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更新日:2018年8月27日

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総合計画審議会第63回計画推進評価部会 審議結果

総合計画審議会第63回計画推進評価部会の審議結果

様式3

次の審議会等を下記のとおり開催した。

 
審議会等名称 総合計画審議会第63回計画推進評価部会
開催日時 平成24年6月18日(月曜日)10時から12時まで
開催場所 神奈川県庁新庁舎12階 第12A会議室
出席者

江口隆裕、○大久保一郎、牛山久仁彦、植松正博、齋藤文子、池本美香、岡谷恵子、齋藤純一、曽德深、土井香苗、中村広幸、治田友香、三井逸友、山本佳世子、矢野裕美

〔計15名〕

(◎部会長、○副部会長)

次回開催予定日 未定
問い合わせ先

政策局総合政策部総合政策課計画グループ 諸星

電話番号 045-210-3061(直通)

ファックス番号 045-210-8819

審議経過

議題1 部会長の選出について

出席した委員の互選により、部会長として江口隆裕委員を選出した。

議題2 かながわグランドデザインの評価について

《資料3「「かながわグランドデザイン」の評価について」、資料4「これまでの評価結果の公表方法」、参考資料1「本県の政策評価について」について事務局から説明。》

 江口部会長:有難うございました。神奈川県の政策評価をどうするかについてご議論をいただきたいと思います。新しい委員の方もいらっしゃいますので、ご質問も含めて自由なご意見をお願いいたします。

 三井委員:そもそも論的な話で恐縮ですが、県の政策評価には3つの違ったテリトリーがあり、私たちの部会では、プロジェクトベースの政策評価をしていることは分かります。ただ、プロジェクトベースは政策の効果を知るには有効ですが、同時にもどかしさもあります。つまり、アウトプット、アウトカムの議論だけになってしまい、世の中、あるいは県内経済にとってどういう意味があるのでしょうか。個別のプロジェクトごとではなく、大きな政策のフレームなり、目標なり、理念なりを示すやり方について、県の場合は特定行政分野評価が一番なじむということは理解できますが、それがどういった形で出ているのかがよく分かりません。例えば、2009年に「神奈川県中小企業活性化推進条例」を策定しましたが、単純に局や部、或いは個別プロジェクトで何をやっているかだけではなく、その条例なり、国の「中小企業憲章」といった大きなフレームの中でどういうことが行われているのか、何が課題なのかという総合的な視点が必要だと思うのです。先々週、中小企業憲章の2周年のイベントで、国の行政でも、そういう視点で是非やって欲しいということをスピーチしてきました。県でも条例を作って、総合的に取り組まれていると思いますので、その結果の検証や評価というものをプロジェクトベースにない視点として活かしてほしいと思うのです。

横浜市では、「横浜市中小企業振興基本条例」を作って、それに対する総合的なレポートを出しています。これはまさにプロジェクトベースとは逆で、あらゆる部局が中小企業のために何をやっているのか、それがどういう意味をもっているのかという、すべてのデータを出しています。プロジェクトベースを否定するつもりはありませんが、そういうものを念頭に置かないと個別の評価だけの話になってしまい、これだけで何が分かるのかという議論になりかねません。できれば、「神奈川県中小企業活性化推進条例」に基づく特定行政分野評価の取組みについて、教えていただきたいと思います。

 藤澤総合政策課長:先日、所管部局へ確認したところ、県でも同様の取組みをしているとのことでした。改めて、内容を整理してご説明させていただきます。

 三井委員:もちろん、それがないと議論できないわけではありませんが、プロジェクトベースだけでは、もどかしさを感じてしまうので、その辺はご理解をいただきたいと思います。

 江口部会長:他にご意見、ご質問等はございますか。

 齋藤(文)委員:県民にとって分かりやすい評価が一番大切なのは理解しましたが、この数値目標について教えてください。

 藤澤総合政策課長:主要施策・計画推進編の67ページ以降に、昨年度の部会で議論していただいたプロジェクトごとの数値目標を掲げさせていただいています。基本的には、この数値目標と他の統計データなどを加味して評価をしていきたいと考えています。ただ、前回までは目標を100%達成するとA、80%以上達成するとBというランク付けをしていましたので、そういったランク付けを続けていくのかについても、ご議論をいただければと考えております。

