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更新日:2018年8月27日

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総合計画審議会第72回計画推進評価部会・第15回計画策定専門部会 審議結果

総合計画審議会第72回計画推進評価部会・第15回計画策定専門部会の審議結果

様式3

次の審議会等を下記のとおり開催した。

 
審議会等名称 総合計画審議会第72回計画推進評価部会・第15回計画策定専門部会
開催日時 平成27年4月28日(火曜日)10時00分から12時00分まで
開催場所 神奈川県庁新庁舎8階 議会第2会議室
出席者

牛山久仁彦、○大久保一郎、内田裕久、関ふ佐子、大木洵人、木村麻紀、池本美香、岡谷恵子、齋藤純一、朱銘江、中村広幸、原大祐、三井逸友、山本佳世子、浪江遊、山本亮一〔計16名〕 (◎部会長、○副部会長)

次回開催予定日 未定
問い合わせ先

政策局政策部総合政策課計画G 松田

電話番号045-210-3061(直通) ファックス番号045-210-8819
審議経過

議題1 部会長及び副部会長の選出について

出席した委員の互選により、計画推進評価部会及び計画策定専門部会の部会長として牛山久仁彦委員を、計画策定専門部会の副部会長として大久保一郎委員を選出した。

 

 

議題2 「かながわグランドデザイン 実施計画(素案)」について

《資料4「かながわグランドデザイン 実施計画 プロジェクト編(素案)」、資料5「かながわグランドデザイン 実施計画 主要施策・計画推進編(素案)」、参考資料1「かながわグランドデザイン 実施計画の策定について」、参考資料2「かながわグランドデザイン 実施計画(素案)(概要版)」、参考資料3「かながわグランドデザイン 実施計画(素案)「プロジェクト」及び「神奈川の戦略」一覧」、参考資料4「かながわグランドデザイン実施計画(素案)新旧プロジェクト対応」について事務局から説明。》

 

 牛山部会長:ありがとうございました。これから時間の許す限り委員の皆様からご意見をいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。齋藤委員、お願いします。

 

 齋藤委員:プロジェクト17「雇用」の「3 外国人人材の育成・活用」についてです。外国人看護師や介護福祉士については、フィリピンやインドネシア、ベトナムの方などを考えていると思いますが、それぞれの社会で育成した人材、人的資源を奪ってしまう側面があります。フィリピンでは地域の医療が空洞化している状況がありますので、ストレートに外国人の看護師や介護福祉士を囲い込むということだけを主張するのはよろしくないと思います。基本的には、神奈川県でそういった人材をどのように育て確保していくかということが主であると思います。看護師などになるために日本にきた外国人の方の定着を図ることは良いことだと思いますが、まずは自前で人的な手法を形成していき、外から収奪しない方向を示してほしいと思います。

家事支援人材についても、家の中に入ってくることで、見えにくいところで暴力や虐待が起こり得るという懸念がありますので、その辺りを十分に配慮したうえで、外国人人材の受け入れについて記載をしてほしいと思います。

 

 牛山部会長:事務局で今のご意見に対してコメントはありますか。

 

 水谷課長代理:ご意見を参考に記述の仕方を考えていきたいと思います。

 

 牛山部会長:このような事項に対して配慮した記述にしていただければと思います。

 

 中谷総合政策課長:今のご意見について少し補足させていただきます。27ページの最下段にも記載のとおり、外国人家事支援人材の受入れについては、まだ国内的にも制度化されているものではなく、神奈川県が国家戦略特区に指定されている中で試行的に進めていくと記載しています。特区制度を活用して外国人の家事支援制度をどのような形で活用できるか制度設計している中で、国と一緒に試行的にやっていこうと考えているものですので、その点についてはご承知おきいただきたいと思います。この取組みは、移民制度のように国の施策の方向性を大きく変えるものではなく、あくまでも、国内の就労環境における人材を確保した上で、不足している部分に外国人を活用できればといった視点で記載をしています。ご意見は受け賜りましたが、その点については、一部補足説明をさせていただきます。

 

 三井委員:産業と雇用の分野で意見を言わせていただきます。1つ目に、産業に関してですが、黒岩知事のご意向がかなり反映され、最先端医療関連産業やロボットなどに傾いています。それをやってはいけないということではありませんが、県全体の多様な産業構成の中で、なおかつ世界的な競争が厳しい分野でどこまでやっていけるか、前面に数値目標まで出してしまって大丈夫なのかと思うところもあります。企業誘致などによる産業集積の促進については、松沢前知事の時代から続いている政策で、もちろん誘致をすることも有意義ではありますが、今の時代のもっと大きな課題は、外から引っ張ってくることよりは、県の中で新しい企業、産業が活発に生まれることだと思います。これは、ものづくりや先端分野に限ったことではなく、むしろ幅広く、NPOのような活動も含めて、新しいビジネスを多様に起こし、そのような人たちが活躍できる社会が求められています。神奈川としても、神奈川こそが色々な多様な企業が生まれやすい環境なのだということを、雇用や人材の問題にも関わって、もっと前面に出すべきではないかと思っています。ですので、数値目標の「県外・国外から立地した事業所数」では、外から引っ張ってくるばかりが目標となってしまうので、ここではむしろ、開業率ないしは事業所数の増加全体といったものを、目標値としても良いのではないかと思います。

