ホーム > 産業・働く > 労働・雇用 > 雇用・就職支援 > かながわ障害者雇用優良企業 > 障害者雇用優良企業インタビュー (藤沢紙工株式会社)
更新日:2026年4月10日
ここから本文です。
かながわ障害者雇用優良企業へのインタビュー記事です

専務取締役 荒川 潤 さん
障がい者雇用は、45年以上前から続けていますが、そもそものきっかけは人手不足でした。当社は、創業から50年を超える、ダンボール箱などの梱包資材メーカーですが、創業期は採用活動を実施しても、継続して勤務できる人が集まらなかったようです。
そのような折、県内の特別支援学校の先生方とお会いし、「製造業においては、障がいのある方でも健常者と同等の力を発揮できる業務や領域が多くあるのでは」とのアドバイスを頂いたことで、学校や御家族と連携して障がい者雇用を進めていきました。
平均勤続年数は、正社員で12年、嘱託職員で40年です。少子高齢化と採用難の御時世ではありますが、人材の定着が進んでいることは、とても喜ばしいことだと感じています。
また、障がい者雇用を通じて、福祉行政の取組に触れる機会も多く、日常の生活では知り得ない部分なので、大変興味深く感じています。
60歳以上の従業員もいますので、体調に配慮して、勤務時間は柔軟に設定しています。
また、複数ある製造ラインごとに健常者と障がい者を配置しており、お互いに声を掛け合いながら作業できる環境を整え、孤立しないようにしています。
トラブルとは無縁かというと、そのようなことはありません。
現在、本社工場では、障がい者のうち15人がダンボール事業、1人が商業印刷事業に関わっています。健常者とのチームになるようにしていますが、健常者1人に対して、障がい者が3、4人となると、健常者側が疲弊してしまうこともあります。障がい者雇用において、我々が把握して対応できるのは、就業時間の中に限られます。家庭環境などについては、プライベートなことでもありますし、生活のサポートまでするわけではありませんから、どの程度、踏み込むかというところは課題でもあります。製造業ということもあり、事故やけがのリスクは常にあります。もしそうなったときに、私生活も含めて、周りに療育していく力があるのかは、本来なら、きちんと把握していきたいところです。
また、障がい者の老後についても課題を感じています。体感ではありますが、健常者よりも体力の低下などが早いと感じることはあります。正社員として勤務していますが、一律の定年を設けるのではなく、定年を早めたり、年齢に応じて勤務時間を減らしたりといった柔軟さが必要と感じることはあります。
障がい者が、健常者と同じように働いて、年齢を重ねて生活が難しくなったときに、55歳までに障害福祉サービスを受けていないと、その後は、障がい者としてのサービスを受けられないということもあります。障がいがあっても、健常者と変わらない生活ができている間はよいのですが、いざ年齢を重ねて障害福祉サービスに頼ろうとすると、できなくなることがあります。
こうした仕事以外の部分や、時を経ることで変化する部分も、しっかりフォローしてこその障がい者雇用だとは思いますが、不十分さを感じる部分、それが当社の努力だけでは解決できない部分もあります。

障がい者雇用が広まること、そのものは歓迎されるべきだと思いますが、当社に関しては、採用超過だと思うこともあります。人手を確保するために、個々人の背景を無視して採用してしまった時代があったことは事実で、本来は家庭環境や私生活などを、ある程度把握していないと、どこかで破綻する恐れがあると思っています。障がい者雇用をやめるつもりはありませんが、いたずらに雇用を増やすべきではなく、適正規模はあると感じています。
大きい視点で、障がい者雇用を推進する重要性は理解できますし、大切なことだと思いますが、個別の事案に対して、行政の目が行き届いているかといえば、そうではないと感じています。雇用が生まれることがゴールではありませんから、単純に障がい者雇用率の数字が増えたことを喜ぶだけや、良い面ばかりをPR材料にするのではなく、行政が、企業と当事者に並走していく仕組みがないと、現場での戸惑いは広がって、どこかで頭打ちになると思います。企業に対して、行政のスタンスやサービス内容などを、しっかりとインプットして、理解してもらう機会が必要ではないでしょうか。
県内では、相談者の役割を担っていただける障がい者地域相談支援センターなどの団体がありますので、そうした第三者の存在は、重要度が増していくと思います。
人材の多様化は進んでおり、障がい者に限らず、外国人や高齢者をうまく活用できている例も多いと思います。障がい者雇用についても、個々の企業の取組だけでなく、より大きな視点で捉える社会になるとよいと思います。私たちもこれまでの企業文化や社風を、時代に合わせて変えつつ、取り組んでいきたいと考えています。
令和7年11月20日取材)
このページの所管所属は産業労働局 労働部雇用労政課です。