更新日:2023年9月7日

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第86回神奈川県固定資産評価審議会 審議結果

審議(会議)結果

次の審議会等を下記のとおり開催した。

審議会等名称

第86回神奈川県固定資産評価審議会

開催日時

令和2年12月15日(火曜日)9時30分から11時30分

開催場所

横浜市開港記念会館2階7号会議室

出席者【会長・副会長等】

鈴木憲一【会長】、松井伸明【会長職務代理者】

木島裕子、草間時彦、柴由花、永井博、新倉敦子、

平本光男、古居みつ子

次回開催予定日

未定

所属名、担当者名

市町村課税政グループ、担当者名 張本

審議経過

  1. 会長の選任及び会長職務代理者の指名
  2. 令和3年度における固定資産(土地)の評価替えについて
  3. その他

 

〔会議記録〕
 会長の選任及び会長職務代理者の指名の後、議事に入った。

【会長・鈴木委員】
 ただいま、みなさまからのご推薦をいただきまして、会長を務めさせていただくことになりました鈴木でございます。非才の身ではございますが、みなさまのご協力をいただきまして、令和3年度における固定資産評価替えについて審議を進めてまいりたいと存じます。どうぞよろしくお願いいたします。
 会長の職務代理者につきまして、神奈川県固定資産評価審議会条例の規定により会長が指名することになっておりますので、私の方から指名させていただきます。税務行政に実際に携わっておられます横浜市財政局主税部長の松井委員に会長の職務代理者を指名させていただきたいと思います。
 松井委員よろしくお願いいたします。

 それでは、ただ今から議事の審議に移らせていただきたいと思います。
 「令和3年度における固定資産の評価替えについて」につきまして、事務局から説明をお願いいたします。

《事務局説明》

【鈴木会長】
 説明いただきどうもありがとうございました。
 ただ今事務局から「令和3年度における固定資産の評価替えについて」につきまして、ご説明いただきました。
 まず、基準宅地についての都市間の均衡について、今年度につきましては新型コロナウイルス感染症拡大の緊急事態宣言が発せられた中での1月1日から7月1日までの時点修正ということで、非常に特異な時期であったかと思います。
 こういった中で地価の均衡、時点修正の適否についてみなさんのご審議、また専門家としてのお立場からご意見等賜りながら審議していきたいと思います。
 それでは、せっかくですので皆さんからご意見を賜りたいと思います。まずは柴委員におかれては、行政手続きの効率化等について詳しいということで、固定資産の評価等についてご教授いただければと思います。

【柴委員】
 柴でございます。
 審議資料の基準宅地の横浜駅西口駅前広場の地価が大変気になるところでございます。
 上昇率が非常に高かったということで、このまま固定資産税の評価の補正等はされないということでよろしいのかということを松井委員に伺いたいと思います。また、税制改正大綱が出たばかりでまだ情報が少ない中で、どのような措置が実際に講じられるのかご教授いただければと思います。

【松井委員】
 横浜市の基準宅地につきましては、前回の平成30基準年度までは横浜駅の西口バスターミナル付近の横浜高島屋が基準宅地となっておりました。
 JR横浜タワーが西口にできまして、そちらに変更させていただいております。路線価につきましては、先ほど事務局から説明がありましたように791万円から71.9%上昇の1,360万円となっております。
 基準宅地は変わっていますが、今回のJR横浜タワーがあったところは従来から791万円でしたので、71.9%その土地が上がっているとみていただいていいと思います。
 上昇要因ですが、令和2年1月1日時点におきまして、都市再生特別地区の指定により、いわゆる横浜タワーの敷地に係る容積率が上がっております。800%から1,240%と大幅に緩和されております。
 また、当該ビルの建築工事が進み、その開業が令和2年6月頃に見込まれていたこと、さらに横浜駅周辺の再開発が続いたことによって、地域全体の収益性向上が期待されているということが要因として考えられています。
 またこうしたことを受けまして、高度商業地区としての熟成の度合いを考慮し、用途区分につきましてもこれまで「高度商業地区II(ローマ数字の2)」としていましたが、「高度商業地区I(ローマ数字の1)」というかたちで変更させていただいたところでございます。
 横浜といいますと、「高度商業地区I(ローマ数字の1)」というのは、横浜駅西口のこの辺りと東口の辺り、ちょうどスカイビルがある辺りですね。あとは、みなとみらいのメイン通りくらいですので、本当に一部でございます。
 先生からありましたようにこちらも地価は上昇傾向でしたが、コロナの関係で令和2年1月1日から7月1日までの半年間の地価動向調査を行った結果、こちらについても実は2%程地価下落が認められ、評価上は2%下落というかたちでやらせていただく予定でございます。
 先般、県からもご紹介いただいたとおり、税制改正大綱がこういったかたちで出ましたので、令和2年度も税額はそのまま据え置きとなり、こちらの地区を含め上昇している土地については、令和2年度の税額で据え置きという措置になるということですので、税収の方もそれなりの規模で地価上昇分を見込んでいたものが見込めなくなる予定です。