2つ目に、プロジェクト18「地域活性化」ですが、ここは従来とずいぶん発想が変わってきています。柱として、県西地域、三浦半島といった固有名詞がずいぶんと出ており、従来は県全体として取組んできたものが、県内の特定地域に傾いて数値目標にまでなっていることが、どの程度有効なのかと思います。あまり先走りすぎてしまうと、県民全体から見てどうなのかというところもあります。また、県西地域が「未病いやしの里」づくりというような、突出した具体的な内容になっています。黒岩知事の公約なのかも知れませんが、これを数値目標にして、名前だけ看板を出せば目標を達成できるということなら、あまりにも行政的に安易過ぎると思います。むしろ県西地域全体が現在抱えている問題を考えるべきで、地元の基礎自治体も含め、色々な方々との合意が図られているか分からないところで、「未病いやしの里」に重点を置くというのは、いかがなものかと感じます。一方で、地域の商店街の問題は、非常に扱いが小さくなっています。従来は、商店街の色々な取組状況が指標値になっていました。これまで取組んできて具体的な成果が上がっていないという実態も分かるので、悩ましい部分ではありますが、ここの数値目標が、「地域商業ブランド育成などに取り組む団体数」というのは、どのようなことなのでしょうか。そのような取組みを行っているところもあると思うし、それがひとつの新しい施策なのかも知れませんが、本来、地域商業というのは、外からお客を引っ張ってくることは一部であり、これができるのは県内でも一部の観光地や大都市地域に限られてしまいます。それよりは、むしろ地域の住民の方々の生活基盤を支える意味での地域商業の必要性やその課題を目標にしないと、地域の商店街で努力されている方々からすれば、肩透かしを食らったような印象になってしまいます。また、そもそも地域商業ブランドというのは何なのかといった疑問もあります。それから、国際展開も良いのですが、気になったのが、県内企業が積極的に世界に展開をしていくということは、国際的なネットワークづくり、連携づくり、事業機会拡大ということにあると思いますが、その辺りが、この柱の立て方や目標値の設定の中で、見えにくいと思います。また、ベトナムという言葉もありますが、アジア全体が非常に成長が期待され、連携、つながり、市場展開が期待される時代にあって、なぜベトナムだけが出てくるのかという点に個人的には疑問を感じています。神奈川県として、積極的にベトナムをとりあげていく意味があるのならば、その辺りをお伺いできればと思います。

 

 牛山部会長:事務局から、ただ今のコメントや質問などのお答えがあればお願いします。

 

 水谷課長代理:産業振興について、企業立地という視点で委員よりご意見をいただき、確かにそのような部分が薄いとは思っておりますが、ただ、企業誘致による産業集積の促進というのは、引き続き必要な政策と考えておりましたので、ここの主な取り組みとしては、外すことができないものと考えています。もう一つ、地域活性化のプロジェクトで、県西地域の活性化と三浦半島地域の活性化を特出ししているというご意見もいただきましたが、29ページに記載のとおり、この構成では、1番で県西地域、2番で三浦半島地域を特出しし、それ以外の地域を含めて、3番で地域の魅力づくりとしてまとめています。36ページ以降の「神奈川の戦略」のページで、地方創生について記載していますが、地域活性化という視点では、人口減少地域である県西地域や三浦半島地域については、重点的に施策を展開する地域として考えており、具体的な取組みを記載する必要があるという考えで素案に入れています。

 

 三井委員:「未病いやしの里」とはどういうものですか。

 

 中谷総合政策課長:県西地域に設置予定の施設で、具体的には未病コンシェルジュという人材を育成し、未病の状態をチェックしたり、県西地域の温泉や食材などの豊富な地域資源を活用した体験的なものを提案・案内する機能を持つ施設です。また、実際に健康情報を提供し、健康に関する知識を深める展示コーナーも設置する予定です。それを称して、未病いやしの里センターと言っておりまして、事業者からそのコンセプトに基づいて、どのような形で施設を作るのか提案してもらう予定です。その中で一番良いものを優秀賞とし、県が経費の一部を負担することを前提に、施設整備を進めていく計画であり、それを未病いやしの里センター事業としています。

 

 三井委員:それは県の今年度予算に入っているのですか。

 

 中谷総合政策課長:まだ優秀賞が決まっていませんので、予算的には募集に関する経費がいくばくか入っているという状態です。

 

 三井委員:それは、新しいアイディアで面白い事業だと思いますが、やはり、これが数値目標にまで出てきてしまうことは、現場や他のプロジェクトとのバランスを考えるとこれだけ突出して大丈夫か心配になります。また、知事の強い意向ということもあるかと思いますが、やはり地元の自治体あってのことでもあるので、ある程度時間をかけてしっかり作っていかないといけないのではないでしょうか。形だけできても地域の住民が喜ぶものにならないとよくないのではないでしょうか。それを前面に出して目標というのも疑問があります。

 

 中谷総合政策課長:ご意見は承りたいと思います。私たちも地元に入ってきちんと説明しているつもりではありますが、おっしゃるとおりの懸念もありますので、そこは部局へ伝えていきます。

 

 山本(亮)委員:県西地域に住んでいる人間として、補足をしてよろしいでしょうか。未病について批判はありますが、県が4年間取り組んできて色々見るようになり、地元としても批判はありながら、やるのであればこれを何とか成功に導きたいという機運になっています。私自身も若干批判的ではありますが、やるからにはいいものにしたいというのが私の考えであり、県西地域で醸成されつつある機運だと思います。

 

 中谷総合政策課長:私たちも地元にご理解いただけるよう説明をしてきましたが、今、山本委員からのご発言のとおり、当初は未病という言葉自体に違和感を覚えるというご意見も多くあったと聞いています。しかし、知事や担当部局が何度も地元に足を運び、実際に事業を展開していくと説明したところ、徐々に地元からもご理解をいただいているようです。現在、各市町村にもご賛同していただき、機運が盛り上がりつつあると聞いています。

 

 牛山部会長:ベトナムの件と商店街の商業ブランドの件についてはどうでしょうか。

 

 水谷課長代理:ベトナムについては、プロジェクト7「海外展開」で「ベトナムなどアジアとの関係を深める交流の推進」、あるいは「ベトナムプロジェクトの推進」など、アジアとの関係を深める例示として入っておりますが、県がベトナムとの文化・経済交流を深めている実状があります。例えば、経済交流ではベトナムに集合貸工場を設置するなど、今の重点エリアとなっており、そういった面から国名があがっています。商業ブランドについては、55ページにプロジェクト18「地域活性化」の数値目標として、地域商業ブランド育成などに取り組む団体数ということで、地元の商品について、ブランド育成に取り組む団体数を設定しているわけですが、地域の活性化のために商店街が果たす役割に着目した数値目標として入れています。

 

 総合政策課:地域商業ブランドにつきましては、商店街が独自に地域性を生かした商品を開発したり、若手商業者の方がそういうものを発信する事業を地域の活性化のひとつの指標として考え、今回の数値目標に入れています。

 

 三井委員:意図は分かりました。しかし、先ほど発言したとおり、外へのアピールが有効に働くような地域や商店街、あるいは業種はある程度限定されます。ブランド化されていなくても、周りに住む人の日常生活を支えるために商店街が必要になるという点が従来の基本的な商店街施策への基本的な理解の前提にあったはずです。その部分が薄れてしまって、ブランドのアピール力があるようなところばかりがここで評価される印象を受けますので、個人的にはこれが数値目標になることは疑問です。

