ホーム > 産業・働く > 労働・雇用 > 雇用・就職支援 > かながわ障害者雇用優良企業 > 障害者雇用優良企業インタビュー (日本理化学工業株式会社)

更新日:2026年4月10日

ここから本文です。

障害者雇用優良企業インタビュー (日本理化学工業株式会社)

かながわ障害者雇用優良企業へのインタビュー記事です

人に合わせて工程を変えるものづくり

日本理化学工業株式会社の大山社長に聞きました

代表取締役社長 大山 隆久 さん

1

障がい者雇用のきっかけを教えてください

学校などで使われるチョークの製造・販売で70%のシェアを持つ当社は、もともと東京都大田区に工場がありました。1959年、隣の世田谷区にあった青鳥養護学校(現・東京都立青鳥特別支援学校)から生徒の受入れをお願いされ、「雇用はできない」と2回は断ったのですが、3回目に依頼があったときに、当時社長だった私の父が、「そこまで言うなら、実習であれば」ということで、2名を受け入れました。一年間の実習で終わりにするつもりだったようですが、真面目に働いてくれたことで、周りの社員が後押しし、正式な雇用につながったと聞いています。

学校と関係性ができたことで、以降、毎年のように受入れの依頼があったそうです。ただ、みんながみんな、雇用につながる方ではなかったようです。周りの社員のストレスにつながることもあったようで、この辺りは大変に困ったと聞いています。

また、雇用した以上は、その方を戦力にする必要があるため、障がいのある従業員と向き合って、分かるように伝え続けています。「3人採用して、1人残ればいいや」という発想ではなく、全員を必ず戦力にしたいと考えています。そのための覚悟というか、「私は、あなたに定年まで働いてもらいたいと思って雇用しますよ」という気持ちは、全員に対してあります。それくらい、一人の人間を雇用することは、重たいことだと思っています。

3

障がい者雇用により、社内にはどのような影響がありましたか

簡単にメリット・デメリットというのは違うとも思いますし、メリットがあるから障がい者雇用をやってくれ、デメリットがあるからやめた方がいいと、簡単に言うことはできません。

しかし、一つ言えるのは、彼らといることで、社内の空気は間違いなく変わります。障がい者全てがそうとは言い切れませんが、とらわれの少ない方たちだと思います。良いことは良い、悪いことは悪い、ありがとうはありがとう。ごまかしたり取り繕ったり、そういうことはいらないと、彼らから教えられることもあります。

また、集中力や持続力、同じことを続ける力はすごいと思います。この事業を60年以上続けてこられたのは、間違いなく、彼らが戦力になったからです。チョークの製造・販売は、ニッチなマーケットですし、学校教育もICT化が進んでいますから、先行きが明るい業界ではありません。競合他社も、すばらしい商品を作っています。

でも、我々が70%を超えるシェアを持っているのは、従業員一人ひとりのおかげだと思っています。

我々は、工場見学も積極的に受け入れているのですが、その申出があること自体がとても嬉しいです。一社が未来をつくる時代ではないので、多くの企業と連携して、協働していくことで、未来はつくられていく。私はすぐに「仲間」という言葉を使ってしまうのですが、そういった社会的役割を共有できる人がたくさん来てくれることは、何かをするチャンスがどんどん生まれているということです。

障がい者雇用を進める中で、工夫してきたことはありますか

大きな転換点となったエピソードがあります。

「材料Aを3kg量る」という作業指示があり、障がいのある従業員に、この作業をお願いしました。最初は計量ができても、時間が経つと、材料の種類や量る重さを忘れてしまい、継続ができませんでした。どうすればよいかを考えていたときに、障がいのある方も自力で出勤していて、道路にある信号の色を理解していることに気が付きました。

そこで、材料Aのパッケージを赤色にし、3kgの重さの赤い重りと天秤を使って、重さを量るようにしました。赤のパッケージの材料を天秤に乗せて、赤い重りと釣り合うようにします。そうすると、できるようになったのです。そのことを褒めると、自分ができるようになったことに気付いて、「もっと量っていいですか」と言ってくれました。段取りを変えることで、彼らのよさを引き出せるのではないかと思いました。

普通はマニュアルがあって、人がその指示どおりに遂行する。でも、人に工程を合わせることができるのではないか、という逆の発想をしたわけです。二つの面から物事を考えるという発想は、今でも大切にしています。

また、製造業でよくいう「5S活動(整理・整頓・清掃・清潔・習慣)」に「安全(safety)」を加えた「6S活動」を重視して取り組んでいます。川崎工場では、チョークチーム、キットパスチーム、出荷チームのいずれかに必ず所属します。6Sをブラッシュアップしていって、みんなで学びながら、障がいのある社員の成長をバックアップしていこうという形をとっています。その人にとっての居場所づくりというのは、とても大切だと思います。安心して通える場所だと思ってもらうために、できることは声掛けです。よい仕事をしていたら声を掛ける。駄目なこともしっかりと伝える。それを詰み重ねていくことで信頼につながって、居場所になると思っています。

2

障がい者雇用を検討している企業に向けて、メッセージをお願いします

私たちは、「皆で働く」と書いて「皆働(かいどう)社会」をミッションにしています。そのような社会をつくる一助になりたいと考えています。

仕事は、利益の多寡が注目されがちですが、「ありがとうの心がつながっていく」と言われるような活動こそが仕事だと思っています。障がいがあってもなくても、ありがとうの心がつながっていくような社会を、企業も働く従業員も、一緒になって考えていけるようになることが大事だと思います。他人を受け入れたり・受け入れられたりという関係性や、他者を知ることで新たな発見があり、そういう成長を間近で見られることも会社の喜びでもあります。

今、当社は、新型画材のキットパスの展開に注力しています。「落書き」ではなく「楽がき」の文化を世に広げていきたいです。子どもの頃は、ただ楽しく絵を描いていたものが、点数をつけられて評価されると描けなくなってしまいます。描くことの楽しさを取り戻していきたいと思っています。

(令和7年11月10日取材)

このページに関するお問い合わせ先

このページの所管所属は産業労働局 労働部雇用労政課です。