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更新日:2018年8月27日

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総合計画審議会第79回計画推進評価部会 審議結果

総合計画審議会第79回計画推進評価部会の審議結果

様式3

次の審議会等を下記のとおり開催した。

審議会等名称

総合計画審議会第79回計画推進評価部会

開催日時 平成29年10月13日(金曜日)14時00分から16時00分まで
開催場所 神奈川県庁新庁舎 5階 第5会議室
出席者

牛山久仁彦、内田裕久、橋本雅代、村井知光、木曽順子、小池智子、朱銘江、

中西正彦、原大祐、川崎優美、北原まどか〔計11名〕

(◎部会長)

次回開催予定日 平成29年11月22日(水曜日)
問い合わせ先

政策局政策部総合政策課計画グループ 田中
電話番号045-210-3064(直通) ファックス番号045-210-8819

審議経過

《議題に先立ち、慶應義塾大学名誉教授大江守之氏より「人口・家族の動向と将来見通し」について講演》

 

 牛山部会長:今の段階で、大江先生の話につきまして、委員の方から何かご質問があればしていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。では木曽委員どうぞ。

 

 木曽委員:先生、ありがとうございました。人口ピラミッドが出てきますが、神奈川県の生産年齢人口比というのはどのように変動していて、他の県と比べてどうだと考えればよろしいのでしょうか。

 

 大江講師:生産年齢人口自体が既に1990年ころから日本全体で減りはじめていることはよく知られていますが、ただこの生産年齢人口は機械的に15歳から64歳までをとっていて、かつ男女の違いがある中で、実際の就業している部分はその数とパラレルに動いている訳ではないので、母数としての何らかの意味はあると思いますが、その中身のほうが重要であり、今、高齢期の65歳以上の方が広い意味での働くということにどのように参加するのかということが大事だと思います。ですから、量的な生産年齢人口の動向も確かに重要でありますが、それ以上に中身として25歳から70歳くらいまでの人達が男女別にどのような働き方をしているのか、それがどのように変化しているのかということに注目して分析したほうがよいと思います。

 

 木曽委員:ありがとうございました。あと東京圏では基本的には20歳から24歳の層の流入があるという意味では、他の大都市圏に比べてもその比率は高いというように考えてもよろしいでしょうか。 

 

 大江講師:はい、それは圧倒的に有利な状況です。

 

 木曽委員:分かりました。ありがとうございます。

 

 牛山部会長:よろしいでしょうか。村井委員どうぞ。

 

 村井委員:貴重な講演ありがとうございました。今、少子高齢化についてメディアで聞かない日はないくらいですが、実は1970年代くらいから出生数は緩やかに下降し始めていたと聞いて、実際に研究の場にいらっしゃってどのくらいの時期から、危機感を行政なり民間なりに伝え始められるようになったのでしょうか。それというのは、非常に大きな事象ですので、私も不勉強なのですが、これはここ数年の最近のような気がしているのですが。

 

 大江講師:1970年代の半ばに合計特殊出生率が人口置換水準を下回る動きになりましたが、1980年基準による人口推計をしようとした際、この状態がもうしばらく続いた後に回復すると設定したのですが、その前の段階で回復が始まってしまったということになりました。1970年代の半ばに起き始めた合計特殊出生率の低下は、もしかしたらこのまま回復するのではないかというやや楽観的な見方がありました。それでその次の1985年基準のとき、少し下がってきたけれどもこのまますぐに回復するという設定をしたというように、1970年代から1980年代前半にかけては、まだこれは一時的なもので回復するのではないかと考えられていました。しかし、1980年代の後半からぐっと下がってしまったことによって、これはまずいぞという感じになったことは人口研究者の間では共有されていました。それで、どういうタイミングでそれを社会的にアピールするかということになったとき、1989年にひのえうまの出生率を下回るということが起こったので、それを機に社会的なアピールを始めました。ただ、ご承知のように日本は戦争中に出生促進策で産めよ育てよと言って、軍国主義の下で子どもを産めと強要するような風潮があったりドイツにおける問題もあったりして、戦後、その反省から出産に関しては個人の選択であるということから、そこに介入することにかなり慎重にならざるを得なかったのです。それでどういうタイミングでそのことについて言うかということについても、おそらくかなりの議論があって、やっと1990年くらいからそのことについてもう少し国民に知ってもらうべきだということで、いろいろなキャンペーンが始まったということだと思います。 

