パネルディスカッション

パネリスト

コーディネーター

【画像】パネルディスカッション1

【画像】パネルディスカッション2

【画像】パネルディスカッション3

障がい者の職業キャリアの形成や人事評価等について議論していただきました。

  • 職場への障がい者の受け入れは、障がい者を職場全体でサポートすることについて社内のコンセンサスがとれていること、また、どの分野の仕事を切出して一人分の仕事にするかについて社内の方向性が定まっていることが重要になる。
  • 事務部門の仕事を切出す際は、定型的かつ反復的な作業で、量が多いものとすること、また、仕事を切出すことにより、現場の仕事が楽になることを、社員に実感させることが大切である。
  • 法定雇用率の達成のためには、障がい者が定着する社内の仕組みを整えなければならない。それができれば、法定雇用率はおのずから達成できる。
  • 現在、障がい者の就職市場は売り手市場だが、仕事にやりがいを見いだせず、すぐに退職してしまうケースも多い。本人のやりがいや、成長したいという意欲をどれだけ引き出せるかが、定着にとって極めて重要になる。
  • 職場定着も大事だが、本人のキャリア形成を考慮した場合、転職も決して悪い選択肢ではない。今の職場で色々なことにチャレンジできるという自信をつけてもらい、ステップアップしてもらうことも会社の役割と考える。
  • 一方で、今の職場で壁にぶつかったり悩んだりすることがあっても、その悩みを消化し、前向きな気持ちになって、再び仕事に取り組めるように自分の心をコントロールできるようになることも、本人の成長になる。
  • 本人のスキルアップのためには、自分の障がい特性にあった仕事をより深化していくことと、新しい仕事にチャレンジすることの2つを両輪として考えなければならない。
  • 本人の仕事を評価する場合は、本人が成長できているか、仕事の質の向上が図れているかを基準に行う。また、A・B・Cといった多段階評価をしっかりと行い、それにより質の高い仕事ができる人を確実に昇格させるような人事の運用とし、評価に対して不満や不公平感が出ないようにすることが大切である。
  • 評価の際、例えC評価だったとしても、どの面を改善すれば、来期はB評価となるかを詳細にフィードバックし、一人ひとりの仕事をしっかりと見ているという感覚を与えることが本人の成長意欲につながる。
  • 高い能力を持っている障がい者は、自分が正当に評価されていないという不満を持つケースもある。現実と向き合わせるという観点ではなく、自己評価と周囲の評価のギャップに本人が気づけるよう、わかりやすい言葉で、繰り返しコミュニケーションをとることが大切である。
  • 企業規模に関わらず、障がい者が活躍できる場所はある。特に中小企業は、小規模であるがゆえに、本人にフレキシブルに対応できるし、リソースを割くこともできる。また、本業の仕事を割り当てることができるため、単純作業ではない、やりがいを感じる仕事もできる。

障がい者雇用企業・働く障がい者応援コーナー

 会場ロビーにて、障がい者雇用に積極的に取り組む企業等の紹介や障がい者の方々が製造に携わった製品の展示や販売を行いました。

出展ちらし(PDF:303KB)

出展者

主催等

主催

神奈川県 神奈川労働局 独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構神奈川支部

共催

公益財団法人はまぎん産業文化振興財団

後援

神奈川県障害者雇用推進連絡会 横浜市 横浜銀行 株式会社浜銀総合研究所

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本文ここまで
県の重点施策
  • 未病の改善
  • ヘルスケア・ニューフロンティア
  • さがみロボット産業特区
  • 県西地域活性化プロジェクト
  • かながわスマートエネルギー計画
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