海外動向レポート(2020年6月(株)横浜銀行研修派遣職員)

掲載日:2020年6月30日

「タイ国内商業銀行の新型コロナウイルス状況下での動向について」

 世界各地で感染拡大を続けている新型コロナウイルス。タイでは3月末に発令された非常事態宣言が、2度の期間延長により6月末まで継続された。その効果もあり、6月15日時点で過去3週間市中感染は報告されておらず、新規感染者は海外からの帰国者のみとなるなど、国内の感染拡大は落ち着きを見せ、経済活動の制限は段階的に緩和されている。
 ただ、こうした経済活動の制限による官民投資の縮小や外国人観光客の大幅減少に伴うサービス輸出の低下が主な原因となり、5月にタイ国家経済社会開発委員会が発表した2020年1-3月期の実質GDP成長率は、前年同期比1.8%のマイナスとなり、2014年第1四半期以来6年ぶりのマイナス成長となった。こうした中、経済の下支えに向け、タイ国内では様々な対策が打たれている。今回は、タイ国内商業銀行の新型コロナウイルス状況下での動向について紹介したい。

GDP

 まずは、政府主導の経済対策についてお伝えしたい。政府は3月上旬から3度にわたる経済対策を発表した。第1弾では、総額1,500億バーツ(約5,250億円)の低利子融資策(1社あたり上限2,000万バーツ(約7,000万円)、金利2%、上限2年)を決定。政府系金融機関から各商業銀行に金利0.01%で資金を供給し、各行から融資を実行する。第3弾では、総額5,000億バーツ(約1兆7,500億円)の低利子融資策(1社あたり上限5億バーツ(約17億5,000万円)、金利2%、当初6ヶ月は利子免除)を決定。タイ中央銀行から各商業銀行に金利0.01%で資金を供給し、各行から融資を実行する。これらの経済対策を受け、各行は新型コロナウイルス感染拡大により影響を受ける中小企業の資金繰り対策に乗り出している。
 各行独自の取り組みも見受けられる。中小企業支援に強みを持ち、連結総資産国内1位(2020年3月末時点)のカシコン銀行では、従業員200名以下の中小企業向けに雇用維持のためのゼロ金利ローン(10年間のローン期間、手数料なし、1年間の元本返済猶予)を行うプログラムを実施している。このプログラムに参加する企業の従業員は、3ヶ月間毎月8,000バーツ(約28,000円)を受け取ることができ、これは同行の顧客約1,000社の雇用維持につながる見込みとなっている。
 さらに各行は、タイ中央銀行の指示の下、融資額1億バーツ(約3億5,000万円)までの元本返済と利払いを自動的に6ヶ月据え置く債務返済猶予措置や、貸出金利の引き下げを実施するなど、積極的な支援を実施している。
 これらの取り組みの結果、各行の融資残高は増加してきている。報道によれば、タイ証券取引所に上場する商業銀行10行の2020年4月末の融資残高は、前年末比3.88%増加、前年同月比で5.93%増加している。この傾向は第2四半期にも続く見込みだが、債務返済猶予や貸出金利の低下に伴い、融資拡大は各行の収益拡大には結びつかないとの見方もある。
 実際に、各行の純利益は減少、不良債権比率は増加傾向にある。新型コロナウイルス感染拡大による景気悪化等の影響を受け、2020年3月末時点での純利益は、前年同期比で10行中5行がマイナスとなり、18.4%減少。国内商業銀行の不良債権比率は、前年末2.98%から2020年3月末時点で3.05%へ増加、6月末には3.40%程度まで上昇する見通しである。2011年3月末以来、実に9年ぶりの高水準となっており、特に個人向け融資や中小企業向け融資で比率が上昇している。新型コロナウイルス感染拡大に伴い経済が低迷する中、銀行は社会インフラとしての役割を果たす一方、銀行自身の業績も厳しくなってきていることがわかる。
 第2四半期には更なる景気後退が予想されているが、各行による貸出金利の引き下げ等の取り組みは、日系企業の活動をも下支えする。
 今後もタイ経済の動向に注視していきたい。
huryousaikenhiritu ※1バーツ=3.5円で算出

本文ここまで
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