 齋藤(文)委員:数値目標は厳しく立てているのでしょうか、それとも前年を100として積み上げているのでしょうか。

 藤澤総合政策課長:数値目標は成果を現す指標(アウトカム)を基本にしていて、どのように県の取組みが成果指標に反映するのかという視点で、達成可能な最大限の数値を目標に設定する前提で積み上げたものです。

 齋藤(文)委員:県民から見て、その数値目標にABCDというランクを付けられても分かりにくいと思いました。

 江口部会長:今回は、数値目標にABCDのランク付けで良いのかどうかも含めてご議論いただくということですよね。

 藤澤総合政策課長:はい。数値目標を前提とした評価方法と達成状況の見せ方が論点となります。

 植松委員:見せ方についてですが、これは県民に分かりやすく見せるという理解でよいでしょうか。

 藤澤総合政策課長:今回の計画は分かりやすさを主眼に、前回の計画と比べてレイアウトも含め大幅に見直しており、そうした方向に沿って検討をお願いしたいと思っています。

 植松委員:そうすると、プロジェクトごとに複数の数値目標が入っていますが、県民がみても関連性が分からないのではないかと思います。大きな括りという意味では、6つの柱ごとに、バランススコアカードのような、もう少しマクロな視点で見せるということが必要なのではないでしょうか。数値を達成したことが、県民にとってどういうアウトカムになるのかを、もう少し分かりやすくした方が良いと思うのが一点目です。

二点目ですが、県民に分かりやすくという意味では、例えば、成果報告会みたいな、ダイレクトに成果を見せるようなイベントは検討されなかったのでしょうか。

それから、県民に分かりやすくということは、県民ニーズに合致したアウトカムが出ているだと思いますが、県民ニーズを、いつ、どういったタイミングで定量的、定性的に把握されるのでしょうか。

 藤澤総合政策課長:一つ目は柱ごとに評価をした方がよいとのご提案だと思いますので、それについては、部会でご議論いただければと思います。二つ目の目標設定の考え方、成果との結びつきにつきましては、数値目標の説明文にできる限り記載しましたが、それが十分でなければ、あらためて評価の際に議論をお願いします。

 植松委員:例えば、主要施策・計画推進編の70ページ「9障害者の地域生活を支えるしくみづくり」に3つの数値目標がありますが、これがどこに関連するのか、どのように貢献していくのかが分かりにくいと思います。

 藤澤総合政策課長:プロジェクトごとに複数の構成事業がありますので、それを踏まえて、担当部局がプロジェクトを代表する指標を複数挙げて、その中から数値目標を選定しています。そのため、一つの数値目標が複数の構成事業にかかっている場合もあり、ダイレクトに一つひとつの事業と結びつかない場合もあります。そういった見づらさはあるかも知れません。

 植松委員:おそらく、県民には76の数値目標が分かりにくいのではないかと思います。

 藤澤総合政策課長:それについては、評価の冊子を作成していく中で工夫していきたいと考えています。二点目の成果報告会については、部会も含めてこれまで検討の対象となったことはありませんでした。それから、県民ニーズの把握についてですが、県民ニーズは様々な指標の動きによって把握できますし、毎年、県民ニーズ調査を実施して、様々な指標を経年的に把握しており、その一部は今回の計画の数値目標にも使っています。また、プロジェクトの成果を評価した「白書」に寄せられたご意見を整理したり、各部局が施策を進める上でいただいたご意見についても個別に反映したりしているところです。