【鈴木会長】
 ありがとうございました。
 柴先生、いかがでしょうか。

【柴委員】
 そうすると、令和3年度の固定資産税の税額が令和2年度の税額で据え置かれると、固定資産税の評価に対しては不服申し立てできないということですか。

【松井委員】
 まだ実際の規定が来ていないので、責任もってお返事できるものはない状況です。

【柴委員】
 ありがとうございます。

【鈴木会長】
 ありがとうございました。
 私事で恐縮ですが、当事務所が今ランドマークタワーにございまして、ここ数年間で賃料がずいぶん上がりました。やはりアベノミクス効果もあって、経済も非常に良くなり、今事務所に対する需給ひっ迫ということで、ほとんどもう満室状況で、投資家から見ると非常に投資物件としては良い環境にあろうかと思います。
 あとは金利リターンがゼロ金利ということで、当面、低金利が続くということで、そういう面ではやはり、横浜の駅前やみなとみらい地区等の高度商業地については、投資家サイドから見て非常に優良な物件だということで、非常に地価が高騰しているというのもあると思いました。
 やはり、横浜市西区付近は日本を代表する商業地ということで、突出しているような状況だと思います。
 他の先生はよろしいでしょうか。
 それでは、最近の建築費の動向等、不動産にかかるコスト面から、建築のあり方等いろいろ注目されておりますので、一級建築士の古居先生にその辺を交えてご意見等賜れればと思います。

【古居委員】
 地価について。横浜駅界隈は、仕事関係でよく利用しますが、ポイントが変わっているということが前提にしても、ここまでの上昇率があるとはちょっと意外でした。
 建築工事費については、直近のデータを国交省の建築統計調査を調べてみましたが、2011年、12年は大きく下がっていますが、この7、8年は、建築単価、建築工事費が横ばいもしくは微増の水準で来ています。
 もう少し下がっているか、でこぼこしているかと思いましたが、横ばい、やや上昇傾向ということで意外でした。
 2019年の神奈川県分譲マンションの坪単価が88.4万円でした。東京だと100万円を超えていますが、2019年時点でもそこまでの単価になっており、2012年から2019年の7年間で、約4割強単価が増加しています。今後もきっと上昇していく要因の方が強いと思われますので、この水準は、結局は分譲価格に跳ね返っていくだろうと思っております。
 それと、コロナで実際の建築工事費の単価がどういう動きをしていくのかです。今年に入ってから見えておりませんが、建設技能労働者の不足で、間接的に建築工事がストップする、遅延する。それから設備機器、特に便器は、製造工場が海外にあるので入荷できない。建設単価がアップする要因が重なっていますので、今後どうなるのかという危惧はあります。
 建築工事関係ではそのような感触を昨今受けております。

【鈴木会長】
 どうもありがとうございました。
 最近労働環境の改善ということで、建築工事に携わる方が週休2日制の導入とか定着してきていると伺ったんですけど、やはりそれも要因なんでしょうか。

