行政不服審査

掲載日:2020年4月28日

 

1 行政不服審査制度の概要

 行政不服審査制度は、行政不服審査法に基づいて、「行政庁の違法又は不当な処分その他公権力の行使に当たる行為」に関し、国民が簡易迅速かつ公正な手続の下で広く行政庁に対する不服申立てをすることができる制度です。

 裁判と比べると、不服申立ての費用がかからない、審理手続が簡便である、といった特徴があります。

行政救済の流れ図

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2 審査請求の概要

 不服申立ての代表的なものとして、処分についての審査請求と不作為についての審査請求がありますが、その概要は次のとおりです。

(1)審査請求の対象

 審査請求を行うことができる対象は、次のとおりです。

  • 行政庁が行う「処分」(その他公権力の行使に当たる行為も含みます。)
  • 法令に基づく申請に対する「不作為」(申請に対して何ら処分をもしないこと。)

 ただし、処分であっても、次のようなものは、審査請求をすることができません。

  • 議会の議決によってされる処分
  • 行政不服審査法に基づく処分(第5章第1節第1款の規定に基づく処分を除く。)

 また、制度に対する不満、制度の改廃、職員の対応への苦情など、処分や不作為に該当しないものについて、審査請求の対象外とされています。

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(2)審査請求ができる者

ア 処分についての審査請求の場合

 行政庁の処分に不服がある者は、その処分についての審査請求をすることができます。

イ 不作為についての審査請求の場合

 法令に基づき行政庁に処分についての申請をした者は、その申請から相当の期間が経過したにもかかわらず、行政庁の不作為がある場合に、その不作為についての審査請求をすることができます。

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(3)審査請求先(審査庁)

ア 処分についての審査請求の場合

 審査請求先(審査庁)は次のとおりとなっています。

  • 処分を行った行政庁(処分庁。例えば○○事務所長)の最上級行政庁(知事)
  • 上級行政庁がない場合(例えば知事が処分を行った場合)には処分を行った行政庁(知事)

 なお、個別の法律や条例に特別の規定がある場合には、その法律や条例に規定されている行政庁に審査請求を行うこととなります。

<例>
 市の福祉事務所長が行った生活保護法に基づく保護の決定処分についての審査請求は、同法の規定により、知事に対して行うことになります。

 また、県の組織であっても教育委員会や県警察を管理する公安委員会といった行政委員会が処分庁である場合には、その行政委員会に対して審査請求を行います。

 実際には、処分の際に交付される処分通知書に、(1)誰に対して、(2)いつまでに、審査請求をすることができるかが教示(下記参照)されています。

<教示文の例>
 この処分に不服がある場合は、この処分があったことを知った日の翌日から起算して3か月以内に、神奈川県知事に対して審査請求をすることができます。

 上記の教示文では、(1)神奈川県知事に対して、(2)処分があったことを知った日の翌日から起算して3か月以内に審査請求をすることができることになります。

イ 不作為についての審査請求の場合

 審査請求先は次のとおりとなっています。

  • 不作為に係る行政庁(不作為庁。例えば○○事務所長)の最上級行政庁(知事)
  • 上級行政庁がない場合(例えば知事に対して申請を行った場合)には不作為に係る行政庁(知事)

 なお、行政委員会が不作為に係る行政庁の場合や個別の法律や条例に特別の規定がある場合は、処分についての審査請求と同様の取扱いです。

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(4)審査請求期間

ア 処分についての審査請求の場合

 処分についての審査請求は、処分があったことを知った日の翌日から3か月を経過するとすることができなくなります。

 また、処分があったことを知った日に関係なく、処分があった日から1年を経過すると審査請求ができなくなります。

 ただし、いずれも正当な理由があるときは、この限りではありません。

イ 不作為についての審査請求の場合

 不作為についての審査請求は、審査請求期間はありません。不作為が続いている限り、審査請求を提起することが可能です。

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(5)審査請求書の提出

 審査請求をするためには、原則として、審査請求書を2通(正本と副本)作成して提出する必要があります。電子メールやFAX、SNSで審査請求書提出することはできません。

ア 審査請求書に記載する内容

 審査請求書には次の事項を記載することが必要となります。記載がない場合や記載が不十分な場合には、内容を十分なものとするよう、審査請求書の補正を求められる場合があります。なお、補正を求められても、補正しない場合には、具体的な審理手続を経ないで、審査請求は却下されることがあります。

