更新日:2024年10月8日
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障がい者雇用の事例を紹介しています。
住所:横須賀市池上6-5-21
事業内容:特別養護老人ホーム、デイサービス等の運営
常用雇用労働者数※:83人(令和5年6月1日時点)
※常用雇用労働者数とは、1週間の所定労働時間が30時間以上の方の数と1週間の所定労働時間が20時間以上30時間未満の方の数を0.5倍した数を合算した数をいいます。(いずれも1年を超えて雇用される見込みがあることまたは1年を超えて雇用されていることが必要です。)
A1 法人設立当初から地域に開かれた社会福祉法人として障がいのある方の雇用を進めていこうという考えはありましたが、具体的には経営陣をはじめとして障がいの特性や様々な支援機関があることなどもまったく知らなかったため、まずは近隣の特別支援学校に障がい者のある方を雇用するためにはどう進めていけばよいのかを直接訪問し、進路担当の教諭から聞き取ったり、実際の障がい児の学校内での様子を伺うところから始めました。
A2 法人としてまず雇用したいターゲットを概ね学校を卒業したばかりの若者と想定しました。
職歴があったり、就労支援機関で様々な就労前のプログラムを経験されている方は法人としても安心して仕事をお任せできるとも思いましたが、そうではなく、一からこの法人の施設を動かしていく一員、担い手として頑張って育てていこうという考えに至ったものです。
また、仕事の創り出しについては、「得意な面を活かしていく」ことを第一に考えました。
障がい者でも数を数えることが苦手な方もいれば仕事仲間に必要なことを伝えたりすることが苦手な方もいる。人それぞれです。
まずは、その人の得手不得手を正確に理解し、これと思える業務をマッチングさせていく、そのためには得意とするところをどうしたらマスターしてもらい、仕事に結びつけることができるか、その仕掛けづくりの創意工夫が大変重要でした。
そのことが結果的に「適材適所」、「ご本人がもつスキルと業務とのマッチング」につながったのだと思います。
A3 規模の大きくない高齢者施設を主とした社会福祉法人なので、判断要素の少ない定型的な仕事を寄せ集めるといった方法で物事を進めることは困難であると判断しました。
また、まず、障がいのある職員を雇用するに当たっては、その人にその業務が本当に適しているのか見極めるためには相応の時間が必要ですし、丁寧な仕掛けが必要であるということを学びました。
たとえば、特別支援学校卒業後すぐに入職した職員は当初勤務時間を1日6時間として定めましたが、間もなく体調を崩され、定められた時間では勤務困難になってしまいました。
そのようなときにただ「休みたいときに休んでいい」だけでは何の解決にもなりません。
そのため、家族や卒業した学校の教諭や就労支援機関の支援員などとも頻繁に連絡を取り合いながら、本人にとって何が働き続けるうえで支障となっているのか、仕事の内容なのか、勤務時間なのか・・・・課題を明確にし、本人を中心に解決方法を皆で考えました。
結局は当面一日当りの勤務時間を減らしてみる、そのかわりなるべく「毎日通勤する」といった取り組みを試行するようにしたところ、勤務の状態も安定し、現在一年以上経過したところですが、元気に就労継続できています。
このように、職員に合った、十分に対応できて仕事を続けたくなるための仕掛けを一緒に考えて、小さな問題を見極め、解決していくことが、一見時間がかかるように見えて、実は仕事を続けていくうえでは一番重要なんだと思います。
また、他の職員には障がいのある職員を受け入れるに当たって、「(障がいのあるなしにかかわらず)何も経験のない職員なので、定着できるか否かは法人の人材育成にかかっている」と説明しました。
そのことにより、皆が声を掛け合い、施設や法人全体として受け入れる体制を確立できたことに繋がったと思っています。
定着には卒業した特別支援学校や就労支援機関とのつながりが大変重要であるということもわかりました。
A4 まず、職場への定着が図られていくなかで、たとえ障がいのある方であっても、「いろいろな仕事を覚えてキャリアアップしたい、何より施設に貢献したい」という思いを受け取ることができました。
