更新日:2024年3月1日

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平成26年度「黒岩知事との“対話の広場”地域版 湘南会場」開催結果

平成26年8月21日伊勢原市立中央公民館で開催された黒岩知事との“対話の広場”地域版(湘南会場)開催結果(速報)

湘南会場の様子

集会の概要

黒岩知事との“対話の広場”地域版 (湘南会場)

日時

平成26年8月21日(木曜日)18時30分から20時00分

会場

伊勢原市立中央公民館

テーマ

マグネット地域

地域テーマ

新たな観光の核づくりの実現に向けて

内容

1 知事のあいさつ

2 事例発表

【事例発表者】

内海 正志 氏(大山先導師会旅館組合長/宿坊かげゆ)

菅谷 裕子 氏(小田急電鉄株式会社CSR・広報部(宣伝担当)課長代理)

3 意見交換

【コメンテーター】

斉藤 進 氏(産業能率大学情報マネジメント学部教授

(兼)地域マネジメント研究所長/地域政策プランナー)

4 知事によるまとめ

参加者数

235名

 

知事のあいさつ

知事あいさつ

こんばんは。神奈川県知事の黒岩祐治です。

本日はたいへん暑い中、そしてお忙しい中、会場へお越しいただき、誠にありがとうございます。

今日のテーマは「新たな観光の核づくりの実現に向けて」。この地域をどうやって盛り上げていくかです。

神奈川県では今、第4の観光の核づくりという事業を進めているところです。私自身が、海外へ行ってトップセールスをやっていて、神奈川県は観光でも素晴らしいところがありますよ、と何度も言っています。そのときに、どういうプレゼンテーションをしているかというと「神奈川県には鎌倉、横浜、箱根がある」と言っています。でも、それだけかなという感じがずっとありました。ほかにももっとあるだろう、第4番目もきっとあるだろうと思うのですが、正直申し上げて海外でそのもうひとつを言うにはどうしてもあともう一歩足りないという気持ちがありました。神奈川県全体を見渡すと、可能性・ポテンシャルを持っているところがいっぱいあるのだけれども、どうしてそれが観光の核になりきっていないのかという思いがありました。そして、第4の観光の核づくりということで、皆さん手を挙げてください、と認定事業を始めたところであります。県が「ここが第4の観光の核ですよ」と言うやり方ではなくて、地元がどれだけ本気を出してくるかということで競い合ってもらうことにしました。それで、アドバイザリー委員会を設けました。そこは観光のプロも学生も留学生もいます。その前でプレゼンテーションをして競い合っていただきました。これを2回続け、第4の観光の核の認定事業に選ばれたのが3地域です。城ヶ島・三崎、大磯、そして、この大山です。これで第4の核の一つの所を決めた訳ではありません。第4の観光の核づくりの認定事業に一応選ばれただけです。ここから競い合いが始まりました。競い合いの決め手は何か。地元が本気になってやろうと、盛り上がりがあるかどうかです。その中で、今日はそういうきっかけとなるよう“対話の広場”を開きます。私も地元の皆さんがどれだけ本気か、見せていただきたいと思います。

まず、今日はお二人の方にプレゼンテーションをしていただき、それを基に皆さんと率直な意見交換をしていきたいと思います。それではよろしくお願いいたします。

 

事例発表

司会

はじめに、内海正志さんをご紹介します。

内海さんは、400年の伝統を受け継ぐ宿坊の15代当主でいらっしゃいます。

今なお大山には40数軒の先導師旅館がございますが、そちらの団体である大山先導師会旅館組合の組合長を務めていらっしゃいます。そして、組合の会員の皆さんとこれからの大山講を模索していらっしゃいます。

本日は、この17日までに開催されました“光の回廊”絵とうろう事業について、お話しいただきます。

事例発表(内海氏)

内海 正志 氏(大山先導師会旅館組合長/宿坊かげゆ)

こんばんは。

絵とうろうまつりは、平成大山講プロジェクトの一つとして第4の観光の核づくり認定で大きく取り上げていただきました。

絵とうろうまつりは、10年ほど前に大山駅バス停近くの清水屋みやげ店さんと三ノ宮の米盛運送さんが秋田県湯沢市の七夕絵とうろうまつりをご覧になりまして、この絵とうろうを是非大山でも、というようなお話からスタートしました。

七夕の絵とうろうは300年の歴史があるお祭りですけれども、お二人が初めの一歩を踏み出したのは10年前に4本の美人画の絵とうろうを大山の旧バス通りと新道の交差点のところに毎晩、夏山期間中に展示しました。夜に絵とうろうが出ているということで非常に皆さんの関心を集めました。

それでさっそく大山観光振興会でも、絵とうろう委員会が発足しました。

発足した背景には、夏山参拝の大山講の減少傾向が続いていることがあります。実際にどれくらい減少しているかというと正直なお話この20年間で半減、またはそれ以上かもしれません。そのくらい減少しています。