 矢野委員:過去の総合計画では、さまざまな数値目標が設定されて、ABCDの評価をしてきたとの説明がありましたが、そうした数値目標の設定そのものに疑問を感じます。見せ方の部分についての説明でも、県民への分かりやすさや県民ニーズへの捉え方といった耳には心地よい言葉がでていましたが、実際に何をすべきかについては、部会でしっかりと議論すべきだと思います。それから、先ほどの説明では、基本的な考えとして前計画における評価方法を踏襲したいという趣旨に感じましたが、そうしたことに関しても、この部会で、しっかりと議論できるのでしょうか。

 藤澤総合政策課長:現時点では総合計画で示したPDCAサイクルに基づき計画の推進、評価をしていくことが決まっています。具体的な評価のあり方については、一次評価、二次評価の是非も含めて、この部会で議論をしていただきたいと考えております。ただいまの説明は、県では、平成17年より白書による報告をしてきましたので、その経過をご報告させていただきました。

 江口部会長:神奈川県の政策評価は進んでいて、数値目標をABCDで評価していく手法は、全国的に見てもかなり早くから取り組んでいます。ただ、数値目標を評価し始めると、その数値目標自体が良いのかという議論は出てきます。事務局からも説明がありましたが、そこを含めてご議論いただいて、部会としての意見をまとめていくことになります。

 中村委員:何点か指摘をさせていただきます。昨年度の部会でも指摘しましたが、数値目標そのものの在り方として、実際には大きく二つあると思うのです。一つは、客観的な数字で表されるものが目標のベースになっているものと、県民ニーズ調査のような基本的には定性的なものを基にして、数値化したものの二つが数値目標に使われています。前者の場合、それ自身を把握することは易しいのですが、後者の場合はサンプリングの標本抽出の誤差も含めて、回答そのものにバイアス(偏り)がかかります。或いは、ワーディング(言葉遣い)によって、大きく異なるバイアスがかかるので、後者を数値目標とする場合は相当慎重にしなければいけません。例えば、昨年の部会で議論になったのは、プロジェクト5「犯罪や事故のない安全・安心なまちづくり」について、県民意識を県民ニーズ調査から求めるというものですが、3年間で数パーセントの上昇率になると、これは誤差の範囲内ということも十分考えられるため、見かけは上がったように見えても、実際は違う場合がありえるのです。

そういった数値目標の中で、後者のような客観的な数字では無い数値目標については、もう一度、部会で妥当性を見直す必要があるのではないかということを指摘しておきます。

そして、この数値目標のバックグランドデータを白書に示していけば、分かりやすいし、その数値が読み込めるので理解しやすいのです。これだけインターネットの普及率が上がりましたので、Webでしっかり提供し、Webの特徴であるハイパーリンクという参照機能を十分に使って、バックグランドデータを充実させていくことが必要だと思います。

また、見せ方のコンセンサス(合意)も得ておきたいと思います。「県民に分かりやすい」イコール「非常にシンプルで易しいもの」と誤解されますが、行政の情報については、興味・関心を持っている層と持っていない層に二分される傾向があります。したがって、幻の中間層の平均値を狙うのではなく、詳しいものは専門家でも分かるような内容の詳細版にするのです。逆に、概略版で重要なことは、詳細版につながる参照のタグを幾つか用意することです。それを併せてやれば、詳細版が専門的になることを前提に作っていいのではないかということを指摘しておきます。

 江口部会長:有難うございました。ネット社会に対応したデータ提供の在り方とも関連しますので、今後のあり方として非常に有意義な意見だと思います。

今日は第一回目ということで、初めての方もいらっしゃいますので、今日の議論を聞かれた上で、次回以降の議論を深めていただければと思います。また、中村委員からありました、個別のデータについては、その都度、具体的なご指摘をいただきたいと思います。

 池本委員:過去の総合計画における評価では、数値目標が他の自治体と比較してどうなのか、あるいは国際的な比較でどうなのか、という視点で評価されていないと思います。例えば、待機児童の問題など、神奈川は他県と比較して悪いデータがいくつかあるので、その辺りも県民にオープンにした上で、評価されるとよいのではないでしょうか。

