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更新日:2025年5月30日

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「古都における歴史的風土の保存に関する特別措置法」について

神奈川県のみどりの保全

(パンフレットの概要)

(このページはパンフレットの概要を掲載しています。印刷の際はPDFファイルをご利用ください。
※ なお、所管課の組織再編を受け、本ページ記載の所管課名は、パンフレット掲載時のものから一部変更しています。

古都保存法

「古都における歴史的風土の保存に関する特別措置法」について

神奈川県環境農政局緑政部自然環境保全課

1 古都における歴史的風土とは

「古都」とは

「古都」とは、わが国往時の政治、文化の中心等として歴史上重要な地位を有する市町村をいい、現在、鎌倉市、逗子市、京都市、奈良市のほかに、天理市、橿原市、桜井市、奈良県生駒郡斑鳩町、同県高市郡明日香村並びに大津市の合計8市1町1村が「古都」に指定されています。

「歴史的風土」とは

「歴史的風土」とは、古都保存法において「わが国の歴史上意義を有する建造物、遺跡等が周囲の自然的環境と一体をなして古都における伝統と文化を具現し、及び形成している土地の状況」と定められており、歴史的な建造物や遺跡と、それらをとりまく樹林地などの自然的環境が一体となって古都らしさを醸し出している土地の状況をいいます。

2 古都保存法制定の経緯

昭和30年代後半、鎌倉市の御谷(おやつ)騒動に代表される歴史的に重要な遺跡等の開発問題が深刻化

市民・文化人の歴史的風土の保存に対する気運の高まり

鎌倉、京都、奈良各市を中心とした「古都保存連絡協議会」の結成と新しい法律制定への要請

昭和41年「古都における歴史的風土の保存に関する特別措置法」が議員立法で成立、施行

3 鎌倉市・逗子市の歴史的風土

鎌倉は、12世紀の末、源頼朝が天然の険要の地として武家政治の基礎を築き、政治の中心として繁栄し、また、鎌倉および室町時代を通じ、文化の枢要地として発展し、現代に至るまで数多くの歴史上重要な文化的資産を伝えています。現在も南の海岸線、三方の穏やかな山並みに囲まれた美しい自然のなかに、街の中心となる鶴岡八幡宮、静かなたたずまいの建長寺・円覚寺などの古寺、山あいの木洩れ日のなかに往時をしのばせる「切通し」など、歴史的な資源が風土の中に息づいています。晴れた日には遠く南に伊豆大島を望む鎌倉海岸は背景となる丘陵地と調和し、日本の古都のなかにあって海岸を有するという独特の景観も大きな特徴となっています。

歴史的風土をめぐる動き

昭和30年代、40年代には東京、横浜などの大都市の農地や山林への無秩序な宅地開発が進むなかで、古都鎌倉にも開発の波が鶴岡八幡宮の裏山の御谷にまで迫る事態となりました。こうした事態を憂慮した御谷地区の住民や文化人、市民団体によって「鎌倉の自然を守る会」が結成され、歴史的な環境保全の動きが活発化し、日本最初のナショナルトラストの活動にも結びつきました。このように、鎌倉市の市民活動は、古都における歴史的風土の保存のための立法措置に大きな役割を果たしました。

古都保存法の指定状況

昭和41年に鎌倉歴史的風土保存区域が5区域695ha指定され(※1)、昭和42年には浄妙寺地区、瑞泉寺地区などの合計9地区226.5haが歴史的風土特別保存地区として指定されました(※2)。その後、歴史的風土保存区域は順次拡大され、平成12年に逗子市の一部を加え、989haとなっています。
また、歴史的風土特別保存地区は、昭和50年、昭和63年、平成15年に指定拡大され、現在13地区573.6haとなっています(※3)。
※1 古都保存法第4条 朝比奈、八幡宮、大町材木座、長谷極楽寺及び山ノ内の5区域
※2 古都保存法第6条 浄妙寺、瑞泉寺、護良親王墓、永福寺跡、建長寺・浄智寺・八幡宮、寿福寺、妙本寺・衣張山、大仏・長谷観音及び円覚寺の9地区
※3 上記※2の地区に朝比奈切通し、名越切通し、極楽寺及び稲村ヶ崎の4地区を加えた13地区