それから、皆さんあんどんやとうろうはたいへんお馴染みだと思いますが、大山でも馴染みがあり、受け入れやすかったというような背景があります。

第1回の絵とうろうまつりは清水屋さんの駐車場ではじまります。大山観光振興会の絵とうろう委員会で絵とうろうセット、枠と紙と絵の具、ビニールを皆さんに実費配布しまして、絵を描いてもらいました。30基以上の絵とうろうが清水屋さんの駐車場にずらっと並べられて第1回の絵とうろうは大変好評でした。

第3回になりますと、いろいろなイベントが行われたのでマップがないとお客さんがあちこちに行けないということで、夕涼みマップを作りました。開山町の無料休憩所、ひこまるの絵とうろう館も開かれ、そして伊勢原市の商工会も参加してくださいました。このときは100店舗以上の市内のお店で、店頭に絵とうろうが飾られたというお話でした。浴衣のサービスも開始され、ケーブルカーの夜間運行も夜9時までとしてスタートしました。

ひこまる絵とうろう館について少し触れます。宿坊の広間を開放してくださいまして、絵とうろうを広間で飾り、一般のお客様が中に入って絵とうろうを見られるのが、ひこまる絵とうろうです。すべて吉川ひろあきさんが描いた物語性のある絵がとても好評でした。

そんなことで広がりを見せましたが、大山地域をみると参道は上り坂で標高差がとてもあります。絵とうろうの総数は、まだ足りなかったのではないかと思います。

大山阿夫利神社の道、大山ケーブル、バスの終点、ひこまる絵とうろう館、清水屋さんの駐車場。バスの終点から清水屋さんの駐車場まで歩くと約1km。そこから下の光月橋の方まで歩道を絵とうろうを見て歩くと約400m。誘われて夕涼みの大山絵とうろうですが、実際は誘われて大汗びっしょり絵とうろうということです。

第7回は上限はひこまる絵とうろう館、開山町の無料休憩所までと縮小せざるを得ませんでした。開催日も18日、19日と2日間でケーブルカーの夜間運転も取りやめということで開催いたしました。

昨年、第8回は第4の観光の核づくり認定にともなって、小田急さんと神奈中さんの全面的な応援をいただきました。そのような関係で「光の競演~夜景と絵とうろう~」ということで、展示エリアも大山阿夫利神社まで拡大しました。そして開催期間も夏山期間7月27日から8月17日までの金土日と広げました。牛乳パックを切り抜いて、中に光を入れて、大山参道沿いの灯りの道しるべを作り、ケーブルカーの夜間運行も夜9時までと再開しました。

そのようなことが認められて昨年秋、大山ケーブルカーさんと一緒に大山観光振興会がかながわ観光大賞を受賞しました。伊勢原手作り甲冑隊の皆さんも、同時に観光大賞を受賞されております。

第8回はそのようにまた広げたために、反省がでてきました。灯りの飾り方にもっと工夫がほしい、それから夜の営業店が少なくてお客様がもっと楽しみたい、お客さまの移動についての配慮をもっとしてほしいという話もありました。

そして、第9回。展示エリアは変わりません。ただ、今年は大小あんどんを400基作ることができました。これには県の多大な援助をいただいております。大あんどんが150基、小あんどんが250基。従来の絵とうろうの店先にさらに飾りまして、より大山参道の風情を盛り上げることができました。また、夜間営業のお店も少しずつ増えてまいりました。

大山ケーブルの神社駅から神社に行く途中の参道には、牛乳パックとうろうでメルヘンな雰囲気を醸し出して、子どもさんから大人の方までとても好評でした。そして、階段を上がると、大山阿夫利神社の境内。大あんどんが境内を照らしておりました。振り返りますと、足元を照らしていた牛乳パックと小あんどんの向こうに湘南の夜景が目に飛び込んでまいります。

今年は、風とうろうというものを大山阿夫利神社の一角に設置できまして、とても素敵な雰囲気を醸し出しました。

この絵とうろう第9回開催にあたりまして、大小あんどん400基制作にあたりまして、県の多大なご援助をいただき、ありがとうございました。

それから、この絵とうろうに使わせていただいた大山に関係する浮世絵を、大山在住の林美喜夫さんが無償で提供されましたこと、ここで感謝の言葉を添えて、絵とうろうに関する紹介を終わりにしたいと思います。ありがとうございました。

司会

続きまして、菅谷裕子さんをご紹介します。

菅谷さんは、小田急電鉄株式会社CSR・広報部の課長代理として、小田急電鉄沿線の観光プロモーションを担当されており、大山エリアの魅力の発信や、最近では「春の大山とうふ味めぐりキャンペーン」などに取り組んでいらっしゃいます。

本日は、小田急グループにおける大山エリアのプロモーション施策について、お話しいただきます。それでは菅谷さん、よろしくお願いします。

事例発表(菅谷氏)

菅谷 裕子 氏(小田急電鉄株式会社CSR・広報部(宣伝担当)課長代理)