 

 内田委員:今回は柱が整理されていて、前の実施計画よりはだいぶ見やすくなり、理解しやすい印象です。私は産業とエネルギー関係を中心に見ていますが、例えば、67ページに掲載されているデータですが、神奈川県の再生可能エネルギーの発電出力は1ギガワットを完全に超えており、これは原発1基分の発電出力を軽々超えています。その最大のポテンシャルは神奈川の持っている水力資源です。水力資源でこれだけの再生可能エネルギーのポテンシャルをもっている自治体は国内にほとんどありませんので、ここは神奈川県はもっと威張っていいところです。こういうデータが出てきたのはとてもいいことです。それから、先ほどから議論になっていますが、本来神奈川県の総合計画となると、どうしても横浜や川崎といった県の東部、あるいは県央地域の一部が中心でした。私は東海大学に長年勤務し、平塚あたりをみていますが、厚木から西にかけては忘れられ、たまに箱根が出るくらいで、議論の対象外でした。しかし、今回はさがみロボット産業特区が入ってきています。16号沿いの米軍基地からの伝統的な流れの機械産業の素地がありますから、これを生かせると思います。では、残る県西地域はどうするのでしょうか。これは非常に難しいです。観光だけでなく、耕作放棄地の問題もあります。先日、小田原市で医食農同源のセミナーがあり、100人以上の方が集まりましたが、そこで、若い方のベンチャー企業が、県西地域でお米を作り、東南アジアでおむすびを作ってチェーン展開するという動きが紹介されていました。また、増えすぎた鹿を撃って鹿肉のレストランをしたいという話もありました。これは猟友会の高齢化で難しいそうですが、しかし、そういった動きが酒匂川や相模川から向こうの地域で少しずつ出てきていますので、後押しをする意味で具体的に県がいろいろな施策を出し、旗を立ててあげるのはどうでしょうか。財政が厳しい中では、旗を立てることも自治体の重要な役割です。旗を立てて、やる気のある人たちに集まってもらって、そこで動いていただくきっかけづくりをしてほしいです。そういった意味で、ぜひ、計画には県西地域を入れてほしいです。それから、三浦半島も忘れてはいけません。NHKでも特番がありましたが、横須賀市は日本で一番人口減少が激しい市です。こういった地域もこれからどうやって活性化していくのかを含めて、県にとって重要な宿題だと思います。そういう意味では、キーワードとしてこういう地域を入れていかないといけないと思います。それから、創業、ベンチャーということで、先ほどご指摘がありましたが、これは私も大事だと思います。私はかながわサイエンスパークの運営をしておりますが、これまでに400社近いベンチャーを育て上げて、多分国内では一番大きな実績を出していると思います。これは別に宣伝することではないのですが、今出てきているのは、アジア全体、西の方はサウジアラビア、トルコ、ヨルダンからずっとベルト地帯がつながって、韓国、シンガポール、香港、こういったところが相当動き出していることは確かです。神奈川県は、歴史的に横浜を中心にして海外との色々な行き来がたくさんあるわけですから、そういうことも利用しながら、また、川崎の中小企業が持っている国際的な力を生かすことは当然やるべきだと思っています。そういう意味では、もう少し創業、ベンチャー系の話があってもいいのかなという気はしています。それから、海外展開ですが、東南アジアの話はどこの自治体でも出てきます。ベトナム、ラオス、カンボジアとブームのようなものですが、神奈川県は25年以上、ドイツのバーデン=ビュルテンベルク州と提携を結んでいます。バーデン=ビュルテンベルク州政府は、森林の管理や観光面でものすごく大きなノウハウを持っていて、いつでも神奈川県のお手伝いをさせてくださいとおっしゃっていただいています。昨年の11月に友好提携25周年を県と州政府とでお祝いしたところですので、ぜひ、このきっかけを使って、これから先の展開に結び付けられたらいいのではないかなと思っています。海外展開といったときに、東南アジアだけにこだわることはなく、神奈川県はもっと全世界に展開できると思いますので、今後検討いただければと思います。

 

 水谷課長代理:内田委員から、エリアごとの方向性のお話もありましたので、資料5の「主要施策・計画推進編」をご覧ください。2ページで政策分野別の体系をまとめるとともに、32ページ以降、地域別の体系として、川崎・横浜からはじまって、三浦半島、県央、湘南、県西地域と、地域別に体系化しております。そちらでも、例えば県央地域のロボット産業などにも目配りをしています。それから、資料4の36ページで「神奈川の戦略」として、一つのプロジェクトに収まりきらないようなプロジェクト横断的な取組みについて、4つまとめています。37ページで「ヘルスケア・ニューフロンティアの推進」、先ほど、県央のロボットの話もありましたが、39ページで「ロボットと共生する社会の実現」、それから内田委員からお話がありましたが、国際施策という意味で「グローバル戦略の推進」を40ページに記載し、最後に41ページで、「地方創生の推進」を記載しており、なかなか単独のプロジェクトに記載しづらいものは、こういった工夫をさせていただいているので、その辺りも含めてご意見をいただければと思います。

 

 浪江委員:未病についてですが、資料4の8ページに書かれていることと、県のホームページにある未病チェックリストをやってみて気づいたことについてお話します。まず、8ページの未病ですが、一番の「未病を治す取組みを支える社会環境の整備」というところに「未病センターの整備」という記載があるのですが、家の近所にあるのかなということが気になりまして、47ページのプロジェクトの数値目標一覧を見たところ、現状、2014年で3,265箇所とあり、かなり数があることに驚きました。特区等を活用して大きな施設を作ったのかとも思いましたが、ある一定の規定を満たして未病センターと名乗れば未病センターという扱いになるのかもしれませんが、この未病センターは何をしているところなのでしょうか。周りの人に聞いても未病センターを知らない人が多いので、このセンターの啓発も取り組まなければならないのではないかと思います。

 

 水谷課長代理:実際には未病センターはこれから動き出すところで、まだ1箇所しかないという状況です。現状の3,265箇所は「未病を治すかながわ宣言協力活動」への登録事業所が圧倒的に多く、未病センター自体は小田原にある施設を一箇所指定したという状況です。スポーツクラブ等をイメージしていただくと近いと思います。気軽に健康管理や健康状態が測定・チェックできる機能、あるいはカウンセリングといった機能を持ち、身近なところで自分の健康を維持できるような施設を未病センターとして指定して、広げていこうという取組みです。