【古居委員】
 それもありますでしょうね。
 建設技能労働者は近年、型枠大工がいない、鉄筋工がいないということで、労働単価が上がる要因しか聞こえてきません。その部分は大きいかと思います。
 今後、海外の技能訓練生がどういう状況になってくるのか、それによるかという気はいたします。

【鈴木会長】
 ありがとうございました。
 それでは、建築費の上昇については、たとえば、事務所商業地であれば、やはり、家賃の負担力があるかとか、分譲マンションですと、やはり建築費に応じた分譲単価を維持できるかとか、そういった非常に重要な問題を孕んでいるのかなということで、今後の労働環境、所得、あとは市場の関係によって、事務所立地とか、マンション立地、戸建て立地の選別が地域によっては出てくるかなと感じ
られました。
 一方、先ほど田畑につきまして、事務局の方から基準価格等について説明がございましたが、これについて、農業関係のご専門でいらっしゃいます、平本委員いかがでしょうか。

【平本委員】
 はい、あらためて表を見させていただいて、変動率なしということで、どういう風にお話ししていいかわからないんですが、一点、昨今の状況から言いますと、特定生産緑地制度が、農業関係で大変気になるところであります。この特定生産緑地の地権者さん、所有者さんの気持ちが、コロナに関係するのも多少はあると思うのですが、かなり揺れておりまして、後継者不足も含めて、手放そうかという人もいます。
 それから、企業参入ということで、今、農業法人等の参入の話もありまして、法的に難しい面もありますが、いろいろな手続きを使って、寄附農地の再利用みたいな形のことがありまして、まだ、中間年の2年目として、地権者さんのフォローを入れています。相続税の納税猶予と、特に横浜市の場合なんかは、かなり猶予制度と絡みますので、純粋に農地を保全していくという生産緑地法に関わることと、税に関わること、その両建てで大変地権者さんは悩んでおられるところです。これが、来年・再来年で、土地の基準価格に影響するのかどうかわかりませんが、実際の所有者、土地を持っている自営の農地の所有状況というのは気になるところです。立場上、継続をしてくださいと前面に立ってやっているつもりですが、どの企業、どの業態もそうですが、続けられるかなというところで今悩んでいるところです。
 基準価格の変動率が変わらないということに対しての、答えにはならないかもしれませんが、特定生産緑地についての状況は以上です。

【鈴木会長】
 どうもありがとうございました。
 事務局からお話がありますように、単価が1,000平米あたりということで、農業生産性、収益性の見地から見たご提示かと思います。今話がございますように、農地の転用ですとか、山林の保全等、環境問題を考えますと、なかなか大変な問題が絡んでいるのかなということで、貴重なご意見賜りました。ありがとうございました。
 不動産マーケットの取引については、どうしても税の問題がございまして、相続税対策として取引きがどうなっているかとか、そういった知見について、木島委員の方から、また川崎にお住まいと伺っておりますので、その辺のマーケット等についてもお話いただければと思います。

【木島委員】
 川崎市でございますが、一応宅地については30%アップということになっております。川崎駅前にある土地でございますが、川崎は羽田との間に新しい道路をつくるとか、そういった方面もありまして、駅前を中心としてラゾーナという商業施設ができてから、非常に商業地域としての水準も上げております。駅前の、前に東芝があった所であるとかにタワーマンション等が建ちまして、そういう意味では人口が増えておりますので、駅前近くについては、ある程度納得かなと思います。川崎市全体としては、神奈川県もそうですが、やはり利便性と地価が比例しているのかなという感じがいたします。
 相続対策の前に、商業地域ということでございまして、緊急事態宣言がございましてから、サービス業、飲食業、小売業について、小売業は生活必需品関係の売り上げはかえって伸びてきていますが、一般の飲食業などはかなり業績が下がっており、ここにきて家賃の負担が大変かなということが出てまいりまして、出ていくテナントさんも増えてきているように思います。
 固定資産税につきましては、今年の4月から10月までの間に3か月間の平均で売り上げが5割以上下がりますと、来年の家屋と償却資産について減免の制度がございます。それを申請する業者は結構出てくると思いますが、土地については適用がないということで、はたしてどれだけ負担減になるかということは、正月にかけてこういう状況になってまいりましたので、小売業やサービス業は不安が大きいところだと思います。
 相続対策につきましては、数年前に事業承継税制というのが拡充され、ほとんど税金の負担がなく自社株を贈与、相続できるという制度ができ、徐々に準備を進めている業者さんはありますが、このコロナ渦におきまして、一度事業承継税制を適用いたしますと、事業を継続していかなければならないということがあり、そのつもりでやってきたけれども、このコロナ禍でそれをやるべきかどうか、改めて相続対策を考えていらっしゃるところもございます。
 ただ、このコロナ禍で、非常に事業が好調なところもございますので、そういったところは不動産投資を、川崎駅前近辺のタワーマンションといったところは相変わらず続いておりますが、非常に格差が出てきていると感じています。