皆さんこんばんは。

小田急グループにおける大山エリアのプロモーション施策について具体的な事例をご紹介したいと思います。

まずは小田急沿線における大山エリアです。小田急沿線における大山エリアは箱根、江の島・鎌倉、新宿に次ぐ、主要な観光エリアとして捉えています。より多くのお客さまにこちらのエリアにお越しいただきたい、そういった気持ちを具現化するために、私たち小田急電鉄や神奈川中央交通、大山観光電鉄でグループ横断的な検討会を組織して様々な取組を実施しています。

その取組を検討する中で、もう一度大山の現状、課題は何かということを抽出してまいりました。

まずは大山ケーブルの月次輸送人員を見ると、紅葉や初詣の時期にお客さまが集中し、来訪時期に偏りがあることがわかります。特に5月から10月の一般に行楽シーズンと言われる時期にお客さまがもう少し来ていただけるのではないかと考えております。

次に、弊社が2012年度に独自に実施したWeb調査の結果です。東京、神奈川在住の2,400名の方を対象としました。大山、高尾山、鎌倉の3つエリアの比較になりますが、それぞれの認知度、そして来訪の経験を聞いています。こちらを見ると、大山の認知度は他の2つのエリアと比較して低いことがわかりました。また、非常に近いエリアである東京在住の方の認知度は27.2%と、こちらも残念な結果となっていますが、現実を知ることが出来ました。また、どんなところか知っていても、訪れたことがないという方が、21%もいらっしゃいました。1回だけの訪問が4割にものぼり、2回以上、それ以上の方が少なくリピーターになかなか繋がっていないのではないかということもこちらの調査でわかりました。

続きまして、同じ調査の中で、それぞれのエリアにどういったイメージを持っているかを聞いています。傾向は、高尾山と似ていますが、全体にイメージが弱い。特に楽しい、にぎやかな、というスコアが非常に低いというところが注目すべき点ではないかと考えています。まず、大山がどういうところか、お客さまがわからず、来訪に結びついていないのではないか、検討会の中ではそのように考えました。大山の認知を上げるためには、お客さまに来ていただくためには、一体何をすればいいのか。検討会の中でもう一度議論をするにあたって、改めて大山エリアを見つめ直してみました。

大山にはたくさんの魅力があります。このような様々な魅力を知っていただければ、多くのお客さまに来訪いただけるのではないかと考えました。

では、どのようにお客さまに興味を持っていただこうか。計画や戦略もなく、なんでもやればいいというものではないと私たちは考えています。大山エリアには、他のエリアには負けない、他のエリアが望んでも得ることができない魅力があります。その一つが脈々と受け継がれている歴史。そして、豊かな自然。希少で独自性のある文化。この魅力を丁寧に発信することで、大山エリアの認知向上を図り、大山には歴史、自然、文化があるという明確なイメージをお客さまにもっていただき、来訪していただく動機づけになるようなプロモーション、キャンペーンを展開すべきと考えます。

それでは具体的な事例のご紹介に移ります。

まず、すでに魅力として知られる紅葉の時期に2010年度からキャンペーンを展開しました。世間一般に紅葉が注目される時期に情報発信を多くすることで、更に認知拡大に努めました。また、丹沢・大山フリーパスという周遊券がありますが、この時期、2013年度の実績で対前年比27.8%増と大きく数字を伸ばすことができました。また2013年度からは、比較的来訪が少ない春、ゴールデンウィークに、新緑という新たな魅力をアピールしました。こちらも先ほどの丹沢・大山フリーパスが対前年比122%増と大きな伸びを示すことができ、たくさんのお客さまにいらしていただけたのではないかと考えております。

また、秋については、テレビや雑誌、Webに大きく取り上げてもらいました。「スーパーニュース」や「とくダネ!」といった、非常に影響力のある番組に取りあげていただき、これが丹沢・大山フリーパスの増加にもつながったのではないかと思っております。特に、世の中が紅葉で盛り上がっている時期に情報発信を多くしたことで、このように多くの影響力のあるメディアに取り上げてもらえたのではないかと思っております。

続きまして、先ほど内海さんからご紹介のありました、「涼・大山の夏光の競演~夜景と絵とうろう~」です。こちらは、紅葉・新緑以外の新たな魅力の発信に大きく寄与しているものです。

涼しさ、夜景というハイキング以外の紹介をしてまいりました。昨年、かながわ観光大賞を受賞されたこちらをより盛り上げるために、小田急グループでは2014年度は、風とうろうを設置して、より話題性の喚起に努めました。こちらは、新聞の紙面の3分の2を飾り、またテレビでも取り上げられ、認知度拡大と大山の新しい魅力の紹介につながったと思います。

続きまして、自然以外の魅力をクローズアップした施策です。

大山とうふという歴史・文化のある食を紹介し、これまでの自然とは異なる側面で大山の魅力を訴求いたしました。年間でも特に来訪者の少ない時期に実施し、来訪者数全体の底上げをはかりました。こちらは特に地元の皆さまにも協力をいただき、お客さまが参加しやすい仕組み、1000円で3食食べられるというチケット制にしました。気軽に大山とうふという文化に触れていただき、もっと食べたい、もう一度来てみたいという気持ちの醸成につなげようとしました。キャンペーン時にはお客さまにアンケートを実施し、400通程度返送いただきました。その中で今回初めて大山に来た方が36.2%いました。これまで来訪していなかった新たな層の掘り起こしにつながったと考えております。テレビ、雑誌にも取り上げていただき、多くの反響をいただくことができました。

