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更新日:2018年8月27日

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第109回神奈川県総合計画審議会 審議結果

第109回神奈川県総合計画審議会の審議結果

次の審議会等を下記のとおり開催した。

 
審議会等名称 第109回神奈川県総合計画審議会
開催日時 平成25年10月31日(木曜日)15時30分から17時00分
開催場所 産業貿易センター 地下1階 B102会議室
出席者

金澤一郎、○江口隆裕、内田裕久、大賀圭治、中井検裕、広瀬研吉、釼持賢祐、篠原正治、志村善一、角野?子、野村芳広、植松正博、齋藤文子、飯田誠、河本文雄、谷口かずふみ、寺崎雄介、中谷一馬、三橋政雄

〔計19名〕(順不同)(◎会長、○副会長)

次回開催予定日 未定

問い合わせ先

政策局政策部総合政策課計画グループ 松田
電話番号 045-210-3061(直通)

ファックス番号 045-210-8819

審議経過(議事録)

(事務局が、委員数30名に対しこの時点で19名の出席を確認し、半数を超えるため審議会が成立する旨発言。)

 

1 開会

 金澤会長:第109回の神奈川県総合計画審議会を開催いたします。今回が初めてという委員の方がお二方いらっしゃいますのでご紹介します。内田裕久委員です。三橋政雄委員です。なお、神奈川県市長会会長の内野優委員ですが、所用のためご欠席で、代わりに小野間常務理事にお見えいただいています。

資料ですが、机の上のA3判の資料1枚だけが本日の資料です。それ以下のものは全て参考資料として1から6までございます。どうぞご確認ください。

 

2 議事

議題1 社会環境の変化に伴う課題について

 金澤会長:それでは、議事を進行したいと思いますが、最初の議題は「社会環境の変化に伴う課題について」でございます。審議に先立ちまして、部会で色々ご議論いただきましたので江口部会長からご報告をいただきたいと思います。

 

 江口副会長:計画推進評価部会長の江口でございます。どうぞよろしくお願いいたします。部会の議論をご報告する前に、まず事務局から資料の説明をしていただいて、その後、私から部会の議論をご報告いたします。

 

(資料、参考資料1から6に基づき、事務局説明)

 

 江口副会長:ありがとうございました。それでは、私の方から部会で行われた議論についてご紹介いたします。資料はお手元の参考資料1です。部会では冒頭に、慶応大学の大江先生から県の人口動向についてご説明いただいております。現在、人口増加が進んでおりますが、基本的には全国と同じように、今後、神奈川県でも高齢化と人口減少が進むというご説明をいただいております。部会では、そうしたことも念頭に置きながら議論を行いました。大江先生との議論の中でひとつ非常に興味深かった点は、人口が減っていくということの意味合いといいますか、それがどういうイメージかという議論をさせていただきました。例えば住宅地を例におくと、従来は親子二世代が住んでいましたが、だんだん高齢化が進むと高齢夫婦世帯になります。さらに人口が減って高齢単独世帯が増え、その高齢者が亡くなった後に次の世代が入るかどうかというように、見かけは同じように家が建っていても、その中身が高齢者夫婦から単身世帯とかに変わっていくのではないかというお話をいただいたところでございます。

そういった議論を踏まえまして、先ほど事務局からご説明がありましたが、本日お手元にお配りした資料「社会環境の変化に伴う課題整理」を今後取りまとめるにあたって、特に、近年の社会の動きをどう捉えるか、という点と、特に検討が必要な事項についてどんなことが考えられるか、という点について議論を行いました。当日は色々なご意見をいただきましたが、特に議論があった主な分野を中心にご紹介したいと思います。

まず、情報化という古くて新しい事象について、その負の面の捉え方等も含めて、活発な議論がありました。事務局の原案には、「近年の社会の動き」というところで「SNSの進展」という形で記載していたわけですが、これにつきましては、SNSが進展した一方で、若者を中心としたSNSやインターネットへの依存の問題、そして、それによるいじめなどの社会問題が引き起こされているといったことに留意すべきといった意見がありました。

