障害者雇用優良企業インタビュー(東建設株式会社)[No.85]

掲載日:2019年9月10日

総務部の長野様、宮崎様に聞きました。

・横須賀市池上3-2-6

http://www.azuma-corp.jp

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御社の障がい者雇用の始まりは、元々お勤めの社員の中に障がい者がいたことがきっかけだと聞いています。

そうです。障がい者の社員は2名おりまして、元々当社に勤めていた社員は入社して40数年になる大ベテランです。この方は、現場に精通しており、その存在がなければ、現場が回らないとすらいえます。また、この方は毎朝現場に向かう工事班の出発の段取りをつける仕事を担っています。例えば、今日あの現場に行くのであれば、Aという工具を使うのではないか、Bという工具を使うのではないかというように、必要な工具を選んで準備し、使用後のメンテナンスまで行っています。また、重機のオペレーションにも熟練していますので、人手不足の際には、実際に現場に出て重機のオペレーションをお願いしています。

ー現場へ向かう段取りを立てる仕事と、工具のメンテナンスの仕事の中に、その方にしかない経験と技能の蓄積があるのですね。

そうです。これから現場に行くぞという人間は、現場の方に気持ちが行ってしまいがちですが、そこから一歩下がって周りを冷静に見て、今日行く現場と、現場で想定される事態を考えて、これが必要ではないかというように工具を揃えたり、最高の性能を発揮するように工具をメンテナンスするといったサポート業務ができるのはこの方だけです。

ーそういった経験や技能の伝承はどのようになさっていますか?

経験や技能といったものはマニュアル化できないので、実際の現場で経験を重ねて身に付けていくしかありません。ですから現場監督の判断で、ここの現場であれば、時間的に余裕があるから、新人に重機のオペレーションをやらせてみようとか、数年経験を積んだから、今日は少し難しい作業を任せてみようというように、一人ひとりの適性と習熟度をみながら仕事を任せて、経験と技能の伝承を進めています。

もう一人の障がい者の社員について教えてください。

この方は生まれつき聴覚に障がいがあり、発話も困難な方で、聾学校の出身です。元々は当社の協力会社に勤めていましたが、その会社を吸収合併したことにより、当社の社員となりました。今は主に道路の修繕管理の現場を任せています。

ー道路の修繕管理とはどのような仕事でしょうか。

例えば、ガードレールや道路上の構造物に損傷があると通報を受けた時の緊急対応や、道路に陥没があったり、舗装がめくれてしまった際の応急処置等です。この修繕業務を4人の作業員が一つの班を組んで行っています。

ーその4人で構成する班の一人に聴覚障がい者の社員の方がいらっしゃるのですね。聴覚障がいがあるので、班の方とのコミュニケーションに困難が生じることもあるかと思いますが、コミュニケーションの様子について教えてください。

日常会話でもお互いに上手く伝えあうことが難しい場面がありますが、それでもお互いに分かりあうため、時には身振り手振りを交えてコミュニケーションをとっています。100%理解しあうということは、やはり難しいですが、たとえ半分しかお互いの気持ちが伝わらないとしても、伝えようとする姿勢をお互いに持ち続けることが大切だと思っています。また、彼は当社での業務を10年近く経験していますから、長年の経験で、毎日違う現場に行き、作業内容が日々異なっていても、大まかな業務は体で身につけています。

ーお互いに理解しあえるよう、双方が歩みよっているのですね。

その通りです。また、本人が明るく優しい性格で、周りと積極的にコミュニケーションをとろうとしますので、受け止めるこちらも、何とか彼と良いコミュニケーションがとりたいという気持ちに自然とさせられます。

良いコミュニケーションをとるためには社内の雰囲気が大切だと思いますが、御社の社風について教えてください。

一言でいえば家族のような一体感のある会社だと思います。そしてこの一体感は日々のコミュニケーションの積み重ねによって作りだされるものです。朝来て、お互いに挨拶しあう、時に厳しいことを言われることがあっても、そのすぐ後に周りの者が「元気か、大丈夫か」とフォローの声かけをするというように、誰も孤立しないようにコミュニケーションをとってきたので、家族のような一体感が生まれてきました。また、毎日現場でお互いが同じように汗を流す、同じ目標に向かって作業をすることも一体感が生まれる要因だと思います。

