上溝南高等学校

掲載日:2018年4月2日

 

第一回上南SFP(サイエンス・フレンドリー・プログラム)

「シルクは未来を救う~最先端環境科学の現場から」を中学生・地域の方々と実施

シルクを軸に中・高・大学生が交流

本年度、上溝南高校では開かれた学校づくりの一環として、地域の方々と共に学び考える企画、「上南SFP」を立ち上げました。その第一回として平成23年8月22日(月曜日)、23日(火曜日)の二日間にわたって東京農業大学の長島孝行教授を招き、「シルクは未来を救う~最先端環境科学の現場から」をテーマに、講演と実習を行いました。

シルクは古くは上溝地域の主要産品で、近年、長島教授の諸研究によりさまざまな有用な機能が明らかにされ、新たに機能性素材として注目を集めています。特に、教授の提唱する石油に依存しない社会の構築にはその活用は欠かせないものであり、最先端科学の視点から環境問題克服を考える機会にしたいと考えました。当日は、14人の中学生の他、高校生、保護者、地域の方などあわせて16人、長島研究室の大学生5人の計35人が参加し、中・高・大学生交流の場ともなりました。

こんないにもすばらしい生物の素材機能

上溝南高等学校1プログラム一日目は、教授の講演が中心で、特に生物素材の機能性の高さ、多様さが紹介されました。蚊の唾液は血液を固まらせないので脳梗塞の治療に応用できること、ヤモリがすべる表面でも歩けるのは密な毛が空気をよけるため、ハスの葉の撥水はナノ構造によるもの、蜂の巣型(ハニカム構造)は新幹線・スペースシャトルに応用できること、蚊の針の構造は痛くない注射針に応用できること、玉虫の色は色素を用いない構造色でステンレスの表面を色素なしで発色させるのに応用できること、などなど、生物模倣科学、インセクトテクノロジーの発想と応用はつきません。

なかでも、シルクの機能は抜きんでていて、無味乾燥、形状変化、生体親和性、UVカット、静菌性、難消化性、吸脂性など優れた働きをたくさん持ち、化粧品への活用、血糖値やコレステロール値の改善に役立つことがわかってきました。近年のシルク化粧品ブームは教授のこの研究が発端となったもので、他にも食品への応用が進められています。シルクパウダーを混ぜることにより、そのナノ構造がケーキなどの食感を変え、やわらかくする働きがあり、脂肪や糖の吸収を抑えるなどメタボリックシンドローム対策になるのも驚きです。

教授の実践はそれだけに留まりません。皆さんは、「愛・地球博」の中部千年共生村の壁面を飾った黄金色を覚えていますか。あれはなんとインドネシアのアボガドの害虫であるクリキュラという蛾の繭なのです。また、この繭は人工角膜にも使えるのです。この活用で今まで害虫であったものが村の収益源になるばかりでなく、産業の乏しいこの地域にあって産業振興、雇用の促進をもたらしました。最近では、カンボジアで栽培されているキャッサバの害虫であるERIシルクを綿と混ぜることにより吸臭性の高い繊維素材となることを発見しました。昆虫という生物を通じて大きな国際貢献がなされているのです。

参加者は、教授の理系、文系にとらわれない視点と活躍に感嘆し、上南SFP一日目を終えました。翌日は、今日の講演に基づく実験・実習です。

 

カイコの繭から90m糸を伸ばす

上溝南高等学校2二日目、生徒たちは4班に別れ、大学生の説明を聞きます。まずはハスの葉表面のナノ構造をヒントにつくられた撥水スプレーの実験からスタートです。大学生の指示に従って、茶漉し器にこのスプレーを浴びせて水を入れるとあら不思議。ざる状の網から水が漏れません。次は、一見何の変哲もないガラスが用意されました。しかし、斜めにかざしても反射せず向こうが透過してよく見えます。これはモスアイフィルムというもので、蛾の目のナノ構造に似せたもので、反射しません。テレビの画面、ショウウインドウなどに応用可能だそうです。

さて、次は大学生が準備したカイコの繭です。すでに加熱してあって、その一端から糸を何メートル切らずにほごせるか競争です。教室では狭いので、全員廊下に出て開始です。一班がするすると5mに達したものの、切れてしまいました。ところが、別の班はどんどん先へ進み、校舎半ばまで達するころには騒然となり、ついには廊下の端の彼方、これ以上進めないところまで行ってしまいました。メジャーで測定すると90m、歓声が上がりました。実際、繭一つが1.5kmの糸で作られていることを知り、カイコのすごさをあらためて感じた瞬間でした。

餅も卵白も滑らかに

上溝南高等学校3上溝南高等学校4

各班には、大学生たちが午前中から来て準備した餅が配られます。しかし、時間がたったためか少し硬くなっていて、練るのに苦労しました。結局、シルクタンパク質を入れた方が確かに伸びはよかったものの、あまり実感が持てない結果となりました。

そこで次はメレンゲで同様の実験を行います。鶏卵の白身だけを金属ボウルへ取り出し、シルクパウダーを加えた班とそうでない班それぞれが泡立てて、その様子を比べます。どちらの班も真剣に泡だて器で攪拌し、白身はあっという間に真っ白な泡になりました。ところが、よく見ると白身だけのものは泡の大きさにむらがあるのに対し、シルクパウダーが含まれているものはクリームのようにきめ細やかな泡立ちでした。教授によれば、シルクが物質の間に入りそのようになったそうです。

この実験が終わったころ、同時進行でシルク入りの餅も焼けました。先ほどは伸びが今一つだったこの餅も、食べたらとても滑らかな食感で、感激です。参加している保護者の方々も、思わず手が伸びるほどでした。

参加者全員がシルクのさまざまな機能を実感した二日間でした。かつてこの地域の主力産業であった養蚕が、今、新たな可能性を持ち注目を集めつつあることを多くの人々に気付いてもらいたいと思いながら、第一回上南SFPは終了しました。

全員から、参加してよかったというアンケート回答も得られました。年内には、第二回を実施したいと思っています。

 

お問い合わせ先

神奈川県立上溝南高等学校
電話:042-778-1981 

本文ここまで
県の重点施策
  • 未病の改善
  • ヘルスケア・ニューフロンティア
  • さがみロボット産業特区
  • 県西地域活性化プロジェクト
  • かながわスマートエネルギー計画
  • 東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会
  • ラグビーワールドカップ2019
  • 神奈川県発、アート・カルチャーメディア「マグカル」
  • ともに生きる社会かながわ憲章
  • SDGs未来都市 神奈川県 SDGs FutureCity Kanagawa