また、情報化につきましては、「ビックデータの活用と個人情報の漏洩リスク」と事務局案ではなっておりましたけれども、ビックデータの活用と個人情報のリスクというものは分けて整理すべきではないかとのご指摘を受け、資料を修正しております。また、ビックデータなどの情報の活用という面から、オープンガバメントというものについてどのように考えていくかの整理が必要ではないかというご意見もいただいております。

このような情報に関わる問題につきましては、例えば、「SNS」や「ビッグデータ」といった用語についても、最近の情報技術の進展を考慮すると、あまり最近の動向のみに気を取られるのはよくないのではないか、そうした用語に捉われることなく、むしろ、ネットショッピングなどが普及してきている状況も踏まえまして、インターネットや情報技術が社会の主要なインフラになっている、ということを再認識したうえで整理すべきではないかとのご意見もいただいております。また、障害者や高齢者などの増加という面から見ても、情報格差の拡大という問題を捉える必要があるのではないかというご意見、さらに、課題の捉え方としても、ネットワークに基づくサービスを前提とした社会への対応として考えていくことが適当ではないかというご意見をいただいております。

この情報化という事象につきましては、現行の総合計画でも、インターネットの急速な普及の一方で、インターネット環境を悪用した犯罪が増加している状況を課題として認識しているわけですが、近年の社会の動きや今後検討が必要な事項としてどのような要素を捉えていくのか、この審議会においても、あらためて議論をお願いしたいと思います。

次に、国際化という事象についても、いくつかの議論がありました。今、TPPについては全国的な話題・議論になっているわけですが、先ほど紹介がありましたように、ASEANの市場統合というのは神奈川県にとって大きい影響があるのではないかとのご指摘、それから、東アジア圏における日本の経済や産業というものがASEANの市場統合とともにはっきりとしてくるのではないか、特に神奈川県においては観光だけでなく、ビジネスや教育の現場にもアジアの人材の流入という形で影響が出てくるのではないか、というご意見をいただいております。こういった問題については、大きなグローバル経済の展開をどう捉えて、日本や神奈川県がプラスに持っていけるのかという観点からの議論が必要ではないか、したがって、TPPへの対応に限らず、アジアの中で、人・モノ・カネを神奈川にいかに呼び込むかという、より幅広い課題として捉えるべきとの議論が交わされました。

また、2020年の東京オリンピック開催が決まったわけですが、オリンピック開催の機会を契機として神奈川県としてこれをどう活かすかということで、事務局から新たな動きとして提案があったわけですが、これも含めて、グローバルな社会・経済における神奈川のあり方というものをこの審議会でもご議論いただいて、県の課題としての整理につなげることができればと考えております。

3番目に、女性の活躍についてです。男女共同参画の進展については県の計画でも位置づけられているわけですが、先日の部会では、まだまだ女性の潜在能力の活用が必要ではないか、さらには、「女性活躍支援」という世界の動きに日本が取り残されている、というご意見、新しい経済的なブレイクスルーのためにも女性という主体の捉え方が重要ではないか、といったようなご意見をいただいております。したがいまして、現行の総合計画からさらに一歩進めて、あるいはアプローチを変えて、女性の活躍支援ということを県としてより一層考えていく必要があるのではないかということについても、今日の審議会でさらにご議論を深めていただければと思っております。

4番目に、雇用問題についてです。これにつきましては、ご承知のとおり非正規雇用の割合が4割近くなっているというデータがございます。このような中で、3人に1人が非正規雇用という現状をどうとらえていくか、という問題提起がありました。また同時に、高齢者や障害者も含めた多様な就労形態という観点をいれるべきではないか、というご指摘もいただいたところです。こういった雇用の問題については、非正規雇用の増加に伴う問題も含めて、県の課題としてどう受け止めていくべきか、という観点からこの場でもご議論をいただければと考えております。