現に当初、ベッドメイクや施設に入所されている高齢の方が使用するコップ洗いから始まった職員の業務は、玄関エントランスの靴箱清掃や植栽プランターの手入れ、ベランダの清掃などに広がっており、次第に自信を得て働き甲斐を感じているのではないでしょうか。
仕事の幅を広げることはそんなに簡単にできるものではありません。
そのためには、作り出した仕事に合わせてもらうのではなく、もし覚えていくうえで支障がでたら、その仕事を改めて見直し、マスターするためにはどんな仕掛けが必要か、どんな方法が相手にとってわかりやすいかといった取組が重要であり、その繰り返し、試行錯誤のプロセスこそが「仕事を続けたくなる」意欲につながるのではないかと思います。
現に以前は障がいのない職員を含む3名で担っていた仕事を、その職員が退職したのちも、残りの障がいのある2名で担ってくれていることは法人としても大変喜ばしいことであると実感しています。
A5 社会福祉法人は、他の業種と若干異なり、「地域福祉の担い手を障がいの有無を問わず雇用していこう。そのために必要な配慮を行いながらも法人の働き手として十分に活躍できる場を提供しよう。」という考えに基づくところから始まった障がい者雇用であると思います。
また、障がいのあるなしにかかわらず、就労していただくことはゴールではなくスタートなので、定着してもらうためには必要な配慮があってしかるべきで、そのうえで十分に労働債務を果たしていただくということを従業員にわかってもらうことはどの業種でも同じだと思います。
そして、障がい者といってもひとくくりにせず、必要十分な配慮を柔軟に提供しながら、障がいのある当事者にとって働き甲斐のある職場を作っていければよいのではと思います。
そのためには、うまくいかなかったことがあってもご本人のせいにするのではなく、法人としても本当に今の業務が本人に合っているのか、もっと能力を発揮できる業務があるのではないかといった視点から、定着に向けた取り組みをすることが必要だと思います。ご本人の関心・意欲があれば、丁寧に支援することで職員のスキルが伸びていくことは、障がい者雇用が象徴的に表していると思います。
(事務長 坪内優子さん)
人を仕事に合わせるのではなく、その人その人にわかりやすくアプローチすることにより、柔軟に仕事自体を組み立てていく、そういった姿勢が定着のためには必要だと思います。それは適材適所で配置をすることであり、そのことで優れた能力を発揮し、雇用の創出につながっていくのだと思います。戦力として働いてくれることで、法人としても、周囲の同僚職員としても助かっていますし、障がいのある人の雇用を通じて、障がいのない人にも優しい職場であってくれればよいと思います。
(髙栁夢さん)
特別支援学校の実習をきっかけに、お年寄りが好きで、元気づけたいと思い、この施設で働き始めました。
シーツ交換やいろいろな仕事は大変ですが、他の職員の方に困ったときは助けてもらっていて、うまくできたときにはうれしく思います。
お年寄りからも、「いろいろありがとう」と声をかけてもらえると励みになります。
給料は、好きなアイドルグループのライブに行ったりする楽しみに使わせてもらっています。
これからも施設の職員の皆さんや卒業した特別支援学校の先生、そして家族に支えてもらいながら、できる仕事を少しずつ増やせるよう頑張っていきたいです。
(村松俊明さん)
施設では、ベッドメイクや高齢者の方々の居室の掃除などを行っています。
今まで13年間、頑張って働いてきました。職場では何か困ったときに助けてもらえる職員が近くにいてくれて、仕事を終えると「お疲れさま」と声をかけてくれます。
担当している仕事をしっかり終えると達成感を感じます。
入所されている高齢者の方から、「ありがとう」と声をかけてもらうこともあり励みになっています。また、友人が施設の夏祭りに来てくれたことがうれしかったです。
1年ほど前に、一緒にベッドメイクを担当する後輩職員が入職しましたが、しっかり仕事をできるようになるまで、見本となるようにしっかり働いていきたいと思います。
このページの所管所属は 障害者雇用促進センターです。