水質基準項目

掲載日:2018年5月10日

水質基準項目(51項目)

 

分類   項目 基準値 検査方法 主な
用途
項目説明
細菌 1 一般細菌 100個/mL以下 標準寒天培地法  
消毒効果の確認や一般的清浄度を示す指標となります。河川水では、降雨によっても値が高くなりますが、地下水での上昇は微生物汚染が生じた可能性を示します。
平常時は水道水中には極めて少ないのですが、著しく増加した場合には生物的汚染が生じている疑いを示します。
2 大腸菌 検出されないこと 特定酵素基質培地法  
水系感染症の主な原因菌が人を含む温血動物の糞便を由来とすることから、水道の微生物学的安全性を確保するためには糞便汚染を検知することが極めて重要になります。つまり、水道水の品質保証という観点から糞便汚染の検知には高い精度が求められますことから、大腸菌は糞便汚染の指標として適当とされています。
無機物質/重金属 3 カドミウム及びその化合物 0.003mg/L以下 ICP-MS法 電池
メッキ
顔料
河川水等で検出されることはまれですが、鉱山排水、工場排水や下水処理場のスラッジが廃棄された土壌などから混入することがあります。イタイイタイ病の原因物質として知られています。
4 水銀及びその化合物 0.0005mg/L以下 還元気化-原子吸光光度法 乾電池
温度計
歯科材料
硫化水銀鉱床地帯などの自然環境に由来するほか、工場排水、農薬、下水などの混入によって河川水等で検出されることがあります。有機水銀化合物は水俣病の原因物質として知られています。
5 セレン及びその化合物 0.01mg/L以下 ICP-MS法 半導体材料
顔料
薬剤
生体微量必須元素ですが、濃度が高くなると中枢神経系に障害が起こります。鉱山排水や工場排水などの混入によって河川水等で検出されることがあります。
6 鉛及びその化合物 0.01mg/L以下 ICP-MS法 鉛管
蓄電池
活字
ハンダ
土壌などの自然環境に由来するほか、鉱山排水や工場排水などの混入によって河川水等で検出されることがあります。水道水中で検出される鉛は、軟水やpHの低い水において鉛管からの溶出に由来することがあります。
7 ヒ素及びその化合物 0.01mg/L以下 ICP-MS法 合金
半導体材料
防腐剤
鉱泉などの自然環境に由来するほか、鉱山排水、工場排水や農薬などの混入によって河川水や地下水などで検出されることがあります。
8 六価クロム化合物 0.05mg/L以下 ICP-MS法 メッキ
顔料
製革
環境中に天然に含まれるクロムは三価のものに限られ、六価のクロムは鉱山排水や工場排水などの混入によって河川水等で検出されることがあります。
9 亜硝酸態窒素 0.04mg/L以下 イオンクロマトグラフ法(陰イオン)  

窒素肥料、腐敗した動植物、家庭排水、下水等に含まれる窒素化合物が、水や土壌中で酸化及び還元を受け、亜硝酸性窒素等になります。メトヘモグロビン血症を発症させます。副腎、心臓等に影響を与えるとされています。