その他にも様々なご意見をいただいております。いくつかご紹介しますと、高齢化や人口減少といった状況も踏まえると、過去のインフラの老朽化への対応が重要になるため、インフラ整備の手法や優先順位を考えていく視点が必要ではないか、という意見をいただいております。また、高齢社会における在宅医療のあり方として、保健師の正規雇用の拡大などにより、在宅医療を支える基盤整備が必要ではないか、といった意見をいただいております。また少子化という問題とも関連してくると思いますが、海外との比較で、子どもの権利に関する意識が低く、いじめや体罰という問題も含めて、子どもの権利や福祉がしっかり保障されるような視点を入れていく必要がある、という意見もいただいております。

これらにつきましては、先ほど事務局から説明がありましたように、現行計画の進捗管理として、次年度に行う点検作業の中で対応を検討すべきものではないかと考えております。

以上、部会での主な議論についてご紹介いたしました。本日は、審議会の後半の作業である、かながわグランドデザイン策定後の「社会環境の変化を踏まえた課題」の整理にあたり、事務局から骨子(案)が示されております。これにつきまして、より肉付けをするという観点でご議論をいただければと考えております。

以上、よろしくお願いします。

 

 金澤会長:どうもありがとうございました。さて、これから皆様方のご意見、ご批判などを頂戴するわけですが、それを事務局で受け取って肉付けをしてまいりますので、ぜひ皆様方から具体的、建設的なご意見をいただければと思います。広瀬委員どうぞ。

 

 広瀬委員:資料は非常によいと思います。「社会環境の変化」の「国際化と情報化」のところですが、近年の社会の動きの中で、留学生の受入れ、アジア、中国等を含めて日本への留学規模は大きくなっていますが、必ずしも受入態勢が十分整えられていないのが現状です。やはり、留学生を多く受け入れ、日本の若者との交流によって国際的な人材が育っていくことは重要であると思いますので、留学生のことも「近年の社会の動き」の中で考えていただければと思います。 

2点目は「検討が必要な事項」の「新たなエネルギー政策の展開」に関して、例として「新たなエネルギー技術を踏まえた取組み」とありますが、技術だけではなく、社会のエネルギーシステム、エネルギーに関するインフラの整備なども非常に大事でありますので、「エネルギー技術」を「エネルギーシステム」というように考えていただければと思います。

3点目は、「安全・安心」のところですが、「大規模な災害への対応力の強化」に「新たな被害想定への検討」となっていますが、部会長もご指摘のように、これからはインフラの適切な診断、維持、管理、更新がとても大きな課題になってくると思います。国も26年度から科学技術の中でインフラの維持、更新、管理というものを大きな柱にしようとしています。インフラの維持、管理、更新についても、「安全・安心」の中に記載いただければと思います。以上、3点です。

 

 内田委員:今、ご指摘いただいた点について2点あります。1つはエネルギー環境についてですが、今、神奈川県が推進している水素に関して、ご承知のとおり燃料電池自動車の技術は日本が世界トップクラスであります。しかし、残念ながらトヨタもホンダも非常に危惧しているのが、日本の規制があまりに厳しいことです。この前、海老名のJXに日本で初めてガソリンスタンドに併設された水素ステーションができましたが、設置に5億円かかっています。色々な規制が絡んでくるために、これだけの金額がかかっておりまして、トヨタもホンダもこのような規制がこのまま続くようであれば、アメリカやヨーロッパに負けてしまう可能性があるということを非常に悩んでいます。技術はトップでも、またしても日本は規制の関係で世界に遅れをとってしまうという可能性があります。まさに神奈川県はこういった課題に直面しておりまして、ぜひ神奈川が引っ張っていくということであれば、こういう規制に関しても、国との折衝を進めていただければと思っています。

