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更新日:2024年1月4日

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よくある相談例(FAQ)法人(法人一般)

法人(法人一般)

  1. 特定非営利活動法人として法人格を取得することの意味は何ですか。
  2. 特定非営利活動法人として法人格を取得するには、どのような団体でなければならないのですか。
  3. 特定非営利活動法人(NPO法人)のメリット、デメリットを具体的に知りたい。
  4. 法人の事務所とは?
  5. 法人の役員とは?
  6. 法人の社員とは?
  7. 特定非営利活動促進法では、役員の数や選任方法、権限、義務などについてどのように規定されているのですか。
  8. 役員は誰でもなることができるのですか。
  9. その他の事業とは?
  10. 監事とは、どんな事をするのですか?また、NPO法人の総会で、新しい監事を選任するうえで、何か気をつけることがありますか。
  11. NPO法人の監事は、その法人の事務職員(有償)になれますか?
  12. 「社員の資格の得喪に関して不当な条件を付さないこと」とは、どのような意味ですか。また、どのような条件が不当な条件にあたるのですか。

質問 1 特定非営利活動法人として法人格を取得することの意味は何ですか。
回答

法人と任意団体との違いということでは次のように整理できます。

 

法人となりますとその法人が契約の主体となりますので、事務所等の賃貸借契約を結ぶ、銀行から金銭を借入れるなどの各種契約や不動産の登記、金融機関の口座開設などが法人名義でできることになります。また国際協力を行う際に相手政府等の信用が得やすくなるということも言われています。

 

その一方で、法人として税を負担する、従業員を雇えば社会保険や労災保険に加入しなければならないといったことも必要となります。このほか社会的信用を得るためには、財務や事業の内容等、団体の情報を公開し透明性を確保する必要もありますし、解散の際に残余財産がある場合は提供者には戻されず、特定非営利活動法人や他の公益を目的とする法人、又は国や地方自治体に引き継がれるなど、公益的な活動を行う法人としての様々な責任を負うことになります。

 

このように法人格を取得し法律上の権利義務の主体となるということには大きな意味がありますが、同時に様々な社会的責任や義務を負うということにもなります。


質問 2 特定非営利活動法人として法人格を取得するには、どのような団体でなければならないのですか。
回答

特定非営利活動法人として法人格が取得できる団体とは、第一に、特定非営利活動を行うことを「主たる目的」とする団体でなければなりません。(法第2条第2項本文)


第二に、次のいずれにも該当する団体であって、営利を目的としないものである必要があります。(法第2条第2項第1号)
 (1)社員の資格の得喪に関して、不当な条件を付さないこと。
 (2)役員のうち報酬を受ける者の数が、役員総数の3分の1以下であること。


第三に、その行う活動が次のいずれにも該当する団体である必要があります。(法第2条第2項第2号)
 (1)宗教の教義を広め、儀式行事を行い、及び信者を教化育成することを主たる目的とするものでないこと。
 (2)政治上の主義を推進し、支持し、又はこれに反対することを主たる目的とするものでないこと。
 (3)特定の公職の候補者(当該候補者になろうとする者を含む。)若しくは公職にある者又は政党を推薦し、支持し、又はこれらに反対することを目的とするものでないこと。


さらに、設立の認証に当たっては、上記の要件のほか次の点が審査されます。(法第12条第1項)
 (1)設立の手続並びに申請書及び定款の内容が法令の規定に適合していること。
 (2)暴力団でないこと、暴力団やその構成員(暴力団の構成員でなくなった日から5年を経過しない者を含む。)の統制の下にある団体でないこと。
 (3)10人以上の社員を有するものであること。

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質問 3 特定非営利活動法人(NPO法人)のメリット、デメリットを具体的に知りたい。
回答

NPO法人になるメリットは、以下のようなものです。

  1. 法人になると定期的な情報公開が求められるので、団体に社会的な信用が生まれます。
  2. 法人名による契約や登記が可能になり、例えば、法人名の銀行口座を開設することが可能です。
  3. 代表者個人の財産や負債と、法人の財産や負債とを、明確に区分することができます。
  4. 事業委託等の契約が、しやすくなる。(必ずしもメリットではないのかも知れませんが・・・)
  5. 個人よりも、信用が作りやすくなる。
  6. 介護保険事業を行う際には、都道府県の指定を受ければ、市町村を超えて活動できる。
  7. 助成金や補助金を受けやすくなる場合がある。


