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更新日:2018年8月27日

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第113回神奈川県総合計画審議会 審議結果

第113回神奈川県総合計画審議会の審議結果

次の審議会等を下記のとおり開催した。

 
審議会等名称 第113回神奈川県総合計画審議会
開催日時 平成26年11月26日(水曜日)14時30分から16時30分
開催場所 神奈川県庁本庁舎3階 大会議場
出席者

清家篤、○斎藤聖美、大賀圭治、大久保一郎、金子勝、渡辺真理、篠原正治、高桑光雄、角野禎子、丸山善弘、木村麻紀、飯田誠、内田みほこ、近藤大輔、谷口かずふみ、豊島きよし、渡辺紀之

〔計17名〕(順不同)

次回開催予定日 未定

問い合わせ先

政策局政策部総合政策課計画グループ 金岡

電話番号 045-210-3061(直通)

ファックス番号 045-210-8819

審議経過(議事録)

(事務局が、委員数30名に対しこの時点で17名の出席を確認し、半数を超えるため審議会が成立する旨発言。)

1 開会

 清家会長:ただいまから、第113回神奈川県総合計画審議会を開会いたします。議事に入ります前に、今年度、この審議会に初めて出席される委員がいらっしゃいますので、ご紹介をさせていただきます。お手元に「総合計画審議会委員名簿」をお配りしておりますので、ご参照願います。恐縮ですが、私からお名前を申し上げさせていただきますので、その際にご起立をいただければと存じます。まず、斎藤聖美委員でございます。続いて、大久保一郎委員、金子勝委員、篠原正治委員、高桑光雄委員、丸山善弘委員、豊島きよし委員でございます。

2 議事

議題1 「かながわグランドデザイン点検報告書(素案)」について

 清家会長:それでは早速議事に入りたいと思います。本日の議題は「かながわグランドデザイン点検報告書(素案)」についてでございます。ご承知のとおり、今年度は「かながわグランドデザイン実施計画」の最終年度ですので、これまでの社会環境の変化を踏まえた上で実施計画の全般について点検を行い、新たな課題の抽出や政策改善の方向性の整理をすることとなっております。そこで、県は、前回、6月13日に開催された当審議会においてご了承いただきました、「参考資料4『かながわグランドデザイン』点検基本方針」を元に作業を進め、資料の「かながわグランドデザイン点検報告書(素案)」を作成しました。この点検報告書につきましては、先月の下旬、10月29日の計画推進評価部会において検討をしていただいておりますので、審議に先立ち、部会での検討結果について副部会長である大久保委員より報告をお願いしたいと思います。ここからは、大久保委員にお願いいたします。よろしくお願いします。

 大久保委員:今、ご紹介をいただきました、副部会長の大久保と申します。本来、部会長の江口委員よりご説明申し上げるところですが、部会の際に欠席をされましたので、副部会長である私からご説明をさせていただきます。ご承知のとおり、県では平成24年3月に、総合計画である「かながわグランドデザイン」を策定いたしました。この総合計画の進行管理にあたっては、「かながわグランドデザイン実施計画」で、政策のマネジメント・サイクルとして、計画期間の最終年の3年目において政策全般を点検することとされております。今年度は、最終年の3年目にあたりますので、3年間の取組みや成果や神奈川を取りまく社会環境の変化などを踏まえ、政策全般の点検を基本構想の点検と併せて行っているところであります。点検にあたりましては、6月の当審議会で了承された「かながわグランドデザイン点検基本方針」に基づき、県の方でこれまで庁内の検討を進め、10月29日に開催された計画推進評価部会での議論を踏まえて、本日、素案として審議に供するものです。

それでは、まず、事務局から資料についてご説明してもらい、そのあと私から部会での議論を紹介したいと思います。それでは、まず事務局からご説明をお願いします。

(事務局から資料と参考資料3、5について説明)