もう1点、私は、かながわサイエンスパークの管理を行っておりますが、日本の女性の起業者の割合は15%くらいです。スウェーデンは30%くらいなので、決して低くはないのですが、女性がなぜ起業しにくいかというと、まさにワーク・ライフ・バランスの問題があります。これは、日本の男性社会の現状を変えていかない限り、そう簡単には変わりません。お題目を唱えて「女性頑張れ」、「女性は社会に出よう」と言っても、育児をしてもらうような託児所がありません。こんな現実では、女性が働けないということを悩んでいるという事実があるので、県としても、こういう具体的な問題をある程度数字で表していただくような取組みをしていただければと思います。

 

 金澤会長:ありがとうございます。1点目について、私も関係しているので伺いますが、規制を外すための特区がありますが、あの中にどうして今の話が出てこないのでしょうか。神奈川県では特区の範囲を広げて、13地域追加していると思いますが、今の話は入っているのでしょうか。

 

 内田委員:入っていますが、医療がメインになっています。

 

 金澤会長:中心は医療ですが、それだけではないと思います。今の話は真面目に考えましょう。

谷口委員、お願いします。

 谷口委員:まず、文言について2点ほどあります。オリンピックのところですが、ぜひ「オリンピック・パラリンピック」というように、障害者の方の視点から「パラリンピック」を入れていただきたいと思います。それから、その下に「ITによるコミュニケーションサービスの進化」とあるのですが、これを「IT」とするか、「ICT」とするか、議論が分かれるところでありますけれども、最近は、やはり通信に重きを置いていますし、また、下の方に「医療のICT化の進展」とありますので、これは「ICT」にした方がよいと思います。それから、部会の中でオープンガバメントの議論があったと伺いましたが、「ビッグデータの活用」については、「ビッグデータ・オープンデータの活用」というように表記していただいた方がよいと思います。最後に、「くらしの様々な変化」の中の災害対策ですが、「かながわグランドデザイン 実施計画」の主要施策・計画推進編では、例えば、「境川などの中小河川について、4年から10年に1度の降雨への対応をめざした河川、遊水地などの整備の推進」とあります。参考資料2ではデータが2010年までで、実際にどのぐらい豪雨の程度がひどくなっているか出てきていないのですが、感覚的には毎年、すさまじい豪雨が年に1、2回、起きている感覚がありますので、ゲリラ豪雨の対策も、ぜひ、「近年の社会の動き」の中に入れていただければと思います。

 

 篠原委員:福祉の関係ですが、福祉人材の確保・教育をお願いします。厚生労働省でも、2025年には全国で100万人の介護士がこれから必要だと言っているのですが、それに対するグランドデザインを出していません。その辺は、神奈川県独自に確保できる環境づくりをしっかりやっていくことが、当然必要だと思っています。もちろんこれは保健福祉局と教育局との連携の中でやっていかなければならないのですが、各県の福祉関係の経営者の中で、人材を確保するのが非常に難しいという声が非常に強く出ており、官民一体となった中での協力をしていかなければならないと思っていますので、よろしくお願いしたいと思います。

 

 志村委員:文言についてですが、「国際化と情報化」の中で、「環太平洋パートナーシップ(TPP)への参加」と断定していますが、農業団体は反対しているので、私の立場からすると、断定されてしまうと困ります。交渉への参加はなし崩しにされてしまいましたけれども、これだと参加を認めているようになります。内容的にはまだ色々と反対しているわけで、「交渉への参加」くらいに留めていただくようにお願いしたいと思います。これは農業分野だけではなく、医療関係、弁護士関係、大学の先生たちともスクラムを組んでやっていますので、配慮をお願いしたいと思います。

 

 江口副会長:ご指摘はごもっともだと思います。「交渉への参加」であれば、そんなに誤解はないと思います。

 