10 シアン化物イオン及び塩化シアン 0.01mg/L以下 IC-PC法 害虫駆除剤
メッキ
水道水源の毒性物質汚染を判断する指標です。工場排水などの混入によって河川水等で検出されることがあります。浄水場では、魚類監視水槽によって常時監視を行っています。シアン化カリウムは青酸カリとして知られています。
11 硝酸態窒素及び亜硝酸態窒素 10mg/L以下 イオンクロマトグラフ法(陰イオン) 無機肥料
化学工業
防腐剤
硝酸塩は、窒素化合物が土壌や水中の細菌によって分解されて生じた最終生成物で、亜硝酸塩は分解過程の途中の生成物です。窒素肥料、腐敗した動植物、生活排水、下水などの混入によって河川水等で検出されます。高濃度に含まれると幼児にメトヘモグロビン血症(チアノーゼ症)を起こすことがあります。
12 フッ素及びその化合物 0.8mg/L以下 イオンクロマトグラフ法(陰イオン) ガラス繊維
半導体の製造
練り歯磨きの添加剤
土壌などの自然環境に由来するほか、工場排水などの混入によって河川水等で検出されます。適量摂取は虫歯の予防効果があるとされていますが、高濃度に含まれると斑状歯の症状が現れることがあります。
13 ホウ素及びその化合物 1.0mg/L以下 ICP-MS法 ガラス工業
金属表面処理
動物実験で有害とされています。自然由来のホウ素は火山地帯の地下水などで見られます。
  14 四塩化炭素 0.002mg/L以下 P・T-GC-MS法 フロンガス
の原料
揮発性有機化学物質で、化学合成原料に使用されています。排水溝等から漏出すると、土壌から地下水に移行します。(地下水中では長期間留まり、深層地下水等でも検出されることがあります。)
15 1,4-ジオキサン 0.05mg/L以下 P・T-GC-MS法 溶剤
溶剤や1,1,1-トリクロロエタン安定剤などに使用されています。ポリオキシエチレン系非イオン界面活性剤及びその硫酸エステルの製造工程で副生成物として作られます。洗剤などの製品中に不純物として存在しています。
一般有機化学物質 16 シス-1,2-ジクロロエチレン及び
トランス-1,2-ジクロロエチレン
0.04mg/L以下 P・T-GC-MS法 溶剤
香料
ラッカー
化学合成原料や塗料、ドライクリーニング等に使用されています。排水溝等から漏出すると、土壌から地下水に移行します。地下水中では長期間留まり、深層地下水等でも検出されることがあります。
17 ジクロロメタン 0.02mg/L以下 P・T-GC-MS法 殺虫剤
塗料
ニス
化学合成原料や塗料等に使用されています。排水溝等から漏出すると、土壌から地下水に移行します。地下水中では長期間留まり、深層地下水等でも検出されることがあります。
18 テトラクロロエチレン 0.01mg/L以下 P・T-GC-MS法 ドライクリーニングの溶剤
化学合成原料や塗料、ドライクリーニング等に使用されています。排水溝等からの漏出により土壌から地下水に移行します。地下水中では長期間留まり、深層地下水等でも検出されることがあります。
19 トリクロロエチレン 0.01mg/L以下 P・T-GC-MS法 溶剤
脱脂剤
化学合成原料や塗料、金属類の脱脂洗浄等に使用されています。排水溝等から漏出すると、土壌から地下水に移行します。地下水中では長期間留まり、深層地下水等でも検出されることがあります。
20 ベンゼン 0.01mg/L以下 P・T-GC-MS法 染料
合成ゴム
化学合成原料や塗料、ドライクリーニング等に使用されています。排水溝等から漏出すると、土壌から地下水に移行します。地下水中では長期間留まり、深層地下水等でも検出されることがあります。
消毒副生成物 21 塩素酸 0.6mg/L以下 イオンクロマトグラフ法(陰イオン) 除草剤
酸化剤
草の除草剤、分析用試薬、酸化剤、パルプ漂白用二酸化塩素の原料、ウラン抽出、染色、金属表面処理剤、爆薬、マッチ、花火などに使用されます。水道では、消毒用の次亜塩素酸ナトリウムの中に微量含まれています。
22 クロロ酢酸 0.02mg/L以下 LC-MS法  
除草剤、チューインガム可塑剤、塩化ビニル可塑剤、医薬品、アミノ酸等合成、CMC、香料、キレート剤、界面活性剤として使用されています。水道においては、クロロ酢酸などのハロゲン化酢酸類は、水道原水中の有機物質や臭素及び消毒剤(塩素)が反応し生成される消毒副生成物質の一つです。
23 クロロホルム 0.06mg/L以下 P・T-GC-MS法  
フミン質(屎尿、下水処理水やパルプ工場廃液などの高分子有機化合物を含んだ水や、自然界に存在する植物等が微生物によって分解されて出来た有機物質)を含む原水を塩素消毒すると、その副生成物としてクロロホルムなどのトリハロメタンが生成されることがあります。