 江口部会長:神奈川県は自治体なので、ストレートに外国と比較するのは難しいですが、各県との比較はある程度可能だと思います。

 鈴木副課長:その点については、例えば、白書2009のPJ14「大規模地震に備えた対応力の強化」の数値目標には、確かにAやBといった評価しかありませんが、それだけでは全体的な総合評価が難しいので、白書2009では、戦略プロジェクトの概要や前年度の実績、数値目標の達成状況と併せて総合分析として、神奈川県の公共施設の耐震率は全国1位ということを記載していますし、神奈川県の不登校の児童・生徒数は全国何位ということを総合分析の中で記載するなど、多角的な評価を行う努力はしているところです。

 藤澤総合政策課長:以前の部会では、OECDの国際指標との比較や他県との比較をするようにご指摘をいただき、改善を図ってきましたが、先ほどデータの示し方についてもご指摘をいただきましたので、その点も踏まえて工夫してまいります。

 江口部会長:例えば、待機児童の問題は都市部とそれ以外で格差があるので、全国平均と比較してもあまり意味がありません。東京、神奈川、埼玉、千葉と比較する場合に何を指標として4都県を比べればいいのかという議論になるからです。つまり、女性の働く割合が高くなると待機児童は増えるでしょうし、評価自体が難しいところもあります。そうした問題を含めて、意見をいただけますでしょうか。

 牛山委員:今までの評価に係るご意見は大きく分けて二つあって、一つは、政策評価はアウトカムがしっかりしていないといけないという意見と、そもそも数値目標が適切だったのかという意見でした。部会として、数値目標の達成が成果に結びつき、県民の役に立ったのか、計画の数値目標自体が正しかったのかの仕分けはどこまでやればいいのでしょうか。例えば、目標を達成した後で、全国的、国際的にはどうだったのかなどの仕分けはどう考えればよいのでしょうか。

 藤澤総合政策課長:計画に位置づけられた数値目標を前提として評価していただくことが基本となります。ただ、指標の水準がプロジェクトごとに異なっているので、これまでは総合評価の中で、他の指標も含めた形で評価を行ってきました。部会としての仕分けについては、これまでのやり方を踏襲するのであれば、県が行った一次評価に部会からのご意見を加えて、整理していくことになります。

 中村委員:牛山委員の話に関連しますが、評価というのは計画全体の評価ではありません。もちろん、計画そのものの妥当性は色々な次元でやっていかなければならないと思いますが、この部会のミッション(使命)としては、プロジェクトの数値目標を中心にした評価ということで矛盾はないと感じています。基本的には数値目標が妥当であるという前提で評価を行い、場合によっては、数値目標が不適切ということで「評価不能」という判断はあり得ると思います。

 曽委員:私は飲食店を経営しているので、毎週の幹部会で報告書による経営評価をしています。その指標として、人時生産性や単価などの数値が各セクションの人から報告されますが、数値に表れないお客さんからのお褒めやお叱り、特にお叱り、クレームを重視しています。県でも数値目標を立てていますが、計画が時代に合っているかどうかという根本部分を把握するのであれば、何点を取ったかというよりも、県民ニーズの分かる、お叱りやクレームといったことを重視する必要があります。それから、国際的な比較は困難という話がありましたが、県民生活そのものが国際的につながっているので、そういう意味では、国際的な観点での比較をすることで、学ぶことが出てくるのではないでしょうか。

 江口部会長:国際的な比較は、ものによって有意義なものとそうでないものがあります。クレームが評価の一番のポイントという意見ですが、問題はそれをどうやって把握するかということですが、事務局として、県のウィークポイントを的確に把握できる方法がありますか。

 藤澤総合政策課長:県の一次評価は、数値目標をどれだけ達成したかだけではなくて、よりよい行政サービスの提供に向けて、政策を改善していくことが目的ですので、県のウィークポイントを押さえた上で評価を進めていくことになります。 

また、厳しいご指摘ほど、よりよい行政サービスを提供するためには有意な情報であるということですが、行政の現場でいただく様々なご意見は、行政の具体的な推進方策に関するものがかなり多いことから、各部署における取組みの改善をしていく中で反映していくことが基本になりますが、政策レベルでどのように受け止めて反映していくのかは、少し悩ましい問題と考えています。