4 古都保存法による歴史的風土保存のしくみ

古都保存法の特徴

1古都における歴史的風土を保存するため、建築物の新築や土地の形質の変更等の行為を制限するとともに、土地の買入れ等による代償措置の制度があります。

2歴史的風土保存区域の指定など重要な事項について審議するため、有識者等から構成される社会資本整備審議会が国に設置されています。

3 国土交通大臣が、歴史的風土保存区域を指定する際に保存計画を決定します。

歴史的風土保存区域における行為の届出

1国土交通大臣が、歴史的風土を保存するために必要な土地の区域を歴史的風土保存区域に指定します。
2歴史的風土保存区域内では、次のような行為を行う場合、あらかじめ鎌倉市長又は逗子市長への届出が必要ですので、事前に所管課(裏表紙参照)にご相談ください。(古都保存法第7条第1項)

(1)建築物その他の工作物の新築、改築又は増築
(2)宅地の造成、土地の開墾その他の土地の形質の変更
(3)木竹の伐採
(4)土石類の採取
(5)水面の埋め立て又は干拓
(6)屋外における土石、廃棄物、再生資源の堆積

なお、届出書の書式は、鎌倉市都市景観課・逗子市緑政課の窓口、または神奈川県のホームページから入手できます。

3前記2の行為でも例外的に古都保存法による届出が不要な場合もありますが、他の法令による手続きが必要な場合もありますので、必ず事前にご相談ください。(古都保存法第7条第1項、古都における歴史的風土の保存に関する特別措置法施行令(以下「政令」という。)第3条)

  • 届出を必要としない主な行為

(1) 次に掲げる建築物の新築、改築又は増築
イ 地下に設ける建築物の新築、改築又は増築
ロ 建築物の改築又は増築で、その改築又は増築に係る部分の高さ及び床面積の合計がそれぞれ5メートル及び10平方メートル以下であるもの

(2) 次に掲げる工作物(ここでは建築物以外の工作物をいう。)の新築、改築又は増築
イ 仮設の工作物の新築、改築又は増築
ロ 地下に設ける工作物の新築、改築又は増築
ハ その他の工作物の新築、改築又は増築で、その新築、改築又は増築に係る部分の高さが5メートル以下であるもの

(3) 次に掲げる土地の形質の変更
イ 面積が60平方メートル以下の土地の形質の変更で、高さが5メートルを超える法を生ずる切土又は盛土を伴わないもの
ロ 地下における土地の形質の変更

(4) 次に掲げる木竹の伐採
イ 枝打ち、整枝等木竹の保育のために通常行われる木竹の伐採
ロ 枯損した木竹又は危険な木竹の伐採
ハ 自家の生活の用に充てるために必要な木竹の伐採 など
ニ 仮植した木竹の伐採

4鎌倉市長又は逗子市長は、歴史的風土の保存上必要がある場合には、助言又は勧告することができます。

歴史的風土特別保存地区における行為の許可

1歴史的風土保存区域内の特に重要な地域について、神奈川県知事が、歴史的風土保存計画に定める基準に基づき、歴史的風土特別保存地区を都市計画に定めます。

許可不許可流れ図

2歴史的風土特別保存地区内では、次の行為については、原則として神奈川県知事の許可が必要ですので、事前に所管課(裏表紙参照)にご相談ください。(古都保存法第9条第1項)

(1)建築物その他の工作物の新築、改築又は増築
(2)宅地の造成、土地の開墾その他の土地の形質の変更
(3)木竹の伐採
(4)土石類の採取
(5)建築物その他工作物の色彩の変更
(6)屋外広告物の表示又は掲出
(7)水面の埋立て又は干拓
(8)屋外における土石、廃棄物、再生資源の堆積

なお、許可申請書の書式は、鎌倉市都市景観課の窓口、または神奈川県のホームページから入手できます。

3許可を必要としない行為
前上記2の行為でも、次のような場合は許可が不要ですが、他の法令による手続きが必要な場合もありますので、必ず事前にご相談ください。(古都保存法第9条第1項、政令第5条)