最後に大山エリアをさらに活性化させ、多くのお客さまに来訪していただくために、私どもの考える重要なことをお話します。

まずは、年間を通じて、来訪していただけるような、プロモーションの展開が必要です。大山エリアの魅力、歴史、自然、文化などを丁寧に発信していくこと。一過性のイベントにならないよう、ストーリーを持ったプロモーションの展開していくことが重要だと思っております。

また、小田急グループだけでなく、行政や観光事業者の皆さまとの連携をさらに強化していきたいと思っています。先ほどのとうふ味めぐりキャンペーンのように、地元の皆さまと協力したキャンペーンを実施し一緒に大山エリアを盛り上げたいと考えております。

このようなことを継続して実施していくことが非常に重要だと思っておりますので、どうぞ引き続き、よろしくお願いいたします。

意見交換

司会

これより意見交換に移りたいと思います。

意見交換には、先ほど事例発表をしていただきましたお二人と、コメンテーターとしてお越しいただいている、産業能率大学情報マネジメント学部教授兼 地域マネジメント研究所長で、地域政策プランナーの斉藤進先生にご参加いただきます。

ここで、斉藤進先生をご紹介します。

斉藤先生は、地域政策論やまちづくり参加論がご専門で、相州大山まちづくり協議会のメンバーとして、地元と共にまちづくりガイドラインを作成するなど、大山について深い知識と実績をお持ちです。

また、大山地域の新たな観光の核づくりの推進組織である平成大山講プロジェクト推進協議会の会長としてプロジェクトの取りまとめにご尽力いただいております。

本日はよろしくお願いいたします。

参加者発言1(小田原市・男性・大学生)

先ほど小田急の方の話で、高尾山と大山の比較がありました。高尾山は高尾山口という駅から数分でつきますが、大山は駅から少しバスで移動する距離があります。

ただ、それは、短所ではなくて、それをもって観光に繋げることができるといいと思いますが、それに関してどうでしょうか。

 菅谷 裕子 氏(小田急電鉄株式会社CSR・広報部(宣伝担当)課長代理)

今のご質問は伊勢原から大山までバスに乗ることをメリットと考えるのはどうか、ということだと思います。おっしゃるとおりで、私どもは交通事業社ですので、お客さまをお連れするのがメインになるかと思います。

その時に、電車にお乗りいただいてから駅に着いてバスに乗って、バスから大山に着くまでをストーリーを持った形で、全てを観光にする。大山に行ってから観光が始まるのではなくて、ずっと大山に行くためのストーリーだと思っていただけるような発信・経験をしていただくには、私たちだけでは難しい部分があるので皆さんと一緒になって実現できればと思います。

 知事

これは非常に重要な視点だと思います。確かに大山は交通の便は良くない。でも、その質問の角度がすごいと私は思いました。遠いからダメでしょう、ではなく、遠いことを魅力にする発想が大事ではないですかという、こういう視点はとても大事だと思います。

ポテンシャルが数々ある中で、県内をずっと見ていて、交通の便が悪いからダメではなく、県は道路をつくれという意見が多いのですが、これを逆手に取って魅力を高めて行こうという発想が若い方からでること自体がワクワクしますね。

 参加者発言2(伊勢原市・男性)

今、小田急の方がリピーターが少ない、イメージが弱いとおっしゃっていましたが、大山はもともと江戸時代から、大山講で発展してきました。だからそのイメージが強いのです。

でも今は大山講が半減しました。結局、大山は大山講でもっていたということです。今度は一般のお客さんを何とか入れないといけない。そういう観点から考えていかなければいけない。

先ほどのとうろうのイベントはとてもよいと思いますが、イベントだけではそれだけで終わってしまう。普段からお客様が来るにはどうしたらいいかを考えなくてはいけないと思います。

歴史や自然・文化はあっても趣味があれば喜ぶが、一般の人はそうではないと思うんです。大山に普段から行きたいと思うような魅力をつくらないといけない。

あと、リピーターが少ないといいますが、大山は狭くて駐車場もなく、車が並んで2時間も3時間も待つことになり、もう来たくないと言う方が多いです。

もう一つ、一般のお客様を呼ぶには、観光地なので観光会社が大山の観光を企画するには、観光バスが止まらないといけない。そのあたりのインフラも大事です。

大山は大山川が昔はきれいで、そこで休んで弁当を食べていましたが、今はそれができません。

今は浄化槽から家庭の雑排水が流れるのです。それらを基本的に考えなおさないといけないと思います。

 知事

駅からちょっと遠いとか、バスに乗らなくては行けないという問題もありますが、駐車場の問題もでてきましたね。

私も「大山にはどうやっていけばいいのか」とよく聞かれますが、答えに詰まってしまいます。大体聞く人は車で行こうと思っている人が多い。車だとどこで停めればいいのか。駐車場、確かに弱いですね。