 江口部会長:今の問題は議会との関係なども出てくると思いますので、今後、この部会でも検討していきたいと思います。

議題3 新たな政策課題について

《資料5「新たな政策課題の論点整理について(叩き台)」、参考資料2「新たな政策課題の検討に向けた論点」について事務局から説明。》

 江口部会長:日本全体が人口減少する中で、神奈川県は、まだ人口が増えています。今のご説明を踏まえ、今後の政策課題等について自由にご意見をお願いできますか。

 齋藤(純)委員:神奈川県では、リスク評価をどのように行っているのでしょうか。例えば、電力供給不足などを独自に評価するようなシステムがあるのでしょうか。専門家は、専門以外のことを考慮して判断を形成し、リスクを評価することが増えています。そうすると、リスク評価を複線化、複数化することが必要となってくると思いますが、神奈川県として、リスク評価を再チェックできるようなシステムを持っているのでしょうか。

 藤澤総合政策課長:電力については、東京電力管内で総需要と総供給量が整理されていて、神奈川独自で需要と供給を整理することができません。県としては、できる限り地域で必要な電力を地域で発電していくという考えのもと、スマートエネルギー構想を掲げています。そういった意味では、リスクの把握と、それに対応する政策については、地域的な広がりもあり、内容によっては難しいものもあると思います。

 齋藤(純)委員:医療などの分野で、自家発電の支援などはしているのでしょうか。

 藤澤総合政策課長:太陽光エネルギーを中心とした自然再生エネルギーについては、神奈川独自の目標を設定して、その割合を高めていこうとしています。具体的にいうと、国のエネルギー基本計画では、2030年までに再生可能エネルギーの比率を20%にするという目標を設定していますが、神奈川県では、それを10年前倒しにして、2020年までに20%にすることを目標にしています。これは、あくまでも供給を地域から支えていこうというものです。

 齋藤(純)委員:地震とか津波とかのリスク評価はいかがでしょうか。

 藤澤総合政策課長:地震につきましては、県として被害想定を行い、その被害を減少させるための取組みを進めています。津波については、国に先行して、平成24年3月に津波の被害想定、浸水想定を全県的に作成しました。その内容は今までの想定を超える厳しいものとなっており、それに対応した取組みを、現在、各市町村とともに検討しているところです。

 齋藤(純)委員:リスク評価については、専門家の間でも意見が分かれることが最近分かってきています。そういう場合に、ある専門家集団のリスク評価だけによるわけにはいかないため、評価を評価することが必要だと考えられますが、いかがでしょうか。

 藤澤総合政策課長:県の計画は様々な有識者のご意見をいただきながら整理をしています。具体的な評価という点については、ケースワークは難しいとは思いますが、きちんとした想定に基づいて、できる限りの政策的な対応を図っていくことになると思います。

 鈴木副課長:東日本大震災の時には、色々なツールがあったにもかかわらず、それらが十分に機能せず、後手にまわってしまったということがありました。そうした点を十分に踏まえながら、県として、十分な対応を図っていく必要があります。

 藤澤総合政策課長:行政の基本的な対応としては、信頼性の高い情報を、できる限り早く提供することです。特に津波に関しては、神奈川県は全国的にもかなり早い段階で浸水予測を出しています。また、市町村の協力を得て、市町村ごとに住民説明会を開催し、最大でどれくらいの浸水が発生するのかを地域住民に情報として知っていただき、先ずは、自分の身は自分で守っていくという形での普及を図っています。避難所の情報提供を行うとともに、どのような対応をするかということを考えていただいています。