 

 浪江委員:例えば、そのような取組みが一定の条件を満たしたら、看板にステッカーを貼るようなイメージでしょうか。

 

 中谷総合政策課長:おっしゃるとおりで、分かりやすく表示するようになっています。身近な場所で自分の健康状態を知って、健康を気遣ってもらう。わざわざ遠くに出向くわけではなく、デパートやショッピングセンター、商店街といったところに賛同いただいて、コーナーをつくっていただく。それを未病センターと言うのですが、まだ一箇所だけという状況で、できる限り早めに広めたいと思っています。

 

 水谷課長代理:現在、指定させていただいている未病センターは、小田原のシティモールにあるカーブスというところです。

 

 大久保副部会長:健康相談は保健師のような方が対応されているのか。

 

 水谷課長代理:そのような方を想定していますが、インストラクターが指導するということも想定されます。

 

 大久保副部会長:大丈夫でしょうか。企業と連携してという話でしたが、あなたは未病の状態にあるので、より健康に近づけましょうということで、健康食品を売るというようなことがあった場合に、それ自体は決して悪いことではないのですが、一歩間違えると健康被害が生じ得ることもあるので、増やすのもいいですが、しっかりと質を担保したうえで増やさないと、逆に問題が起こるような心配があります。

 

 水谷課長代理:担当部局に伝えます。

 

 浪江委員:県のホームページにある未病チェックシートは、若者から高齢者まで誰でも診断でき、使いやすくていいのですが、気になったのが、不健康な状態の選択肢しかなく、健康な人は選択肢を選べないということです。不健康な人を前提に作りすぎなのではないでしょうか。また、チェックの結果は詳しく出てよいのですが、これから未病センターが増えるのならば、せっかくなので、「あなたの近くの未病センターはここです」といった情報もリンクで出てくるとより意味があるのではないかと思います。また、ホームページにアンケートのためにアクセスしてくださいといってもなかなか参加してもらえないのですが、アンケートに答えてくれた方の中から商品券をプレゼントするような仕掛けがあるとアクセス数が増えたりするので、何かメリットや情報をつけてもいいのかと思いました。

 

 水谷課長代理:今いただいたお話は担当局に伝えます。数値目標になっている「未病を治すかながわ宣言協力活動」への登録事業所ですが、こちらのお店に行くと、チェックシートでチェックができるという取組みを広げたいと考えています。しかし、チェックシートを見てみると、確かに「顔色が悪い」とか「顔が急に赤くなるときが多い」とか、否定的というか、自分が不健康な状態でチェックを入れるような前提になっているので、ご意見は担当局に伝えたいと思います。

 

 牛山部会長:よろしくお願いいたします。

 

 山本(佳)委員:1点目として数値目標のところですが、プロジェクト13「女性」の3番目に「労働力調査における25から44歳の女性の就業率」が取り上げられています。おそらくM字カーブのことを意識されたのかと思うのですが、このプロジェクトの大きな意図としては、テンポラリー(一時的)な就職というよりも、むしろ女性がキャリアを積んでいく重要性といったことを意図されているのではないかと思います。そうすると、この指標の意味は、いまいちプロジェクトの意図と異なっている印象を受けました。25から44歳のことだけを考えるよりも、継続的に女性がキャリアを積んでいける社会がいいという意図ではないかと思いましたので、コメントさせていただきます。

2点目に、プロジェクト15「教育」の数値目標ですが、「『生徒にICT活用を指導する能力』が高まったと感じる教員の割合」という項目がなぜここで取り上げられているのか、私は分かりません。特にICTに特化する必要はないと思います。やはり子どもの能力や学力が上がるということが分かるような指標の方がよろしいのではないかと思いました。

次に、プロジェクト23「都市基盤」で「交通」や「交通ネットワーク」という言葉が出てきますが、少し大きなスケールでの「交通」に着目しているような印象を受けました。なぜこのようなことを申し上げているかというと、将来的にというか、現段階でも始まっていると思うのですが、高齢化が非常に進んでいます。そうすると、公共交通は非常に重要になります。今、特に自動車交通に頼っているような地域であれば、自分で車を運転できなくなる方々の割合が増えていきます。そういったときに、ローカルな地域レベルでの公共交通のネットワークといったことも、今すぐには考えていただかなくても、次の段階あたりでは、そろそろお考えいただいた方がいいのかなと思いました。

次に、プロジェクト18「地域活性化」ですが、色々な県内の問題や事情があると思うのですが、県西地域と三浦半島の2つを大きく取り上げられて、それ以外の地域は「3 地域のマグネットとなる魅力づくり」に取組みが集約されているような印象を受けます。ここで色々な地域が対象にされていると思うのですが、バランス的なこともお考えになった方がいいのかと思います。

 

 牛山部会長:ありがとうございました。4点お話いただきました。

 

 水谷課長代理:最初にプロジェクト13「女性」ですが、数値目標に何を入れるかについては、庁内で色々と議論しましたが、例えば、数値目標4の「事業所における男性の育児休業取得率」は女性の就業をちゃんと支援していく取組みであります。2の「事業所における女性管理職の割合」も、山本委員がおっしゃったようなキャリアという意味で捉えるべきものと考えています。3の「25から44歳の女性の就業率」については、就業率が落ち込む部分で女性が働き続けるということで何か指標として把握できないかという考えで、このような指標も大事だと考えています。いわゆるM字カーブに関する取組みを入れておく必要があるという思いがありました。ご意見はもちろん受け止めさせていただきますが、そういう思いがあったということです。

それから、プロジェクト15「教育」の「ICT活用を指導する能力」については、確かに唐突なところもあるのかと思いますが、子どもの学力を育成していくという点で、ICTの活用技術がやはり必要になってくるというところを捉えて、教員の資質の向上という面を把握できるかと考えたところです。何が確かな指標なのかというところで、非常に苦しいところであるとは思うのですが、そのような考えで入れさせていただいているところです。

それから、交通ネットワークについては受け止めさせていただきたいと思っています。プロジェクト18「地域活性化」についても受け止めさせていただきます。

 

 

 牛山部会長:ありがとうございました。中村委員、お願いします。

 