一方、デメリット(と言えるかどうかわかりませんが)には、以下のものがあげられます。

  1. 法律上、毎年必ず一度以上総会を開く必要があります。
  2. 毎事業年度終了後3カ月以内に所轄庁に対して事業報告書、会計報告書ほかの書面を作成し、提出する義務が生じます。
  3. 毎事業年度終了後3カ月以内に事業報告書、会計報告書ほかの書面を作成し、事務所に保管し、請求があった場合には閲覧させることなどです。


特定非営利活動促進法(NPO法)の第一条では、「この法律は、特定非営利活動を行う団体に法人格を付与すること等により、ボランティア活動をはじめとする市民が行う自由な社会貢献活動としての特定非営利活用の健全な発展を促進し、もって公益の増進に寄与することを目的とする」と記載されています。

 

NPO法人数が5万団体を超え、これらの中には、法律の目的を逸脱して営利目的だったり、特定非営利活動を主たる目的としていなかったり、行政のお墨付きを得ているかのように装って、市民にそのNPO法人が行う有料サービスの勧誘を行っている例も見受けられます。そのような団体と間違われないように、認証に伴う義務を忘れないように、適正、適法な運営に心がけましょう。


質問 4 法人の事務所とは?
回答

「事務所」とは、一般的に、人又は法人等の事業活動の中心である一定の場所をいい、法人の代表権、少なくともある範囲内の独立の決定権を有する責任者の所在する場所であり、かつ、その場所で継続的に業務が行われていることを必要とすると考えられます。


「事務所」であるか否かは、その場所の呼称のいかんにかかわらず、このような機能を備えているかどうかという観点から判断されることになります。

 

また、特定非営利活動法人の事務所とは「主たる事務所」または「従たる事務所」として法務局にて登記する場所であり、それぞれに書類を備え置く必要があります。


団体によっては、規模も大小さまざまであって、「事務所」の基準を一律に定めることはできませんので、申請団体ごとに個別に判断することとなります。

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質問 5 法人の役員とは?
回答

特定非営利活動法人の役員は、理事及び監事の2種類です。

理事は、法人の業務について法人を代表しますので、理事の行為は法人の行為とみなされます。また、法人の業務は、原則として理事の過半数で決定され、理事は法人の業務執行の責任を負います。

 

監事は、理事の業務執行状況や法人の財産状況を監査する責任があり、必要に応じて社員総会や所轄庁への報告、そのための社員総会の招集権限などが与えられています。

 

したがって、監事が理事又は法人の職員を兼務することは法で禁じられています。なお、役員以外の者から選ぶことは可能ですが、自然人に限られています。


質問 6 法人の社員とは?
回答

「社員」とは、法人の構成員、つまり総会で議決権を持つ正規のメンバーのことです。特定非営利活動法人は、総会での議決に基づき運営されなければなりませんが、総会を構成し、議決の権限を持つものが社員です。

 

一般には、会社の従業員のことを社員と呼ぶことが多いですが、これは、会社に雇われている被雇用者であり、特定非営利活動法人の社員とは全く異なります。

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質問 7 特定非営利活動促進法では、役員の数や選任方法、権限、義務などについてどのように規定されているのですか。
回答

特定非営利活動法人は、法第15条により、法人の規模に関係なく役員として、理事3人以上及び監事1人以上を置く必要があり、理事又は監事の定数の3分の1を超える者が欠けたときは遅滞なく補充しなければなりません(法第22条)。また、役員の任期については、2年以内において定款で定めることとなっており(法第24条)、再任手続きを経て続けて役員となることもできます。

 

役員の選任方法は法律で特に定められていませんが、定款で定めておくのが一般的です。ちなみに、県による標準的な定款例でも、役員の選任方法について、総会で選任することとしています。

 

また、役員の再任、任期満了、死亡、辞任等により役員に変更があった場合には、その内容を所轄庁に届け出る必要があります。(法第23条)

 

