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更新日:2024年9月30日
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かながわ障害者雇用優良企業であるオールジャパンサービス株式会社の障がい者雇用取り組み事例です。
横浜市中区新山下2丁目11番地38
http://www.alljapanservice.com/
今回は、オールジャパンサービス株式会社 高橋次長にお聞きしました。
平成8年頃に弊社の現会長が、知人から養護学校の卒業生を雇用してくれないかとの要望に応えて採用したのがきっかけです。
弊社の企業理念は「地域に貢献できる企業であり続ける」というもので、この理念が採用の背景となっています。
そうですね。創業以来、防犯協会の活動に取り組むなどのボランティア活動を行っており、地域に根付いている中で、障がい者雇用
のお声がかかったのだと思います。
今も勤めています。その方に加えて、現在は、日野養護学校の卒業生2名が警備員として勤務しています。
また、今年度は、新たに身体障がい者を2名採用して、現在は、5名の障がい者が様々な現場で警備業務に活躍しております。
障がいのある方もない方も、研修は全く同じ内容です。法律や技能、救急救命など警備員として身につけなければならないものは決
まっていますので、それらを習得してもらいます。最低限必要な教育時間は30時間ですが、受講者の習熟度に応じてそれ以上の時間
をかけて研修をすることもあります。
教育は、以前は協会に委託して行っていましたが、警備業は直行直帰が仕事のスタイルであり、社長などの経営陣や会社の近況等
について知る機会がなかなかありませんので、そういったことを知るためにも、今は自社で行っています。
物流センターの施設警備や、大黒町にある中古車オークション会場で車両の管理及び警備を行っています。また、知的障がい
のある方は、店舗の駐車場の出入りの管理を行っています。
そして今年度入社した方は、呼吸器に障がいがあり、空気の悪い場所での勤務が難しいので、ソーラス警備といわれる港の
警備を行っています。この仕事は、室内で監視担当区域のモニターを見て、異常の有無等を監視する仕事です。障がいに配慮し、
呼吸器への負担が軽いこの仕事をお願いしています。
チームメンバーの多いところでは10人くらいのチームの一員として働いています。知的障がい者のうちひとりは、人とのコミュニケー
ションが得意で、人に好かれるタイプなので、人との接触が多い現場があると、その都度そちらに配置したりもしています。また、
別の知的障がいのある方は、コミュニケーションは苦手ですので、人との接触が比較的少ない現場に配置しています。
このようにそれぞれの個性に応じて、配置していくことを心がけています。
知的障がいのある二人の社員のうち一人は、本人の希望で日勤のみの勤務で、夜勤は行わないようにしています。また、一人の方
は家庭から独立して一人暮らしをしているので、その面での生活指導もしています。家族と離れて一人暮らしだと悩みを打ち明ける機
会も少ないので、なるべくコミュニケーションを取って仕事に支障がないようにしています。
主に私ですが、私を中心に現場の責任者も一緒になって相談を受けたり、生活指導をしています。このような相談に応える仕事は、
長年人と接してきた経験があることや、相談してきた相手をよく知ること、そして会社をよく知ることが大切であると思っています。
また、先般ハローワークの主催で、養護学校の現場見学会に参加したことで、養護学校の先生と意見交換会等ができたことも
役立っています。
当社の職員が養護学校の同窓会に加入しており、同窓会の先生が職員のかつての担任の先生でもあるので、その先生を通じて、
養護学校の卒業生の中で、当社の警備職を希望する方の紹介等を当社職員を介して行っています。
私が当社に入社して11年が経ちますが、その間に退職された方はいません。一番長く勤めておられる方で20年以上、次に長い方で
19年と、皆さん当社に定着してくださっています。
きめ細やかに教育することだと思います。警備業はサービス業ですので、仕事のご依頼をいただいたお客様の業務に合わせた教育
をしています。例えば、飲食店の駐車場の出入り管理であれば、「いらっしゃいませ」と挨拶をするよう指導するといったことです。
また、それ以外にも業法の定めで年に2回、前期と後期に教育を実施しており、その席で社長から、お客様からお話しのあったこと
について、良いことも悪いことも含めて話すようにしています。そして教育終了後には、教育効果を測るために簡単なテストも
行っています。
障がいの特性については、現場の他のメンバーにしっかり伝えてから配置につけるようにしています。また、勤務形態が日勤に夜勤、
24時間勤務後の翌日は1日休みになるというように様々な勤務形態がある中で、それぞれの希望や障がい特性等を踏まえて、お互い
に話し合って決めていることが、職場の人間関係に良い影響を与えている面もあります。
このように、自分にあった勤務形態で働くことが出来ることと、様々な警備現場があることが、長く働ける要因だと思います。
警備の中には屋外だけでなく、室内で行うモニターの監視等の警備もありますので。
だからこそ、それぞれにあった仕事を見つけることが出来るのだと思います。
特には設けずに、普段のコミュニケーションの中で話し合っています。また、こちらから現場の方へ様々な連絡事項を伝えることが
ありますので、その時に意識して話すようにしています。家庭の問題等の悩みを抱えている社員もおりますので、普段のなにげない
会話の中から、本人からは言い出しにくい、そうした悩みを聞きだすことも心がけています。
障がいについては個人情報ですので基本的には伝えていません。しかし、当社でチームの責任者を任せている社員の中に、
事故で右手(右上腕切断)を失った者がいます。そのため、この社員は施設の出入り口で右手での正式な敬礼や、交通誘導等が
完全には出来ませんとお客様にご理解をいただくこともあります。
こういう障がいがあるので出来ませんという風にお伝えして、理解を深めていただいています。
たとえ障がいがあったとしても、適材適所を心がければ、必ず活躍できる場があることを伝えたいです。
そして、活躍の場を創り出すことが本人、会社、地域それぞれのためになることを知ってもらいたいと思います。
地域に根付き、地域の信頼を得ていく中で障がい者雇用の取組みも進んでいくのだなと思いました。障がいの有無にかかわらず、
ライフスタイルに合わせた勤務が出来ることが職場に定着する秘訣だと感じました。
(平成29年7月27日取材)
このページの所管所属は産業労働局 労働部雇用労政課です。