 大久保委員:丁寧なご説明ありがとうございました。それでは、部会で行われました議論につきまして、若干、事務局からの説明と重なる部分もございますが、私からご報告をさせていただきます。まず、この点検報告書の位置づけでございますが、本日、ご提出した「点検報告書(素案)」は、「基本構想」部分と「実施計画」部分の2つに分かれています。「基本構想」部分の資料1、24ページまででは、計画策定時に見込んでいた社会環境が、その後どのように変化しているか、その上で政策の大きな方向性を修正する必要はないかを検証し、「実施計画」部分、資料の25ページ以降ですが、ここでは27のプロジェクトのこれまで3年間の数値目標の達成状況や成果について整理したうえで、今後の検討事項についてまとめさせていただきました。では、部会からの具体的なご意見について、簡単ではございますが、私からご報告させていただきます。まず、基本構想の点検の部分についてのご意見でございますが、資料7ページをご覧ください。このページの「イ 国際化と情報化」の「(イ)多様な文化が共存する地域社会」の項目では、外国人登録者数の推移を社会環境の変化として把握をしておりましたが、「多様な文化が共存する」との実態に関して記述をしたほうが良いとのご意見がありました。そこで、この項目に県内の外国籍の方の出身地別の状況について、記載を追加することといたしました。次に資料9ページ「ウ 産業構造の転換と働き方の多様化」の「(ア)産業構造の転換と技術・技能の継承」の項目では、県内の製造業の事業所数の推移を社会環境の変化として把握しておりましたが、神奈川の特色を把握するうえで、全国との比較ができるようにしたほうが良いとのご指摘を受けました。そこで、この項目に全国の状況を追加し、神奈川との比較が分かるように記述を追加することといたしました。次にプロジェクトの点検に関するご意見といたしまして、特に、数値目標の点検について、まず、お話しをしたいと思います。各プロジェクトの数値目標に対する「目標項目の検証」欄に関し、特に数値目標として適切でなかった場合の記述が分かりにくい部分があるとのご指摘がありました。そこで、該当するプロジェクトについて、それぞれ適切ではなかったと判断した要点が明確となるように表記の統一することといたしました。例えば資料の36ページをご覧ください。プロジェクト2「エネルギー関連産業の集積促進」の「目標3 エネルギー関連ベンチャーの事業化件数(累計)」の「目標項目の検証」のところに「項目としては適切でしたが、目標値の捉え方としてはプロジェクトのねらいを反映できていない部分がありました」と記述しました。また、資料69ページをご覧ください。プロジェクト11「多文化共生の地域社会づくり」の「目標2 留学生を対象とした会社説明会への参加学生数」の「目標項目の検証」のところに「数値目標の項目として、プロジェクトのねらいを反映できていない部分がありました」と記述するなど、表記を統一しました。次に個々のプロジェクトに関するご意見で、主なものをご報告します。資料33ページをご覧ください。プロジェクト1「かながわスマートエネルギー構想の推進」の「V プロジェクトをとりまく状況」の、一番最下段に「固定価格買取制度」に関する記載がございますが、現在の固定価格買取制度の見直しの動きについて、そこから生じる課題認識についても記載をしたほうが良いのではないかとのご意見がありました。そこで、その内容を「VI 今後に向けた検討事項」に記載を追加することといたしました。記載内容としては、2段落目に「また、再生可能エネルギー等の導入加速化にあたっては、固定価格買取制度の見直しの動きなどを踏まえつつ、取組みを進める必要があります。」との記載にさせていただきました。次に資料39ページ、プロジェクト3「津波被害を軽減する対策の強化」の「II 数値目標の達成状況」の「目標1 『海岸近くで地震に遭った場合にすぐに避難する』意識を持つ人の割合」についてです。ここでは、県民ニーズ調査の結果を数値目標として設定しております。ニーズ調査のように数値目標が主観的なものについては、政策との関わりが分かりにくいため、事業を実施した結果、県民の意識が高まるといった説明が必要ではないかとのご意見がありました。そこで、「目標項目の検証」の欄に施策との関連が分かる記述を追加することといたしました。具体的には、目標1の「目標項目の検証の欄に「津波避難訓練や普及啓発を通じて県民の津波に対する意識の醸成を図ることで、プロジェクトのねらいである「津波からいのちを守る」「迅速な避難の実現」につながることから、数値目標としては適切な指標となっていました。」という記載にさせていただきました。次に、資料115ページをご覧ください。プロジェクト23「競争力の高い産業の創出・育成」の「II 数値目標の達成状況」の「目標1 神奈川発独創的技術の開発」については、その具体的な内容が記載されていないようなので、神奈川発の技術として具体的な事例を記載してはどうかというご意見がありました。そこで、具体的な内容を「主な取組みと成果」に追加することとしました。具体的には「III 構成事業の主な取組みと成果」の「1 県内企業の技術高度化・国際化支援」に「産業技術センターが実施する技術相談、依頼試験、受託研究、共同研究、技術アドバイザー派遣などにより中小企業が行う新技術・新製品開発(「緩まない耐震補強金具取り付けナット」の開発など)を支援しました。」と具体例を記載いたしました。次に資料127ページ、プロジェクト26「神奈川の特色を生かした農林水産業の展開」に関して、特に林業について、ドイツの林産業を参考に県西地域などにおいて、林業に力を入れてはどうかとのご意見がありました。そこで、このご意見に関して、「VI 今後に向けた検討事項」に林業に関する記述を追加いたしました。具体的には「木材生産量の増加に向けて民有林における間伐材の搬出促進をより一層進めることで、資源循環による良好な森林を作り出していくことが求められています。」としました。最後に、報告書の記述全体に関わる意見をご報告したいと思います。点検報告書の全般にわたり、分かりにくい言葉や一般的でない言葉があるので、解説を記載すべきではないかとのご意見がありました。そこで事務局のほうで、専門用語やわかりにくい言葉については、欄外等に解説や日本語訳による表記を加えていただくなどの工夫をしてもらいました。私からの報告は以上でございます。これ以外にも、部会では活発な議論が行われ、その議論はできる限り、今回の点検報告書に反映させるようにしました。よろしくご審議のほどお願いいたします。

 清家会長:ありがとうございました。それでは、ただいまのご報告を踏まえて審議に入りたいと存じます。できるだけ多くの方からご意見を賜りたいと思いますので、簡潔にご発言をお願いできればと存じます。それでは、ご発言がある方は、挙手をお願いいたします。

 近藤委員:では私から1点。今回、3年間の実施計画を終了し、色々な課題、新たな課題を抽出するということですが、ひとつ、かながわグランドデザイン基本構想の点検の中の13ページに「くらしの様々な課題」の「(ア)災害から身を守る意識の高まり」とあります。この3年間の中で、土砂災害や噴火災害、東日本大震災を受けて色々な対策をしてきましたが、やはり神奈川の特色として記述すべきものとしては、米軍の基地数とそこに働く軍人やその家族の人の数が、沖縄に次ぐ2番目に基地の多い県といわれていることだと思います。また、その中にあって、横須賀基地では、原子力艦船が年間200回以上行き来しています。これは神奈川の特色のひとつであり、基地に対する問題や原子力災害の問題で、県内には原子力発電所がないことは重々承知しておりますが、研究所であったり、原子力艦船が行き来しているそのような状況をしっかりと課題として捉えておくべきだと思います。この3年間の色々な状況の変化を捉えて見直しをしているということですから、東日本大震災を受けて、神奈川独自の基地対策について、米軍との関係もありますが、課題として捉えていただき、その先、プロジェクトなのか、基本計画なのかは分かりませんが、対策は考えていくべきだと意見として申し上げさせていただきます。