 角野委員:高齢化のことや介護などの問題が出ていますが、参考資料1の2ページの一番上に「非常勤職員ではなく正規雇用をしないと」とあります。看護師にしても介護士にしても、現状は女性の職場です。現状は週40時間勤務をしていると、正規雇用にしているようですが、ここに在宅を課されるということになると、24時間勤務と同じような形で在宅を支えていくわけですから、正規雇用は週40時間ということを考え直さないと、正規雇用にはなっていきません。女性が働く場合、どのように働くのが一番いいのかを考えると、週3日、24時間あるいは20時間くらいで割と自由に働けるように、拘束時間がある程度短ければ、継続して働いていけます。週40時間勤務の拘束ではなくて、「私は週16時間働きたい」という人も正規雇用になれるのか、正規雇用と同じような形で認めてもらえるのかという面で労働条件が整備され、厚生労働省が認めるようになっていかないと正規雇用を増やしていくことは非常に難しいのではないでしょうか。正規雇用ということ自体の考え方を少し変えていかないと、正規として働く方は難しくなってきます。

 

 江口副会長:ご意見はごもっともだと思います。ただ、参考資料1のご意見は、先ほど申し上げたように、非正規職員が3割を超えているという中で、正規と非正規の賃金格差を前提とした議論だと思います。保健師など専門職の方について正規は何かというのは非常に難しい。むしろ、私が大事だと思うのは、本当は労働時間よりも、同一価値労働同一賃金のようなものが実現すべきことだと思います。それから、今後色々な就労形態の多様化を考えますと、40時間労働だけでなく、色々な形態の中で、それぞれのライフスタイルに合った雇用ができるというのも一つだと思います。それも含めて、参考資料1に記載のとおり、次年度の点検の中でという整理にしていますが、ご指摘は課題として受け止めさせていただきたいと思います。

 

 角野委員:今の説明で行くと、例えば、社会保険に入れるとか、厚生年金に入れるといったことが正規雇用でなくても自由に認められていく形でないと難しいのではないでしょうか。

 

 江口副会長:ご存知のように、社会保険、厚生年金の適用は週30時間以上の労働の場合となっていますが、今度の社会保障と税の一体改革で、これを週20時間まで下げることになりました。ただし、従業員規模が500人以下の事業所は適用除外になっています。雇用保険の加入は現在週20時間以上、労災保険は勤務時間制限なしと、制度によってかなり違っています。従って、それぞれの制度をどう調和させるかということ、これは県だけでの対応は難しい問題でもありますが、そういう意味で、課題として受け止めさせていただければと思います。

 

 野村委員:まず、女性の活躍支援で、参考資料1のところに、「女性の潜在能力を活用する」とありますが、これをそもそも表現するのがおかしいと思います。女性の登用というのならまだしも、女性が何か足りないので何かやるという表現はどうかと思います。例えば、男女共同参画社会については一定の改善をしてきていると認識していますが、県も遅れていますので、女性登用の問題については、具体的に数字を上げてもいいのではないかと思います。

それから、非正規労働の割合で、ここでは36%となっていますが、現実的には38%を超えようという状況になっていて、格差拡大、貧困化と連動しているわけです。これを社会的な現象として受け止めていいのかどうかというと、働く人たちをコストと考えるという発想の中で非正規労働が増えているので、もっと違う次元の問題だと思うのです。県に言ってもなかなか難しい部分ではあると思うのですが、県をはじめとする基礎自治体において、財政が厳しいかもしれませんが、官製ワーキングプアと言われるようなことの回避に向けた登用をきちっとやっていくべきと思います。行政は非正規職員の比率が多いと思いますが、是非その辺の改善をお願いします。