 

 村井委員:ありがとうございます。

 

 原委員:最近、出生率が少し上がったということですが、その理由と、それは想定されていた範囲内なのかということ、それから、少し前に、ロシアで2人目を産むと結構なお金がもらえるという政策で人口が自然増しているという話を聞いたのですが、日本においてもそういうことをやれば自然増になることが想定できるのか、お伺いします。

 

 大江講師:まず、出生率が近年少し上昇しているということについてですが、合計特殊出生率という尺度は必ずしも本当の出生水準を現しているものではないのです。合計特殊出生率の元は年齢別出生率という値で、それは女性のある年齢の人口を分母に、その年齢の母親から生まれた子どもを分子に置いて、計算します。それを全部合計したものが、合計特殊出生率です。だからこれは、それぞれ別の世代の人たちが産んでいるものを単に集計しただけであって、本当にどう産むかということはそれぞれの世代の人たちが15~49歳の間に産み終わった時に初めてわかるというものです。これは、完結出生率といいます。ですが、それは産み終わらなければわからないので、合計特殊出生率を使っているのです。産み始めが遅くなると、キャッチアップするために30代後半や40代前半でさらに産むようになるだろうということが考えられますし、実際に少しそうなっています。ここのところ数値が上がってきているのは、そういう産み遅れて始まった人たちが、少し後になってから産むようになってきたということが合計特殊出生率に反映されて、若干上がっているのだと分析されています。ですから、これがどこまでも上がっていくとは考えていないので、最新の人口推計でも、最終的に1.44で推移するという設定になっています。それから、出生促進策については、ロシアのことはよくわかりませんけれど、ヨーロッパの様々な、北欧諸国をはじめとしてイギリスやフランスでも1.8という数字があるわけですから、そういうところがどういうふうに家族政策を行っているかは参考になると思います。

 

 小池委員:先生がご提案になっている新しいコミュニティの姿というものに、非常に関心を持って拝聴いたしました。孤立的な高齢者世帯がこれから増えていく中で、新しいコミュニティをデザインしていくということが非常に重要だと思っています。先生は、地縁からテーマ型、さらにミッション型というご提案をされています。例えばテーマ型コミュニティが自分たちで自発的に形成していくコミュニティであるのに対して、ミッション型コミュニティは、地域包括ケアシステムであったり、社会が持っているミッションに何らかの形、半分公的に、半分自立的にジョイントするというようなイメージを持ちましたが、仕掛け人が必要なのかなと思います。柏市のモデルのような地域包括ケアの中で展開しているようなものはイメージができるのですが、もっと公民半々というイメージでこれは捉えるコミュニティなのでしょうか。

 

 大江講師:そうですね。とても本質的なご質問で、これも難しいです。ご指摘の通り、地域包括ケアシステムというビジョン、概念が非常に重要だと思います。その中で医療と介護と生活支援、住まい、という要素で考えられているわけですが、生活支援の部分がどうしても旧来の、伝統的な地縁型コミュニティに頑張ってくださいとやっているところが多いのが現状です。それはやはり長続きしません。そうすると、もう少しそこの部分にも、多少の経営的な循環が起きるような形、特におっしゃったように中心になってこのミッション型コミュニティというものを動かしていく人たちに対して、生活ができるような仕組みを入れていかないと、うまくいかないだろうと思います。神奈川県の例で言うと、藤沢で実施した知事との対話の時にあおいけあの加藤さんと一緒に出たのですが、加藤さんがやっている活動は株式会社でグループホームと小規模多機能とやっているわけですが、狭い意味での介護サービスだけでなくそこに来る人に対していろいろな役割を振っていくことをしております。私は時々行くのですが豊かなものを作り出しているという感じがしますので、よいモデルだと思います。いろいろな試みがこれからなされていくとバラエティに富んだミッション型コミュニティの姿が出てくると思います。