 中村委員:山本委員の「ICT活用を指導する能力」に関するご意見は、私も全く同感です。計画がここまででき上がっていると、どう反映するのか難しいところですが、一言だけどうしても言いたいことがあります。黒岩知事になって計画を策定した前回のときも少しお話したことで、そのときはちょうど東日本大震災の直後だったので、やはりエネルギーということに随分傾斜した文言が入ったと思います。それからだいぶトーンダウンしてきたという感じがありまして、すごく表層的な部分で言葉が踊っているなという感じがあります。それが黒岩知事県政の特徴だと言えば、それはそうなのかもしれませんが、果たして、ロングスパンで物事を考える長期計画の一部である行政計画として、どこまで妥当性があるのかなということに多少の疑問を持たざるを得ません。例えば、「ロボットと共生する社会の実現」では、否定的な考えを持たれている方もいるかもしれませんが、いずれ生活の中にロボットが入ってくるということについて否定するつもりはありません。ただ、例えば、ロボットが生活の中に入ってきたときに、我々は何に気をつけなければいけないのか、あるいは、人権とか生命の尊重とかといった、むしろ行政計画でなければ書けないことをどこかに書いてほしいと感じます。そういった点がバックボーンというか、底流のところにないと、結局、民間企業のまねをした計画と受け取られたり、あるいは、一番大事なところ、長期計画として見失ってはいけないところは何だろうかという点がぼけてしまう気がします。それは、例えば障がい者であれ、高齢者であれ、女性であれ、子どもであれ、基本的な思想といいますか、権利を守る、人権を守るというような思想があまり反映されていないと感じます。そういう記述がどこかにほしい気がするのですが、例えば「神奈川の戦略」のようなところにそういうことを柱立てて書いておいていいのではないでしょうか。もう一度言うと、人権ですとか、生命の尊重ですとか、言われれば当たり前のことですけれども、われわれ人類が忘れてはいけないようなことをきちんと書いておくということも大事なことではないかと思います。

それから、気になった点が1つありまして、計画の内部での、実施計画の相互間の矛盾点がいくつかあり、それをどう解消するのかなというところがあります。例えば、柱II「経済のエンジン」のプロジェクト5「エネルギー」のところで「省エネルギーの促進とスマートコミュニティの形成」とあります。一方で、プロジェクト23「都市基盤」で地域交通やコミュニティの足を確保するということが出てくるのならわかるのですが、「リニア中央新幹線の建設促進」という項目が頭に出てきます。リニア中央新幹線をつくると原発2基分のエネルギーが必要になるのですが、そういうことを理解されているのだろうかということです。そのようにプロジェクト間で相互に反する、あるいは矛盾するところがいくつかあります。それがよくないと言っているのではなくて、やはり大事なところで全体を見通して、思想的な部分をどこかに入れておかないと、言葉が踊っているだけに過ぎなくなってしまうのではないかなと思います。

それから、プロジェクト10「農林水産」で、「新たな担い手の育成・確保の推進」とあります。これはそのとおりですが、例えば、神奈川県内ですと、都市部あるいは都市に近いところに農地があります。そういった農地を人に貸そうと思うと、現行税制上非常に不利になるので、人に貸せないということが起きています。例えば、そういったことについて、県が一定程度、税制を変えることは県の権限でできるので、規制緩和というようなことも「神奈川の戦略」に付け加えて、思想の部分というか、大事なところとして、神奈川が首都圏のリーディングな県として、まさにリードしていくという部分があってもいいのではないかと思います。長洲知事の最初の頃は、結構そういうことがあって、全国の範になったことがいくつかあったのですが、そのときに比べてエネルギーが全体に落ちたなという感が否めません。

 

 中谷総合政策課長:今の言葉を受け止めて、部局にも伝えていきたいと思っています。

 

 原委員:内田委員からもお話がありましたが、相模川より西の地域で活動している者として話をさせていただきたいと思っています。神奈川県というのは全体の平均値をみると他の県よりもだいぶいいですが、相模川より西、あとは三浦市や清川村もそうなのでしょうが、そこだけにスポットを当てると、他の地方とまったく同じような高齢化と産業の地盤沈下が起きていると私は認識しています。資料の中にもありましたが、人口減少のグラフなどを見ていると、県西地域や三浦半島は既に人口減少が始まっています。これは大都市の東京、横浜に通勤するのに少し遠いところは一様に厳しいということなので、郊外の住宅団地などもだいぶ人口が減少しています。神奈川もスポンジ状に人口が減少していくのだろうと考えると、我々が住んでいる県西地域は仕事を作らないといけないわけです。ところがなかなか産業誘致というのは難しいので、三井委員が言われたように、地盤沈下を起こしているところで、何か仕事を作ろうということになると、地域の人がやはりキーになってきます。そこに住んでいる人たちが、もしくはそこを愛している人たちが、いかにしてその地域を盛り上げていくのか、そこで商売をしていくのかという人たちを見つけ、引き上げていく必要があります。一方で我々が住んでいる地域は、空き店舗が非常に多いですが、なかなか有効に活用されません。そのようなときに、最近、県西地域では、マルシェや朝市が盛んになっており、平塚、大磯、小田原などのマルシェは結構大きくなっているので、そういった参加者たちが地域でお店を持つという動きも出ています。マルシェ自体は、例えば港や公園など、県の施設を使って運営していることもあるので、県として支援できることはまだあるのではないかと思います。また、空き家、空き店舗を利活用するのに、用途上の問題であるとか、規制緩和のようなことで支援していただけると、もう少しスムーズに入ってこれるのではないかと思います。こういったことについて、具体的な数値目標として、プロジェクト6「産業創出」では、ロボット実証実験の件数などがありますが、地域の中での空き店舗の活用や起業といった視点も多少は必要なのではないかと思っています。プロジェクト10「農林水産」でも、地域の中で飲食店をやる場合、特に水産などがそうなのですが、地域の水産物を使えるルートを知らないということがありますので、飲食店とのマッチングのようなことを進めて、数値目標に入れてもいいのではないかと思います。県西地域だと観光という大きい産業の中に位置づけられるのだと思いますが、地産のものが食べられるお店が集積しているということは、観光資源になっていくのだろうと思いますので、地域ならではの魅力を増やしていく必要があります。前に、商店街が段々と空いてしまうプロセスについての論文を読んだことがありますが、当初は地元のお店が入っていて、それがだめになっていくと、チェーン店が入ってきて、ドラッグストアなどになりますが、そういったところは地域の個性がないので、他の商業エリアができたときに、すぐに客を取られてしまうので、やはり地域の空き店舗の中でも、地域の人がやっているような個性的なお店をどう増やすのかという視点が大事だと思っていて、そういったことをうまく増やせるような部分をもう少し入れられるといいなと思っています。