 清家会長:はい、ありがとうございました。それでは他にご意見はございますか。金子委員どうぞ。

 金子委員:金子でございます。4点ほどあります。一つは製造業の減少が著しいので、産業構造の転換がいいことなのか悪いことなのか評価がほとんどなされていなくて、分析もあまりない。どういうタイプの、あるいはどういう産業分野の企業が非常に減っているかとか、そういうこととの関わりで今一般的には円安倒産とか言われていますけれども、ここ2、3年の急激な減少の分析をして、どのような対策がありうるのかどうなのかということについて、ちゃんと検討が必要な気がします。2番目の問題は、スマート化に太陽光発電ばかり知事が公約にしていたのですけれど、それだけではなくもう少し省エネも入れようということで、創エネと省エネを一体で考えましょうと、方向転換したことはとてもいいことだと思います。そこで企業の誘致とか関連の集積とかあるのですけれど、どのように再生エネルギーの役割を考えるかというと、分散型のエネルギーで市民発電など、ドイツは協同組合が多いのですが、単に企業だけではなくて、市民が参加したり投資したりするようなタイプのものを重視していかなければならないのではないかと思います。新しい目標を入れろとかいうことではなくて、一番神奈川で有名なのは小田原のほうとく電力ですけど、屋根貸しで非常に地元の商工会議所を含めて頑張ってやっています。そういった参加している企業も含めて、もう少し市民の自発的な発電や、あるいはそこへ投資をしていくような流れというものをどこかで促進するようなことが必要なのではないかと思います。さらにそれに関連するのですが、固定価格買取制度の見直しで太陽光の価格を大幅に下げようとしております。今までは神奈川県は太陽光に重点をおいて突っ走ってきたわけですけれども、それができなくなってしまいます。小水力については記述があるのですけれど、例えばコストの削減でさらに太陽光を促進していくのか、それともこの再エネの中でもう少し別のエネルギーとして、林業の話であればバイオマスをやるなど、どういう方向性があるのか、見直しをしてと書いてはあるが、方向性がいくつか提示されていて選択をこれから議論しましょうという形になっていないのは、やや不安なのではないかというのが大きく言えば2番目です。3番目としては、認知症疾患の医療センターが1から9箇所に非常に増えたということはいいことだと思います。それから地域包括支援センターそのものが医療と介護の連携といったことで「よりそいノート」と、分かりやすい指標がでているのはいいのですけれど、どういう認知症対策をしていくかということに対する考え方が見えてきません。オレンジプランなどをみていても、はっきりしないぼわっとしたものですけれども、初期対応として薬である程度対応できる専門医をそろえるとか、地域でノーマルに拘束を少なくしながら認知症が進まないような体制をつくりましょうとか、何か施設間の役割と目指すべき目標みたいなものが何か一言ついているといいが、何を目指してこういうものができているのか、というのが分からない。つまり、包括センターとか医療センターなどができたということだけではすまないと思うのです。お金も人材も少なくなっているので、どういう認知症ケアみたいなものを目指しているのかがそれとなく分かる、その中でそれぞれの施設が普及しているというような丁寧な記述がないと、認知症の人を初期の段階で専門医が適切に色々なタイプに応じて薬を処方したりすることが非常に効果的だといわれているのですが、そういうことを重視するのか、地域でノーマルに生活していくことを重視しているのか、在宅でそのようなことを一生懸命フォローするような体制をつくろうとしているのか、何かそういう方向性が分かるような記述がどこかでないと、何のためにこの施設を増やしていくのか、そこが見えにくいので、なかなか系統的な認知症の対策が見えてこないと思います。これから非常に増えてくるので重要なのではないかと思います。あと林業の振興のところで、環境に関係するのですが、林業をやって間伐材を使って普通の家を建てましょうというのは、あまり現実味がないのです。今はほとんどユニット住宅系がどんどん侵食している状況で、これも雲をつかむような話なのですが、北米だとCLTといわれる合板の形をして耐火性と耐震性を非常に強めた木造の高層ビルはコンクリートより丈夫だというような動きがあります。それで、木材の産地ではそういう加工が秋田県とかいくつかの地方ではでき始めています。そういったことをやらないと多分木造の普通の住宅はなかなか建ちにくいのではないかと思います。木材の活用の仕方もどんどん技術のイノベーションが進んでいますので、そういう流れに対して多少配慮して研究する、そういう配慮をしていないでいきなり林業の再生で木造の住宅を建てるというのは少しなんとなく説得力に欠けているかなというのが4番目です。細かいことばかりですけど一応気がついたところを申し上げました。

 清家会長:ありがとうございました。他にご意見はございますでしょうか。

 丸山委員:20ページの「『基本目標』と『政策の基本方向』の検証」の中に「県民総力戦で創る神奈川」という大変大切な中身があると思います。他の都道府県よりも、私達、消費者団体としても自負しているのが、神奈川県の県民力と申しますか、市民力というか、自立する力、自治する力というものが大変に潜在能力としても出ているものとしても高いと思っています。例えばワーカーズ・コレクティブのような形であったりNPOの形であったり、大変活発に活動されています。ですので、「県民総力戦で創る神奈川」というものが大変大きく大切なテーマでもあり切り口でもあると思います。そのことで、全国の先駆けとなる神奈川モデルと書いてありますが、市民が関わる部分ということも全国に先駆ける神奈川モデルでもあるでしょうし、アウトプットされたものも神奈川モデルということで自信を持って出せるものを創るということがとても大事だと思います。それと合わせて、「県民、NPO、企業、団体、市町村などと情報や目的を共有しながら」とありますので、神奈川県の総合計画という位置付けだけでなく、これ自身が例えば消費者団体であったり生協であったりNPOであったりワーカーズ・コレクティブであったり、それぞれの立場で関わっている分野の中でこれを一つの大きな流れとして活用しながら一緒になって神奈川県を作っていくということだと思います。ということであるとすれば、成果としてというか、途中のプロセスの中でアウトプットしていく、発信をしていくものについては、常に、使われるということで、色々なかたちで過去からずっと、どういう形で表現するのかということに心を砕いてきているということは承知しております。さらに、出すものについてはよりどうすれば伝えられるかということについては、常に、言葉の説明といったものなども含めてお願いしたいということをお伝えしておきたいと思います。

2つ目は、消費者団体、それから地域の生活協同組合もそうですが、地域社会の中で本当に中長期的に一番身近なものとして、また、自分たちの課題として考えないといけないと思っているのは、医療、子育て支援も含めた福祉、介護、助け合い、健康づくりということが、私達の生きていく中でこの地域社会では大事だと思っていますので、その辺りもお伝えしておきたいと思います。

 清家会長:ありがとうございました。それでは、これまでのところで事務局からお答えできる部分がございましたらお願いします。

 中谷総合政策課長:まず、金子委員から4点ほどお話があった件ですが、一つ目の産業構造の転換というところで、製造業が減少しているという記述について、それが良いのか良くないのかというお話ですが、資料のつくりとして、社会環境の変化という項目のところでは、事実をデータとして把握している項目ですので、あえてそうした記述は避けているところです。ただ、おっしゃられるとおり、それをもって政策的にどうするのかというところが具体的にプロジェクトに記載されているのですが、その前に今年の3月に総合計画審議会の計画推進評価部会が作業した社会環境の変化を踏まえた報告書が作成されています。その中では産業構造の転換というデータを分析しており、製造業に限らず、全業種にわたって、過去どのような傾向で推移してきているのかという分析をし、資料としてまとめました。その内容について参考にお話しますと、製造業だけではなく、建設業、農林水産業といった類の産業については、平成7年と平成22年、10年間での比較をしておりますが、いずれも減少している状況にあります。ではいったい何が伸びているのかというと、医療・福祉の関係の産業が伸びているということと、本県で言えば宿泊・サービス業といったものが横ばいという状況が読み取れます。そういったこともあり、政策の方向性として、必ずしもそれが全てということではございませんが、資料9ページにも記載のとおり、ライフイノベーション国際戦略総合特区を始め3つの特区が本県では指定されておりますが、医療・福祉産業のような成長産業と言われているものが重点的に推進していく代表例になるかと考えております。