(ア)処分についての審査請求の場合
  • 審査請求人の氏名又は名称(押印が必要です。)
  • 審査請求人の住所又は居所
  • 審査請求に係る処分の内容

<審査請求に係る処分の内容の例>

処分庁○○○○(例:神奈川県知事)が、○○年○○月○○日付けで行った○○○○○○○○処分

  • 審査請求に係る処分があったことを知った年月日
  • 審査請求の趣旨及び理由

<審査請求の趣旨及び理由の例>

  • 審査請求の趣旨

処分庁が行った○○○○○○○○処分を取り消すとの裁決を求める。

  • 審査請求の理由

処分庁が行った処分は、○○○○○○○○○○○○○○であるから、違法・不当である。

  • 処分庁の教示の有無及び内容

  • 審査請求の年月日

  • 審査請求期間経過後に審査請求する場合、審査請求期間を経過した正当な理由

(イ)不作為についての審査請求
  • 審査請求人の氏名又は名称(押印が必要です。)
  • 審査請求人の住所又は居所
  • 当該不作為に係る処分についての申請の内容及び年月日
  • 審査請求の年月日

イ 審査請求書の提出先

審査請求書は、次のいずれかの機関に郵送又は持参してください。

(ア)審査庁に提出する場合

〒231-8588
神奈川県横浜市中区日本大通1 担当課宛て

(担当課の例)

  • 生活保護法に基づく処分に対する審査請求:福祉子どもみらい局福祉部生活援護課
  • 児童手当や特別児童扶養手当に係る処分に対する審査請求:福祉子どもみらい局子ども未来部子ども家庭課
  • 県税に関する処分に対する審査請求:総務局財政部税制企画課
(イ)処分庁を経由して提出する場合

 審査請求書は、処分庁(審査請求に係る処分をした行政庁)を経由して提出することもできます。

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3 審査請求の審理の流れ

(1)審査請求の審理の流れ

 審査請求書提出後の審理の流れは、概ね次のとおりです。ただし、審査庁が行政委員会など神奈川県知事以外の場合及び神奈川県情報公開条例や神奈川県個人情報保護条例に基づく処分又は不作為についての審査請求の場合は、流れが異なりますので、審査請求する際に、担当課に確認してください。

[審査請求の審理の流れ]

審査請求の審理の流れ

(2)審理員指名  公正な審理を行うため、審査請求に係る処分に関与していない審査庁の職員(審理員)を指名し、その職員に審理させます。
(3)-1弁明書提出  処分庁は、弁明書(審査請求に係る処分の内容、理由等を明らかにする書面)を、審理員に提出します。
(3)-2弁明書送付  審理員は、審査請求人に対し、(3)-1の弁明書(副本)を送付します。
(3)-3反論書提出  審査請求人は、弁明書の内容に対して、反論書を審理員に提出することができます。
(3)-4反論書送付  審理員は、審査請求人から反論書の提出があった場合、反論書(副本)を処分庁に送付します。
(3)-5審理  審理員は、審査請求人や処分庁等から提出された書面等に基づき、審理を行います。事実確認や処分の適法性の検討等を行うため、個別の案件ごとに審理に要する期間は異なります。
(3)-6終結通知  審理員は、必要な審理を終えたときは、審査請求人及び処分庁に対し、その旨及び審理員意見書を審査庁に提出((4))する予定日を通知します。
(4)審理員意見書提出  審理員は、審理員意見書(審査庁がすべき裁決に関する意見書)を作成し、事件記録とともに審査庁に提出します。
(5)神奈川県行政不服審査会への諮問  審査庁は、審理員意見書の提出を受けて、裁決についての考え方を整理し、神奈川県行政不服審査会に諮問(意見を求めること)します。また、審査請求人に諮問した旨を通知し、併せて審理員意見書の写しを送付します。

 ただし、法令上諮問を要しない場合や審査請求人から審査庁に対して諮問を希望しない旨の申出があった場合には、諮問は行いません。

(6)神奈川県行政不服審査会における調査審議、答申  神奈川県行政不服審査会は、審査庁からの諮問を受けて、調査審議を行った上で、審査庁に対し答申(意見を申し述べること)します。また、答申書の写しを審査請求人に送付します。
(7)裁決  審査庁は、神奈川県行政不服審査会からの答申を受けたときは(諮問を要しない場合にあっては(4)の審理員意見書が提出されたとき)、裁決(審査請求に対する審査庁の判断(最終結論))をし、裁決書の謄本を審査請求人及び処分庁に送付します。(審理員意見書や答申は、審査庁の判断を法的に拘束するものではないため、裁決(審査庁の最終結論)が審理員意見書や答申と異なることがあります。)