それから、人口減少社会の中で労働力人口が少なくなっていますが、その一方で、仕事のミスマッチという、現実に若い人が働かないという状況もあります。高熱重筋労働のような、いわゆる3K職場に外国人労働者が、建築や3次サービス業を中心に入ってきています。そういった人たちとの関わりを、県として現状を認知しながら一定の整理をしなくてはいけない時代にきていると考えます。国はなかなかその問題について解決しようとしていませんが、現実の問題として、何万という人たちが色々な形で働いているので、もうそろそろ踏み込んでよいのではないでしょうか。

 

 中井委員:1つ目は、A3の資料の右側の欄のところになりますが、一番下の「県土・まちづくり」ですが、全般的に維持管理ということをもう少し強調する必要があると考えます。つまり、何かを作るよりはむしろ、今あるものをどうマネジメントしていくかという観点をもう少し強調していただきたいと思います。県内のいくつかの市町村でも、空き家条例などがつくられていますけれど、やはり持続可能な県土づくりの大きな部分は、どうマネジメントしていくかということなので、そこの強調をお願いできればと思います。

2点目は、「エネルギーと環境」のところで、ここはどちらかというと新しいエネルギー源とか、分散型の電源といった話が中心になっていますが、これは時間のかかる話で、現実に動いているのは、エネルギーマネジメント、つまり、使う側をどううまく融通して使っていくかという方で、こちらは非常に進んでいます。これも色々な規制があって、電気事業法の関係などでできないことがたくさんあるので、規制緩和をぜひお願いしたいところですが、エネルギーを使う側も非常にスマートになってきているというところを入れていただければと思います。

3点目は、資料右側の項目立てについて、それぞれ課題を書くようになっているのですけど、これを縦串でつなぐというか、そういうものが大事になりそうだということです。例えば、農地について挙げてみますと、「エネルギー・環境」というところで言うと、地産地消の話だとか、自然環境との関わり、「安全・安心」で言うと、防災上の非常に重要な空間であることや、食の安全の話も出てまいります。「産業・労働」のところは既に書いてあるように、業としての活性化、「健康・福祉」のところであれば、農を通じたレクリエーションですとか、「教育・子育て」でも、農を通じた環境教育とか、「県土・まちづくり」はもちろんのこと、全部の項目に関係するようなものです。どういう形で構成の再編成をやっていくかという点が議論の中でも必要なのかなという印象を持ちました。

 

 中谷委員:私からは大きく2点です。1点目は参考資料1の「オープンガバメントやガバメント2.0について県としての考えを整理する必要があるのではないか。」という植松委員からの意見について、次年度からの点検で検討するということなんですが、これは早い方がいいと思っています。ガバメント2.0自体が新しい概念で最近急速に提唱されているものだと思いますが、そもそもは2011年9月、オバマ政権で「Wethepeople」という、民意をきちんと集めるサイクルを作っていこうということでこの取組みが始まりました。日本でも千葉市で公共の施設や道路の破損を住民が見かけたら、それをスマートフォンで撮って行政に報告して、それを行政自らが直すだけでなくて、ボランティアの方々にこういうところを直してもらえませんかとか、器材はこちらで出しますとかいう形で、民間と行政がコラボレーションしていく新しい取組みがありますので、このような取組みはどんどん進めて欲しいと思います。近隣でも、横浜市は横浜共創推進室の中で「YOKOHAMA Ups!(ヨコハマアップス)」というアプリケーションの企画を始めています。ITに関しては時代のニーズが早いものですから、それを追いかけていけるような整備を本県としても行っていく必要があると思いますので、次年度と言わずに早急に点検を行っていただければと思います。

