県内企業海外事業展開実態調査結果

掲載日:2018年5月2日

第1章 調査の概要

1.1 調査の目的

本調査は、県内企業を対象に海外での事業展開の実態や海外進出のニーズについて調査し、各企業の活動に海外事業が果たす役割や影響を考察するとともに、県内経済の活性化を図る施策立案の参考資料を提供することを目的とする。

1.2 定量調査の概要

(1)調査方法
郵送アンケート調査


(2)調査期間
平成23年9月20日(火曜日)から平成23年12月22日(木曜日)

(3)調査手順
(1)対象企業の抽出
(2)対象企業へのアドバンスコール(担当者特定)
(3)郵送による調査票の配布
(4)対象企業へのフォローコール(回収督促)
(5)郵送による調査票の回収
(6)回答結果の入力
(7)回答結果の集計

(4)調査項目
企業概要(商号、所在地、回答者氏名・部署・役職・TEL・E-mail、業種)
現在の海外事業展開の実施内容(実施規模及び展開地域を含む)
今後の海外事業展開の実施予定内容(実施規模及び展開地域を含む)
東日本大震災が海外事業展開に与えた影響
円高が海外事業展開に与えた影響
海外事業展開を進めた結果、企業経営に与えた影響(雇用、生産性、業績など)
海外事業展開を進めた結果、増強又は縮小した国内機能
海外事業展開を進める上での障がい及び課題
海外事業展開を進める上で行政に期待する支援内容

(5)調査対象
県内に本社を置く中小企業2,061社

(6)回収件数(回収率)
1,524件(73.9%)

(7)備考
グラフ内の「n」は設問に対する回答数で、構成比率算出の際の母数である。
複数回答の設問では、構成比率の合計が100%を超える場合がある。

1.3 定性調査の概要

(1)調査方法
訪問ヒアリング調査


(2)調査期間
平成23年10月6日(木曜日)から平成24年1月18日(水曜日)

(3)調査手順
(1)対象企業の抽出
(2)対象企業へのアポイントコール
(3)訪問によるヒアリング調査
(4)回答結果の入力

(4)調査項目
上記1.2定量調査の回答結果の深堀

(5)実施件数
上記1.2定量調査の回収企業1,524件のうち、226件

第2章 調査結果の概要

2.1 県内企業の海外事業展開の内容

基本属性(業種・地域)

「卸売業」、「一般機械器具製造業」、「電気機械器具製造業」、「金属製品製造業」が10%以上、「輸送用機械器具製造業」、「食料品・飼料・飲料製造業」、「プラスチック製品製造業」が8から9%台、「精密機械・医療機械器具製造業」、「化学工業」、「窯業・土石製品製造業」、「鉄鋼業・非鉄金属製造業」、「パルプ・紙・紙加工品製造業」が3から4%台の構成。

表2-1 基本属性(業種別)
基本属性

図2-1 基本属性(業種別)

基本属性(グラフ)

「横浜市」が約40%を占め、次いで「県央地域」、「湘南地域」、「川崎市」と続く。

表2-2 基本属性(地域別)
基本属性(表)

図2-2 基本属性(地域別)
基本属性(グラフ)

※横須賀三浦地域:横須賀市、三浦市、鎌倉市、逗子市、葉山町
※県央地域 :相模原市、厚木市、大和市、海老名市、座間市、綾瀬市、愛川町、清川村
※湘南地域 :平塚市、藤沢市、茅ヶ崎市、秦野市、伊勢原市、寒川町、大磯町、二宮町
※足柄上地域 :南足柄市、中井町、大井町、松田町、山北町、開成町
※西湘地域 :小田原市、箱根町、真鶴町、湯河原町

海外事業展開の有無について

海外事業を展開している企業が約28%、展開していないが、計画がある企業が約6%で、3割超の県内企業が海外事業に取り組んでいる。
業種別では、卸売業、電気機械器具製造業、一般機械器具製造業が40%以上、次いで精密機械・医療機械器具製造業、金属製品製造業が高く、海外取引・貿易業務や組立加工型産業が進展している。

表2-3 海外事業展開の有無
表

図2-3 海外事業展開の有無

グラフ

表2-4 海外事業展開の有無(業種別)
業種別

海外事業展開の取り組み開始時期について

1970年代以降の長期にわたる事業展開も見られるが、「2000年代」が最も多く、「2010年以降」と合わせると半数以上の県内企業が2000年以降に海外事業を開始している。グローバル経済の進展に伴い、アジア新興国の成長市場(“ボリュームゾーン”)をターゲットとした事業展開が活発化している状況が伺える。
業種別では、卸売業は「1980年代」から、金属製品製造業、電気機械器具製造業は「1990年代」から、一般機械器具製造業、輸送用機械器具製造業、精密機械・医療機械器具製造業は「2000年代」から海外事業の進展が活発化している。