 

〇 橋本委員:人口の増加に外国人の流入も数値に入っているのですか。

 

〇 大江講師:国勢調査ベースで実施しているので外国人も入っています。しかしながら外国人の部分は難しいところがあって、推計には入っているのですが明確に外国人をどのような行動パターンとして扱うかについてはまだはっきりしていません。たとえば米国ではヒスパニック系で出生率が高いのですが、日本の場合には外国人の配偶者を持ったりした場合、あるいは外国人同士の出生率は全体に低いようです。単純に労働者として考えるのか、日本の社会を担っていく一員として見ていくのかによっても将来の人口に与える影響が違ってくるのではないかと思います。

 

〇 牛山部会長:この後も議論の中で大江先生に質問をさせていただきたいと考えています。それでは、本日の議題である社会環境の変化に伴う新たな政策課題骨子案を事務局からご説明願います。

 

議題 社会環境の変化に伴う新たな政策課題 骨子(案)について

 

《資料1「社会環境の変化に伴う新たな政策課題 骨子(案)」、資料2「基本的視点の考え方」、参考資料1「新たな政策課題に関するデータ集」、参考資料1【別添】「県内の人口分析」、参考資料2「神奈川県の政策課題に関するデータ集」、参考資料3「今後のスケジュール(想定)」を事務局から説明》

 

 牛山部会長:ありがとうございました。ただいま事務局の方から、新たな政策課題の骨子をお示しいただきましてみなさまからご意見をいただき、本日ご欠席の委員もいらっしゃいますので、そちらのご意見も事務局の方で集約していただきながら、次回の素案に向けて整理をしていきたいと思いますので、今日は委員のみなさまから先ほどご提示いただいた、削除あるいは追加すべき要素であるとか内容についての確認、表現などについて、ご意見いただければと思います。 

 

 内田委員:よろしいでしょうか。私は一昨日までサウジアラビアに行っていまして、国連大学の先生方といろいろな議論をした時に、レジリエンスという言葉が出てきました。ここにある国連の資料の目標9に出てきますが、レジリエンスは強靭という意味ではなくて、強さもあるがしなやかさもある強さということです。そういう意味で社会の中に当てはめていく、これは今、先進国の中ではこの言葉が非常に広がってきていて、社会の中で大事にしようと。それはそれとして、ひとつ欠けているのは、前々からこの部会でも他の委員からご指摘があったとおり、経済をもっと活発化させる、産業振興の視点が欠けているかなと思います。特に持続可能な産業化の促進、イノベーションの推進を図る国連にあって、それに対応する中で、神奈川県では基本的な視点の11番目に日本経済を牽引し、世界に貢献する神奈川づくりとありますが、資料1の方に対応してみると、産業構造の転換、働き方の多様化というところに、もう少し神奈川県では明確に新産業を育成するんだと、あるいはベンチャーを育成するんだと、そういうところをぜひ入れるべきではないかと思います。それと私が非常に残念に思っているところは、私は神奈川県の第3セクターのかながわサイエンスパークで勤務しているのですが、この30年間で400社以上のベンチャーを出しています。しかし、一度もこれが神奈川県の成果として引用されたことがないのです。実はこれは日本で一番ベンチャーを出している機関なのです。ですから、もう少し神奈川県は、ベンチャーをこの30年で日本で一番出しているのだということを言っていただいていいと思っています。ぜひそのような意味で、もっと若い世代やいろいろな人達が、例えば神奈川県では高齢者のベンチャー支援であるとか、いろいろなことを産業振興課の方でトライしています。そういうことにこだわらずにもっと広い意味で、新しい産業を生み出す方でもどんどん参加して、新しいモノを作って社会を活性化するという、これはソーシャルベンチャーでもいろいろなものがあります。何も大きなお金を生み出すものばかりではありません。そういう広い意味でのベンチャーを支援していく、育成していく、そうやって社会の経済を、活動をいろいろなところから、小さなところからも含めて活性化するという視点をどこか1点入って欲しいなと思いました。 

 