【鈴木会長】
 ありがとうございました。
 やはり、今回、3密というのが非常に大きい問題でして、コロナ禍の影響で非常事態宣言が出てから、特に飲食業とか業態によっては大変な状況です。賃料の減額要請等は出ていると思いますが、現段階ですと、支払い猶予であるとか減免ということで、減額までは至っていないと聞いておりますので、今後の収束の時期はどうかということが一番大きいのかなと思っております。
 不動産鑑定評価の専門家である新倉委員いかがでしょうか。

【新倉委員】
 コロナの影響ということで、地価変動につきましても1月までと、1月から7月までというのは分け、別のものとして見ていかなければいけない、と思います。
 今お聞きした、横浜駅駅前の最高価格地点周辺が一番わかりやすいのかなと思います。すぐ横に地価調査の地点がございまして、これが地価公示と地価調査、両方の共通地点となっております。そこの価格を申し上げますと、南幸一丁目、岡田屋モアーズの所の変動率ですが、昨年の地価調査ではプラス11.5パーセント、それが今年プラス2.1パーセントとなっております。
 このプラス2.1パーセントというのを半年間の内訳で見ますと、昨年の後半はプラス4.1パーセントだったのが、今年前半、マイナス2パーセントになったということで、昨年後半のプラスが残っているので、プラスについているということになります。
 商業地、駅前とか高価格帯の所を中心に、やはりコロナの影響というのはかなりあったと思います。特に飲食業、それから箱根とか鎌倉のところが3年間でかなり上がっていますが、そのあたりはコロナでインバウンド需要がどの程度落ちたかということもあります。ここのところ横浜中華街とか鎌倉とか、人出がかなり戻っているところですが、やはり売り上げがどうなっているのか、どの程度影響があるのかというのは、非常に難しいところがあるのだろうと思います。

【鈴木会長】
 どうもありがとうございました。
 今、新倉委員の方から中華街の話が出たのですが、松井委員、やはり、かなり今回の影響は大きく出ているのでしょうか。

【松井委員】
 中華街は、やはり先ほど先生がおっしゃったように、かなり落ちており、だいたいですが7パーセントぐらい落ちています。
 横浜で一番落ちた商業地でいうと、やはり中華街のあたりということになります。
 全般的にコロナの影響は受けているところでございますが、やはり商業地で言うと中華街が落ちています。
 住宅地も、全体的に今年の1月までは平均7パーセントくらい上がっていましたが、コロナ以降ほぼ横ばい傾向です。その中でも特に横浜ですと、富裕層がいる中区の山手とかはちょっと特殊で0.4パーセントくらい上がっておりますが、基本的には横ばいから下落基調の影響を受けています。
 それはどちらかというと、先ほどお話ありました横浜で言うと東部と北部ですね。東京に近い方でございますが、横浜でも西部と南部、先ほど神奈川県さんがおっしゃったとおり東西南北問題というのがございます。西部と南部、ちょっと東京からアクセスが離れている部分については、やはり今年の1月までもアクセスが劣っていたり、丘陵地だったりという条件でかなり下落基調でしたので、特に1月以降それがさらに顕著になったという形がございます。
 工業地区についても申し上げさせていただきます。横浜ですと、横浜環状北線というのができました。首都高速の高速道路でございますが、これができた関係で、周辺工業地の、特にネット通販、貨物業者の需要が結構多いところ、つまり物流倉庫については増加が見込まれております。
 ただ、一方で、製造業系、横浜ですと金沢の方に工業団地がありますが、去年の台風で津波をかぶる等被災したということもあり、そちらの方の生産系の所が、上昇幅が縮小しておりまして、下落も大きくなっています。
 ですから、横浜も場所によって、あるいは地区によって、やはり必ずしも一様ではないということが申し上げられるのかなと思います。
 以上でございます。