表2-5 海外事業展開の取り組み開始時期
取組時期

図2-4 海外事業展開の取り組み開始時期

取組時期

表2-6 海外事業展開の取り組み開始時期(業種別)
業種別

海外事業展開の相手国・地域(現状・計画)について

<現状>「中国」(約59%)が最も多く、次いで「韓国」、「台湾」、「タイ」などの成長を続けるアジア新興国の成長市場(“ボリュームゾーン”)が主な展開地域である。これに「アメリカ」(約20%)と「ドイツ」(約7%)、「イギリス」(約6%)、「フランス」(約5%)などの欧州各国を加えた3極地域に展開している。
<計画>「中国」(約49%)が最も多く、次いで「台湾」、「タイ」、「アメリカ」、「ベトナム」、「韓国」と続いている。現状と比較して増加している国は「ベトナム」、「インドネシア」、「インド」、「ブラジル」で、近年、人口規模・市場規模が大きく経済成長しているASAN諸国、今後、著しいが経済成長が期待されているBRICs諸国に拡大傾向が見られる。

表2-7 海外事業展開している相手国・地域(現状・計画)
相手国

図2-5 海外事業展開している相手国・地域(現状・計画)
相手国

海外事業展開の内容(現状・計画)について

<現状>「直接貿易(商社等経由を除く)」(約90%)が最も多く、海外との直接取引が海外事業展開の主体となっている。次いで「生産拠点」(約49%)、「販売拠点」(約43%)の海外進出が続く。
<計画>:「生産拠点」(約48%)、「販売拠点」(約46%)、次いで「直接貿易(商社等経由を除く)」(約38%)が続いている。現状と比較すると「直接貿易(商社等経由を除く)」が大幅に減少し、「業務提携(技術提携など)」(約14%)が増加するなど、多様な事業展開に向かう傾向が見られる。

表2-8 海外事業展開の内容(現状・計画)
展開内容

図2-6 海外事業展開の内容(現状・計画)
展開内容

海外事業展開のきっかけ(理由)について

「新たな事業展開」(約42%)や「積極的な海外市場の開拓」(約21%)などの積極的な理由と「取引先の海外進出」(約34%)や「国内市場の縮小化」(約23%)などの外部要因に伴う消極的な理由が見られた。
業種別では、パルプ・紙・紙加工製造業、化学工業、卸売業で「新たな事業展開」が、プラスチック製造業、金属製品製造業、一般機械器具製造業、電気機械器具製造業で「取引先の海外進出」が高い。
取り組み開始時期別では、1990年代、2000年代では「取引先の海外進出」が高いが、2000年代、2010年以降では「新たな事業展開」に変化している。特に2010年以降はそれに加えて「国内市場の縮小化」と「積極的な海外市場の開拓」が高くなっている。

表2-9 海外事業展開のきっかけ(理由)
きっかけ

図2-7 海外事業展開のきっかけ(理由)
きっかけ

表2-10 海外事業展開のきっかけ(理由)(業種別)
きっかけ

表2-11 海外事業展開のきっかけ(理由)(取り組み開始時期別)
きっかけ

今後の海外事業展開の方向性について

「現状を維持する」(約51%)と「事業規模の拡大を検討している」(約45%)が多数を占めており、海外事業展開を推進する方向が見られる。
業種別では、各業種とも「現状を維持する」、「事業規模の拡大を検討している」が多数を占めているが、特にこれまでに海外事業展開があまり進んでいない化学工業、プラスチック製品製造業、金属製品製造業などの基礎素材系の業種で事業拡大の意向が強い。

表2-12 海外事業展開の方向性
方向性

図2-8 海外事業展開の方向性
方向性

表2-13 海外事業展開の方向性(業種別)

方向性

2.2 県内企業の海外事業展開の影響

海外事業展開に占める売上高について

「1から9%」(約34%)が最も多く、次いで「10から19%」(約16%)と続き、売上比率20%未満の企業が半数を占める一方で、売上比率50%超のグローバル企業も約20%存在する。