2つ目のスマートエネルギー関係ですが、地元に根付いた再生エネルギーの取組みというお話がございましたが、例えばこの9月に湘南電力という電力事業者がエネルギーの地産地消ということで立ち上がった経過があります。湘南ベルマーレと協力して、地元の電力を高く買い取って安く提供するといったエネルギーの地域モデルも県内に根付いてきており、一つ事例として紹介させていただきます。

認知症対策につきまして、もう少し詳細に記述した方がいいというお話がありました。資料51ページが対象の項目になりますが、高齢者の関係で認知症対策を「今後に向けた検討事項」に「認知症高齢者の増加への対応」と記載しておりますが、金子委員ご指摘のとおり、もう少し丁寧な記載が必要だということは受け止めさせていただきたいと思います。

木材の関係ですが、県では水源環境保全税を超過課税で徴収して林業を振興していますので、そういったところも振興していきたいと考えております。

丸山委員からのNPO関係のお話ですが、神奈川は認定NPOの数が全国で3位ということで、もともと県民参加意識が高い県であるということもございますので、そういった点を配慮して本県でも取り組んでいきたいと考えております。

 清家会長:それでは、引き続きご意見をお願いします。

 近藤委員:先ほどの金子委員と中谷総合政策課長の話の関連ですが、資料33ページ、「スマートエネルギー構想の推進」の「今後に向けた検討事項」の中で、固定価格買取制度についての加筆をしたという報告がありましたが、併せて、この先また実施計画の更新をするのであれば、電力の自由化ということも、現状では見据えようがないのかもしれないが、計画づくりのインパクトとして捉えていただきたいと思います。

 清家会長:それでは他に。では大賀委員お願いします。

 大賀委員:非常にマイナーな点かもしれませんが、一つは農林業の振興という問題になるのか自然環境の保全という問題になるのか分かりませんが、全国的に鳥獣被害が大変に重大な問題になってきています。被害を受けているのは都市の住民であったり、また、私の関連している分野でいえば農業関係者になりますが、山間部で農業をやっていて鳥獣被害を受けると、ほとんど農業をやる気がなくなってしまうほど、鳥獣被害対策が大変ということがあります。神奈川の実態はよく分かりませんが、全国的には大変大きな問題となっています。神奈川も山が多く、丹沢のヤマビルの問題をよく聞きますが、鳥獣被害もあると思います。また、通常の自然の動植物のほかに、ペットが山の中に入って増えるという問題もあり、それは都市部でもタヌキの類など問題となっています。だれがどう責任をとってやるのか、なかなかはっきりしないという問題がありますが、これを対策が必要な問題として捉え、プロジェクト26「神奈川の特色を生かした農林水産業の展開」に入るのか、それともプロジェクト21「神奈川の自然環境の保全と活用」に入るのか分かりませんが、鳥獣被害は全国的に非常に深刻な問題になってきていて、神奈川でも被害があるのだろうと思われるので、対策を考えるべき問題として、要検討事項の中に入っているとよいと思われます。

少し違う問題として、美しい街並みなどを考えると、廃屋、空き家というのは大きな問題となっています。おそらく、家が建っている方が税制上優遇されるということで、更地にできず、廃屋が全国的に広がってきています。私は農村部に行くことが多いのですが、我が国の最悪の景観阻害要因が2つあります。一つは荒れ果てた廃屋が、全国至る所にあり、街の景観を非常に阻害していることです。もう一つは、皆さんもご存じだが電柱です。これが街の景観を非常に悪くしている2つの要因です。後者はよく分かっているが、廃屋の問題については、家が建っていると税金が安くて、家がなくなって更地になると税金が高くなるのは、おそらく利用との関係だろうと思うが、そこに家が建っているかいないかではなく、人が住んでいるかいないかで税金を考えればいいが、建物の有無で税金を決めるので、廃屋が放置されて、見栄えが最悪の状態になり、崩れ落ちた家が至る所にあります。これは普通の農村部での廃屋の問題で、都市部で空き家がどんどん増えてくると、同時に安全の問題にも関わります。これもどう取り組むかは、私は専門ではないので、どうあるべきか分かりませんが、これから大事になってくる問題であり、今後、検討すべき問題として、どこかで触れておいていただければと思います。

 清家会長:ありがとうございました。では、谷口委員。

 谷口委員:資料の41ページの急傾斜地崩壊防止施設の整備率の件ですが、2014年度まで毎年重点整備地域の整備率を1%ずつ増やして2014年度61%の達成見込みとなっています。数値項目の検証としても、数値目標として適切な指標となっていたとの評価となっているが、ご存知のように、今年は台風18号等で県内でも土砂崩れ等が発生しました。数値目標としては適切なのだろうが、今後の課題として毎年1%ずつでいいのか、ここをもう少しスピードアップして行く必要があるのではないかという点について、もし、今後に向けた検討事項の中に書き込めるのであれば書き込んだ方がいいのではないか。ただ、莫大な予算が掛かることなので、どこまで書き込めるか難しいところだが、問題意識としてはそういうことにも触れた方が良いとの思いです。

 清家会長:ありがとうございます。では、ここまでで事務局からお答えできる部分があればお願いします。

 中谷総合政策課長:近藤委員のお話にありました電力の自由化ですが、こちらはプロジェクト1に今後の課題として記載している部分でもございますので、今のお話についても受け止めていきたいと思います。大賀委員のヤマビルや空き家の関係についてですが、本県では、特に空き家の関係については非常に重要な課題だと思っていますので、ご発言を受け止めさせていただきます。谷口委員から急傾斜地の対策についてのお話がありましたが、こちらは確かに予算を伴う話なので、ご発言の意図を原局につないでいきたいと思います。