 牛山部会長:ありがとうございました。少しまとめて事務局からコメントがあればいただきます。本日は限られた時間なので、効率よく意見を出していただきたいと思います。他の委員の方いかがでしょうか。中西委員どうぞ。 

 

 中西委員:はい。まず、私の専門である都市計画からすると、都市のインフラの話が報告書の方にあまり載っていないことが若干気になります。道路とか都市の基盤的な部分ももちろんですし、その上に建つ重要な都市の建築物などもだいぶ老朽化してきている中で、それを建て替えという形でやるのか、リノベか、あるいはどういう風に使い方を進めていくのかというのは重要な課題だと個人的には思っているのですが、県のレベルで考える必要があるかは分かりませんが、少し空間的なものがあって欲しいというのが1点です。それから2点目は、少し大きな話で言いますと、全体を通じてマクロな分析というか県を一様にとらえた分析に見えるということです。しかし、例えば人口減少や動態とか、それに付随すると思われる空き家の発生も、先ほど大江先生のお話の中にもありましたが、まさに場所が偏在して起きることが一方で問題だと思っているので、地域ごとの状況の違いのようなものが、例えば少子化高齢化と人口減少ですとか、産業を取り巻く環境とかの辺りに入るべきではないかと感じているところです。それから3点目ですが、先ほどの地域経済の観点と少し似ているのですが、生活者の側から見ると地域商業の話があまりないのですが、住まう上では商業的な利便性ということが実は重要ですので、それも含めて地域経済という観点を欲しいなと思っています。それは裏を返すと、働き方の改革ということが書いてありますが、働き方の多様化というときに、単に働くスタイルの多様化ということではなくて、場所も多様化してもらいたいと思っています。住宅と働く場所をきっぱりと分け過ぎたことが結構問題で、それが団地の衰退を招いている面もありまして、例えばベンチャー企業が住宅地の中にもスモールオフィスをもっと構えられるようにすることは、人口が衰退していく地域に戻るというときの考え方として重要だと思います。これも空間の配置の話になるのかもしれませんが、多様なというときに、場所の多様化も入るようなかたちの記載としていただければと思います。

 

 牛山部会長:ありがとうございます。他の委員の皆様、いかがでしょうか。

 

 小池委員:安全に関して医療の観点から意見を申し上げたいと思います。ヒアリとかの問題もありましたが、世界との間隔が狭くなっているということは、非常に多様な感染症などが入ってきやすい環境になってきているということでもあります。人の移動が活発となることと合わせて、マーズなど重症な広域感染症に対してどのように対応していくのか、教育とセットにして取り組むことが重要だと思っています。また、ここで検討すべき事柄なのか別枠でやるものなのか分かりませんが、テロなどが起こったときに我々がどう行動すべきかも教育の中に入ってくるのかもしれません。我々の活動が世界とつながっていくことによって起こる様々なリスクに対する対応ということも含めて記載しておくべきではないかと思いました。

 

 牛山部会長:ありがとうございました。北原委員お願いします。

 

 北原委員:人口減少に関して言えば、少しでも産みやすくしていこう、産んでも働きやすくしていこうということで様々な対策を立ててはいるけれども、今後は確実に減っていくということが分かっているのだからそういう時代に備えましょうということで、基本的な視点のところの表現が人口減少社会への適応となっているのかをお尋ねします。自分も子育て中で、周りにも子育てをする夫婦が多くいて、NPOの仲間などにもヒアリングを進めているのですが、お金がないから産めないとか、産んだら働けるかどうか心配であるとかいう不安を持っている方が非常に多くて、楽しく子育てしている、安心して子育てできていると思っている人はあまり多くないということを実感として感じています。そんな中で、骨子(案)には子育てへのポジティブな言葉があまりないなという印象を受けました。

 

 牛山部会長:ありがとうございました。いくつか出していただきましたが、事務局の方からお答えいただけること、コメントなどありましたらお願いします。

 

