「かながわ生物多様性計画」巻末掲載 用語集

掲載日:2018年3月15日

「かながわ生物多様性計画」巻末掲載 用語集

  • 「かながわ生物多様性計画」に掲載している用語解説です。

ア行 カ行 サ行 タ行 ナ行 ハ行 マ行 ラ行

ア行

用語 解説
赤潮 プランクトン(主に植物プランクトンである鞭毛藻(べんもうそう)類や珪藻(けいそう)類、動物プランクトンの夜光虫)の異常増殖のために海水が変色する現象で、魚介類に被害が出ることもあります。
アライグマ ネコ目アライグマ科アライグマ属に属し、学名はProcyon lotor。近類のカニクイアライグマの学名は、Procyon cancrivorusで、国内では、この2種を総称してアライグマとすることが多い状況です。
原産地は、アライグマが北アメリカ、カニクイアライグマが中南アメリカです。
国内分布については、1962(昭和37)年に初めて野生化が確認されて以後、2009(平成21)年時点では47都道府県で生息情報があります。これらの侵入の原因は、飼育個体の逃亡・遺棄と推測されており、本県におけるアライグマの野生化は1988(昭和63)年頃に起こったものと推測されています。
体重4-10数kg、頭胴長41-60cm、尾長20-41cm。白色の顔に黒色系のマスクを着けたような外見で4-7の輪模様を尾に持ちます。蹠行性の歩行のために足跡は明瞭に残り、5本指の形状とその大きさから在来哺乳類との区別は容易です。夜行性で水辺を好みますが、森林、湿地、農耕地、市街地など幅広い環境に生息します。雑食性で野外に定着した個体は、果実・野菜・穀類、小哺乳類・鳥類・両生類・爬虫類・魚類・昆虫その他の小動物全般を採取します。

カ行

用語 解説
(遺伝的な)かく乱 近縁な種の間で交雑がおこり、遺伝的に違った種に置き換わったり、在来の遺伝子集団が消滅してしまうことを指します。
火口原湖 火口原(火山口)の一部に水がたまってできた湖を言います。
かながわのナショナル・トラスト運動 かながわのナショナル・トラスト運動は、イギリスで発展した運動をモデルにして、神奈川県が設置する基金と運動体となる公益財団法人かながわトラストみどり財団が連携して、都市化の著しい県内の身近なみどりを守り、育てる運動として1986(昭和61)年にスタートした取組です。
環境保全型農業 農業の持つ物質循環機能(水や栄養分等の循環)を生かし、生産性との調和に留意しつつ、たい肥の施用などによる土づくり等を通じて、化学合成農薬や化学肥料等による環境への負荷の軽減と、より安全な農産物生産に配慮した持続的な農業を言います。なお、有機農業は、化学合成農薬や化学肥料を使用しないなど環境への負荷をできる限り低減した農業生産の方法であることから環境保全型農業の一環として位置付けています。
外来生物 海外から導入され、本来の生息地又は生育地以外に生息・生育する生物(その生物が交雑することにより生じた生物を含む)を言います。
外輪山 火山活動によってできたカルデラの縁にあたる尾根の部分を言います。
基盤サービス 生態系サービスである、供給・調整・文化的サービスを支えるサービスのことを指します。例えば、光合成による酸素の生成、土壌形成、栄養循環、水循環などがこれに当たります。
供給サービス 食料、燃料、木材、繊維、医薬品原料、水など、人間の生活に重要な一次原材料を供給するサービスを指します。
このサービスにおける生物多様性は、有用資源の利用可能性という意味で極めて重要です。現に経済的取引の対象となっている生物由来資源から、現時点では発見されていない有用な資源まで、ある生物を失うことは、現在及び将来のその生物の資源としての利用可能性を失うことになります。
渓畔林 渓畔林は、水辺林(渓畔林、河畔林、湿地林、湖畔林)の1形態であり、一般的に河川上流の狭い谷底や斜面に成立する森林を言います。
県営林 県が管理・経営する森林を県営林と言います。県営林には、県自らが土地を所有している森林(県有林)と、民有地に県が地上権を設定し、土地所有者に代って県が造林を行っている森林(県行造林(けんこうぞうりん))があります。
(森林の持つ)公益的機能 森林の木材生産などのほかに持つ多面的機能を言い、渇水や洪水を緩和し、良質な水を育む水源かん養機能、山地災害の防災機能、気候緩和や騒音防止などの生活環境保全機能、レクリエーションや教育の場の提供、野生鳥獣の生息の場などの保健文化機能などがあります。