 清家会長:それでは、他にご発言はございますか。角野委員どうぞ。

 角野委員:資料の49ページから51ページのところにある医療に関することです。ここはプロジェクト6「高齢者が生き生きとくらせる社会づくり」となっているのですが、高齢者のくらしそのものというよりは、ここにあるのは全部施設関係なのです。ですが、高齢者のくらしの中には、ここ4、5年、もっと前からかもしれませんが、なぜ地域包括ケアができたかと言えば、「在宅を延ばしてくれ」ということなのです。そうでないと介護保険はパンクします、ということで、どうしても在宅、そして在宅死を延ばしていって欲しいという観点があるのに、なぜか、ここの見かたは施設数を出したりするので、少し方向性が違うのではないかというような感じがします。在宅を増やすために包括ケアができてきて、包括ケアを上手く回していけば、地域で開業をしているクリニックの先生方が往診をして、患者さんの看取りをしていくというのが国の考え方ですが、それが強くなって、各地域で全部をやろうとして、地域包括ケアセンターを使うところもあるし、そうでないところもありますが、全員が、この数を気にしているわけではありません。逆に、もうちょっと区であるとか、地域での先生方の集まりを主体にしてやっていくというのが地域包括ケアの考え方なので、そういうところを、まとめのところや検討事項のところで強調していただいた方が良いのではないかと思います。それから、その後のプロジェクト7「県民が安心できる保健・医療体制の整備」というところでは、最初の数値目標が看護職員数となっています。例えば、がんセンターが新しくなっているわけですから、県民にとっては、どういうことができるのか非常に関心がありますし、医療体制であれば、神奈川県総合リハビリテーションセンターも新しくなっていこうとしているわけですから、そういったところが、ある程度どこかで強調されればと思っています。また、資料の54ページに「がんの総合的な対策の推進」とあります。神奈川県は非常に先進県なので、子どもに対するがん教育が始まっているし、かなり熱心に取り組まれていて、予算も取られているようですので、このところに「子どもに対するがん教育の啓蒙」も少し強調していただけたらと思いました。

 清家会長:ありがとうございました。ただいまの角野委員の発言の関連するご質問はございますか。

 金子委員:今のご意見との関係で言うと、今度の医療介護総合確保促進法で出している内容では、要介護3以上が施設に入るということで、それ以外が在宅になっていきます。しかも要支援の訪問介護なり、通所の介護なりを市町村におろしていくんだという方針が出ているわけです。政令市など財政力のあるところは十分に対応できるが、神奈川県というレベルで見たときに問題が発生する可能性があるような気がしています。それに十分対応が出来るかということが1点あります。それから、施設と在宅の関係を本当に要介護3以上に絞るのかどうかわからないが、それがニーズだとすれば、そういう予測をある程度たててこれくらい施設が必要で、そうではない要介護の人や要支援の人はできるだけそうならないように、健康寿命を伸ばすような考え方をどうやって取り入れるかを基本的な目標に入れていかないと、目標1の地域包括支援センターの設置数と目標2の特別養護老人ホーム整備床数の関係が分かりにくくなります。先ほどのご意見とほとんど同じなのですが、より具体的に最近の動きとの関連ではそうなります。もう一つは目標3のサービス付き高齢者向け住宅なのですが、医療サービスに対しては、悪徳業者がいるのではないかという言い方をされて、診療報酬を大幅に7割ぐらい落とすというやり方をして急激にそういう問題が発生すると、介護についても同じようなことが言われます。厚生労働省が多様な施設ということで供給促進をやってきたのですが、逆に今は絞りにかかっている状況で、これだけが目標に対して190%と高く、伸びてしまっています。その中で介護報酬や診療報酬の見直しみたいな動きが出ているので、それが増えればいいのかという問題もあるように思います。達成率が190%だからいいことなのか、にそういう問題が出ているということも最近の動向として考えた方がいいのだろうと思います。また先ほどの意見との関わりで言えば、むしろ総合医、プライマリーケアをできる、あるいは看取りのできるとすれば、緩和ケアができる、そういうお医者さんがどれだけ地域にいるかということ、認知症でいえば認知症の初期判断ができるお医者さんがどれだけ散らばっているかということや同様にがんであれば、がんの看取りはモルヒネが使えなければ24時間ケアが難しいですので、そういう医療や介護を在宅でやるときの指標や目標はもう少し今後は丁寧にしていった方がいいということになるのではないでしょうか。地域包括支援センターが重要な指標ではなくて、地域のお医者さんにどれだけそういう人がいて、その人が地域にコミットできるかというのが非常に大事になってくると思っています。若干意見が重なるところとずれているところがありますけれど、そういう意見です。

 清家会長:はい、角野委員どうぞ。

 角野委員:金子委員もご存じだと思いますが、認知症の方は認知症サポート医というのを厚生労働省がつくって、かなりの数の認知症サポート医がおりますし、それから看護、介護についても認知症サポートなどの資格を取っている人たちが沢山いますので、そちらの方は医師会レベルでもかなりおりてきているのではないかと思います。

 金子委員:それとの関係で、認知症疾患センターとはなんだろうと思っています。

 角野委員:認知症疾患センターにつきましては、いろいろとありますので、今回は神奈川県のことですから、ここではお話ししないことにします。サービス付き高齢者向け住宅については、委員のおっしゃるとおりのことだと思っています。また、総合医の問題は、まだちょっと時期が早いかと思います。一般の開業の先生方はずっと前からの考え方として、地域にあるのであれば、特殊な眼科、皮膚科などの先生方は一般医にはなりませんが、内科、小児科、あるいは外科という先生方はかなり総合医的なニュアンスをもってずっと開業していられる方がほとんどです。その先生たちは今、各地域で往診をかなりの数の方たちがなさって、何とか在宅医療を推進していこうということをやってらっしゃると思います。

 清家会長:関連で発言がありますか。渡辺委員どうぞ。

 渡辺(紀)委員:医療とは離れるが、ページで言えば89ページのプロジェクト16の「地域資源を活用したにぎわい拠点づくり」の目標2のところを見ると、たまたま私が住んでいる伊勢原大山なのですが、知事が進めている横浜、鎌倉、箱根に次ぐ第四の観光の核作りということで、城ヶ島、大山、大磯・二宮が入っている訳ですけれど、おかげさまで知事の方針の下、この前の3連休などもバスが一杯になるぐらいに大勢の方がお見えになっています。そういう意味で大体2割ぐらい増しで観光客が増えているのが現実でございまして、そのあたりのこともこの点検の中に、数字が入っていますけれど、それにプラス経済効果なり地域の賑わい度合いを書いていただくのもよろしいのかなと思っております。それに伴って、大賀委員がおっしゃったように、ヤマビルの対策ですとか、近頃でクマの対策ですとか、そしてまたハイキングコースの整備だとかいろいろ課題が出てくるわけでして、そのあたりもこの点検の中に議論として入ればなおさらよろしいかなと思っております。以上でございます。