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(2)審理員候補者

 本県においては、次の者が審査庁から審理員として指名されます。

所属部署 審理員となるべき者の職

政策局政策部政策法務課
行政不服審査グループ

主査
主事
非常勤事務嘱託

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(3)神奈川県行政不服審査会

 審査庁が裁決をするに当たって、一定の場合(※)を除き、第三者機関である神奈川県行政不服審査会に意見を聴く(諮問)こととされています。
 本県の審査会は、9名の学識経験者及び弁護士から構成され、審理員が行った審理手続の適正性や、法令解釈を含めた審査庁の裁決に係る判断の妥当性について調査審議し、審査庁に対してその結果を報告(答申)します。
 詳しくは、神奈川県行政不服審査会条例のほか、次の審査会のページをご参照ください。

※審査会への諮問がされない場合

  • 審査庁が知事以外の場合
  • 審査請求に係る処分をしようとするときに他の法律等に基づき他の審議会等の議を経ている場合
  • 裁決しようとするときに、他の法律等に基づき他の審議会等の議を経て裁決しようとする場合
  • 審査請求人が諮問を希望しない場合
  • 審査会において諮問を要しないものと認められたものである場合
  • 審査請求が不適法であり却下する場合
  • 審査請求に係る処分の全部を取り消すなどの場合

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(4)裁決

 審査庁は、神奈川県行政不服審査会からの答申を受けたときは(諮問を要しない場合にあっては審理員意見書が提出されたとき)審査請求に対する審査庁の判断として裁決をします。裁決には、それぞれ次の3つの種類があり、審査庁は、裁決書においてそのいずれかを示し(主文)、その判断に至った理由を示します。

ア 処分についての審査請求の場合

認容  審査請求が適法にされ、かつ、これに理由があり、処分が違法又は不当であるとして、処分の全部若しくは一部を取消し、又は処分を変更する裁決。ただし、審査庁が処分庁の上級行政庁又は処分庁のいずれでもない場合、処分を変更することはできません。
 また、申請に対して一定の処分(その申請を認容する等)をすべきものと認めるときは、審査庁が処分庁の上級行政庁である場合は処分庁に対し一定の処分をすべき旨を命じ、審査庁が処分庁である場合は一定の処分をする措置をとります。
棄却  審査請求は適法にされたが、審理の結果、審査請求に理由がないときにする裁決。

却下

 審査請求が期間経過後にされたものである場合など、審査請求が不適法であるときにする裁決。処分が違法又は不当かどうかの判断はしません。

イ 不作為についての審査請求の場合

認容  審査請求が適法にされ、かつ、これに理由があり、不作為が違法又は不当であると宣言する裁決。
 また、申請に対して一定の処分をすべきものと認めるときは、審査庁が不作為に係る行政庁の上級行政庁である場合は不作為に係る行政庁に対し一定の処分をすべき旨を命じ、審査庁が不作為に係る行政庁である場合は一定の処分をする措置をとります。
棄却  審査請求は適法にされたが、審理の結果、審査請求に理由がないときにする裁決。
却下  申請から相当の期間が経過しないでされたものである場合など、審査請求が不適法であるときにする裁決。不作為が違法又は不当かどうかの判断はしません。

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4 行政不服審査法の改正

 行政不服審査法は、昭和37年の制定以来約50年ぶりに抜本的に改正され、上記の新しい審理制度が平成28年4月1日から開始されました。

 主な改正内容は次のとおりです。

 ○審理員による審理手続の導入

  • 処分に関与しない審査庁の職員(審理員)が処分庁と審査請求人の主張を公平に審理

 ○第三者機関(審査会)への諮問手続の新設

  • 有識者からなる第三者機関が審査庁の判断をチェック

 ○不服申立ての手続を審査請求に一元化など

  • 改正前の異議申立てと審査請求を改正後は審査請求に一元化
  • 審査請求期間を3か月に延長(改正前:60日)

行政不服審査法改正により、手続が変更されたことを示す図。

 制度の詳細は、総務省のHPを参照してください。

 総務省HP

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