サ行

用語 解説
栽培漁業 卵から稚魚・稚貝になるまでの、自然界では育つのに最も難しい時期を人間の手によって育て、魚や貝が小さいうちに海へ放流する、つくり育てる漁業を指します。卵をとって孵化させ、室内の水槽で育てる種苗生産、稚魚や稚貝を放流サイズまで育てる中間育成、時期や場所に合わせて、一定サイズに育った稚魚や稚貝の放流、海で育った魚や貝を、漁業者や釣り人が獲る漁獲、といったステップで考えられています。
在来生物 もともとその場所で生息・生育していた在来の生物を指します。
市街化調整区域 都市計画法第7条において、市街化を抑制すべき区域とされており、開発や建築が制限されている区域です。原則として、開発行為は農林漁業用など特定の場合を除き禁止されています。
水源かん養機能 森林の土壌が降水を貯留し、河川へ流れ込む水の量を平準化して洪水を緩和するとともに、川の流量を安定させる機能を言います。
生態系サービス 食料や水の供給、気候の安定など、生物多様性を基盤とする生態系から得られる恵みは「生態系サービス」と呼ばれており、基盤サービス、供給サービス、調整サービス及び文化的サービスの4つのサービスに分類されます。
生物相 特定の地域に生息・生育する生物の種類組成。一般的には「植物相」(特定の地域に生育する植物の種類組成)と「動物相」(特定の地域に生育する動物の種類組成)を合わせた概念を言います。
生物多様性基本法 生物多様性の保全と持続可能な利用に関する施策を総合的・計画的に推進することで、豊かな生物多様性を保全し、その恵みを将来にわたり享受できる自然と共生する社会を実現すること等を目的として、2008(平成20)年5月に成立、同年6月に施行されました。
生物多様性基本法では、生物多様性の保全と利用に関する基本原則、国、地方公共団体、事業者、国民及び民間団体の責務、生物多様性国家戦略の策定、白書の作成、国が講ずべき13の基本的施策など、わが国の生物多様性施策を進めるうえでの基本的な考え方が示されています。
また、都道府県及び市町村による生物多様性地域戦略の策定の努力義務などが規定されています。
生物多様性に関する条約 生物多様性は人類の生存を支え、人類に様々な恵みをもたらすものです。生物に国境はなく、日本だけで生物多様性を保全しても十分ではありません。世界全体でこの問題に取り組むことが重要です。このため、1992(平成4)年5月に「生物の多様性に関する条約」がつくられました。本条約第2条において『「生物の多様性」とは、すべての生物(陸上生態系、海洋その他の水界生態系、これらが複合した生態系その他生息又は生育の場のいかんを問わない。)の間の変異性をいうものとし、種内の多様性、種間の多様性及び生態系の多様性を含む。』ことが規定されています。

タ行

用語 解 説
タイワンリス げっ(齧)歯目リス科リス属・タイワンリス属に属し、学名は、Callosciurus erythraeus thaiwanensis。アジア全域(中国からマレー半島)にかけて広く分布し、多数の亜種に分けられているクリハラリスの一亜種とされ、台湾に分布している種をタイワンリスと言います。
1935(昭和10)年、東京都伊豆大島の公園から逃げ出したものが同島に野生化し、その後、神奈川県、静岡県、岐阜県、和歌山県等で野生化している個体が確認されています。
多自然川づくり 国が定めた「多自然川づくり基本指針」では、「河川全体の自然の営みを視野に入れ、地域の暮らしや歴史・文化との調和にも配慮し、河川が本来有している生物の生息・生育・繁殖環境及び多様な河川景観を保全・創出するために、河川管理を行うこと」と定めており、例えば、自然石や木を用いて河川構造物を造作したり、コンクリート護岸の表面を土で覆って緑化する等の取組などを指します。
(里地里山の)多面的機能 農林業の生産の場や生活の場としての機能以外に、美しい風景、多様な生物を育む空間、災害の防止、生活文化の伝承など、多くの県民に「恵み」をもたらす有益な機能を言います。
(農業の有する)多面的機能 良好な景観の形成、防災、県土の保全、水源のかん養、自然環境の保全、文化の伝承、情操のかん養など、農業生産活動による食料等の供給の機能以外の多面にわたる機能を言います。
地域個体群 ある地域に生息している同種の個体の集まりを言います。移動能力のそれほど大きくない生物は、同じ種でも地域によって遺伝的特性や生態的特性が異なることが多く、種を単位とする把握では十分でない場合があります。このような場合に用いられる概念です。
地域制緑地 法令や条例に基づき土地利用に制限をかけることによって保全される緑地を指します。
調整サービス 湖沼が大気中の化学物質の吸収源となったり、森林が二酸化炭素を吸収・貯蔵し、気候が緩和されたり、洪水などの局所災害が低減されたりといった、環境を調整・安定させるサービスのことを指します。
これらを人工的に実施しようとすると、膨大なコストがかかります。
このサービスの観点からは、生物多様性が高いことは、病気や害虫の発生、気象の変化等の外部からのかく乱要因や不測の事態に対する安定性や回復性を高めることにつながると言えます。
特定外来生物 外来生物(海外起源の外来種)であって、生態系、人の生命・身体、農林水産業へ被害を及ぼすもの、又は及ぼすおそれがあるものの中から、外来生物法に基づき、指定されます。
特定外来生物は、生きているものに限られ、個体だけではなく、卵、種子、器官なども含まれます。
トラスト制度 県内の優れた自然環境及び歴史的環境を保全するに当たっては、都市緑地法などの法令による保全が原則ですが、現行の法制度を補完する制度として、公益財団法人かながわトラストみどり財団や市町村などと協力し、大きく次の4形態により緑地の保全を図っています。・ かながわトラストみどり基金による買入れ保全
 緑地保存契約による保全
 寄贈を受けての保全
 市町村への助成による保全
都道府県広域緑地計画 「緑のマスタープラン策定に関する今後の方針(昭和56年9月建設省都市局都市計画課長通達)」に基づき、都道府県が策定主体となり、都市計画区域全域について広域的観点から策定する緑地の保全及び緑化の推進に関する計画です。市町村ごとに行われる緑の基本計画の円滑な策定のためにも、広域的視点からの緑地の配置の指針としての役割を担っています。
土砂移動(の)特性 山地で生産された土砂が、水の流れにより、運搬、堆積を繰り返し、下流に向かって海まで移動していくことを土砂移動と言い、地形、地質、降雨などの条件によって変化する、土砂の移動量や速度、移動する土砂の粒径などの特性を土砂移動(の)特性と言います。