【鈴木会長】
 どうもありがとうございました。
 やはり先ほど新倉委員が言われたように、1月前と後でだいぶ違います。どうしても不動産の価格というのは遅行性がございますので、コロナの影響は今後出てくるのかというふうに考えております。
 それについては実際に不動産の取引を仕事になされており、実感としてお感じになっておられます草間委員にご教授いただければと思います。

【草間委員】
 まず、評価替えの年が来年であれば良かったと実感しています。
 業界団体からの令和3年度の税制改正要望の重点項目として、固定資産税の据え置きが一番多くありました。そのなかで、今回の与党税制改正大綱において、評価替えに伴い課税額が上昇する土地の固定資産税の上昇分について据え置くことが示されました。新型コロナウイルス感染症の影響で事業者の体力が非常に低下している状況なので、固定資産税の負担増が経済の回復の負担になるのではないかと懸念をしていました。この施策は1年間据え置くということですが、今後どうなるのか非常に注目しています。また、先ほどの話で話題になった横浜駅前の地価の上昇に驚いていますが、昨年までの投資や再開発によるもので、今後コロナによる影響を受けるのではないかと推測されます。

 1月1日から7月1日の基準地価の調整という意見も、コロナの第3波でこれからどういった影響が出てくるのか。地価はこの後から影響が出てくるのではないかと思っております。特に商業地は、その地域の空室率などに大きく左右されるかと思います。
 テナントについては、先ほどからお話がありましたように飲食店は大きく影響を受けています。家賃支援給付金が1度支給されましたが、これからはさらに家賃の値引き交渉や最悪の場合は契約の解除に至るなどの影響が出てくると思います。オーナーが借り入れをして事業を営んでいるという方もおられるなか、空室が埋まらない状況なので、影響を注視しています。
 また、最近、注目しているのが郊外型の大型店舗の撤退であり新聞等でも報道されています。今後、撤退が増えていくと、ゆくゆくは地価の下落につながっていくと思います。
 不動産の取引において、横浜市、川崎市は利便性の点で高い需要がありましたが、新型コロナウイルス感染症の影響で三浦半島、県央、県西地域がテレワークができ、自然環境が良いという点から注目されています。都市部の賃料、都市部の地価を考えますと地価の安い地域に人が移っていく、実際にそのような不動産取引が増えてきてはいます。不動産価格が安くて自然環境が良く、テレワークができるという観点から、小田原の不動産業者さんから5月頃から物件の問い合わせが非常に多いとの話を聞きました。小田原は新幹線で東京まで移動でき、自然環境も良く、箱根からも近いため、こういったニーズが出てきたのかと思います。ただ、元々空いていた所に需要が戻ったという点から、この地域の地価が上がるのかは不透明です。

【鈴木会長】
 どうもありがとうございました。特に駅前の商業系ですと、飲食関係といった業態が非常に多いと思いますので、基準宅地のありかた、非常に難しい問題を孕んでいるのかなと思います。
 先ほど、松井委員からご説明ありましたように、物流関係の土地価格が非常に上がっており、道路関係のインフラ整備や横浜港湾のインフラ整備と相俟って、場合によっては郊外の店舗よりも物流用地の方が高いという傾向が最近見られます。特に、コロナ禍で、インターネットによるeコマース取引形態が出てきたということで、その辺の影響を受け土地のあり方というのも変わってきたのかなと思いました。
 先般、県の土地評価協議会の中で話題になったのですが、愛川町ですと、愛川工業団地が一番高いということで、商業地よりも高いという特異な例もありました。あとは、テレワークの働き方改革はなかなか元には戻らないのかなと思います。草間委員がおっしゃたように、地域のありかた、選考性が変わってくるのかなと思い、注視すべき問題なのかなと感じました。