 

 中谷総合政策課長:今、地元からの声ということで、非常に参考になるご意見をいただいたと思っております。それは担当部局に当然伝えていきたいと思っておりますが、少し付け加えてご説明すると、プロジェクト10「農林水産」の話がございましたが、特に水産物、海産物を活用できるルートを知らないことが多いということで、マッチングという言葉がありましたが、私どももその点は受け止めていまして、「具体的な取り組み」の1番で、農業、畜産も含めてですが、きちんとマーケティング調査をして、消費者のニーズを把握したうえで、色々な農林水産物を提供していけたらと考えています。特にこの項目の3番目の部分にも、水産加工物の開発を消費者のニーズを把握し取り組むという視点を入れさせていただき、それにつながるものとして、数値目標に「水産物の加工品数」を掲げております。きちんと伝わるようにすべきだと思っておりますが、そういった取り組みをしているということだけ、ご紹介をさせていただきます。

 

 原委員:今のところで1点質問をさせてください。水産物とありましたが、豚というもの入っているのでしょうか。高座豚など。

 

 中谷総合政策課長:今は水産物のところを説明をさせていただいきましたが、畜産物についても、知名度向上、販路拡大といった中に、高座豚などブランド商品もしっかりと入っていると考えています。

 

 原委員:県西地区は豚がおいしいと言われますので思い出しました。

 

 三井委員:今のご説明は分かるのですが、今の原委員のおっしゃったことは、要するに行政というのはどうしても縦割りなので、農林水産行政、産業行政と分かれてしまうのですが、まさに農林水産を生かすには縦割りではだめだということを示しているわけです。農業、林業、水産業をやっていますということだけではなく、その製造業者、販売業者なども全部巻き込んで、起こっている動きを行政が支援していくということだと思います。だからこうした枠組みの限界は当然あるわけですが、ぜひともそういった視点を入れていただきたいと思います。

 関委員:今回初めて参加させていただきましたので、これまでの議論を踏まえない発言になってしまうかと思いますが、私の役割は新たな視点でグランドデザインを拝見させていただいて、どう思ったかということをお話しさせていただくものだと思っておりますので、多岐にわたりますが発言させていただきたいと思います。資料を拝見させていただいたときに、神奈川がどのような姿を目指しているのかというイメージが見えてきませんでしたし、どういった計画を立てようとしているのかが見えてこなかったというのが率直な感想です。抜本的に柱立てなどを変えて、もう少し流れのいい、全体像の見えやすいものにした方がよいのではないかと感じました。

中身についての指摘として、最初の「策定に当たって」に、実施計画策定の主な背景がありますが、ここは全国の状況に関する記述が多く、神奈川県独自の背景があまり明確に見えてきません。もう少し神奈川県の数字や県西地域の課題など、その後の具体的な実施計画に反映させるような、連動するようなものを示すといいのではないかと思いました。なぜ実施計画を推進するのか、その背景を説明するページにするといいと思いました。

次に、「策定に当たって」で神奈川県のイメージ、どのような将来を目指したいのか、その特徴を設定するといいと思いました。基本構想にも挙げられている神奈川の将来像と、その後に出てくる神奈川の姿との関連がよく分からず、どれを一番目指したいのかという点が分かりませんでした。もう少し特徴をあげて、それとの関連で「めざすべき4年後の姿」に結び付けていった方が分かりやすいのではないかと思います。神奈川のイメージを、めざすべき姿とは別に掲げてはどうかと思います。例えば、基本構想でいいますと、世界に開かれた神奈川ですとか、首都圏を支える自然豊かな神奈川というところが、首都圏に近く自然豊かで、かつ洗練されているイメージ、国際的な点を示していると思いますので、そういったものをあげてはどうでしょうか。

次に、「めざすべき4年後の姿」と実施計画なのですが、「神奈川の戦略」というのが、必ずしも横断的な課題ではないものもあり、実施計画の柱と「神奈川の戦略」との関係が見えにくいので、「めざすべき4年後の姿」ともう少しリンクされている形で整理した方がよいと思います。例えば「めざすべき4年後の姿」が6つありますので、それに合わせて柱も5つではなく6つ立てたらどうでしょうか。それから、戦略というのもこのひとつひとつに戦略をリンクする形にすると関連性が分かりますが、戦略というのは計画の中でなんなのだろうと分からなくなりました。それから「めざすべき4年後の姿」との関係では、例えば2020年にオリンピックが開かれますが、それと長期的な将来との関係はどのような位置づけにあるのか、長期目標と中期目標との関係もどうなのかと思いました。

また、県民総力戦による取組みを進めると書いてあるので、そうだとするのならば、県の役割、地域の役割、NPOの役割、個人の役割をあらかじめ書いておくといいと考えました。

最後に、具体的に柱と23のプロジェクト以下を並べ替えた案を提案します。神奈川のめざすイメージの国際性を推進するためには、それを実施計画のひとつの柱に位置付けた方がよいと思います。そのうえで、具体的には、1番目は「未病を脱し健康長寿を実現」とし、これと連動する形でヘルスケア・ニューフロンティアの推進を戦略とし、2番目には、「ひとのチカラを最大限に生かす」をあげて、ここに新しい戦略として、子どもを産みやすい環境整備をあげるといいと思いました。3番目に「最先端技術が集積した活力あふれる経済」と経済のエンジンの話を入れて、ここの戦略として「ロボットと共生する社会の実現」を位置付け、4番目は「海も山もある洗練された首都圏のオアシス」とします。「個性が輝き魅力あふれる『まち』神奈川」と書いてありますが、具体的なイメージが湧かなかったので、具体的なタイトルを考えてみました。それを柱「まちづくり」として、これとあわせて、戦略として「地域活性化の推進」をあげます。5番目に、「安全で安心してくらせる神奈川」という将来像がありますが、もう少し明確に、「自助・共助・互助の進んだ災害に強い街」として、ここに柱5の減災を関連付けて、ここについては戦略がないので、「大規模災害から守る」という災害向けの戦略を立て、6番目に、「世界の中で存在感を発揮」とし、グローバルという柱を新たに立てて、「グローバル戦略の推進」を戦略とします。このような形に組み替えると、わかりやすいと考えます。