ナ行

用語 解説
二次林 伐採や風水害、山火事などにより森林が破壊された跡に、土中に残った種子や植物体の成長などにより成立した森林を指します。溶岩など土壌のない地盤に森林が成立していく過程と違って、土壌が存在する場合には、初めからカンバ類やマツ類などの陽性(草原・耕地など日当たりのよい環境で生育する性質を持つ)の樹木が成長し、長い年月をかけて、やがて、陰性(耐陰性が強く林の中など日陰の環境で生育する性質を持つ)の樹木に置き換わり安定した森林(極相)となります。このような遷移を二次遷移と呼び、二次遷移の途中にある森林を主に二次林と呼びます。

ハ行

用語 解説
富栄養化 元来は、湖沼等の閉鎖水域が、長年にわたり流域から窒素化合物及び燐酸塩等の栄養塩類を供給されて、生物生産の高い富栄養湖に移り変わっていく自然現象を言いますが、人口や産業の集中等に伴って、東京湾や伊勢湾などの閉鎖性海域においても見られるようになりました。
ブナハバチ ハバチ科のヒゲナガバチ亜科というグループに属す昆虫で、幼虫時代にブナの葉を摂食します。丹沢での大発生を機に同定したところ、新属新種(新しい属に属する新しい種)として発表され、Fagineura crenativora と命名されました。
文化的サービス 精神的充足、美的な楽しみ、宗教・社会制度の基盤、レクリエーションの機会などを与えるサービスのことを指します。多くの地域固有の文化・宗教は、その地域に固有の生態系・生物相によって支えられており、生物多様性はこうした文化の基盤と言えます。ある生物が失われることは、その地域の文化そのものを失ってしまうことにもつながりかねません。

マ行

用語 解説
マイエコ10(てん)宣言 新アジェンダ21かながわの名称を「私たちの環境行動宣言 かながわエコ10(てん)トライ」とし、この中で位置付けられる90の行動メニューから自分が取り組みたい項目を10個選んで宣言する行為を「マイエコ10(てん)宣言」と呼んでいます。
ミレニアム生態系評価 国連の主唱により2001(平成13)年から2005(平成17)年にかけて行われた、地球規模での生物多様性及び生態系の保全と持続可能な利用に関する科学的な総合評価の取組です。生物多様性は生態系が提供する生態系サービスの基盤であり、生態系サービスの豊かさが人間の福利に大きな関係のあることが分かりやすく示されました。
藻場 沿岸域の海底で様々な海草・海藻が群落を形成している場所を指します。主として種子植物であるアマモなどの海草(seagrass)により形成されるアマモ場と、主として藻類に分類されるホンダワラ、コンブ、ワカメといった海藻(seaweed)により形成されるガラモ場とがあります。

ラ行

用語 解説
林床植生 森林は様々な高さを持った植物の組み合わせによる多層構造を持っていますが、その中で低木以下の階層を構成する植生を「林床植生」と言います。