馬術(パラリンピック)

掲載日:2018年6月20日

競技会場

馬事公苑(東京都)

競技概要

馬術は欧米で人気のあるスポーツで、パラリンピックではアトランタ1996大会から正式競技として採用されている。対象は肢体不自由の選手と視覚障がいの選手。男女の別はなく、障がいの内容や程度に応じてグレードIからVまで5つのクラスに分かれて競う。

オリンピックの馬術とは異なり、パラリンピックでは技の正確さや演技の美しさを競う馬場馬術(ドレッサージュ)種目のみが行われる。

種目として、個人課目と、選手3名で構成される団体課目(音楽付き)がある。また、個人課目の結果が上位の選手のみが出場できる「馬のバレエ」とも呼ばれ、選手が考えたオリジナルな動きのパターンを組み合わせ音楽に合わせて乗りこなす自由演技課目の3つがある。

勝負は5名の審判の採点によって決められ、歩様やステップの正確性、乗り手と馬の一体感などが評価の対象となる。

種目

  • 個人課目

グレード I (混合)

グレード II (混合)

グレード III (混合)

グレード IV (混合)

グレード V (混合)

  • 団体課目(音楽付き)

団体課目(音楽付き)(混合)

  • 自由演技課目

グレード I (混合)

グレード II (混合)

グレード III (混合)

グレード IV (混合)

グレード V (混合)

競技の魅力・見どころ

人馬一体の華麗な演技を競う馬場馬術。パラリンピックではオリンピックと同様に男女混合での採点競技で行われるが、障がいの内容や程度により、5つのクラスに分かれて競う。クラスごとに求められる技術レベルが異なり、障がいを補うための馬具の使用や改造なども認められている。

リオデジャネイロ2016大会までは、クラスは障がいが重い方から順に、グレードIa、グレードIb、グレードII、グレードIII、グレードIVの5つだったが、2017年からグレードI、II、III、IV、Vに変更され、東京2020大会も新しいクラス分けで実施される。

馬場は、グレードIVとVはオリンピックと同じ20メートル×60メートルのサイズで、グレードIからIIIは少し小さい20メートル×40メートルの馬場を使う。選手はこの馬場内で決められたコースを移動しながら、図形などを描き、馬を操る技術レベルを審査される。最も基本的な技術の「常歩(なみあし)」、対角線上の肢が交互に2拍子のリズムで動く「速歩(はやあし)」、スピードのある「駈歩(かけあし)」、さらに高度な、前肢と後肢が異なる軌跡を描く「二蹄跡運動(にていせきうんどう)」がある。グレードIは常歩、グレードIIは常歩と速歩など、クラスによって求められる技術レベルが異なる。

馬場の周囲にアルファベットなどのマークが記され、例えば「B→E→Kの順に常歩で」といった指示に従って馬をコントロールする。馬場を囲むように5人の審判員が座っており、動きの正確さ、馬の頭の位置など項目ごとに採点シートに点をつけていく。順位は各審判員の採点を満点で割ったパーセンテージで決まる。

視覚障がいの選手はグレードIVやVにクラス分けされるが、「コーラー」がマークの位置を声で知らせ、競技をサポートする。コーラーは最大13人までつけられる。高次脳機能障がいなどで記憶障がいがある選手は、「コマンダー」が馬場外からコースを逐次伝えることができる。こうしたアシスタントとのチーム戦も見どころだ。

選手はヘルメットやジャケットの着用が義務付けられる。まひや切断のため下半身の支えがない状態でも、選手はバランスよく鞍に乗って騎乗するので、障がいは見えにくいが、ブーツの中は義足の場合もある。選手の障がいや症状は一人一人違うので、障がいに応じて改造した特殊な馬具の使用が認められている。例えば、鞍や手綱、鐙など人と馬をつなぐ道具は選手の身体状況に合わせ、安全第一の工夫が認められている。鞍には補助ベルトや背あてを付けたり、手の障がいで手綱を握れない選手は手綱の先に輪(ループ)をつけたり、口でくわえたり、足の指で握ったりする選手もいる。下半身まひの選手は馬の制御のため、1~2本の鞭を使用できる。道具の改造・使用も演技の出来を左右する重要なプロセス。注目すべきポイントの一つだ。

馬術においては、素質が高く美しい馬との出会いが大切だが、さらに乗り手との相性の良さも重要だ。言葉を交わすことはできないが、一緒に同じ時間を過ごしてコミュニケーションをとり、馬の性格や能力を理解し、尊重することで演技を創りあげていく。人と馬との信頼関係を築き、呼吸と気持ちを合わせ、同調性を高めることが欠かせない。

2020に向けた競技の展望

パラリンピック出場には、既定の国際大会を転戦し、出場条件となるパーセンテージを得る必要がある。リオデジャネイロ2016大会以降は、「選手のみの出場資格」から「選手と馬のコンビネーションでの出場資格」に要件が変更され、選手が同じ馬を各地の競技場に輸送する必要があり、日本などの島国にとってはクリアすべき課題が増えた。

歴史的に馬術の人気が高いヨーロッパ地域の国が強く、特にイギリスは馬術大国として知られ、個人種目で多数のメダリストを輩出しており、団体戦でも連覇を続けている。他に、オランダやドイツなども上位に食い込む他、近年は南アフリカやシンガポール、アメリカなども力をつけている。東京2020大会では開催国の日本を含め、ヨーロッパの牙城を他の国が崩せるか、注目される。

強豪イギリス選手の中でも英雄であり、世界的にも名選手とされるのが、リー・ピアソンだ。1974年に難病を抱えて生まれ、歩行も困難だが、パラリンピックでは金メダル11個を含む14個のメダルを獲得している。初出場となったシドニー2000大会でチャンピオンシップ、フリースタイル、チームの3冠を果たして以来、北京2008大会まで3大会連続で達成。地元開催だったロンドン2012大会ではケガの影響もあり、金メダルはチームのみに終わるも、リオデジャネイロ2016大会ではフリースタイルの金メダルに返り咲く。

ロンドン2012大会とリオデジャネイロ2016大会の2大会でピアソンの金メダルを阻んだのが、ペポ・パック(オーストリア)だ。元オリンピックの馬術選手で、2008年に不慮の事故で下半身麻痺となり、パラリンピックの馬術に転向した。東京2020大会では、2人のライバル関係にも注目だ。

<日本>
リオデジャネイロ2016大会には宮路満英(グレードII(ローマ数字の2))のみが出場した。ホスト国となる東京2020大会に向け、宮路やアテネ2004大会代表の鎮守美奈(グレードI(ローマ数字の1))らに加え、事故や病気により馬術選手や競馬の騎手からパラ馬術に転向してきた選手など強化指定選手も増えている。元全日本馬場馬術選手権大会優勝者でオリンピックを目指していたが、2016年に事故で脚に障がいを負った中村公子(グレードV(ローマ数字の5))もその一人だ。開催国として4つの出場枠を得ている日本は2020年、厚みを増した陣容で躍進を目指す。

(公益財団法人)東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会公式サイトより転載
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