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更新日:2026年4月10日
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かながわ障害者雇用優良企業へのインタビュー記事です
取締役会長 栗原 敏郎さん

1959年に、中学校で特殊学級の担任をしていた創業者の知人から、「知的障がいのある女子生徒を雇ってもらえないか」と頼まれたことがきっかけです。戸惑いもあったようですが、当時の現場の女性スタッフたちにとって女子生徒は、時に我が子のような、時に妹のような存在だったようで、女子生徒は、現場の女性スタッフからサポートを受けながら、仕事を覚えていきました。3年間ほど一緒に様々な仕事をしてもらい、他の従業員と同等の作業ができるようになったことで、創業者は、障がいがある人も、時間をかければ戦力になると考えるようになったようです。
結局、その女子生徒は、工場の移転に伴い、通勤が難しくなり退職してしまいましたが、この経験がきっかけとなり、1967年には、移転先近くの社会福祉施設から、知的障がいのある方を10人程度採用し、障がい者雇用を増やしていきました。
当時は、障がいのある方が、健常者と同じ仕事をするという発想はないと言ってもいいほどの時代であり、社会でした。そのため、従業員の中には、障がい者と同じ仕事をすることが嫌になり、辞めてしまう人もいました。そのようなときには、「あなたたちは、もっとスキルを身に付け、障がいのある従業員を指導する立場になってほしい」と働き掛けることで、お互いにコミュニケーションを取るようになり、仕事に集中し、一緒に働くことができる環境が徐々につくられていきました。
当社では、新しく入社した障がい者の指導は、障がい者の先輩が行うようにしています。障がい者の先輩から教わることで、緊張もほぐれ、教えたことがすっと身に付くようです。そして、可能であれば、複数名の障がい者を一緒に採用しています。同期の仲間ということで、苦労を分かち合えますし、お昼休憩の時なども孤立しにくいです。また、障がい者に限ったことではありませんが、全ての従業員について、月に一度のモニタリングを行っています。
具体的な仕事内容でいうと、作業をできる限り単純化しています。障がい者が携わっているからといって、生産性やクオリティが下がってはいけません。どのような人であっても、一人前の戦力になってもらう必要があります。
そこで、手作業の業務をできる限り排除し、機械を使って自動化することに多くのコストをかけています。品質に直結する部分は機械に頼り、従業員の主な業務はその補助で、具体的には塗装前のパーツを機械に引っかけるほか、検査・梱包等をしています。
加えて、安全面の徹底と、その人に合った仕事を割り振ることを大切にしています。障がいの状態や程度によって、取り組んでいる仕事は様々です。できる人に多くの仕事を任せれば、当人の賃金も増えるし、周囲の負担も減ります。全体として、生産性が上がるわけです。できる仕事が増えていった結果、工場内でフォークリフトを操縦し、製品を運搬する障がい者もいます。仕事を単純化していく一方で、できることには、どんどんチャレンジできる環境も大事だと思います。
一般的に障がいのある方は、実年齢より早く体力が低下することが多いです。工場で働くだけの体力がなくなったときに、福祉作業所に転職する人もいますが、再就職先が就労継続支援B型事業所ですと、せっかく仕事のスキルがあるのに、収入が、現在の何分の一かになってしまいます。
そこで、当社の福島工場は、就労継続支援A型事業所としても稼働しています。一般就労での雇用継続が難しくなってきた障がい者の方には、就労継続支援A型事業所で働いてもらい、それも難しければ、地域の福祉施設などを紹介しています。それまで、他の従業員と同等に仕事をしてきたわけですから、自身の衰えを認めることはつらいものです。雇用契約の形を変えることや、その人の実情に応じて段階的に仕事が変わっていくことも、持続可能な障がい者雇用には重要だと考えています。
また、障がいのある社員に、日常生活の細かい部分での支援が必要になったときのために、地域のグループホームなどとは緊密に連携を図っています。勤務時間外のサポートなど、頼る機会は年齢を重ねるとともに増えていくものです。
また、住まいについて、当初は、会社で借り上げたアパートに住む方も多かったのですが、日常生活の細かい部分で支援が必要になった場合には、地域のグループホームなどを紹介しました。
今でこそ、障がいのある方が会社の仲間であることは当たり前になりましたが、当初は、社内であつれきもありました。障がい者雇用が特別なことではないという意識が高まっている現在、あまり考えすぎずに、まずは、トライアルで採用してみてはどうかと思います。短期的な評価では、戦力と判断することは難しいかもしれませんが、会社側はもちろん、障がい者本人も、きちんと働けるのだと確認してから雇用すればよいのではないでしょうか。
また、障がい者雇用のノウハウをもっている専門機関も、しっかりと活用することが大事です。

(令和7年10月6日取材)
このページの所管所属は産業労働局 労働部雇用労政課です。