市長が今日いらしているので聞いてみましょう。駐車場の問題について、もうちょっと車をいっぱい停めることはできないでしょうか。

 髙山伊勢原市長

申し訳ないです。いろいろな方からそういうお話をいただくのですけれども。

知事は今、健康、未病などの施策を出しているので、是非、公共交通機関を使っていただいて、歩いていただく。そして健康になって大山に何回もリピーターとして来ていただきたい。

また、新東名のインターチェンジもできます。これを契機にまた駐車場も考えていきたいと思っておりますので、よろしくお願いします。

 知事

新東名が出来ます。そこまで車で来て、そこには駐車場は作れるのですかね。そこでパークアンドライド、そこに車を置いておいてここに来るという。そういうことをこれから考えるということですが、他に駐車場の問題に関して何かご意見ある方いらっしゃいますか。

 参加者発言3(伊勢原市・男性)

観光ボランティアをやっています。

3拍子、インフラが揃ってよくないです。市長さんも答えておられましたが、トイレ、駐車場がない、道が狭い。せっかく紅葉を見に来ても、戻ってしまう人がいる。また、トイレに入ったら詰まっていたり、大勢の方がいっぺんに来られるとすごい並んでしまうんですね。特に女性は気の毒です。

一度秋に来て、春先、正月に来て、5月、夏山に来たいとシーズン通して来たいという方を引き込んでリピーターにして、お子さんも年寄りも登れる大山にしていくには時間もかかりますが、そういうところを、是非力を合わせて街づくりにしていきたいと思います。

食べる、見る所はいっぱいあります。それを最優先にしてもらえれば、インターもできますし、先は明るいと思います。

県のお力も、こういったところに提供してもらい、一緒に作り上げていきたい。

 知事

駐車場、トイレ、道が狭い、という3つの悪い条件が揃っていると。県が金を出して整備すれば問題は解決する、ということですかね。

第4の観光の核づくりで地元の本気度だと言ったのは、実は今の話に近いものがあります。

知事になって、県内を見て回った時、いろんなところで陳情を受けました。これをやってくれあれをやってくれという陳情合戦です。そんな中でその要望を聞くには、お金がかかります。そして実現すれば、素晴らしい観光地になり人が来るようになるのか、ということです。

敢えてよその話を具体的にします。

昔行って、いいところだったという記憶がある場所へ30何年ぶりに行きました。行ったときに30年前の賑わいはどこへという程、寂れ切っていて衝撃を受けました。

しかし素晴らしい景観があるんです。こんなに素晴らしい景色があるのに、なぜここに人が来なくなっているのかと思っているときに、陳情されました。橋に通行料がかかると。それを県が取っている。こんなところで通行料を取るなと言われたんです。通行料をとるから客が来ないんだと。

これを無料にすることはできるだろうけど、そうすればお客さんがどんどん来ますか。僕が見た寂れた風景。あれを見たら次は絶対に来ないです。悪循環なのです。人が来ないと寂れる。寂れた所は、もっと悪くなる。

僕はマスコミ出身でした。マスコミで一番怖いのは口コミ。口コミが一番怖いと思う。行った人があんなところ行くべきじゃない、最低だよって言われたら、テレビでどんなに紹介するよりも恐ろしいです。しかもいまはFacebookやインターネットでどんどん発信されますから。これが怖いです。

なぜこんな良い景観をみんな生かしていないのか。そう思ったのでいろいろと話を聞いてみると、中でガタガタしている。こんな風にしていきたいというグループもあれば、そうじゃないというグループもいて、反対しあっている。地元は一枚岩ではないということです。

観光客はもっと来なくなり、もっと寂れていくでしょう。そう思ったので、地元が一枚岩になるために第4の観光の核を目指して来てくださいという話をしました。

今いい流れがきているなというのは、民間が可能性を感じて入ってきていること。これが大きいです。本当にここが魅力的なところになるぞと思わなければ民間は来ないです。民間が来ているということは可能性を感じているということです。

だからそれを良い循環にしてまわしていくと、いろんなものが変わっていく。

私はそのとき一番の原点は、地元のみんなが大山をこうやっていこうと盛り上がること。これが大事だと思います。そうしたらその流れのなかで、トイレもなにもかも変わってくると私は思っています。

 参加者発言4(横浜市・男性・高校生)

横浜市に住んでいる高校生です。

僕ら高校生の視点からすると、伊勢原に足りないのは、もうすこしパンチ力のあるイベントだと思います。横浜、江の島、平塚というのは、横浜と言えば、花火、江の島なら海、平塚は七夕祭り、茅ヶ崎は花火。僕達高校生が長期休みになるのは、夏と冬で、そのときに若者が伊勢原など第4の観光名所になるような所にくれば、若者はツイッターとかFacebookで、みんなで伊勢原「いいね!」とシェアしていけば、若者が長期の休みに出向こうと思うはず。