 杉山総合政策課長:総論的にお答えさせていただきますが、今いただいたご意見については、言えるところと言えないところはあると思いますが、総じて、表現を考えながら記載していく方向で進めたいと思っています。内田委員からはベンチャーの問題、産業振興の問題についてご意見をいただきましたが、当然神奈川県としては、経済のエンジンをまわすという政策については今後も引き続き進めていくことになりますし、中西委員の神奈川県全体ということでマクロ的な捉え方に見えてしまう面があるということに関しましては、我々としても地域の多様性と言いますか、地域ごとへの目配りという視点が少し欠けてきていたのではないかという思いがある中で、そこをどのように表現をしていけばいいのか迷いながら作業をしているところでございます。本日ご意見をいただきましたので、改めて表現を検討したいと思います。小池委員からは感染症に関するご意見をいただきましたが、感染症については本日の資料のような大きなところでの現れはないのですが、事務局内での議論としては出てきておりますので、取り入れていきたいと思います。またテロの関係につきましては、県警の方とも相談しながら、どのようなかたちで記載に落とし込めるのかを検討していきたいと思います。北原委員の人口減少社会への適応の部分については、当然に大江先生のお話にもあったように、人口や合計特殊出生率を上げる取り組みができたとしても、既に減少している人口全体の総数を改善していくことはなかなか難しい状況です。そういった中においても、きちんと対応を図っていくといった趣旨で考えさせていただく内容と思っています。例えば、結婚、出産、子育ての切れ目のない支援はきちんと取り組んでいかなければならないと思っておりますし、そこにおいて、ポジティブなお母さんの願いが叶うような環境づくりをしていくことについては、決して手を緩めていくものではないと思っております。

 

 牛山部会長:ありがとうございます。それでは引き続きご意見を伺いたいと思います。

 

 川崎委員:基本的な視点の考え方のページの中で、私が気になってことに、SDGsの目標の中の目標16の平和と公正をすべての人にという部分です。ここに出てくる、公正や公平という部分ですが、今まで日本や神奈川県といった地域においては、当然のものとして考えている日本の社会があったと思います。しかしながら、色々な問題が起きていることを考えると、ここで、せっかくSDGsという考え方を持ってきているので、公正や公平といったことが、神奈川の視点の中に言葉として入ってくると、関係性がしっかりと出るように思いました。私が申し上げたような色々な問題はないのかもしれませんが、多様化や誰もが活躍できる社会といった言葉はいつも出てくるのですが、結局のところ、その考え方に当てはまらない人からすれば、それは公平ではないことになってしまいます。何か公平ではない理由があるから、そのようなことが難しいということも考えると、ここで、SDGsという考え方が国連から出ていますので、公平や公正というものが視点の中に少し入ってくるとよいと感じました。

 

 朱委員:資料2の基本的な視点のところで気づいたことを発言させて頂きます。項番1のともに生きる社会の実現、2に誰もが活躍できる社会づくりとなっており、そのキーワード中にいくつか重なっているものがあります。それはよいと思うのですが、1のキーワードにある、外国にルーツのある子どもへの教育というものが入っています。現実的には、この子供たちが育ったあとに、誰もが活躍できる社会の中に入ってくるはずですが、この2番目のキーワードには、外国にルーツのある人の話が入っていません。LGBTや男女共同参画は重複して記載されていますが、外国にルーツのある人の記載がありません。これはまだキーワードの状態と思いますが、是非、ここの2番目の項目の中にも表現が入ってくるとよいと思いました。

 

 牛山部会長:ありがとうございました。私からも少しご意見を言わせていただくと、先ほど、地方分権の記載について説明がありました。確かに地方分権の話は17年ぐらいたちましたので、分権のことを言い続けるのかという考えもあると思いますが、一方で、このような施策全体を推進する上で、県の行政体制をどのようにするのかという問題は、何かと委員の皆様からも行政のあり方についてご意見もあるところです。そう考えると、記載を全て落とすということはお考えではないと思いますが、その辺りは少し工夫をして、県民との協働連携などと合わせて、施策を推進するためのエンジンとして、どのような考え方でいくのかという内容がどこかにあっても良いと感じました。また、先ほど、人口の見方についても一様だというご意見もありましたが、知事もおっしゃっているとおり、県内には多様な地域が存在していて、県西部や三浦半島地域には力をいれていますが、そういった異なる地域間での連携など、広域行政という側面ではなく人の行き来であるとか、そういったものがどこかにあってもいいのかなと思いました。他の委員の方どうでしょうか。それではここで事務局の方からお願いします。