24 ジクロロ酢酸 0.03mg/L以下 LC-MS法  
浄水処理過程で水中のフミン質及び類似物質が存在するとき、塩素処理又はオゾン処理を行うとジクロロ酢酸が生成されます。
25 ジブロモクロロメタン 0.1mg/L以下 P・T-GC-MS法  
フミン質を含む原水を塩素消毒すると、その副生成物としてジブロモクロロメタンなどのトリハロメタンが生成されることがあります。
26 臭素酸 0.01mg/L以下 IC-PC法  
オゾン処理時及び消毒剤としての次亜塩素酸生成時に不純物の臭素が酸化され、臭素酸が生成します。臭素酸カリウムは小麦粉改良材、臭素酸ナトリウムは分析用試薬、毛髪のコールドウェーブ用薬品に使われたことがあります。
27 総トリハロメタン 0.1mg/L以下 P・T-GC-MS法  
水道水から検出される4種の化合物(クロロホルム、ジブロモクロロメタン、ブロモジクロロメタン、ブロモホルム)総量を総トリハロメタンといいます。メタンを構成する4つの水素原子の3つがハロゲン(塩素、臭素など)に置換された化合物です。
28 トリクロロ酢酸 0.03mg/L以下 LC-MS法  
浄水処理過程で水中の有機物質と消毒剤の塩素が反応して生成されます。
29 ブロモジクロロメタン 0.03mg/L以下 P・T-GC-MS法  
フミン質を含む原水を塩素消毒すると、その副生成物としてブロモジクロロメタンなどのトリハロメタンが生成されることがあります。
30 ブロモホルム 0.09mg/L以下 P・T-GC-MS法  
フミン質を含む原水を塩素消毒すると、その副生成物としてブロモホルムなどのトリハロメタンが生成されることがあります。
31 ホルムアルデヒド 0.08mg/L以下 誘導体化-HPLC法 殺虫剤
浄水処理過程で水中のアミン等の有機物質と塩素、オゾンなど消毒剤が反応して生成されます。
32 亜鉛及びその化合物 1.0mg/L以下 ICP-MS法 トタン板
合金
乾電池
地質によるものの場合もありますが、鉱山排水、工場排水などの混入に由来して検出されることがあります。亜鉛の毒性は比較的少なく、1mg/Lを超えるようになると白濁したり、お茶の味が悪くなることがあります。
33 アルミニウム及びその化合物 0.2mg/L以下 ICP-MS法、原子吸光光度法、ICP-AES法  
ヒトへの健康影響についてはデータが少なく判断できないので、水の色を変えないレベルで設定されています。
34 鉄及びその化合物 0.3mg/L以下 ICP-MS法、原子吸光光度法、ICP-AES法 鉄関連産業
地質由来の場合もありますが、鉱山排水、工場排水などの混入や、鉄管に由来して検出されることがあります。高濃度に含まれると異臭味(カナ気)や、洗濯物を着色する原因となります。給水管の腐食によるものが多いようです。0.3mg/L以上では赤水の原因となり、0.5mg/L以上では鉄臭さや苦味を感じます。
35 銅及びその化合物 1.0mg/L以下 ICP-MS法 電線
銅管
電池
メッキ
暖房器具
鉱山排水、工業排水、農薬などの混入や、給水装置等に使用される銅管などからの溶出に由来して検出されることがあります。高濃度に含まれると銅特有の金属味をつけることや、青色に着色する原因となります。
味覚 36 ナトリウム及びその化合物 200mg/L以下 イオンクロマトグラフ法(陽イオン) 融雪剤
苛性ソーダ
石けん
雨水や地殻にも含まれていますが、工場排水、生活排水、海水等の混入により濃度が増加します。一般的に、地下水は表流水に比べて濃度が高いようです。高濃度に含まれると味覚を損なう原因になります。
37 マンガン及びその化合物 0.05mg/L以下 ICP-MS法、原子吸光光度法、ICP-AES法 合金
乾電池
ガラス
地質から溶けたものや、鉱山排水,工場排水の混入によって河川等で検出されることがあります。水道水中にマンガンが含まれると、消毒用の塩素により徐々に酸化されて二酸化マンガンになり水道管の内壁に付着し、管内流速の変化などにより剥離して黒い水の原因になることがあります。
味覚 38 塩化物イオン 200mg/L以下 イオンクロマトグラフ法(陰イオン) 融雪剤
食品工業
医薬品
地質や海水の浸透など天然に由来するものが多く、下水、家庭排水、工場排水及びし尿などから河川への混入により増加することがあります。高濃度に含まれると味覚を損なう原因となります。
39 カルシウム、マグネシウム等(硬度) 300mg/L以下 イオンクロマトグラフ法(陽イオン) カルシウム:
