ボート(パラリンピック)

掲載日:2018年6月20日

競技会場

海の森水上競技場(東京都)

競技概要

競技用のボートに乗り、ブイで仕切られた6つの直線コースで競う。スタートの合図で同時にボートを漕ぎ出し、ボートの先端がフィニッシュラインを通過した順に順位がつけられる。レースの距離はリオデジャネイロ2016大会までは1,000メートルだったが、2017年にオリンピックと同じ2,000メートルに変更された。

種目はボートの種類別に、シングルスカル(1人乗り)、ダブルスカル(2人乗り)、舵手つきフォア(5人乗り4人漕ぎ)の3種目で、それぞれ対象となる障がいが規定されている。障がいクラス名も2017年から変更された。ルールはオリンピックとほぼ同じだが、シングルスカルとダブルスカルは下肢に障がいのある選手が対象なので、一般のボートとは異なりシートが固定されており、基本的に腕など上半身のみで漕ぐ。

障がいクラス

 クラス  漕ぎ方と対象となる障がい
 PR1(旧AS)  体幹は使えず、腕と肩のみでボートを漕ぐ。自足歩行ができない人。
 PR2(旧TA)  胴体と腕・肩を使ってボートを漕ぐ。下肢切断など。
 PR3(旧LTA)  脚と胴体、腕・肩を使ってボートを漕ぐ。切断、視覚障がいなど。

新クラス名は2017年より適用

種目

  • PR1 シングルスカル(男子/女子)
  • PR2 ダブルスカル(混合)
  • PR3 舵手つきフォア(混合)

競技の魅力・見どころ

ボートがパラリンピックの正式竸技となったのは北京2008大会からで、比較的歴史の浅い競技といえる。

パラリンピックでの実施種目は、シングルスカル(1人乗り)、ダブルスカル(2人乗り)、舵手つきフォア(4人乗り)の3つ。シングルスカルは男女別で行われ、ダブルスカルは男女のペア、舵手つきフォアの漕手は男女2名ずつのチームで編成される。

シングルスカルは下肢に障がいがあり、体幹が使えない選手が対象となるため、バランスがとりやすいようボートの両脇に補助用の浮きがついている。シートは固定されて動かず、また、背もたれがあり身体をベルトで固定するようになっている。オールは左右1本ずつ持ち、両手で漕ぐ。

ダブルスカルもシートは固定されているが、背もたれはなく体幹を使って漕ぐことができる。オールはシングルスカル同様、各選手が左右1本ずつ持ち、両手で漕ぐので、2人のタイミングを合わせる難しさがある。

舵手つきフォアは男女2名ずつの漕手に加え、舵取り役のコックスも同乗し、5人で一組となる。オリンピックで使うボートと同様にシートはスライディング式で、膝の曲げ伸ばしも使うことができ、1人1本のオールを両手で持ち、左右交互に座って漕ぐ。身体障がいと視覚障がいという異なる組み合わせでのチーム戦もボート競技の面白いところ。舵手つきフォアは4選手の呼吸や漕ぐスピード、タイミングなどをそろえることが重要だ。コックスが多くの役割を担い、号令をかけて漕手の動きを合わせたり、ボートが波や風の影響でまっすぐ進まない場合に舵を切って進路をコントロールしたりする。コックスは健常者が務めてもよく、漕手がボートで乗る位置などはチーム戦略に合わせて自由に設定できる。

シングルスカルは個人技や身体能力の競い合いが魅力。ダブルスカルと舵手つきフォアはさらにコンビネーションもポイントで、息の合ったチームワークも見どころだ。

2020に向けた競技の展望

パラリンピックのボート競技は、国際ボート連盟(FISA)が統括しており、世界選手権やワールドカップ、各国内大会などでは健常者の大会にパラリンピックのボート競技が組み込まれて実施されている。2017年のルール変更によってレースの距離が1,000メートルから2,000メートルに延長され、オリンピックと同じになった。東京2020大会も2,000メートルコースで行われることが決定している。

1,000メートルは陸上競技の短距離走に匹敵するイメージであるのに対し、2,000メートルは中長距離走のそれであり、強度だけでなく、駆け引きなど戦術もより必要となってくる。

また、距離は2倍だが、身体への負担は単純に2倍ではないだろう。上半身だけでボートを漕ぐ選手にどんな影響を及ぼすのか未知数の部分も大きい。今後、トレーニングデータの蓄積や生理学的研究、分析などが待たれるところだ。

パラリンピック競技のボートはメンバー構成が変わりやすいので、世界ランキング制度はなく、パラリンピックの出場権は大会での順位でその都度決められる。まず、パラリンピック前年に行われる世界選手権の上位国(人数は大会ごとにFISAが決定)に与えられる。続いて、翌年(パラリンピック開催年)の世界最終予選の上位国に与えられ、さらに大陸バランスなどが検討され、FISAが「推薦枠」を与える。また、過去のパラリンピックでは、「開催国枠」が設定された。

世界情勢としてはオリンピックのボート強豪国が、パラリンピックでも強い傾向にある。特にイギリスは、リオデジャネイロ2016大会の全種目でメダル(金メダル3、銅メダル1)を獲得している。続いて、フランスやアメリカ、カナダなどの欧米勢に、アジア王者の中国が絡む。

注目選手の1人は、リオデジャネイロ2016大会の女子シングルスカルで優勝したレイチェル・モリス(イギリス)。病気のため両下肢を切断した選手で、元は北京2008大会で金メダルも獲得した自転車競技の選手だ。ロンドン2012大会後、ボート競技に転向し、わずか3年でボートでも世界の頂点に立った。ボート競技は彼女のように他競技からの転向者や複数競技に挑む選手も比較的多い。

リオデジャネイロ2016大会以降、大きな変化となる距離の延長がどのような影響を及ぼすのか、選手構成によるチームワーク強化など東京2020大会に向けて世界情勢に変動はあるのか、目が離せない。

<日本>
日本は北京2008大会でダブルスカルに出場し、ロンドン2012大会は女子シングルスカル、リオデジャネイロ2016大会でもダブルスカルと連続して代表を派遣している。ただし、過去3大会いずれも推薦枠での出場であり、東京2020大会では自力での出場権獲得を目指している。
潜在的な竸技人口は100名ほどだが、うち竸技志向者は約30名で、強化選手となるとかなり絞られるため、選手強化と並行し、競技の普及や選手発掘も精力的に進められている。地元東京での日本選手の活躍が期待される。

(公益財団法人)東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会公式サイトより転載
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