パワーリフティング(パラリンピック)

掲載日:2018年8月6日

競技会場

東京国際フォーラム(東京都)

競技概要

パワーリフティングは重りのついたバーベルを押し上げ、その重量を競う競技の総称だ。そのうちパラリンピックでは、台上に仰向けに横たわった状態からバーベルを押し上げるベンチプレス競技が行われている。特に下肢に障がいのある選手を対象としているため、腕や肩、胸など上半身の筋力だけが武器だ。上半身だけで、自身の体重の約3倍の重量を持ち上げる選手もいる。

東京1964大会からパラリンピックの正式競技となったが、当時はウエイトリフティングという名称で行われ、さらに脊髄損傷の男子選手のみ出場が認められていた。ソウル1988大会からパワーリフティングという名称に変更され、脳性まひやポリオ、下肢欠損など、対象とする障がいも拡大された。シドニー2000大会からは女子の部も実施されるようになり、近年、競技選手は110カ国以上に広がっている。

東京2020大会では男女各10階級が実施される予定だ。ルールはオリンピックで行われているウエイトリフティングとほぼ同じで、試技は一人1回ずつ順番に行い、3回の試技で最も重いバーベルを挙上した選手が勝者となる。また、障がいの内容や程度によるクラス分けはなく、試合は体重別で行われる。男女各10階級に分かれるが、下肢の一部を切断している選手は、切断の範囲に応じて選手自身の体重に一定の重さを加算した重量で分類される。

種目

  • 49kg級(男子)
  • 54kg級(男子)
  • 59kg級(男子)
  • 65kg級(男子)
  • 72kg級(男子)
  • 80kg級(男子)
  • 88kg級(男子)
  • 97kg級(男子)
  • 107kg級(男子)
  • 107kg超級(男子)
  • 41kg級(女子)
  • 45kg級(女子)
  • 50kg級(女子)
  • 55kg級(女子)
  • 61kg級(女子)
  • 67kg級(女子)
  • 73kg級(女子)
  • 79kg級(女子)
  • 86kg級(女子)
  • 86kg超級(女子)

競技の魅力・見どころ

選手がベンチプレス専用の台に仰向けに横たわった状態で、試合が開始される。台は長さ2.1メートルで最大幅は61センチメートル。上半身部分の幅30センチメートル。高さは床から48センチメートルから50センチメートルまでとなる。一般のベンチプレス競技では足を床に着けた状態で行うが、パラリンピックでは足も台に乗せた状態で行われるので、足でふんばることができない。バランスを保つため、足をベルトで固定することもあるものの、足を床につけない状態での競技がいかに難しいか想像してみよう。

続いて、選手はラックから外したバーベルを腕が完全に伸びた状態で支える。そして審判の指示でバーベルを胸の位置で止めて、肘を真っ直ぐに伸ばしながら元の位置まで一気に押し上げる。

左右どちらかに傾いたりせず、正しい姿勢でバーベルを上げたまま静止し、主審が「ラック」と合図したらバーベルをラックに戻す。試技は3人の審判によって判定され、白いランプが2個以上点灯すれば成功。逆に、赤いランプが2個以上点灯すれば不成功を意味する。鍛え上げられた筋肉と一瞬の集中力が試される会場は独特の緊張感に包まれ、成功を示すランプが点滅すると、大歓声がこだまする。

選手はこの試技を3回行うことができる。申告した重量の少ない選手から1回ずつローテーションし、3回目の試技を終えた時点で最も重い重量を持ち上げた選手が勝ちとなる。

厳しいトレーニングよって見事に鍛え上げられた上半身、特に胸、肩、腕の三頭筋などの発達も見どころ。パラリンピックの中でも多くの観客を集める人気競技の一つだ。

2020に向けた競技の展望

競技の世界的な普及もあり、中東諸国やアジア、アフリカなど強豪国も幅広く、競技歴の長いベテラン選手も少なくない。

リオデジャネイロ2016大会で話題の中心だった選手はシアマンド・ラーマン(イラン)だ。男子107kg超級を制し、自身2個目のパラリンピック金メダルを手にしただけでなく、自身のもつ世界記録も大きく塗り替えた。その記録はなんと310キログラム。健常者のパワーリフティングの世界記録を20キログラム以上も上回る驚異的なものだったのだ。

1988年生まれのラーマンが競技を始めたのは2008年。体格と素質のアドバンテージから、すぐに世界の舞台で頭角を現し、2010年世界選手権で銀メダル(100kg超級)、ロンドン2012パラリンピックでは金メダル(100kg超級)を獲得。同年春には世界新記録(291キログラム)も樹立した。以来、前人未到の300キログラムを目標としてきた。リオデジャネイロ2016大会では試技1回目で270キログラムを簡単に成功させると、2回目で早くも300キログラムに挑戦。成功を示す緑のランプが点灯すると、ラーマンの顔に笑顔が広がり、会場も大歓声に包まれた。3回目に305キログラムを挙げて金メダルを確定させ、4回目に挑む。310キログラムまで一気に記録を伸ばすと、会場の興奮は最高潮に達した。ラーマンの次なるターゲットは350キログラムだという。東京2020大会でどこまで記録を伸ばすのか興味は尽きない。

女子では、パラリンピック3連覇中の絶対女王、アマリア・ペレス(メキシコ)だ。1977年生まれのペレスは競技歴20年以上で、パラリンピックはシドニー2000大会から出場。輝かしい実績を誇る彼女はメキシコで最も著名なパラアスリートの一人だ。北京2008大会では52kg級、ロンドン2012大会では60kg級を制し、55kg級で出場したリオデジャネイロ2016大会では130キログラムを挙げ、世界記録を更新した。40代で迎える東京2020大会でも、さらなる進化が期待されている。

<日本>
日本選手はアトランタ1996大会から出場しており、過去に入賞選手も輩出。東京2020大会ではメダル獲得を目指し、強化が進められている。日本パラパワーリフティング連盟は2017年度、強化指定選手として16名(うち女子1)、次世代育成選手として9名(男子7、女子2)を指定。2016年に京都府城陽市に新設された常設の練習拠点で定期的に合宿を開いたり、海外からトップコーチを招いての練習会を行うなど、東京2020大会での躍進を期す。

 

(公益財団法人)東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会公式サイトより転載

選手紹介 インタビュー

三浦 浩(みうら ひろし)さん -パワーリフティング 49キロ級-

三浦選手

※画像をクリックするとyoutubeで視聴できます。

≪プロフィール≫

1964年10月14日生まれ。2002年、ライブスタッフの仕事中の事故により、下半身不随となる。2004年のアテネパラリンピックの記事を読み、パワーリフティングと出会う。2008年の北京パラリンピック代表は逃すものの、2012年のロンドンパラリンピックに初出場し9位。2016年のリオパラリンピックでは5位入賞を果たした。東京パラリンピックでは、パワーリフティングで日本人初のメダルに期待がかかる。

(主な成績) 

競技種目:パワーリフティング 49キロ級

  • 16年9月 リオパラリンピック出場 第5位
  • 16年6月 ジャパンカップ選手権大会 優勝
  • 15年7月 IPCアジアオープンパワーリフティング選手権大会アジア 4位
  • 15年4月 IPF世界マスターズベンチプレス選手権大会 優勝
  • 14年10月 アジアパラ競技大会 第8位
  • 14年4月 IPCパワーリフティング世界選手権 第11位
  • 12年8月 ロンドンパラリンピック出場 第9位 

 

インタビュー -継続は力なり-

インタビュー全文(PDF:209KB) / テキスト版はこちらをご覧ください(ワード:26KB)

三浦選手サイン

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