 江口部会長:他にもご意見があると思いますが、いかがでしょうか。

 山本委員:安心・安全のところで少し話しをさせていただきます。主要施策・計画推進編の10ページには、非常に細かく災害に関するものが盛り込まれていて、この中には、東日本大震災の直後ということもあって、神奈川県でも想定されるような非常に緊急度が高いものから、被害想定やハザードマップのように常時見直しを進めなければいけないものまでありますが、そういった見直しをされているのでしょうか、或いは考えているのでしょうか。また、資料5「2 検討の基本的な視点」に示されているとおり、社会システムの見直しや社会環境の変化への対応を考えますと、高齢化や人口減少、コミュニティの弱体化いう問題を踏まえて安全・安心を考えるときには、人やコミュニティに関わる施策も検討課題として盛り込んでいただきたいと思いました。これは安心・安全だけの問題ではないのかもしれませんが、災害時に災害弱者になりやすいのは、障害者や高齢者が多いと聞いていますので、そういった視点も入れていただきたいと思います。

 藤澤総合政策課長:主要施策・計画推進編の10ページ以降については、県が着実に取り組む施策の体系を整理しています。一方、プロジェクト編の12、13ページあたりは、県として喫緊に対応するため、この3年間で集中的に実施する災害対策になります。主要施策・計画推進編は、比較的長い時間で取り組んでいく課題であることをご理解いただければと思います。

 山本委員:ハザードマップなどと避難ビルの整備の話は違うため、その辺が少し気になりました。

 江口部会長:今日は色々なご意見を出していただきたいので、他の方からもお願いします。

 土井委員:健康福祉の分野についてです。医療・介護の需要が増大する中、元気な高齢者が地域の様々な担い手として社会に参画していくという考え方は非常に重要だと思います。自分の経験からすると、高齢者だけでなく、活動したい方はたくさんいられると思うので、そういった方をどのように上手くモビライズ(結集)できるのかが重要になります。ただ、お金をつければ良いのではなく、より効率的、安価にできなければ意味がないので、その小さなお金を呼び水にして、どのようにして民間からの寄付などを得ていくのかを考える必要があると思うのです。神奈川県はNPOの支援などで先進的な取組みをされていますし、そういった支援は日本全体の課題でもあります。NPOの中でお金が回るようになれば日本経済そのものにもプラスになると思うので、実践的、先進的なことが神奈川で進んでいけばいいと思います。

 三井委員:今後の進め方について意見します。部会は専門知識を活かすところですが、同時に知事の色々な考え方を活かしていくことも必要だと思います。もし可能であれば、知事に部会へ出席していただいて、お考えを聞くこともいいのではないでしょうか。それから、基本的には、それぞれの委員に専門分野があって、その分野の課題を掲げて今後の方向性を示すことは必要なことだと思いますが、政策分野を縦割りに作っていくだけでは不十分な面があります。例えば、産業や人材育成が自分のテリトリーと思っていますが、人材育成を考えると、学校教育との関わりは無視できません。逆に、日本の学校教育はおかしいと思う面があります。先週も国際会議でニュージーランドへ行ってきましたが、そこでは、起業家教育(アントレプレナーシップエデュケーション)が国際的にも重要な論点になるのですが、日本では殆ど何もやっていません。そういう意味で、もう少し、日本の学校教育を考えて欲しいところもあります。以前、専門分野だけでなく、他の分野も含めて色々な意見を出したことがありましたので、できる限り、その辺りは自由にした方がいいと思います。今後の進め方を検討する中で考えていただきたいと思います。

 治田委員:関連して意見を言わせていただきます。神奈川県ではNPOへの施策を強化されていますが、現実としては、新たな地域課題の解決の担い手が地域社会の中にたくさん出てきています。それを神奈川県としてどう捉えて施策に反映するのでしょうか。例えば、介護や保育をやるNPOには税制優遇がありますが、株式会社にはありません。社会的な意識を高く持ってやっている人たちのいる株式会社に、そういう措置がなくていいのでしょうか。また、先ほど三井委員が言われたように、縦割りで議論するのではなく、分野横断的なやりとりをする機会があればいいと思います。今回はそういう機会を予定されているのかどうか分かりませんが、試しにどこかの分野だけでもやってみて、多様な意見を聞くプロセスも一つ考えていただきたいと思います。