  • 許可を必要としない主な行為

(1)次に掲げる工作物(ここでは建築物以外の工作物をいう。)の新築、改築又は増築
イ 工事に必要な仮設の工作物の新築、改築又は増築 
ロ 屋外広告物の表示又は掲出のために必要な工作物の新築、改築又は増築
ハ 水道管、下水道管その他これらに類する工作物で地下に設けるものの新築、改築又は増築
ニ その他の工作物の新築、改築又は増築で、その新築、改築又は増築に係る部分の高さが1.5メートル以下であるもの

(2)土地の形質変更
面積が10平方メートル以下で、高さが1.5メートルを超える法を生ずる切土又は盛土を伴わないもの

(3)次に掲げる木竹の伐採
イ 枝打ち、整枝等木竹の保育のために通常行われる木竹の伐採
ロ 枯損した木竹又は危険な木竹の伐採
ハ 自家の生活の用に充てるために必要な木竹の伐採 など

(4)色彩の変更
建築物その他の工作物のうち、屋根、壁面、煙突、門、へい、橋、鉄塔その他これらに類するもの以外のものの色彩の変更

(5)次に掲げる屋外広告物(ここでは屋外広告物法第2条第1項に規定する屋外広告物をいう。以下同じ。)の表示又は掲出
イ 地方公共団体が公共的目的をもつて表示し、又は掲出する屋外広告物
ロ 冠婚葬祭又は祭礼等のために一時的に表示し、又は掲出する屋外広告物
ハ 日常生活に関し必要な事項を表示する標識その他の屋外広告物又は国土交通省令で営業等のためにやむを得ないものとして定める屋外広告物

(6)非常災害のため必要な応急措置として行う行為

(7)以上のもののほか、次に掲げる行為
イ 法令又はこれに基づく処分による義務の履行として行う行為
ロ 建築物の存する敷地内で行う行為。ただし、次に掲げる行為を除く。
1建築物の新築、改築又は増築 
2建築物以外の工作物のうち、当該敷地に存する建築物に附属する物干場その他の国土交通省令で定める工作物以外のものの新築、改築又は増築
3高さが1.5メートルを超える法を生ずる切土又は盛土を伴う土地の形質の変更
4高さが5メートルを超える木竹の伐採 など 

4許可の具体的事例
歴史的風土特別保存地区内における行為について許可を受けるには、政令で定める基準に適合することが必要です。
(古都保存法第9条第2項、政令第6条)

  • 許可事例

歴史的風土特別保存地区内では、住宅を新たに建設することはできませんが、歴史的風土特別保存地区に指定される前から存在する住宅を建替える場合は、許可の対象となります。
この場合、住宅の高さは「既存の住宅の高さを超えないこと」とされ、増築できる床面積は「既存住宅の床面積に加えて60平方メートル」が上限です。
また、住宅の建替えに伴う土地の形質の変更は、建替えに必要な最小限度の規模であり、かつ、増築する建築の形態及び意匠等が、増築の行われる土地及びその周辺の歴史的風土と著しく不調和でないことが許可の条件となります。(政令第6条第3項ホ(1)及び(2)、第7項イ、第7条第1項及び第5項イ) 

寺院の写経施設の増築
寺院が行う写経施設の増築については、宗教団体が宗教の教義をひろめ、信者を教化育成することが目的であることから、増築する施設の規模、形態及び意匠が、増築の行われる土地及びその周辺の歴史的風土と著しく不調和でないことを条件に許可されます。(政令第6条第3項ニ)

防災工事
傾斜地の落石防止のため、落石防護網を設置することや、設置に伴い、木竹の伐採や土地の形質の変更を行うことは、許可の対象となります。
なお、当該行為の行われる土地及びその周辺の歴史的風土を著しく損なわないことが許可の条件となります。(政令第6条第14項イ)
また、工事の規模等によっては、行為の許可を必要としない場合もあります。(政令第5条第1項ニ、第2項)

庭園整備
建築物の存する敷地内において行われる庭園整備のために行う土地の形質の変更及びそのために必要な最小限度の木竹の伐採は、当該行為の行われる土地及びその周辺の歴史的風土を著しく不調和でないことが許可の条件となります。(政令第6条第7項ハ、第8項ハ)

史跡の由来を示す案内板の設置
史跡の由来を示す案内板の設置は、案内板の規模、形態及び意匠が、設置する土地及びその周辺の歴史的風土を著しく損なわないことが許可の条件となります。(政令第6条第11項イ、ロ)

