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更新日:2023年7月21日

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障害者雇用優良企業インタビュー(日本水産観光株式会社)[No.63]

かながわ障害者雇用優良企業である日本水産観光株式会社の障害者雇用取り組み事例です。

小澤社長に聞きました。

今回は、横須賀市の国道16号沿いにレストラン4店舗を経営する、日本水産観光株式会社 小澤社長にお聞きました。

日本水産観光

 

障害者雇用のきっかけについて教えてください。

7年程前、特別支援学校から研修の依頼がありました。また当時、飲食業界で、雇用した障害者に何も仕事をさせないといった報道が大きくありました。それで、地域の人たちと一緒に取り組みましょう、と。ハローワークや市の担当の方に話を聞いたり、以前から障害者を雇用している企業や農園の担当者の方とも一緒に勉強をしました。

そこでは、障害者を雇うのは社会的に自立させるのが目的で、ボランティアではなく、働く場を一緒に共有することを目指しましょう、という考えでしたので、うちの会社もどうやったら障害者に仕事を合わせて、効率よくできるかに取り組み始めました。

障害者の方はどのような仕事をしているのですか。

現在(平成28年5月)、知的障害の方が4名働いています。レストラン内での食器の洗い物作業と、簡単な調理作業、準備いわゆる仕込みの作業をしています。今年の新入社員が優秀で、魚がさばけます。ぜひ魚をさばく現場で働きたいということで、お寿司の店舗で働いています。

-勤務時間はどのくらいでしょうか。

8時か9時の出社で、3時か4時までが多いです。学生のアルバイトが多くなる夜の時間帯は避けて、社員がいる時間帯で働いています。なるべく学校と同じ時間帯に勤務をすれば、生活のリズムが変わらないのではという配慮もあります。

雇用する前に実習は行っていますか。

最初に2週間の実習で、この現場が自分に向いているかを判断します。その時にご両親と特別支援学校の担当の先生にも見ていただきます。それから次の3週間の実習に移ります。時期は、6月頃に2週間、1月から2月にかけて3週間の実習を行い、適性を見て、4月の入社式に臨みます。

―実習は、どのようなものですか。

その人の特性にあわせて、例えば、最初は写真でこういう状態にしなさいと教えて、しばらく取り組みます。慣れてルーティンで仕事ができるのを目指します。

―試行錯誤でしたか。

特別支援学校の先生が、一緒に職場を見て、いろいろな手だてを考えてくれます。文字より、写真や図解を見せます。 

学校とのやりとりは頻繁にあるのですね。

はい。知的障害者が行う、繰り返しの作業や細かい作業には歴史があって、このようなときはこう対応したほうがよいなど、学校や知的障害者を雇っている企業からたくさん話を伺っています。私自身、清掃で障害者を雇っている企業に研修で10日程通わせていただいたこともあります。

他の企業とのつながりがあるのですね。

杉田の「ぽこ・あ・ぽこ」さんで、いろいろな研修を受けた時期に仲間を紹介していただきました。

(*(社福)電機神奈川福祉センターが運営する障害者の就労移行支援事業等を行う施設)

―業種を超えて、勉強ができたのですね。

年に1回勉強会があって、卒業した人を集めていただいて、問題提起だとか、どこに聞けばよいとかを教えてもらえて、すごく安心感があります。「ぽこ・あ・ぽこ」さんは、労働組合系の組織が基ということもあり、企業側の視点で障害者をどうやって活かすかを考えていただいていると思います。

障害者の方とのコミュニケーションで苦労されたことはありますか。

知的障害者の方ご本人との苦労はほとんどなくて、ご両親の不安の方が大きいと感じます。そこまでやらせて大丈夫なのかと。ご両親とのコミュニケーションをどうとっていくかも大事です。

ご家族とのコミュニケーションはどのようなものですか。

電話連絡ですね。何か変化があるときは電話します。どうしても仕事なので、叱ることもあります。今日これだけ叱っています、落ち込んで帰ると思いますとか、逆に、すごく褒めたので、ご両親からも褒めてやってくださいといった感じです。

うちは飲食店なので、働いている場所にご両親とか身内の方に来ていただけるのが「売り」だと思います。ご両親には働いている姿や職場環境を見ていただきたいです。年に数回、家族優待の制度があるのですが、その場でも報告ができます。

障害者の方に任せる仕事をどのように切り出したのでしょうか。

特別支援学校の先生が来て、職場を見て回ってもらって、この生徒だったらこの仕事ができます、という割り振りをしていただきました。

―仕事の割り振りも個人で違うのですよね。

はい。5月下旬から特別支援学校から実習を受け入れますが、和食で何か携わりたいということで、先生がまずは洗い場から現場を見て、業務を切り出してくれました。実習には先生にも来ていただいて、早さや作業を見てもらいます。実習後に先生と交換日記のようにノートのやりとりをします。それを家庭にも持ち帰ってご両親からも書いてもらいます。そうすると、どんどんコミュニケーションがとれるようになります。

―仕事の切り出し方を聞けるとよいと思っていました。

障害者の方が、何ができる、どこまでやらせていいのかがわからなかったので、先生にどこの仕事が向いていますかと聞いたのがきっかけでした。

ここまでやったら報告にくる、できるはずのことができていなかったら、なぜかを確認する、早くても見てくださいと先生から言われました。早く業務が終わるのは、さぼっているからかもしれない。遅い場合はどんどんやろうとするのを止めます。知的障害の方は健常の方より疲れやすいと聞いています。切り詰めた状態がずっと続くと全く作業ができなくなってしまうかもしれません。我慢強い人が多いので、こちらが気を付けないといけません。

これから障害者雇用を始める企業にメッセージをお願いします。

いろいろな人たちに仕事の場を与えると、会社の立ち位置であったり、障害のある方々にも助けてもらっているというのがわかります。また、障害者が店舗で働いていているのは、会社の地域への貢献の表現でもあります。地域で企業は成り立っていると思いますし、幅広くいろいろな人を雇ったほうが、会社が充実するのではないかと思います。実は、私は3代目で、祖父や親の代から寄付やボランティア活動などで地域に関わってきました。

―地域密着ですね。

1部署(店舗)1人ずつの障害者雇用を目指しています。今年の新入社員は魚がさばけるので、すでに障害者が1名働いていたのですが、お寿司の店舗で働いています。今回実習を受け入れる方は、和食で何か携わりたいということで、まだ配属のない部署で働いていただけるかもしれません。

訪問を終えて

目の前がすぐ海、海風が心地よい場所にお店があります。インタビューでは、特別支援学校の先生と連携した仕事の切り出しや、ご家族とのコミュニケーション、他の企業とのつながりなど実践的なお話をお聞きすることができました。また、小澤社長は穏やかにお話しされていましたが、地域への強い思いも感じたインタビューでした。

(平成28年5月13日取材)

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