次に役員の権限及び業務についてですが、理事は法人の業務執行責任者であり、法人の業務に関して、それぞれの理事が、対外的に法人を代表する権限を持ちますが、定款をもってこれを制限することもできます(法第16条)。例えば代表権を持つ理事を理事長に限定するということがこれにあたります。

 

さらに、これらの理事の業務については、定款に特別の定めがないときは、理事の過半数で決定されることとなっています。(法第17条)

 

このように理事の業務や権限につきましては、様々な規定があります。したがって、理事となる者がその業務や権限を十分承知しておく必要がありますし、第三者に対する責任も重大ですので慎重に選任することが望ましいでしょう。

 

また、監事は、理事の業務執行の状況や財産の状況を監査するという責任があり、必要に応じて社員総会又は所轄庁への報告、社員総会の招集等の権限が与えられています。これら監事の権限及び業務については法第18条で定められており、理事とは異なり権限や業務を制限することはできません。このため、理事と同様に監事になる者は、法人運営事務や会計業務に詳しい者を選任するなど、慎重に対応する必要があります。


質問 8 役員は誰でもなることができるのですか。
回答

役員になることができない者として、法第20条では次のように定められています。

 

  1. 破産手続開始の決定を受けて復権を得ない者
  2. 禁錮以上の刑(死刑、懲役、禁錮)に処せられ、その執行を終わった日又はその執行を受けることがなくなった日から2年を経過しない者(執行猶予中の者、刑の執行の免除を受けた者も含む。)
  3. 特定非営利活動促進法、暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律、刑法204条(傷害罪)、同206条(現場助勢罪)、同208条(暴行罪)、同208条の2(凶器準備集合及び結集罪)、同222条(脅迫罪)、同247条(背任罪)、暴力行為等処罰に関する法律に違反したこと等により、罰金の刑に処せられ、その執行を終わった日又はその執行を受けることがなくなった日から2年を経過しない者
  4. 暴力団の構成員(暴力団の構成団体の構成員を含む。)又は暴力団の構成員でなくなった日から5年を経過しない者
  5. 設立の認証を取消された特定非営利活動法人の解散当時の役員で、設立の認証を取り消された日から2年を経過しない者
  6. 心身の故障のため職務を適正に執行することができない者として内閣府令で定めるもの


また、未成年者であっても役員になることはできると解されますが、法律行為を行う場合は法定代理人(親権者、後見人)の同意を必要(民法第4条)とすることなどから慎重に考える必要があるでしょう。

 

役員については、このほか「役員のうちには、それぞれの役員について、その配偶者若しくは三親等以内の親族が一人を超えて含まれ、又は当該役員並びにその配偶者及び三親等以内の親族が役員の総数の三分の一を超えて含まれることになってはならない」(法第21条)と規定されています。

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質問 9 その他の事業とは?
回答

特定非営利活動法人は、

  1. 特定非営利活動に支障がなく、
  2. 収益を生じたときは特定非営利活動に係る事業のために使用する、

という要件のもとで、特定非営利活動に係る事業以外の「その他の事業」を行うことができます。

 

ただし、特定非営利活動を行うことが主たる目的となっていることは言うまでもありません。

なお、「法人税法の収益事業」は、

  1. 販売業、製造業その他の政令で定める事業(33業種)で、
  2. 継続して、
  3. 事業場を設けて営まれるもの、

と定義されており、特定非営利活動促進法上の「特定非営利活動に係る事業」と「その他の事業」の区分は、法人税法上の「非収益事業」と「収益事業」の区分とは異なる考え方です。


質問 10 監事とは、どんな事をするのですか?また、NPO法人の総会で、新しい監事を選任するうえで、何か気をつけることがありますか。
回答

『監事』は、NPO法人の役員です。NPO法には、監事に関する以下のような規定があります。

 

(監事の職務)

第十八条監事は、次に掲げる職務を行う。

一理事の業務執行の状況を監査すること。

二特定非営利活動法人の財産の状況を監査すること。

三前二号の規定による監査の結果、特定非営利活動法人の業務又は財産に関し不正の行為又は法令若しくは定款に違反する重大な事実があることを発見した場合には、これを社員総会又は所轄庁に報告すること。