 清家会長:では大賀委員、お願いします。

 大賀委員:個人的な体験に基づいた議論ですけれど、私自身が認知症の要介護4の介護をしていて感じることです。確かになるべく自宅で介護する方が家族としても、そのほうがいいということは良くわかるのですが、その場合に老人ホームに全部預けっぱなしになっている人たちが多いというのも見ていて感じるのです。そういうところに入らないかといわれると、こちらはそこまでせずに何とか家でやりたいと思います。そうは言っても、こちらが完全に疲れ果てたときに、今やっているショートステイというのを、取るためには2、3ヶ月前から予約しなければならない。ショートステイというのはこちらが何とかしてほしいというときにはうまくかみ合わない。結局同じ施設でも自宅でやりながら頑張っている人たちは、特に助けてくれるようなそういう施設が足りなくて、入るほうは施設に入るのにまた順番待ちとなっていますけど、自宅でやろうとする人たちを助けるような支援のシステムをぜひお願いしたいと思っています。もうひとつはお医者さんの話ですが、私はお医者さんに行かなければいけないので、定期的に通って薬をもらうのですが、気持ちとしては、ただ聞いてくれて薬の処方をしてくれてだけで、あまり真剣さがないと感じます。要するに自分で介護しているわけではないので、実際の介護の時にはケアマネージャーなど日ごろ面倒を見てくれる人の中でできるので良いのだが、お医者さんは、患者さんが来てくれて薬を処方すれば、認知症の場合はそれで基本的にはどうしようもなく、いわば病気の進行を抑えるための薬がいいのがいくつかあるので、それを処方しているだけのような気がしています。だから施設の中に職員なり看護師さんなりがいて、その人たちが親切に相談に乗ってくれます。家庭で介護している側から見ると一番大変なのは一人きりで悪戦苦闘して相談相手がいないことだと思うのです。支援センターというのはそういう意味では非常によい、もっと支援センターは包括的にやってほしいと思います。また、施設もできる限り包括的にいろいろなことをやってくれたほうが、ショートステイならあっちの施設に行け、デイケアならばこっちに行けとやっていたら、まず患者そのものが混乱してしまいます。また混んでいるから毎日は受けられず、何曜日と何曜日ということになれば、それ以外はまた別の施設を頼まなければいけません。私の印象ではあっちこっちの施設に行って、お医者さんはお医者さんで連れて行かなければならないよりは、その人を包括的に見てくれて相談してくれるそういう施設であってほしいと思います。あまりにもいろいろな民間や公共の施設があるが、総合的やるのは介護している本人が一生懸命頭悩ませなければならないので、そこの相談に乗ってくれる人が誰もいないというのが非常に大変だと思うので、どうあるべきかは皆さんに考えていただきたいのですが、日ごろ感じているのはそういったことです。また、一番苦しいのは近所隣の理解がなかなか得られない、結局は迷惑者扱いになってしまうことが、非常に大変なことで、そこも何か解決策がないかと思っています。

 清家会長:角野委員どうぞ。

 角野委員:医療の問題で申し訳ありませんが少し発言をさせてください。今の発言は私からすれば、まったくの誤解だと思います。なぜ誤解かと言えば、在宅を延ばす時には、今おっしゃられたとおりで、介護者がどうしても疲れてしまうから在宅を延ばす時には介護者も休まなければなりません。介護者の休みのために「レスパイト入院」あるいは「レスパイト入所」というものがあります。レスパイトというのは、介護者を休ませるためのもので、私の病院でもレスパイト入院をしていただいています。そういう形のことを、一つのモデルとしてみんなやろうとしています。また、ご発言のとおり、施設がすぐに空いていないというのは、介護保険の施設はギリギリでやっているからです。もしも、国が3床を空けてもおくことを認めてくれて、それに対しても入所と同じ金額を保障してもらえれば、どこでもしますが、ほとんどの介護老人保健施設は非常に安くなっていますので全部満床の状況です。そのため、病院を退所して空いた場合には、そこにショートで入れてあげるシステムになっているのです。空いたら入れるといったことをやらない限り厳しい形のものでやってきています。色々なところで、医療は一つにまとめて今度の包括ケアの中で相談業務をやろう、何でもやろうというようなことになっていますので、地域で色々なご発言をいただければ、そこの地域の医師会や包括ケアセンター、支援センターもお手伝いをしながら、良いものが出来ていくのではないかと思っています。

 清家会長:ありがとうございました。では、斎藤委員。

 斎藤副会長:私も認知症の親を抱えているので大変面白いお話を伺ったのですが、今日のテーマと少しかけ離れてしまっているので、軌道修正の意味で違う角度からコメントをさせていただきます。

企業で予算を立てるときに、予算に達しない、しかも半分くらいの成果だと「何をやっているんだ」という大変厳しい評価が下ります。逆に200%達成というと、「一体、どういう予算を立てたんだ」という、これもまた厳しい批判をすることになります。今回の点検報告書を拝見しますと、例えば123ページの目標1「かながわ国際ファンクラブの会員数」ところですと、2012年度の達成率が136.6%、2014年度の見込みが246.3%という素晴らしい数字が出ておりますが、本当に適切な指標だったのか、適切な設定だったのだろうかという疑問が残ります。逆に、例えば57ページの目標2「こころのケアが必要な人に対して専門チームによる訪問支援を行った回数」の達成率は25.7%で「プロジェクトのねらいを反映できていない部分がありました」との反省の文字があります。やはり、こういうような書きかたで、反省すべきなのではないかと思います。それでいけば、39ページの目標3「新たな津波浸水予測図を踏まえた津波対策実働訓練を県と合同で実施する市町数」で2014年度の見込みが46.1%となっております。ここでは、なぜ最後の年度になったら、それが低い達成率になったのかということを少し書いた方が良いのではないかと思います。せっかく数値で目標の達成率を計るのであれば、その数字が意味を持つような形で書いていただいた方が良いのではないかと思いました。

 

 清家会長:ありがとうございました。ここまでのところで事務局から何かお答えがございますでしょうか。

 