でも、今の状態では、僕たち高校生が長期の休みに伊勢原に遊びにいくには疑問が出てしまう。

もうちょっと伊勢原にも活力というか、花火とかお祭りとかいうものがあったら、若者が来て、大人だけで盛り上がらず、地域の若者も一緒に盛りあがっていく。

伊勢原を全国に広めていくことが人を呼び寄せるための秘けつになると思います。

 知事

なかなかおもしろい視点ですね。大山というのはさきほどありましたが、すごく歴史があります。大山講といって江戸時代の江戸の町民がみんな行きたい、そういう流れがあった。そういったものを再現していこうというのが一つの観光をもりあげようというのが大きな流れ。そのターゲットがそういう人かというと、年配の方かなという感じは確かにします。

若い人がどんどん大山に来るかどうか。若い人が来るような魅力あるところにはなかなか出来ないところなのかどうか。ターゲットは、ある程度上の方を狙うべきか。

そのあたり、ご意見はありますか。ターゲットをどうするか。これは大事なことです。

 参加者発言5(藤沢市・男性)

藤沢江の島から来ました。

今のお話に関連するかどうかというところもありますが観光や地域交流に関して、娘が修学旅行で瀬戸内海の何も無い島で民泊制度といって地域の方に受け入れていただき、漁業や農業を体験しました。一般的な観光旅行でなくて良かったとの感想で、卒業してからもそこと交流が何年も続いていて、私たちも来年行ってみようということになりました。

既にやられているのであれば恐縮ですが、伊勢原は水田地帯や大山の歴史、こまなどもあります。例えば、どこかの学校が修学旅行の民泊制度で、少人数で大山講の宿に泊まってみるとか、地域の学生さんと交流することによって普通の標準的な観光で味わえないようなものを体験するとか、地域交流の場として地元の努力によってご提供していただけると思います。

その取組が進められていないなら、そういった視点から地域の良さを知ってもらうことで、学生の良い体験が地域の方にもさらに広めることもできるのではないかと思います。

 知事

非常におもしろいですね。大山のもっている個性ですね。

普通のホテルとか旅館に泊まり観光地を見るのが普通ですが、ここは特別ですよね。宿坊があり、そこに泊まる。そこを経営されている内海さんは先導師さんです。こういうところは他にはないですね。

ここはどうなのでしょうか。民泊をするとき宿坊に泊まる、若い人が泊まって魅力を感じる場所になり得ますか。

 内海 正志 氏(大山先導師会旅館組合長/宿坊かげゆ)

なり得るかというと、私もわからないです。

というのは、大山にどっぷりつかって長いので、今の話はとても魅力があります。若い方が何もない島に泊まって良かったよという感覚は、私にはわからなかった。

今、第4の観光の核づくりでいろいろと体験宿泊といった話をいただいていますが、一体、大山の宿坊に泊まって何を体験してもらったら喜んでもらえるかがわかりません。逆に外の人や若い人から意見をいただくと、やってみようかなという気持ちになります。

知事

わからないときは、コメンテーターの出番です。どうでしょう、若い人は来ますかね。

コメンテーター斉藤先生

 斉藤 進 氏(産業能率大学情報マネジメント学部教授(兼)地域マネジメント研究所長/地域政策プランナー)

本当にもったいない話だと思います。先ほどから発言者の方は素晴らしい視点を我々に投げかけていると思います。

内海さんは大山に住み、私も大山地域で働いていますが、我々は地域のことについて、当たり前だと思っていることが多い。当たり前だから、そこにそれほど魅力があるのかと思ってしまう。

さらに若い人が来た場合、満足してくれるかと疑ってしまう。

これらは、当たり前と思っていることや魅力はそれほどないとする先入観ではないか。あるいは歴史に関心はないんじゃないかと決めつけてしまうことの問題だと反省しています。

外から見ると、先ほどの横浜の高校生なども大山に来て宿坊に泊まれば再発見があるだろうし、歴史的なものがそこにあるだけではなく、歴史を通して、日本人の生活文化の豊かさも知ることにつながる。そういう意味では可能性がたくさんある。

ないと決めつけず、あるものをどんどん磨き、発信することで、そこに新しい可能性がうまれてくることを確信しました。是非これらを強く押し出していただきたいですね。

知事

ありがとうございます。

これはよくある話で、自分の住むところの魅力は住んでいる人が一番わかっていないということはよくあります。当たり前の景色だから。外から見るとすごいじゃないかと。これはよくある。それを踏まえてどうですか。

若い人もたくさん来ています。どうですか。若い人で、こうしたら大山は盛り上がるぞ、僕らも行きたくなるぞというご意見はありますか。

 参加者発言6(伊勢原市・女性)