2点目はSNSについてです。参考資料2の5ページで「全国のSNSユーザー数の推移」には2010年までのデータが出ているんですが、世界人口の4分の1、約17億人がこのSNSを使っている中で、日本だとだいたい5千万人くらいの人がSNSを使っていると言われているんですが、その中で2009年と2010年のところを見るだけでも時代というのはすごく流れているというのが分かると思います。例えば、グリーのユーザー数で言うと1年で1千万人くらい増えていますが、逆にミクシィは400万人くらい人を減らしています。要するにSNSというのはこれだけ移り変わりが激しくて、今SNSの中で有名なものと言えば、日本3大SNSと言われているフェイスブック、ライン、ツイッターですが、ここに入っているものはツイッターくらいしかありません。フェイスブック3割、ライン3割、ツイッター3割、逆にミクシィは10%以下くらいで、モバゲー、グリーというのはもう10%切るくらいのユーザーしか使っていないのではないかという中で、こういう実数もきちんと捉えていかなければ、社会問題、ネットの依存といったものの対策も講じられないのではないかと懸念しています。私もIT系の会社の役員をやっていたことがあるのですが、3年経ってしまうと浦島太郎みたいになってしまって、何を言っているか分からないくらいスピード感が早く進歩していくので、こういう実態把握にも計画を立ててアクションを起こしていく必要があると思っておりますので、是非ご検討いただきたいと思います。

 

 大賀委員:部会長からありました報告で、高齢化に関する具体的な話があったのでよかったと思います。先ほど、住宅の空き家が増えてくるという話もありましたし、世帯構成は高齢単身世帯が増えてくるという話もありましたが、そういうものに対して、どういう施策が必要になるのか、これから具体的に検討することが大事になるのではないかと思います。それに関連して人口構成の問題ですが、高齢化というのは農村あるいは農業で最も深刻な形で進行しています。そういう意味で言うと、この人口構成の比率の検討も、地域別にきちっと見ると、より一層はっきりしてくると思います。県全体で見るとあと5,6年くらいは増えていって、もう少し先があるように見えますが、県西部などではもう人口減少が始まっていて、その問題も深刻になってくると思います。

それとの関連で、TPPの交渉参加に関わりなく、農業の場合は就業している方が一般的に女性は60代半ばで、男性は70代でリタイアしていきます。農業も、ベビーブーマー(戦後のベビーブームで生まれた世代)が今60代半ばを迎えていますけれども、この10年の間にリタイアが続きます。「多様な農業の担い手」というのが県の計画の課題になっていますが、抽象的に「多様な」というようなレベルではもう考えられない状況です。政府も減反をやめると言っていますが、やめるやめないに関わらず、やり手がいなくなってしまう。それにどう対応するのかを真剣に考えないといけません。この10年で農業が崩壊していくのか再生の道を踏み出すのかの剣ヶ峰に差し掛かっていると考えています。そういう問題意識の中で、農業関係者にはアレルギーがありますが、農業の株式会社等も考えないといけないと思っています。実際に600ヘクタール、1000ヘクタールを目指している農業経営者も日本の中で生まれつつあります。

 

 志村委員:農業について関心を持っていただいてありがとうございます。私が日頃から一番心配していることは、神奈川全体のことです。今ありましたように、農業は本当に内部からも大変です。これは十二分に承知しておりまして、神奈川の農業は、この狭い県土の中でも違います。「人口の減少」の中に「地域間格差の拡大」とありますように、県の東部と西部ではすごく差があると思います。西部は農業地帯が多いのですが、その農業では食べられません。何かというと、今、全国的な問題である有害鳥獣が原因で、農業をやっても収穫につながらないのです。県でも、丹沢の辺りでは色々な有害鳥獣で苦労されています。せっかく作ったものが収穫につながらないため、これではただ働きになってしまい、農業では食べられないから、若い人がどんどん出て行ってしまう。だから、神奈川県下の農業者は、横浜、川崎の方は若い人が多く、県西部の農業地帯には若い人が少ないのです。そういう有害鳥獣対策もお願いしていますし、農業の6次産業化など農協組織の方でも応援していますし、個々の農業者も努力はしています。そんな中で、県西部は、本当に後継者が少ないのです。県西部に行きますと、小田原でも平塚でも、まち全体の活気がないです。そういう中で、この狭い神奈川県の中で、ますます人口が東部ばかりに集中してしまい、西部はこういう状況で良いのかというのが、私が日頃からいつも心配しているところです。これは県だけではなく全国的な問題ですが、実効が上がらないというのが現実です。