 

 牛山部会長:かなり根本的な組み替えのご提言をいただきました。関委員からはご意見を事前にいただいていますので、それを拝見しながら議論した方が分かりやすいところもあるかと思いますが、ここで議論する時間もありませんので、後ほど拝見させていただいて、次の会議に向けてご検討いただければと思います。

 

 大木委員:大きく3点あります。まず福祉ですが、プロジェクト4「障がい者福祉」とプロジェクト17「雇用」の関係で、ひとつは、「障がい者福祉」の2番めの「社会参加や就労の支援」の中で障がい者の就労支援が入っていて、「雇用」の中でも「障がい者の就業・職場定着支援」が入っています。数値目標を見ると障がい者雇用率が「雇用」のところに記載されていると思いますが、個人的には、「障がい者福祉」の方が、就労するための支援などの取組みが記載されていますので、そちらに入れた方がいいのかなと感じています。雇用率はもちろん新しく雇用されるものと定着するものの合算だと思いますが、「障がい者福祉」の方に障がい者雇用が入っておらず、「雇用」の方にだけ入っているのはバランスが悪いかと思いました。一般雇用と作業所のようなものが混在して記載されているからなのかと思いますが、少し整理していただけると、障がい者福祉に関わる事業者も見て分かりやすいかと思いました。

同じくプロジェクト4ですが、「スポーツ大会の開催など社会参加への支援」の中に「手話通訳など意思疎通支援の充実」とありますが、これは福祉サービスの充実に入るのではないかと思います。スポーツ大会などは社会参加の一つとして素晴らしい内容だとは思いますが、上に記載のあるバリアフリーといったものの部類に手話通訳も入ると思いますので、ここも若干混在しているかと思います。

もう一点、若者とベンチャーの視点ですが、72ページの「若者をめぐる状況」のところで、若年層に非正規雇用が多いといったことがありますが、若者は子どもには分類されません。かといってもちろんシニアとか大企業の話とは若干違います。計画の中に記載がないか探しているのですが、若者への支援が大学までで終わってしまっていて、その後は会社の支援というようになってしまっていて、若者への支援の視点がないのかと感じています。同時に、起業家に占める若者の割合が20年間で半分以下になっているというところを考えると、ベンチャー支援という点も充実させる必要があるのかと思います。

 

 牛山部会長:事務局からコメントをいただきたいところですが、時間も迫っていますので引き続きご意見をお願いします。

 

 木村委員:地方創生、地域活性化ということで全国の自治体から移住者の誘致といった内容の相談を受けておりますが、そういった点からどこも観光というものを重視して取り組んでいるとお見受けします。こちらでもプロジェクト8「観光」とプロジェクト18「地域活性化」で別立てになっていますが、「地域活性化」の内容を見ると、限りなく観光振興の側面が大きく、観光との重複感があるのではないかと感じています。プロジェクト8「観光」の中では国内観光客の誘致という記載がありますが、これはどこでもやっていて当たり前のことでもあるのかと思いますので、もう少し特徴を出すということであれば、「地域活性化」の中で掲げられているように特定の地域を特別に出すということに是非はあるかとは思いますが、「地域活性化」の観光に関わる部分をプロジェクト8の中に収斂させていくことも検討できないかということを提案させていただきます。その分、「地域活性化」については、地域に既にある価値を再発見して再構築していくような、地域の方々があらためて視点をおいてどうやってプロモーションしていけばいいのだろうかというような、地域の魅力の再発見、価値の再構築といったところに重点を置いた支援ができると神奈川としての地域活性化、地方創生の大きな柱になるのではないかと感じています。

 

 池本委員:プロジェクト13「女性」、プロジェクト14「子ども」、プロジェクト15「教育」の部分で、先ほどの中村委員の発言に共感しますが、理念というか人権というかその辺りの記述がなくて、女性、子どもは弱い存在なので助けてあげなければいけない、あるいは、教育についても一方的に学校教育で教えてあげるという視点になっています。教育というのは、世界的には生涯教育という観点で生まれてから死ぬまで教育という概念であるのに、ここでは学校の話しか出てこないということに違和感があります。特に教育のところでは、高齢化も進んでいるので、生涯教育という分野で対応すべきところがあるのではないかと感じています。

子どもの分野では、海外と比較して子どもの権利の視点が非常に弱いと感じます。川崎市は子どもの権利に重点を置いた施策で国内では代表的で有名なところですが、子どもの意見を行政が聞くということは世界では当たり前になっていて、保育園の子どもも保育園について意見を言っていいというような国が増えている中で、そのような視点で神奈川県としても柱立てしていただきたいと思います。保育園に限らず、学校に通う子どもの意見を学校が聞いて運営するといったことができないかと考えています。

もう一点は保育士不足や教員の質、教員の多忙化といったところで、子どもの環境を良くするためには教員や保育士の環境についても対策を取らなくてはいけないと思います。神奈川では地域限定保育士試験の導入を全国に先駆けて取り組んでいますので、その辺りでもなにか取り組みができないかと考えています。

 

 岡谷委員:医療と高齢者のケアの部分ですが、10ページにこれからの地域の医療体制で、医療、介護、生活支援などのサービスを一体的に提供する地域包括ケアシステムの構築が非常に重要で、その拠点が地域包括支援センターと記載がありますが、地域包括支援システムの構築に対しては今までとは違う発想でやっていかないとうまくいかないと思っています。一つは、地域で働いている看護職は全国で約25,000人しかいなくて、圧倒的にマンパワーが不足しています。介護を必要としている要介護4、5の人たちはベースに病気があって、その病気によってケアが必要になっているという状況がありますし、高齢者の肺炎の予防や悪化を防いでいくというところで医療の知識のある看護職がそのケアを行っていく体制を地域の中で作っていかないと地域包括ケアシステムというのはうまく機能していかないと思います。そのためには、地域包括支援センターだけではなくて、訪問看護ステーションをどうやって増やしていくかとか、病院の中ではなくて地域で働く看護職のマンパワーをどう増やすかというところも、潜在看護師の活用等も含めて具体的に考えていかないといけないと思います。在宅療養支援診療所の数が数値目標として挙がっていますが、在宅療養支援診療所だけができても、そこと連携する訪問看護ステーションがきちんと整備されないと、診療所の医者だけが訪問することは限界がありますし、ほとんどは医師から指示を受けた看護師たちが訪問してケアをしているというのが現状です。また、訪問看護ステーションからの訪問は居宅だけになっていますが、特区などで、特別養護老人ホームのように終の棲家となっているようなところは自宅と同じように考えていただいて訪問看護師を派遣できれば、病気の悪化の予防や感染の予防といったことがきちんとできて、本当に高齢者が安楽に最期を迎えられる状況になると思います。その辺りも制度的には、今は居宅だけになっていますが、黒岩知事はよくご存知だと思いますので、神奈川県が特区で突破していただけたらと考えています。