ー誰も孤立しない一体感のある職場だからこそ、障がい者の社員の方も長く勤めることができるのですね。

そうです。現場では工事班の全員が真剣に仕事に取り組んで100%の力を発揮する。そして、帰ってきたらまた工事班の全員がゆっくりとリラックスした時間を過ごす。このように、工事班のみんなが同じ時間を同じ気持ちで過ごすからこそ、その中では誰も孤立しないし、一体感も失われないのだと思います。4人の小集団で動いているのですから、そのうちの一人でも孤立してしまえば、良い仕事ができなくなってしまうことを、誰もがよく分かっていると思います。

ー聴覚に障がいがある中で作業するには、班のメンバーの方のサポートが欠かせないと思いますが、どのようなサポートをなされていますか?

実は現場では特にサポートをしていませんし、サポートの必要もありません。というのも、彼自身が現場にはどのような危険があるかよく理解していますし、その現場で自分は何ができて、何をしなければならないかも良く理解していますので、特にサポートは必要ないのです。もちろん、ここまで至るに何度も先輩から怒られたり、落ち込むこともあったかと思いますが、彼は怒られても、落ち込んでも前向きな気持ちを持ち続けて乗り越えてくれました。

ー前向きで芯の強い性格をお持ちなのですね。

芯が強いし素直です。素直だからこそみんなに愛されていますし、言語機能に障がいがあるので、伝えたいことを十分伝えることがお互いにできないとしても、伝えたい気持ちがあることはお互いによく理解しているので、少しでもお互いが理解しあえるようコミュニケーションをとっています。また私自身としては、彼が伝えたいと思ったことを彼から私に切り出してくれる関係を作ってきたと思っています。仕事を離れた場で彼とコミュニケーションをとる機会を今まで数多く設けてきましたし、その時に彼が悩んでいることや、今考えていることについて話しを聞いてきました。

社員の方同士の距離が近く、コミュニケーションも密だという印象を受けます。

確かに社員同士の距離が近い会社だと思います。当社は社長が一人ひとりの社員をよくみていますし、細かいことを言うわけではありませんが、一言「頑張れよ」と声をかけることが多くあります。「頑張れよ」の一言だけでお互いの距離は縮まると思いますし、社長が率先して社員同士の距離を縮めようとしていますので、それに伴って社長と社員だけではなく、社員同士の距離も縮まっていったのだと思います。

ー社長が社内の風通しのよさを作り出しているのですね。

その通りです。社長や部長など、職場をまとめる人間が、一人ひとりの社員に目配り・気配りをしないと、言いたいことが言えない職場になってしまいます。また、職場をまとめる人間が「今日ちょっと元気ないな」というように社員の日々の何気ない変化に気づかないと良い職場はできないと思います。

ーそのような目配り・気配りが4人の工事班でも徹底されているということですね。

徹底できているかどうか確信をもって言うことはできませんが、今まで安全作業を行い、ゼロ災害を達成できているのは、社員同士の目配り・気配りが上手く機能しているからだと思います。目配り・気配りができていないと、現場ではそれが事故に直結しますから。また、障がい者の社員を含めて、皆がこの会社に長く勤めているのは、社員一人ひとりがお互いに目配り・気配りをして、働きやすい職場を作りあげてきたからだと思います。

これから障がい者雇用を考えている企業にメッセージやアドバイスがあれば教えてください。

その人の短所ではなく長所に着目してほしいです。その人の長所やできることを伸ばしていけば、どんな人であっても必ず会社の貴重な戦力となります。また、「頑張れよ」や「ご苦労様」といった日々の何気ない労いの言葉は、働く人の心にどんな言葉よりも響きますので、職場をまとめる人間が一人ひとりに労いの言葉をたくさんかけるようにしてください。

訪問を終えて

お互いの伝えたいことを理解するために、お互いが歩み寄るという姿勢は、障がい者雇用を進めるに際して、とても重要な姿勢であると感じました。理解しようとともに歩みよる中で、良いコミュニケーションが生まれ、それが障がい者にとって働きやすい職場の創造と、職場定着につながっていくのだと思いました。

(令和元年8月1日取材)

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