 

 杉山総合政策課長:まず川崎委員からお話のあった公正、公平という言葉ですが、我々も今回社会環境の変化の中で、5(2)あるいは(3)あるいは(1)ですが、この辺でかなり配慮したいな、という強い思いがあるものですから、どういった形になるか分からないですが、その理念は最低入れるつもりではあったのですが、言葉として入れるかどうかということも含めて検討させてください。前向きに考えたいというふうに思っています。それから朱委員からのお話としては、これはごもっともなので、これは入れる方向で検討させていただきます。牛山委員からのお話として、地方分権の行政の在り方の部分で実は我々が本当に迷っているところでして、今の社会の課題を解決するために行政だけで推進していくのはなかなか難しい状況がある中にあって、ここの社会環境の変化のところに入れていけばいいのか、それとも、たぶんこのグランドデザインをやる際には、推進体制という項目を絶対作る形になるので、その中において、官民連携的なことを明確に打ち出していくのがいいのかどうなのか、その辺を今考えているところです。ご意見を踏まえながら、連携を取りながら推進していくということについては、必ずどこかに入れるつもりでいます。多彩な地域があるということも、人の行き来の問題や交流であったり、あるいはそうした多彩な地域の強みを活かしていく、その辺は表現をぜひ入れていきたいと思っています。

 

 木曽委員:SDGsの目標17でパートナーシップで目標を達成しようというところに、グローバル・パートナーシップを活性化するとの記載があります。だいたい基本的な視点(案)の1とか2とか11あたりに活かされているのかなと思うのですが、やはり神奈川は様々な面でもちろん多様性もあるのですが、豊かな県というイメージも強いかなと思いますので、もう少し、例えば観光にしても、外国人労働者にしても、高齢化に伴う様々な今後の外国人の方々との協力・共生の在り方、あるいは中小企業の海外進出支援、それから研修制度等々、様々な形でパートナーシップというものを前面に出せるのではないかと思います。そういう視点をもう少し反映させていただけると非常に魅力があるのではないかと感じます。

 

 小池委員:この個別のテーマの前に、全体の政策課題をとりまとめるキーワードとして、幸福という言葉が入っていないのかな、と思いました。日本はいろいろなチャレンジをしていますし、健康にも取り組んで様々なことをしているのですが、幸福感というようなところで見ますと、世界の中でもこんなに命を永らえ、教育も受けられ、様々なチャンスがあるのかないのか、これは個人で違いますが、幸福感が非常に低い国です。神奈川県が幸福度がどうなのかというと、私は県別の幸福度は分からないので、どうなのか分からないのですが、お一人おひとりでそれぞれ幸福に関わる思いというのは違うのですが、一人ひとりがそれぞれの幸福感を探求できるような、そういう社会を目指す神奈川という部分も強調していいのかなというふうに思います。さきほど内田委員が仰っておりましたレジリエントというものを支える力というものは、まさにこの幸福感というものがベースにあるのかなと思っておりまして、これは一つキーワードの中に入れていただいていいのかなというふうに思っております。幸福度が一番高い県であるというのも、とても魅力的なことではないかと思っています。そして、その幸福度を追求していくときに、やはり格差というようなことは大きな課題になるかと思いますけれども、基本的な視点(案)の3番目の格差の拡大と固定化への対応の中で、子どもの貧困の対策の中で、教育というようなこともそうですが、健康でしょうか、やはり貧困の家庭は栄養が足りないので、栄養が十分でないことによって知的な発達が遅れてしまう可能性が非常に高いということが分かっております。例えばイギリスですとシュアスタートという政策がありまして、学齢期になるまで必ずどこの家庭でも必要な栄養量というようなことと、それから教育の機会ということを保証し、非常に貧困な家庭に生まれてきたことがずっと固定化され、その子どもたちの人生が決まってしまうということではなくて、皆同じスタート地点に立って、チャンスを活かせるようなそういう社会という意味で、教育だけではなくて栄養であったり、トータルな支援というようなものも、この基本的な視点(案)の3番の中をサポートしていく上ではとても重要で、そういう意味では公衆衛生学であったりとか、今保健所の職員の皆様ががんばってなさっているような活動を幅広くローラー作戦的に進めていくようなことが必要なのかなと思います。