 そうなると、税の問題は大きくて、今後の相続税路線価の動き、その辺の動向について、永井委員からご意見等いただければと思います。

【永井委員】
 相続税路線価について、簡潔にお話をさせていただければと思います。
 ご案内のとおり、国税では毎年7月に相続税の路線価というものをホームページ等で公開させていただいているのですが、1月1日現在の評価時点としておりまして、令和2年1月1日現在のものが7月に公開されています。地価公示価格や売買実例価額、鑑定評価額、土地評価精通者の意見価格等を基に算定した価格の8割を1つの目安として、評価をしています。現在は、令和3年分の路線価を来年の7月にまた公開するということで、現在、評定作業を進めているところです。また、基準地価格との比較については、相続税路線価は8割、固定資産税の路線価は7割というように評定されておりまして、公的な土地評価につきましては、土地基本法で相互に均衡を図るというように定められており、公的機関である相続税の路線価と固定資産税の路線価は相互バランスをとる必要があります。
 今回、相続税の路線価と固定資産税の路線価を比較したところ、評価時点がコロナで非常に難しい時期ではあるのですが、相続税は今年の1月1日、固定資産税は7月1日ということで、半年のズレがありますが、今回の価格についてはおおむね均衡がとれているのかなと思っております。
 一方で、先ほどからお話ありますように、今後どうなっていくのかと。もう12月になっていますが、コロナの影響も非常に大きくなっており、相続税の路線価については公開にあたりまして、この前の7月、第1波が過ぎたときでして、コロナの影響による社会情勢の不透明感も高まっているということで、年の途中で地価が大幅に下落したことも想定されたので、広範な地域で大幅な地価下落が確認された場合には、申告と納税の便宜を図るという方法を幅広く検討をするということで発表しておりました。それを受けまして、今般、都道府県の地価調査を国税庁において、外部機関に調査を依頼したところ、調査動向の結果が発表されたところです。
 その結論としまして、1月から6月までの間に相続等で取得した土地の値段がどうなったかというと,時価を上回る状況はなかった。つまり、2割の変動幅の中にあったということで、結局、路線価が時価を上回るようなことがなかった。2割の範囲で収まっていたということで、相続税の路線価の補正は行っておりません。ただし、今後の状況をみて、必要であれば、その対応をどうするかということについては公表すると聞いております。令和3年分の路線価につきましてもコロナの影響を踏まえまして、評定作業を行っているという状況です。

【鈴木会長】

 ありがとうございました。
 平成6年から公的土地評価の一元化ということで、公示価格を100として路線価が8割、固定資産が7割ということで、制度的に非常に整備されてきました。そのなかで、コロナの問題を土地価格の形成要因としてどのように取り扱って行くのが良いのか、皆様と情報共有しながら一元的に解決していかなければならない課題と思います。
 県の地価調査は難しい局面にあるのかなと思っております。新倉先生、何かございますか。