伊勢原の主婦です。

私は観光に携わっているものではないのですが、伊勢原に引っ越して大山に何度か遊びに行きました。何も知識がなく、山登りに行くという感覚です。

大山に行くと宿坊がたくさんありますが、失言かもしれませんが人を寄せ付けないというか、オカルトっぽい感じで、ちょっと怖い所という印象が強いです。それでいつも山登りだけして帰っていました。

でもある時、本で大山の歴史や大山街道について知ることがあり、それがすごく興味深くて面白くてなんてすごいところに行ったのに、何度も何も知らずに帰ってきていたことに気づきました。

興味のある人が集まる場所ではないかとのお話があったのですが、私はあまり歴史に興味は無いのですが。大山でとうふ料理を食べるようになったきっかけとか、大山講のきっかけとか、とうふ坂がなぜ波打っているかという歴史を本で読むとすごく興味深い。でも、私にとっては説明が難しくてもう少しラフな感じで説明してくれれば面白いのに、そういった本を読むのは興味を持つ人しか読まないので、だから興味がある人だけが集まるのかと思います。

なので、歴史に詳しくない人でもわかりやすく大山の魅力を発見していけば高校生も喜ぶのではないかと思いました。

 知事

よい視点ですよね。よく知ってみるとおもしろいのに、知識があればそういうことなのかとわかるのに、何もわからないと怖いだけですんでしまう。その時に今の話の中で言うと、まだまだ本当の魅力をわかりやすく伝えるメッセージ性が弱いのかもしれないと感じました。

 参加者発言7(平塚市・男性)

最近、大山を考えるとひとつの大きな魅力はないので、たくさん集めてアイテムをたくさん出すしかないかなと。

その中で私が興味を持っていることは、大山はどうしてできたのか。南の方の島から引き寄せられて、日本列島にぶつかって盛り上がってできたのです。そのあと伊豆半島がぶつかってできた。大山は1年に少しずつ動いている。地盤が動いているのです。そういう神秘的な山なのです。地層もいろいろな地層があります。いろんな時期によって盛り上がっているのです。そういう面白みのある山なのです。

ここは600年くらいに神社ができています。聖徳太子はまだ生まれていません。仏教もそんなに無いときに、神社は奉って守るものです。関東には筑波山もありますが、神秘的な感じがあります。

僕が考えたのは、ある領域だけあまりたくさんは入れないようにするとよいと思います。例えば上高地なんかもたくさん入れませんよね。みんな入れない、そういうところをあえて作るのもいい。大山の違った意味の魅力探しをするとまたおもしろいなと思います。

 知事

神秘性を高めて、人を寄せ付けないのを売り物にするというのはおもしろい発想です。

目黒宮司、神秘性ってどうでしょう。

 目黒 仁 氏(大山阿夫利神社宮司)

ちょっと関連する神秘性を持ってということで。わたしは大山阿夫利神社の宮司をしています目黒と申します。

今600年頃というお話がありましたが、西暦でいいますと紀元前、天皇の時代でいいますと第10代、崇神天皇の御代、今から2,100年前に創建されたといわれているお社です。

この山はまさに信仰の山として知れ渡り、それがもとになり、講中が発達しました。

今、神秘性をもっと持ってはどうだというお話でしたが、確かに江戸期には7月27日から8月17日の20日間のみ山に入れたという時期がありました。それ以外は一切の登山ができませんでした。夏山という山開きの期間中のみ、山頂本社に参ることができた時期があります。ですから、ご指摘の通り神秘性を持って登るというのも当然ですが、この自然環境を徹底的に守り、後生に伝えることも考えなくてはなりません。ただ見るだけではなく、一部は入れる期間・場所も作る。

そして眺望など自然環境を生かしたこれからのまちづくり、観光資源を考えていきたいと思います。皆さんのご意見の中で、神秘的な面はこれから考えます。

今、パワースポットとよく言います。大山もパワースポットとしていろいろと本などに紹介をされています。私自身は、パワースポットというのは、自分自身が感じるものと思います。人によって違うのです。石1つでも感じるものが何かある。大木をみて感じたり、風にあたるだけでそこに何か感じたりすることがあるんです。人間には生命があり、気と同調するところが、霊山にはありますので、それを感じられる場所を大事にしていきたいというふうに考えております。

 知事

ありがとうございます。

そういう話をしていると、大山は普通のところじゃないと分かりますね。あまり普通にしない方がいいかもしれません。独特な道を歩むのが、大山の個性を際立たせられる道かもしれません。年に20日間しか登れなくても江戸町民が20万人も来ていたというのだから、どれだけすごかったのかということです。かつてその賑わいがあったのだから、きっとそれは甦るにちがいないです。

 参加者発言8(伊勢原市・男性)

東京オリンピックが近づきました。神奈川には横浜という近代的都市もあれば、箱根という温泉地もあります。そして伝統と歴史のある大山という地域もあるので、外国人の方から見ても価値のある地域だと思います。

先ほどの知事の話のなかで、外国に向けてもトップセールスをされているとのことでした。外国の方からは、大山はどういうニーズがあるのか聞きたいです。現実に私も体感しているのですが、外国人登山者が増えています。昔と違い、声をかけられることも実体験として増えています。