肥料、さらし粉
マグネシウム:
合金、乾電池
硬度とは、カルシウムとマグネシウムの塩類の合計量をいいます。主として地質によるものですが、工場排水、下水などの河川への混入により増加します。硬度が低すぎると淡泊でコクのない味がし、硬度が高すぎると硬くてしつこい味がします。WHO飲料水水質ガイドラインでは0から120mg/Lまでを軟水、それ以上を硬水といいます。硬度の高い水は、湯沸かし器などへのスケールの付着や石けんの泡立ちを悪くします。
40 蒸発残留物 500mg/L以下 重量法  
水を蒸発させたときに得られる残留物(水に浮遊したり溶解して含まれているもの)のことで、主な成分はカルシウム、マグネシウム、ケイ酸等の塩類及び有機物です。地下水や湧水など硬度の高い水で、値が高いことがあります。自然に由来するもののほか、下水放流水や工場排水等が主な排出源です。残留物が多いと、苦み、渋みなどを付け、適度に含まれるとまろやかさを出すとされます。
発泡 41 陰イオン界面活性剤 0.2mg/L以下 固相抽出-HPLC法 合成洗剤
生活排水や工場排水などの混入に由来し、高濃度に含まれると泡立ちの原因となります。アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム(ABS)や直鎖アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム(LAS)など、家庭用合成洗剤に広く使われています。
におい 42 ジェオスミン 0.00001mg/L以下 固相マイクロ抽出-GC-MS法 アナベナ
放線菌
湖沼等で繁殖した藍藻類のアナベナが産生して異臭味の原因となります。カビ臭物質です。
43 2-メチルイソボルネオール 0.00001mg/L以下 固相マイクロ抽出-GC-MS法 ホルミディウム
放線菌
かび臭物質で墨汁のようなにおいを呈します。ある種の藍藻類と放線菌が産生する異臭物質です。
発泡 44 非イオン界面活性剤 0.02mg/L以下 固相抽出-吸光光度法 合成洗剤
家庭や産業用の洗浄剤に微量含まれています。発泡を防止する観点から、水質基準が定められています。
におい 45 フェノール類 0.005mg/L以下 固相抽出-LC-MS法 化学工場
石炭ガスプラント
フェノールやその誘導体のことで、工場排水などの混入によって、河川水等で検出されることがあります。フェノールを含む水を塩素処理すると、クロロフェノールが生成して異臭味の原因となります。
基礎的性状 46 有機物(全有機炭素(TOC)の量) 3mg/L以下 全有機炭素計測定法  
有機物は土壌に起因するほか、屎尿、下水、工場排水などの混入によって増加します。全有機炭素は有機化合物を構成する炭素の量を示すもので、TOC計を用いることによってさらに精度の高い測定を行うことができます。有機物汚染の指標に用いられます。
47 pH値 5.8以上8.6以下 ガラス電極法  
酸性、アルカリ性の指標で、pH7が中性です。7より小さくなるほど酸性が強く、7より大きくなるほどアルカリ性が強くなります。降雨、地層の影響、土壌、工業排水、汚濁物質の混入により、河川水のpHが変化します。
48 異常でないこと 官能法  
不純物の混入や微生物発生の指標です。水の味は、地質などに由来します。海水、工場排水、化学薬品、農薬等の河川への混入及び藻類等生物の繁殖により、異臭味を感じることがあります。
49 臭気 異常でないこと 官能法  
不純物の混入や微生物発生の指標です。藻類等の繁殖、工場排水、下水、農薬などの河川への混入により、異臭味を感じることがあります。
50 色度 5度以下 透過光測定法  
水についている色の程度を示すものです。基準値の範囲内であれば無色な水といえます。フミン質(落ち葉などが腐った後の残骸で、トリハロメタンなどの原因)の黄色、鉄による赤、マンガンによる黒、銅による青などの着色があります。
51 濁度 2度以下 積分球式光電光度法  
水の濁りの程度を示すものです。基準値の範囲内であれば濁りのない透明な水といえます。水道水は濁度が0.1度未満になるように浄水処理を行っています。

ICP-MS法:誘導結合プラズマ-質量分析法
ICP-AES法:誘導結合プラズマ発光分光分析法
IC-PC法:イオンクロマトグラフ-ポストカラム吸光光度法
GC-MS法:ガスクロマトグラフ-質量分析法
P・T-GC-MS法:パージ・トラップ-ガスクロマトグラフ-質量分析法
HPLC法:高速液体クロマトグラフ法
LC-MS法:高速液体クロマトグフラフ-質量分析法