それから質問ですが、9ページで看護実践教育アドバイザーの派遣などとありますが、看護実践教育アドバイザーの派遣とはどういうことなのかよく分からないので、後で結構ですので教えて下さい。また、看護師の教育について、質の高い看護サービスが提供できる人材の育成ということであれば、看護学校を4年制にするよりは大学の看護学部の定員数を増やす方が有効ではないでしょうか。専門学校と大学の教育の質は、教員の数や設備など色々な面で圧倒的に違いますので、本当に教育の質を良くするとか質の高い看護師を育てるということであれば、その辺りを考えていただきたいと考えています。

 

 齋藤委員:プロジェクト14「子ども」とプロジェクト15「教育」を繋ぐ視点ですが、子どもの貧困率は全国では16%となっていますが、とりわけ母子家庭では60%を超えています。教育のプロジェクトで障がい者に対するインクルーシブ教育は謳っていますが、インクルージョンを障がい者だけに限定しないで、例えば貧困世帯に対する学習支援という観点で、そのような活動を行うNPOに対する支援やバックアップといった形で、もう少し子どもの貧困と教育を繋ぐ視点が必要かと思います。

もう1つ、イギリスでは就学前の子どもに対して生活習慣を始めとしたシチズンシップ教育を広げています。未病に注目するのであれば、対象とする年齢層をずっと下ろしてきて、未就学者から生活習慣などを確立していくという柱を作った方がよいのではないかと思います。

全体としては、貧困の問題をひとつのプロジェクトとして立てて総合的に検討しても良かったのではないかと思います。

 

 朱委員:外国籍県民という視点で複数の柱をまたぎますが、プロジェクト19「多文化共生」の中で、外国籍県民がくらしやすい環境づくりということで、これは素晴らしいことでぜひ進めていただきたいと思いますが、その中で災害時における外国籍県民支援という視点があります。災害時は支援していただければもちろん大変助かりますが、一方でプロジェクト12「治安」の中では外国人犯罪という言葉が出てきます。外国人は犯罪の加害者にもなり得ますが、同様に被害者にもなり得ます。そういった被害者に対する支援といった視点で、災害時だけではなくて、犯罪被害者に対する支援といったことも加えていただければどうかと思います。例を挙げますと、いわゆる振り込め詐欺まがいのことが外国人に対して起きています。中国人が中国人を詐欺の対象とするようなことが日本で起きています。そういったことからも、犯罪被害者に対する支援ということも何らかの形で反映できればと思います。

もう一点、プロジェクト8「観光」で外国人誘客ということが出てきますが、春節の休暇でたくさんの中国人が日本にやってきました。もちろん神奈川にも多くの人が訪れています。しかし、横浜に来るよりも箱根に行く人が多いです。横浜はほとんど素通りされています。もちろん箱根の魅力も多くあると思いますが、箱根に限らず、神奈川の中で魅力のある観光地を観光客にアピールしていければよいのではないかと思います。日本に来る中国人には、買い物だけではなくいろいろな文化に触れたいという思いがあります。そういったことからも、彼らにも神奈川のよいところを見てもらえればと思います。横浜の中華街は日本人観光客のための入場料を取らないテーマパークになっていて中国人はそれほど来ません。

 

 牛山部会長:まだまだご意見いただきたいところで、発言し足りない方もいらっしゃると思いますが、時間がなくなってきておりますので、追加の意見がございましたら、5月1日までに事務局あてに電子メールでお知らせいただければと思います。

本日、ご審議いただいた実施計画(素案)につきましては、5月に開催される総合計画審議会に私から報告いたします。本日、あるいは5月1日までに皆さまからいただいたご意見、また、本日欠席の方のご意見につきましては私の方でお預かりして、事務局と調整の上、総合計画審議会に報告したいと思いますがよろしいでしょうか。

 

(一同、異議なし)

 

ありがとうございます。

次に、議題3「その他」ですが、事務局から何かありますでしょうか。

 

 中谷総合政策課長:限りあるお時間の中でしたが、多くのご意見をいただきありがたく思っております。専門家としての大所高所からのご意見、また、県民の方に寄り添ったご意見など、私どもが気づかなかった面からのご指摘、ご意見を承りましたので、そのご意見を受け止めるとともに担当部局にもきちんと伝えて、できる限り素案から案に変えるときに反映をさせて、次の議論の機会にご提示させていただきたいと考えております。本日はありがとうございました。

 

 牛山部会長:それでは、以上を持ちまして本日の審議は終了させていただきます。大変熱心なご審議をいただきありがとうございました。

会議資料

資料1 神奈川県総合計画審議会規則[PDFファイル/146KB]

資料2 神奈川県総合計画審議会計画推進評価部会の設置及び運営に関する要綱[PDFファイル/109KB]

資料3 神奈川県総合計画審議会計画策定専門部会の設置及び運営に関する要綱[PDFファイル/103KB]

資料4 かながわグランドデザイン実施計画 プロジェクト編(素案)[PDFファイル/5.2MB]

資料5 かながわグランドデザイン実施計画 主要施策・計画推進編(素案)[PDFファイル/3.24MB]

参考資料1 かながわグランドデザイン実施計画の策定について[PDFファイル/154KB]

参考資料2 かながわグランドデザイン実施計画(素案)(概要版)[PDFファイル/1.16MB]

参考資料3 かながわグランドデザイン実施計画(素案)「プロジェクト」及び「神奈川の戦略」一覧[PDFファイル/575KB]

参考資料4 かながわグランドデザイン実施計画(素案)新旧プロジェクト対応[PDFファイル/287KB]

参考資料5 今後のスケジュール(予定)[PDFファイル/113KB]

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