 中谷総合政策課長:先ほど、角野委員や大賀委員よりご発言をいただきましたことについて総括的にお話しますと、確かに施設整備などに関する項目が目標として設定されています。どうしても目標数値として掲げようとすると、施設整備などの客観的な指標の方が立てやすいということはあったと思います。ご発言のとおり、地域包括ケアの背景は施設から地域へというお話なので、その点は、しっかりと受け止めていきたいと思います。それから、斎藤委員からありました数値目標についてですが、一つひとつについて、もう少し丁寧な記載が必要ということは、読んでいて分かりづらい話として承りましたので、そこは担当局の方へ伝えていきたいと思います。

 

 清家会長:ありがとうございました。それでは、時間も迫ってきていますが、まだ何かご意見がございましたらお願いします。内田委員どうぞ。

 

 内田(み)委員:先程の斎藤副会長のご意見に少し賛同するような意見となりますが、私がみておかしいと思ったのは目標の立て方です。毎年度の評価報告では、金太郎の絵で達成状況が示されており、金太郎がたくさん描いてあって、それは楽しくて素晴らしいとは思ったのですが、もしかしたら、県民の中ではそれを見て「うそじゃないか」と感じられている、若しくは自画自賛になってしまっているようなことを一瞬受けてしまったのです。やはり、斎藤副会長がおっしゃるように、目標そのものの立て方と、達成率もそうですが、そもそも、それを目標にしてよいのかという話し合いについて慎重にやるべきではないかと思いました。今後のこともありますので、その辺の検討をよろしくお願いします。

 

 清家会長:ありがとうございました。他にご意見はありますでしょうか。

 

 丸山委員:先程から高齢者の話が出ておりますが、高齢者に関連して、神奈川県内の変化として、高齢者の消費者被害が、2012年には年代別で第2位だったが昨年は初めて第1位になっています。要因は2つ考えられ、そもそも高齢者が増えているということと、高齢者が意識的にターゲットにされているということです。神奈川県警は、振り込め詐欺などについては、大変努力されているが、戦後の記録を更新中というのが今年の姿です。高齢者が貯めてきた生活資金をむしり取られているというのが実態であり、暮らしの部分の大きな変化なので、是非、プロジェクト6「高齢者が生き生きとくらせる社会づくり」の検討事項の中に、あるいは、プロジェクト5「犯罪や事故のない安全で安心なまちづくり」の中に高齢者の消費者保護を入れておいても良いと思います。

 

 清家会長:はい、ありがとうございました。他にご意見はございますか。はい、渡辺委員どうぞ。

 

 渡辺真理委員:斎藤委員が脱線した話題を元に戻してくださったのを、また脱線させてしまうかもしれず申し訳ないが、まず、素案について、事務局や部会の方の努力に、僭越ながら心から敬意を表します。

一つ、ここに全く盛り込まれていないことですが、私が仕事をしながら感じていることがあります。神奈川県民の生活を支える暮らしのエネルギーはとても大切だから、エネルギー対策は重要です。また、経済が伸びているときにはあまり問題になりませんが、アメリカ大統領選でも経済が安定しているときには混沌としませんが、今は大変な目に遭っています。経済が伸びていればある程度地域も活性化しますが、そうではなく経済が失速したときに「住みたい」とか「訪れたい」と思われるためには、高齢者が幸せに暮らせるまちであることが必要だと思います。

私の親は認知症ではありませんが、私も両親を自宅で介護しています。介護においては、介護している人間を含めて幸せに過ごせることが必要です。また、点検報告書の中にも児童虐待に関連した項目がありますが、貧困の家庭にいて、虐待される子どもがいないことも重要で、子どもとお年寄りが元気で幸せでいることが必要です。

私が一つ、蛇足かなと思いながら付け足したかったのは、なぜ神奈川県はペットの殺処分ゼロを目指さないのかということです。先ほど大賀委員から鳥獣被害の話が出たあとで、これはプラスの意味で話ができるといいと思いますが、私が仕事をしていて感じるのは、「暮らしのエネルギーは大事、経済が活性化しないと推進力にならない」ということはあります。しかし、福祉であったり安全安心という人の気持ちがほっとできるという視点も必要です。

法律では人を傷つけたら障害になるし、ペットの場合は器物損壊、法律で人と動物を分けた方がいいということはわかります。犯罪という観点から見ると、どうしてこんなに大きな犯罪がおきたのか、どうしてこんなに若い子がこんなに大きな罪を犯したのかといったときに、だいたい動物を傷つけるところから始めることが多いようです。そうすると、人の気持ちの中には動物と人の境目はないと感じます。どうしても加害者になっていくという過程を踏むときに、すぐに人を傷つけようとする人はあまりいないようで、動物から傷つけていくというのが、ニュースを伝えていると多いように感じます。保健所に行ったらペットは処分してもいいというところを何とか変えられないものかと思います。実際に熊本県は、ペットの殺処分ゼロを達成しています。これは、熊本県が掲げているわけではなく、保健所の職員の自助努力がそうさせたものです。特に、資料のプロジェクト26関連で、林業でドイツを参考にという趣旨の言葉がありますが、ドイツではもっと先進的に動物愛護が進んでいます。動物愛護は、動物だけでなく、人も動物であり、必ず福祉につながっていきます。環境を整えて法律で規制するというのも大事だが、人の気持ちの中に「傷つけない」心を育てていくのも一つの法律の役目ではないかと思います。

 

 清家会長:他にはよろしいですか。では、木村委員どうぞ。

 

 木村委員:公募委員の木村と申します。仕事上、映像とICTを組み合わせた教育プログラムを全国的に提供しています。11月上旬にESD持続可能な社会づくりに向けた教育の国際会議がありました。こちらのプロジェクトを拝見していますと、15番が教育についての唯一の分野です。専門部会で発言できなかったので恐縮ですが、昨今、佐賀県等でも大きな動きがありますが、ICTを用いた教育プログラムを授業でどういった形で取り入れるのかというのは全国的に大きな動きが出てきていると認識しています。こちらのプロジェクトのなかにICTの導入、特に神奈川県の高校へということになると思いますが、そちらに対する記述が特にないのが、次期の計画に向けた課題なのかと思います。

センター入試が2020年に廃止になるのではないかとか、あるいは、2017年に向けて新しく学習指導要綱が変わるという動きがある中、21世紀の学びのかたちがこれまで私たちが受けてきたような一方的な知識享受型の教育から、アクティブラーニングやグループ討論等ファシリテーション型の教員の導きによる考える力の育成が求められると思います。今後に向けた検討事項の中で、「グローバル化の課題、対応できる人材の育成」という記述がありますが、ここを踏まえて具体的にどういった施策が今後必要になるのかというビジョンが次の課題なのかと思います。明らかになっていくことを期待しています。