歴史的風土特別保存地区内における土地の買入れなど

1 歴史的風土特別保存地区内の土地で、歴史的風土の保存上必要があると認めるものについて、古都保存法による許可を得ることができず、その土地の利用に著しい支障をきたすこととなる場合、土地の所有者は県へ買入れを申し出ることができます。

 ただし、歴史的風土特別保存地区の指定後に土地を取得した所有者等(相続や贈与により取得した方を除く)については、地区が指定された時点で損失を受けておらず、行為規制が課せられた土地を自ら取得しているため、買入れの対象外となります。
 その他、買入れにあたっては、詳細な内容を確認する必要がありますので、申し出を検討される場合は、下記「古都保存法に関する相談・問合せ先」へご連絡下さい。
2 歴史的風土特別保存地区に指定された土地の所有者には次のような税制上のメリットがあります。
(1)優遇税制により土地の所有コストが軽減されます。
相続税の算定は行為制限の内容を踏まえて評価されます。
固定資産税は市の条例により減額または免除されます。
(2)県により土地の買入れがなされた場合、譲渡所得から2000万円の控除が可能です。

主な関係法令と所管課のご案内

歴史的風土特別保存地区内において、古都保存法に掲げる次のような行為を行う場合の多くは、表にある他の法令に基づく手続きも併せて必要となりますので、それぞれの所管課へご確認ください。(表中の○印のある行為について、該当する法令の手続きが必要となります。)

  風致地区条例

宅地造成及び

特定盛土等

規制法

建築

基準法

屋外広告物条例 文化財保護法 森林法
伐採届

保安林

林地開発許可

所管課

及び

電話番号

(代表)

行為内容

鎌倉市

都市景観部

都市景観課

鎌倉市

都市景観部
開発審査課・

神奈川県

砂防課厚木

南駐在事務所

鎌倉市
都市

景観部
建築

指導課

鎌倉市
都市景観部
都市景観課

鎌倉市
教育文化財部
文化財課

鎌倉市
都市景観部
みどり公園課

神奈川県

横須賀

三浦地域

県政総合センター

地域農政推進課

  0467-23-3000代

0467-23-3000代

046-223-1711代

0467

-23

-3000代

0467-23-3000代 0467-61-3857 0467-23-3000代 046-823-0210代

建築物

その他の工作物の新築、改築

又は増築

 ○  ○

 

 ○

(移転、

大規模な

修繕、

大規模な

模様替を含む)

 ―  ○

森林法には、

「保安林」、

「林地開発許可」、

「伐採届」の制度

があります。

行為制限等内容は、

それぞれ異なりますので、詳しくは

上記所管課へ

ご確認ください。

宅地の造成、

土地の開墾

その他の土地の

形質の変更

 ○  ○  ―  ―  ○
木竹の伐採  ○  ー  ー  ー  ー

建築物

その他工作物の色彩の変更

 ○  ー  ー  ー  ー

屋外広告物

の表示又は掲出

 ー  ー  ー  ○  ○

 

次世代に古都の歴史的風土を伝えていくために・・・

長い歴史の中で育まれてきた古都鎌倉の風土は、この地を愛する皆様方のご尽力のもとに守られてきました。この大切な風土を次の世代に伝えていくため、今後とも、ご協力をお願いします。

なお、上記以外の法令による手続が必要な場合もあります。

古都保存法に関する相談・問合せ先

鎌倉市都市景観部都市景観課風致担当
〒248-8686鎌倉市御成町18-10 電話0467-23-3000(代表)

逗子市環境都市部緑政課
〒249-8686逗子市逗子5-2-16 電話046-873-1111(代表)

神奈川県横須賀三浦地域県政総合センター環境部みどり課
〒238-0006横須賀市日の出町2-9-19 電話046-823-0210(代表)

神奈川県環境農政局緑政部自然環境保全課緑地・自然公園グループ
〒231-8588横浜市中区日本大通1 電話045-210-1111(代表)

このパンフレットの内容は、国土交通省都市・地域整備局発行「古都保存概要」を一部引用しています。

平成19年3月

※ なお、法改正や所管課の組織再編等を受け、本ページ記載内容は、当初パンフレット紙面から一部変更しています。 

令和7年5月 

このページの所管所属は環境農政局 緑政部自然環境保全課です。