 藤澤総合政策課長:対応としては二通りあると考えています。一つは前計画の二次評価にあたって実施した部会のグループ会議です。これは、県が行った一次評価について、分野ごとに数名の部会委員に集まっていただいて、その評価の適否について議論していただきました。もう一つは、前回の計画策定時に若者や公募の方を集めて3つくらいのテーマを設定して行ったワークショップがあります。

 治田委員:若者や公募といった県民を募集するのは大変ですし、今回の予定に入っていないと思いますので、部会のグループ会議ぐらいであればできるのかなと思います。

 江口部会長:今後、有識者として個別にご意見を聞く機会はありますが、事務局にも、なるべく色々な方法で意見を把握する工夫をお願いしたいと思います。

 岡谷委員:私は保健医療関係が専門ですが、健康・福祉の分野にある医療は、かなり国の政策や考え方に縛られていて、県や市単位で住民のニーズに沿って進めていくことがとても難しいのです。この分野では、「高齢者を標準とするしくみづくり」というように、確かに高齢化の問題は非常に大きいのですが、やはり、高齢化の中にある医療の根本的な問題については、例えば、どこまで治療をしていくのか、もっと病気を予防していくためにはどういうことが必要なのかも含めて、国の施策だけではなくて、県で必要な施策をモデル的に取り組んで全国に広めていくなど、県民のニーズを吸い上げていくような施策を医療の分野でチャレンジしていただきたいと思います。

 曽委員:人口動態は今後の県の施策に重要な意味を持つということですが、日本の少子高齢化というのは、今の日本の社会のしくみと関係があるような気がするのです。これだけの人間を養えないのは、物質的にではなくて、社会のしくみで養えないために人口が減少しているのではないでしょうか。人口の動向を調査する中で、今の1億人が、自分の将来をどうしようとしているのか、或いは将来に向けて、地域や国をどのように考えているかは分かるのでしょうか。実は、一人ひとりが生産者であると同時に消費者であるため、そういうところに人々がどのように関わるかによって、国の将来は影響を受けると思うのですが、人口の調査では、そういうものも調べることは可能なのでしょうか。例えば、税と社会保障の一体改革は再分配の話ですが、この再分配が上手くいかないと低所得者層がすごく増えることになります。若者が経済的に低所得者で、意思も消極的になると、国の将来はありません。色々な計画を立てたり、国の将来を設定したりする時に、そこの部分は結構大事な気がします。

 鈴木副課長:現在の人口推計のアウトプットとしては、お話のあった内容を調査することは難しいと思います。あくまで神奈川の人口を把握して、それがどのように動いていくか、またはどのように分布していくのかまでの調査となり、そのデータを踏まえた対応については、部会委員のご意見をいただきながら、県として考えていきたいと思います。人口推計は、あくまでも一つのツールと考えていますが、今後の方向性を導き出しやすい推計結果が示せるかどうかについては、検討してまいります。

 曽委員:中華街の中国人は、ニューカマーと私を含めたオールドカマーに分けられます。実は中華街ではどんどん世代交代をしていて、ニューカマーがオールドカマーに代わって店を経営しています。その根本的な問題は、オールドカマーに後継者がいない、後継者が店を継がない、貸す方が楽ということなのですが、ニューカマーはハングリーなので、そういうものに進出して中華街が変わりつつあるのです。そういう経験があるため、神奈川県もどういう人たちで構成されるのかについては、かなり重要だと考えています。

 江口部会長:有識者の方々には、今後もご意見をいただきたいと思います。時間が過ぎていますので、本日についてはここまでにしたいと思いますが、事務局から連絡事項はありますか。

 鈴木副課長:今後のスケジュールについてです。これから秋にかけて有識者ヒアリングを予定しています。テーマは新たな政策課題についてで、有識者の方々からご意見をいただきたいと考えていますので、ご協力をお願いします。また、次回は10月中旬から11月下旬にかけて1回から2回くらい、ご議論いただく予定です。

会議資料

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