 

 金澤会長:ありがとうございます。話題提供かもしれませんが、今、難病の対策が変わりつつあります。最近新聞に出ていたのでご存知の方もあるかもしれませんが、治療費助成に関しては、国が半分負担、そして地方自治体が半分負担ということでやってきたんですが、実際はそんなに国が出していなかった。半分出すべきところを、その半分しか出しておらず、その残りを地方自治体が被っていたわけです。それを解消しようと一生懸命やっていて、流れがそっちの方に行くんだろうと思います。そうすると、地方自治体としては、難病に対して目がさらに向けられる可能性があります。社会環境の変化を整理しているわけですから、そういう点も触れていただければと思います。

 

 三橋委員:私が課題として取り上げたら良いと思うところは、教育の分野では、子ども・子育てを支える社会環境の整備、県民生活のところでは、文化芸術に親しむ環境づくりや、スポーツを楽しむくらしづくりです。一見すると教育に関係するようですが、こちらは、子どもだけでなく、県民全体が文化芸術、またはスポーツを楽しむということであり、神奈川では、「マグカル」という取組みをしていますので、こちらも取り上げた方が良いと思います。もちろん、教育の分野と県民生活の部分が連携していくことも総合計画という視点から大事だと思っています。

最後になりますけど、連携ということでいけば、子どもの虐待のところに関しては、警察と教育がしっかりと連携を取るように神奈川でも取り上げていけたら良いのではないかと思います。

 

 金澤会長:どうもありがとうございました。

それでは、この審議会におきましては、計画推進評価部会で検討していただきました課題整理の骨子(案)につきましては、基本的にご了解いただいたと受け取らせていただいて、この場でいただいた色々なご意見については、文言の調整も含めて、私と江口副会長にお任せいただければと思いますが、いかがでしょうか。

 

(異議なし)

 

ありがとうございます。そのようにさせていただきます。次回の審議会では、社会環境の変化に伴う課題整理についての報告書(案)を出していただいて、審議に付すということにさせていただきたいと思います。それでは本日の議題は以上ですが、事務局から何かありますか。

 

 二見政策局長:本日は熱心なご議論をいただきまして、本当にありがとうございました。多岐にわたるご議論で、私どももしっかりと対応していきたいと思います。この社会環境の変化に伴う課題につきましては、本日ご審議をいただいたものを基に、今後、計画推進評価部会でさらなるご議論をいただいて、報告書(案)として取りまとめていただく予定になっております。その時には事務局としても良い報告書(案)になるように努力したいと思います。委員の皆さまには、次回の審議会におきまして、その報告書(案)についてご審議をいただくことになっています。そして、報告書は来年度実施します「かながわグランドデザイン」の点検に活用していきたいと考えております。引き続き、ご協力のほどお願い申し上げまして、挨拶とさせていただきます。本日は本当にありがとうございました。

 

 金澤会長:どうもありがとうございました。それでは、これをもって閉会とさせていただきます。

会議資料

資料 社会環境の変化に伴う課題整理 骨子(案)[PDFファイル/70KB]

参考資料1 総合計画審議会推進評価部会(10月7日(月曜日))の意見と対応[PDFファイル/10KB]

参考資料2 社会環境の変化に関するデータ集[PDFファイル/1.98MB]

参考資料3 本県が新たに進めている政策について[PDFファイル/9KB]

参考資料4 新たな政策課題の整理について[PDFファイル/7KB](平成24年11月26日開催第107回総合計画審議会資料)

参考資料5 評価報告書2012の作成時における委員からの意見[PDFファイル/7KB]

参考資料6 今後のスケジュール(予定)[PDFファイル/38KB]

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