【新倉委員】
 先ほどは、商業地のお話だけしたので、住宅地について草間様と同じような話になってしまうのですが、どれだけコロナの影響があるのかということを考えてみますと、緊急事態宣言の2か月というのは、住宅販売が停滞しておりましたので、私たち7月1日の地価調査の価格を考えるとき、いろいろな意見が出て、本当に下がっているのか難しく、業者ヒアリングなどではそれこそ半分になってしまっているという話もあるし、どうなんだろうというなかで、若干の下落という判断になりました。
 緊急事態宣言の2か月が過ぎた後は、かなりのお客様が戻ってきたということで、緊急事態宣言で一時的に下落はしたものの、その後コロナの住宅地価格への影響を考えると、そんなに大きくはない、ほとんどないのではないかと思っております。
 住宅地の価格下落の要因というのは、先ほど横浜市の松井様のお話にありましたように、昨今の利便性による選別とか、高齢化とか、そういう要因の方が大きいということで、やはり下がっているところは下がっているというようなことになるのだと思います。
 今回のコロナ禍というのは、金融危機ではないので、富裕層への影響は小さいというなかで、横浜市の比較的南部の方を担当していますが、元々高級な住宅地だったところがなぜ下がっているのか、富裕層への影響がない、コロナの影響もないといいながら、下落率が大きくなっているということを言われることもありますが、やはり高齢化が進み、画地規模が大きくて総額が張ってしまうというあたりが時代のニーズに合っていないということで、下落幅が多少広がっていても、特にそれはコロナの影響とは思っておりません。
 ただ、これからコロナの影響でボーナスが下がった企業があるとか、そういうところで若い世代の消費マインドが落ちてくるとなると、中価格帯、低価格帯の住宅地も、これからが危ないのかなと思っております。先ほどの、草間様のお話と同じように、テレワークできるからということで、郊外に、ただ郊外は安いから行くのであって、そこの価格が上がるというわけではないだろうと思います。

【鈴木会長】
 どうもありがとうございました。
 固定資産税評価の立場から、松井委員補足等、何かありますか。国税の相続関係、新倉委員の不動産鑑定評価との関係から、ご意見いただきまして、固定資産税の評価の立場から、もしご意見、補足がございましたら、お願いいたします。

【松井委員】
 先ほど、中税務署の署長さんがおっしゃたように、相続税が8割評価、固定資産税が7割評価というなかで、当市としても標準宅地の選定は市内に3,500地点、不動産鑑定士にお願いをして、3,500から3,600弱ぐらいに増やし、なるべく適正な評価をしようということで行っています。
 特に先ほど税理士さんからもありましたように、コロナの影響で償却資産と家屋については前年の売り上げが大幅に減少した中小事業者さんについては、半分ないしは全額を軽減しましょうという、通常税制改正は年末の与党税制改正大綱を受けて、1月から始まる通常国会で審議されて年度末にかけて成文化していくのですが、昨年4月頃コロナ対策として、国会の方でもその影響を早めに対応しなければならないということで、この春に成立しまして、横浜市の市税条例に直させていただいて、税理士会にご協力いただいて、あとは法人会さんとか、なるべく適用を受けていただける方は受けていただこうということで動いております。
 今回の与党の税制改正大綱で、土地の令和2年度据え置きという措置が出ました。土地は商業地だけということで聞いていたが、全体のコロナの影響というのも考えられて、住宅地にも適用されるということでありますので、土地についても軽減措置が増やされている。償却資産と家屋についても、中小企業者には軽減措置があるという形でございますので、国の方も十分コロナ対策としてはやっていただきましたし、我々現場サイドとしてはなるべく市民の方に利用していただけるよう、ちゃんと広報する、あるいは税理士会等含めてご協力いただきながら、進めていきたいと思っています。
 通常でいうと、先ほどお話が出ていましたが、評価替えの年は、地価が下がっている時は別ですが、最近の地価動向では、少し上向きでしたので、土地は地価動向、負担調整措置はありますけれども、地価動向を反映して、土地は若干上昇して、その分、税収が増えるという形です。
 家屋については先ほど先生方からもお話があったように、経年減価していきますので、通常は評価替えの年に、家屋の税額は落ちて、土地が今ですと、若干上がる。今回はコロナで上がりませんが、行って来いでそんなに市民の方も負担が増えないような形で、結果としてはやらせていただいていると、全般の概要としてはそのような形でございました。今回はコロナの関係で、土地は当然据え置き、償却資産、家屋については中小企業の軽減もありますし、あるいは先ほど先生からもお話出ていた関係で、コロナでいうと徴収猶予の特例をやらせていただいております。
 国税さんの方でもやっておられますが、それに倣って、地方団体もどうしても支払いができないという方については、通常は、税法で担保をとれとなっておりますが、特例で1年間担保なしという形でやらせていただております。横浜市でいうと、だいたい30億円規模で徴収猶予の特例もあり、国、都道府県、市町村がそれぞれの役割分担をして、県税でも徴収猶予の特例措置がありますので、なるべくコロナで市民生活に負担が生じないように、制度上は国の指導を仰ぎながら、やらせていただいているというところでございます。