表2-14 海外事業展開の占める売上高
売上高占有率

図2-9 海外事業展開の占める売上高
売上高占有率

海外事業展開を進めた結果、企業経営に与えた影響について

売上、利益、販路開拓で「良い」が4割を超え、企業経営に好影響を与えている一方で、利益では「悪い」が唯一1割を超えており、必ずしも海外事業展開が企業の利益確保に直結するわけではない。なお、雇用、技術開発力、生産力では「変化なし」が7から8割を占めている。

図2-10 海外事業展開を進めた結果、企業経営に与えた影響

経営への影響

海外事業展開を進めた結果、増強又は縮小した国内機能について

<増強>販売機能(約40%)が最も多く、次いで「調達機能」、「生産機能」と続いている。
<縮小>生産機能(約15%)が最も多く、一部の県内企業では生産機能の縮小が懸念される。

表2-15 海外事業展開を進めた結果、増強又は縮小した国内機能
国内機能

図2-11 海外事業展開を進めた結果、増強又は縮小した国内機能
国内機能

海外事業展開を進めた結果、国内の雇用者数への影響について

「変わらない」(約74%)が最も多く、「増加した」(約17%)が「減少した」(約9%)を上回っており、全体的には増加の影響をもたらしている。

表2-16 国内における雇用者数への影響
雇用者

図2-12 国内における雇用者数への影響
雇用者

東日本大震災が海外事業展開に与えた影響について

「特段の影響はない」(約83%)が8割以上を占める。
業種別では、化学工業、金属製品製造業で「新たな事業展開を計画、もしくは検討している」が、パルプ・紙・紙加工品製造業、プラスチック製品製造業で「事業を縮小した、もしくは縮小する可能性がある」が高く、業種間での影響の相違が伺える。

表2-17 東日本大震災の海外事業展開に与えた影響
震災の影響

表2-18 東日本大震災の海外事業展開に与えた影響(業種別)
震災の影響

円高が海外事業展開に与えた影響について

「ほぼマイナスの影響のみ受けている(と予想している)」(約38%)と「マイナスの影響の方が大きい」(約20%)で6割弱を占めており、県内企業にとって厳しい経営環境となっている。
業種別は、一般機械器具製造業、電気機械器具製造業などの輸出関連産業では「マイナスの影響」、鉄鋼業・非鉄金属製造、化学工業、窯業・土石製品製造などの基礎素材系業種や卸売業では「プラスの影響」が見られる。

表2-19 円高が海外事業展開に与えた影響
円高

表2-20 円高が海外事業展開に与えた影響(業種別)

円高

海外事業を撤退した企業について

海外事業を撤退した県内企業が56社存在する。撤退した主な理由は「経営状況の悪化」(約35%)、「事業戦略が立てられなかった」(約35%)であり、海外事業展開の取り組みには、経営基盤の確立や企業・事業戦略の構築が重要であると推測される。

表2-21 撤退した企業の理由
撤退理由

図2-13 撤退した企業の理由
撤退理由

海外事業を展開していない企業について

展開していない主な理由は「自社製品・サービスが海外展開に適さない」(約24%)をはじめ、“国内市場を重視”(「当面、国内市場の開拓に注力する」(約32%)、「国内市場で手一杯で、海外市場にまで手が回らない」(約25%))、“自社内に課題”(「海外進出のためのノウハウ・人材が不足している」(約29%)、「海外でのマネジメント能力が不足している」(約25%))、“海外の事業環境に課題”(「為替・治安等のリスクが懸念される」(約10%)、「ビジネスモデル・技術・ノウハウ等の流出が懸念される」(約6%))に大きく分類できる。

表2-22 展開していない企業の理由

未展開

図2-14 展開していない企業の理由
未展開グラフ

2.3 障がいとなっている事項及び行政が支援すべき事項

障がいとなっている事項について

「言語の違い」(約23%)、「社内人材の確保」(約23%)、「法規制・制度の違い」(約22%)、「文化・商習慣の違い」(約20%)が20%以上、次いで「現地での生産・品質管理」、「展開戦略の立案」、「販路開拓」、「事業資金の調達」、「社内体制の整備」、「現地情報の収集」などが続いており、幅広く多様な障がい・課題が挙げられている。

表2-23 海外展開を行う上での障がい・課題

課題

図2-15 海外展開を行う上での障がい・課題
課題

行政が支援すべき事項について

「法規制・制度調査支援」(約38%)、「情報収集・相談支援」(約32%)、「資金調達支援」(約30%)を上位3つ。次いで「人材育成支援」、「戦略立案支援」、「現地課題解決支援」、「リスクマネジメント」、「市場動向調査支援」が20%台で続いている。

表2-24 期待する支援サービス
支援サービス

図2-16 期待する支援サービス
支援サービス