四前号の報告をするために必要がある場合には、社員総会を招集すること。

五理事の業務執行の状況又は特定非営利活動法人の財産の状況について、理事に意見を述べること。

 

(監事の兼職禁止)

第十九条監事は、理事又は特定非営利活動法人の職員を兼ねてはならない。

お分かりのとおり、監事とは、理事会からは独立した立場で、会員やその他の利害関係者のために、NPO法人の業務執行や財産の状況(会計を含む)を監査する人です。

特別の資格などは要求されませんが、会計のことにもある程度明るい人のほうが適任だろうと思います。

また、現在の定款で、監事の定数が1人だったら、今回の総会で議決をして、監事の定数を2名以上に変更しておくことをお勧めします。

 

これは、多くのNPO法人が、役員の選任は総会で議決することとしていますが、定数1名だと、この監事が転居したり、事故があった場合には、すぐに臨時総会を開く必要がありますが、現実的には、なかなか臨時総会を開くことは難しいからです。

監事の退任、就任については、県庁にも報告する必要があります。

※早坂毅オンラインアドバイザー回答(税理士)

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質問 11 NPO法人の監事は、その法人の事務職員(有償)になれますか?
回答

NPO法人の職員と監事を兼任することはできません。NPO法人の事務職員(有償)は、NPO法人と雇用関係にあります。雇用関係とは、一般に、代表者や理事の指揮、監督の下に職務を分掌し、実行することを言います。


特定非営利活動促進法(NPO法)第19条では、「監事は、理事又は特定非営利活動法人の職員を兼ねてはならない」と定めており、監事は、理事や職員(有償、無償を問わず)を兼務することはできません。


これは、NPO法第18条に、監事の職務として次の5つの職務を規定していることと関係があります。

  1. 理事の業務執行の状況を監査すること。
  2. その法人の財産の状況を監査すること。
  3. これらの監査の結果、法人の業務や財産に関し不正の行為や法令、定款に違反する重大な事実があることを発見した場合には、これを社員総会や所轄庁に報告すること。
  4. これらの報告をするために必要がある場合には、社員総会を招集すること。
  5. 理事の業務執行の状況又は法人の財産の状況について、理事に意見を述べること。


監事の仕事は、会員(社員)の権利を保護し、それを代弁する必要があるので、法律上、監事は理事や理事会からは独立した立場を保つように、定められています。


監事の仕事は、業務監査(理事の業務執行の状況の監査)と会計監査(法人の財産の状況の監査)です。現在、多くの法人で監事の就任数を1名としていると思いますが、監事が1人だと、その人に事故や病気で監事の職務を執行できない場合には、監査が行えないので、すぐに後任者の選任が必要になります。

 

しかし、法人の多くは、役員の選出は総会で行うこととしており、後任の監事候補者の選任や総会の招集には時間がかかることを考えると、監事は複数人を選任することが望ましいでしょう。

 

なお、監事の氏名は、法人の登記簿(登記事項証明書)には記載されません。

 

※早坂毅オンラインアドバイザー回答(税理士)


質問 12 「社員の資格の得喪に関して不当な条件を付さないこと」とは、どのような意味ですか。また、どのような条件が不当な条件にあたるのですか。
回答

「社員の資格の得喪に関して不当な条件を付さないこと」とは、その団体の構成員となるための資格や条件、あるいは入会や退会の条件などが、不当なものであってはならないということです。社員の資格の得喪に関する事項は法第11条第1項により定款に記載しなければならないこととなっていますので、具体的な判断は、提出された定款により行うこととなります。

 

次に、不当な条件を付していないかをどう判断するかということですが、民法の解釈上では、これを判断するに当たって、合理的な理由もないのに社員を特定のものに限定したり、特定の者を排除するのは憲法の「法の下の平等」に抵触する、とされており、本法においても、課せられている条件がその特定非営利活動法人の活動目的に照らして合理性が認められるか否かを社会通念等に従って判断することとなります。

 

しかし、この法の目的は「市民が行う自由な社会貢献活動」を促進することであって、できるだけ多くの市民が本人の意思に基づき自由に入会、退会できるということが原則ですので、例えば信者以外の者を一切入会させないというように「排除の論理」をとっているものは是認されないということになります。


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