 

 牛山部会長:ありがとうございます。他にはいかがでしょうか。

 

 村井委員:公募委員として県民の立場からですが、報告書(案)のところの項目を拝読させていただく

と非常にイメージ・印象ですが、30代・40代の非常にエスタブリッシュな方々を県民として想定して作っ

たようなイメージが非常に、ちょっと偏見ですがありまして、逆に10代とか子どもとか、そういう若い世代の視点だったり、そういう方に配慮したような報告がちょっと目につかないような印象を受けました。

SDGs自体は途上国などもカバーするものですので、子どもや若い方などにも配慮したものになると思います。基本的な視点の9番の中に教育の視点がありますが、今回報告書(案)に教育というキーワードが抜けているのではないかと感じました。現実的な予算を見ても、県立高校など教育という視点では大きい部分を占めると思いますので、そこと乖離してしまっても良くないと思いました。

 

 牛山部会長:ありがとうございました。大江先生、折角ですのでご意見やご感想、アドバイスなどいただければ幸いです。

 

 大江講師:なるほどと思いながら伺っておりましたので、特段、意見などはございません。

 

 牛山部会長:ありがとうございました。それではこれまでの意見について、事務局お願いします。

 

 杉山総合政策課長:まず、木曽委員からいただいた、グローバルなパートナーシップについてです。先程の説明でも触れた部分ですが、世界の中にある神奈川、神奈川から世界へという視点は大きく打ち出していきたいと考えています。グローバルというものの重要性は認識しております。どういった部分で表現できるかは今後検討させていただきますが、きちんと取り入れていきたいと考えています。続いて、小池委員からいただいた幸福、あるいは幸福感という点です。どういった形で取り入れていくかは難しさがありますが、幸福というものを前面に出す表現が良いのか、あるいは、現在、神奈川県では知事を中心に人生100歳時代の取組みとして、一人一人がいきいきと健康で輝いて生きていくという意識は幸福感と共通すると考えています。基底的な底流として持ち続けるものだと思いますので、行政の総合計画として、適当な表現を考えながら取り入れてまいります。また関連する形で健康という点や総合的な支援についてです。現在、神奈川県では健康長寿に関して未病やヘルスケア・ニューフロンティアの取組みを行っており、引き続き取り組んでまいります。最後に村井委員からいただいた、教育の視点についてです。従来の総合計画のあり方と比べて、あえて人づくりという表現をしていますのは、子ども達、若者達へのアピールであります。しかしながら、分かりやすいように工夫することが必要だと思います。

 

 牛山部会長:大変たくさんのご意見、貴重なご意見いただきましてありがとうございました。まだまだお気づきの点、ご意見については、追加でも構いませんので、いただきながら次回の部会や素案の作成に反映してまいりますので事務局にご連絡お願いいたします。本日の議事については以上で終了となります。事務局からお願いします。

《今後のスケジュールについて、事務局から説明》

 

 牛山部会長:ありがとうございました。本日は大江先生にも大変貴重なお話をいただきまして、ありがとうございました。また、皆様におかれましても、ご意見賜り、ありがとうございました。

 

会議資料

講演資料 「人口・家族の動向と将来見通し」について(大江 守之慶應義塾大学名誉教授)[PDFファイル/2.75MB]

資料1 社会環境の変化に伴う新たな政策課題 骨子(案)[PDFファイル/66KB]

資料2 基本的な視点の考え方[PDFファイル/14KB]

参考資料1 新たな政策課題に関するデータ集[PDFファイル/3.56MB]

参考資料1【別添】 県内の人口分析[PDFファイル/1.47MB]

参考資料2 神奈川県の政策課題に関するデータ集[PDFファイル/3.43MB]

参考資料3 今後のスケジュール(想定)[PDFファイル/52KB]

 

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