【鈴木会長】
 貴重なご意見ありがとうございました。
 本日、箱根町の石川委員は欠席ですが、神奈川県の県西部地域の状況について、コメントを頂いてますので、紹介させていただきます。
 まずは、令和2年1月1日の地価の状況としまして、住宅地については開成町の駅前は区画整理事業で非常に良い場所だということで、人口が増えておりますが、相対的に人口、世帯数が減っているということです。JR東海道本線、小田急小田原線の徒歩圏内についても、上昇地点はなく、おおむね横ばい、ないしは下落傾向ということです。駅から離れた郊外、調整区域については、需要が減退しているということで、下落しています、というお話でした。
 商業地につきましては、小田原駅周辺の商業地については、集客施設の充実とか小田原城のリニューアルとか、再開発等の期待から上昇傾向にありますが、駅から離れた商業地については、繁華性の点から下落している、というお話でした。
 次に、1月1日から7月1日の地価の状況ですが、住宅地については、緊急事態宣言の影響により、経済労働環境の悪化があり、全地点で下落傾向ということで、特に駅から離れた立地、調整区域については選別化が進んで、昨年から下落が続いているということでございました。また、今後については新型コロナウイルス感染症の影響、収束がなかなか見えないということで、今後も下落が続くでしょうという見方でございました。商業地については、飲食店を中心に店舗等の売り上げの減少、テナントの家賃の減額要請もみられるということで、今後とも下落が見込まれるというお話です。
 次に、箱根に移りまして、大涌谷の火山活動の収束等から、だいぶ盛り返してきたということだったのですが、新型コロナウイルス感染症の影響により、一気にインバウンドの需要がなくなったということで、観光業は一転して停滞しているというお話です。別荘については、今のところ大きい影響はないというお話ですが、保養所やホテルの画地については、下落率が大きいとのことでした。一般住宅については、人口減少の歯止めがかからず、下落率は大きいとのことです。
 商業地については、昨年はプラス2.9%だったのですが、今年7月の地価調査では、平均変動率がマイナス1.7%ということで、大きくマイナスに転じたということです。
 箱根町の特徴としては、GOTOトラベル、いわゆる国内観光の回復傾向にありまして、箱根湯本等についても賑やかさが戻ってきたという状況だったのですが、インバウンドの需要というのは当面期待できないといったなかで、マイクロツーリズムなど全体の8割を占める日帰り客の動向について、今後注視していきたいということでした。
 以上、そのようなご意見をいただきました。
 皆様から、いろいろな貴重なご意見をいただきましたが、神奈川県の場合ですと、東京に近い横浜川崎エリアと人口減、高齢化が進んでいる三浦半島、県西部エリアの地価の二極化がみられました。横浜駅の基準地は突出しておりますが、二極化の傾向があるということで、今回の都市間の均衡については、均衡はとれていると考えております。
 令和2年1月1日から7月1日における時点修正率については、新型コロナウイルスの感染拡大の影響が、商業地を中心に大きいということで、地価の下落については、顕在化しています。皆様からご意見いただいたように、地価の遅効性ございますので、飲食関係含めた商業地を中心に、今後の動向については、注視する必要があると総括させていただきます。
 このことについて、皆様の方から何かございますでしょうか。
 それでは、よろしければ審議会としての意見をとりまとめさせていただきたいのですが、これまでの審議内容から、特に異議はないと思われますので、よろしければ諮問案のとおりで了承したいと思うのですが、よろしいでしょうか。

【異議なし】

【鈴木会長】
 どうもありがとうございました。
 それでは、答申の文案につきましては事務局と相談の上、決定したいと思います。恐縮ですが、私にご一任いただくということでよろしくお願いいたします。
 委員の皆様には、本当に有意義なご発言、貴重なご発言いただきまして、ありがとうございました。本日は、どうもありがとうございました。

 

 

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