 

 清家会長:ありがとうございました。では、飯田委員どうぞ。

 

 飯田委員:先ほどから話のありました資源を大切にする、木材の関係ですが、今は税金で管理をしています。これが、資源を循環した社会を作るということになると、神奈川県でしっかりと製材、加工し、あるいは積層材を作る、そして、乾燥して県民に供給ができるよう体制が必要です。しかし、神奈川県の木材はそこまで行っていません。税金で管理しているのは枝おろしや山の管理だけです。資源循環のために税金を使うのであれば、乾燥、製材、それから枝などをバイオマスや新たに乾燥剤に使用する等そういうシステムを構築すべきです。そこまでしないと、本当に税金を投入した山の管理にならないのでないかと懸念しています。

もう一点、高齢者の認知症の問題が出ていましたが、先日開催された社会福祉大会で、今言われたような施設にベッドに余裕がないから受入れられないという問題を耳にしました。何とかひとつでも受入が可能になるようなことをきちんと作っておくべきではないでしょうか。家族は一生懸命介護をしようとして、子どもや孫までがおばあちゃんを見守っているという状況です。近所でも「どうしちゃったんでしょうね」と心配しますが、家族ではないので面倒はみきれません。どうしても家族がみれないときに多少余裕を持って、老人ホームであれ、地域の福祉事業者であれ、どこかに受入れられるよう市町村等と連携し、そういう人を吸収するような施設を作るべきではないでしょうか。県が指導して広域行政の中でやってもらわないといけないのではないかでしょうか。何かマークをつけるということも大事でしょうし、また、どこかへ行った時は、そういう人を手助けするような方と、それから障がいをもった方も保護してあげられるような地域との連携が大事だと思います。

それから、もう一点、神奈川県がかかげる「いのちが輝く」ような、健康寿命を延ばそうということがありますが、先日、広島へ視察に行ったところ、道路や河川の堤防を作るにしても非常に健康面を考え、散策路が整備されていました。都会と地方で違うかもしれませんが、他の経費を節約してでも、そういうものを作って行くという姿勢や連携が大事ではないでしょうか。特に健康寿命を延ばそうということなら、そういう施設に対しても一考して、設計段階から取り入れていくことが大切ではないかと思いました。以上です。

 

 清家会長:ありがとうございました。では、今までのことで事務局から何かありますか。

 

 中谷課長:丸山委員、木村委員、飯田委員のご発言を受け止めていきたいと思います。内田委員のお話は以前にもお聞きしておりましたが、数値目標を設置する際に審議会でも審議した経過があり、原則があります。取り組みの成果が現れるもの、毎年度実績値が分かるもの、多面的な評価が可能なものなどの原則です。今のご発言を受け止めていきたいと思います。最後に、渡辺委員からご発言のあった動物の件ですが、神奈川県も5月の時点で犬の殺処分が0になり、発表させていただきました。ただ、非常に大事な取り組みだと思うので、引き続き努力をしていきたいと思います。

 

 清家会長:ありがとうございました。それではよろしいでしょうか。色々と貴重なご意見をいただきました。先ほど、大賀委員も近隣の話もされていましたし、あらゆることはお互い様なのですが、最近は認知症の高齢者もそうですが、小さな子どもの声がうるさいと言うような声もあったりして、ペットも人によっては困るという人もいます。私も金子委員も経済学者ですが、何ごともトレードオフの関係があって、すべての人がハッピーというわけにはいきません。ここにある指標も、ある面から見れば良い指標だけれども別の角度から見ると困る指標というようなこともありうるかもしれません。そういう中でバランスを取りながら計画を立てていくのかがとても大切であろうと思います。色々な指標を作っているなかで、斎藤委員や内田委員のようなご意見はもっともだと思いますが、担当の方々も様々に検討を重ね、またその工夫に苦労をしながら指標を作っておられるということもあると思いますので、できるだけ、今日いただいたご意見も踏まえながら、指標なども見直すところは見直し、また記述等も見直せるところは見直していただくということにしたいと思います。そこも含めて最終的な文言の調整につきましては、私の方にご一任いただくということで、本日の点検報告書(素案)の(案)については、基本的にお認めいただければと思いますが、そのようなところで、よろしゅうございましょうか。

(異議なし)

 清家会長:ありがとうございます。では、そのようにさせていただきます。本日の議題は以上ですが、事務局から何かございますか。

 

 二見政策局長:本日は、大変に熱心なご議論をいただき、誠にありがとうございました。色々と御意見をいただきました中で、私が思いましたのは、今回の点検報告書(素案)の中に「今後に向けた検討事項」に、ほんの少しだけ、単語がでておりました、在宅医療、介護の関係や地域包括ケアシステムにつきましては、スペースの関係で簡単に記載をさせていただいておりますが、我々としては、この部分を今後取り組んでいこうというシグナルと受け止めており、記載の仕方が足りなかった部分があろうとは思いますが、真剣に受け止めているということでご理解をいただければと思います。そうした意味で、鳥獣被害や林業、エネルギーのお話も出ておりましたが、この点についても受け止めて取り組んでいきたいと思っておりますので、ご安心をいただければと思っております。ただし、財源に限りがあるなかで、どれだけの取組みができるかは、我々に課せられた宿題だと思っております。また、目標の立て方につきましても、今後、計画を立てる中では工夫をしたいと思っております。今回、ご議論をいただきました点検報告書(素案)は、来年の2月に(案)のかたちで、次回の当審議会でご審議をいただく予定となっております。その課程で県議会にも報告をさせていただき、議会からのご意見もいただきながら、整理をして参りたいと思っておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。本日は、本当にありがとうございました。

 

 清家会長:それでは以上を持ちまして、本日の審議会を閉会とさせていただきます。どうもありがとうございました。
会議資料

資料:かながわグランドデザイン 点検報告書(素案)[PDFファイル/4.27MB]

参考資料1:第70回計画推進評価部会(平成26年10月29日)の意見と対応[PDFファイル/214KB]

参考資料2:かながわグランドデザイン評価報告書2012及び2013における総合計画審議会の二次評価一覧[PDFファイル/292KB]

参考資料3:かながわグランドデザイン 点検報告書(素案)概要版(案)[PDFファイル/394KB]

参考資料4:「かながわグランドデザイン」点検基本方針[PDFファイル/222KB]

参考資料5:今後のスケジュール(予定)[PDFファイル/174KB]

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