地域で外国人をお招きするという点で、どういうニーズがあるか知りたいです。

 知事

とてもよい質問です。宿坊にも外国の方はいらっしゃいますか。どんなリアクションといいますか、どういうことに興味を持たれていますか。

内海 正志 氏(大山先導師会旅館組合長/宿坊かげゆ)

たまにお見えになります。日本語ができる方が多いです。というのは大山では英語で対応できる宿はそうありません。ですから日本語ガイドの方がついてこられておみえになります。

大山のお宿は、大山講の団体向けのお部屋が多いです。部屋は襖で分かれていて、鍵はないし、お風呂はパブリック、部屋には風呂なし。トイレは洋式化も進んでいますが和式が多いです。

外国の方を受け入れているところもあります。私のところにもおみえになりますが、よくテレビで風呂へ入るのにバスタオルを巻いて入るのを見ますよね、あの通りバスタオルを巻いてお風呂に入られます。あとで宿の人が見に行くと脱衣所がびしょびしょだった。何をやっているのかと思って聞いたら、巻いたまま出てきてしまった。文化が違うので、そういう対応も迎え入れるにあたり、考えなきゃいけないということで悩んでおります。

大山にどのぐらい外国の方がきて泊まってくれるのか、どのくらいの施設が必要かということと、対応マニュアルもこれから是非整備したいです。

 知事

どこにもないお話なので、外国人の方も関心をもたれると思います。このあたりどうでしょう。

 参加者発言9(伊勢原市・女性)

いろいろなお話をうかがいました。大山講は江戸時代。江戸時代にはハイキングなど、外には出られませんでしたが神社のお参りは出来たそうです。

2泊3日で大山にお参りすると、たいがいは宿坊でギャンブルをやっていたようで賭博、花札、さいころなど、そういうのが大好きだったようです。

インフラの整備をするにもなにについてもですが、伊勢原市は財政難でインフラ整備をしようにもお金がなければ、無い袖は振れません。私が思うには、横浜市ではカジノ解禁の話がありますね。いろいろな市町でもそういう話があるようです。カジノをやってもらって稼ごうということです。

例えば、場所は市街地ではないところで、中国などにツアーを組んでもらい、カジノにいって、大山にも泊まってもらう。

 知事

すごいですね。大山でカジノをやろうという。信仰の山だと思っていたら、カジノがくるか。いろんなアイデアがでて面白いですね。自由ですから、どんどんご意見をください。

 参加者発言10(横浜市・男性)

神奈川県庁ではさがみロボット産業特区を推進しようとしています。県のたよりを見て、おもしろそうだなと思いました。

知事をはじめ市町村や企業の方々が一堂に会し、ロボット祭などをやってもらう。

2020年に向けて東京ではオリンピックの準備などやっていますが、知事はさがみロボット産業特区についてどうお考えですか。

 知事

ロボット産業特区は別の地域の話なんですけれども、信仰の山ではあるがガイドがロボットだったとか。ミスマッチで面白いかもしれませんね。

 参加者発言11(伊勢原市・女性)

伊勢原手作り甲冑隊の事務局です。

大山には食文化、おとうふがありますね。大山にお金を落としていただくなら、ワンコイン500円で食べられる。例えば、豆腐半丁、おにぎり1個、大山名産のきゃらぶきをつけて500円で。そうすれば皆さんお弁当を持って行かなくても、お豆腐をたくさん食べてくれます。3月には大山のとうふ祭があります。これには、地元の方よりも他県の方が多いです。

また大山は縁起ごまでも有名です。私が岐阜の養老の滝に行ったとき、電車のキップは枡でした。だから大山もキップをこまにしたらどうか。

箱根の大文字ではないですが、そういうのも長い間にはやってはどうでしょうか。アイデアとしてどうかと思います。

知事

おもしろいですね。

菅谷さんどうですか、こまをキップにしたらどうだというアイデアについて。

 意見交換1意見交換2

菅谷 裕子 氏(小田急電鉄株式会社CSR・広報部(宣伝担当)課長代理)

ご意見いただきまして、ありがとうございます。

まず、最初に食文化のお話ですが、先ほどの伊勢原市の主婦の方のお話、大変興味深く聞いていました。私は、このエリアを担当して3年目になりますが最初、宿坊さんやお店には正直、入りにくいと思ったこともあります。行ってみたいが、敷居が高いと思っている人も実は多いと思いまして、この間の3月に行ったキャンペーンで、先ほどお話のあったワンコイン。それをヒントに1,000円で3食召し上がっていただけるようにしました。

おいしいから次も来ようと思ってもらえるように、今のご意見と同じ様に考えて、こういったキャンペーン展開をしました。先ほどお話をしましたが、そのなかで36%の方が初めて大山に来たという方がいらっしゃいましたので、いままで行きづらいなと思っていた方も来ていただけたのではないかなと思っております。

こまについてですが、キップのところになるとちょっと難しい話になります。ですが、とうふ味めぐりのキャンペーンのアンケートの景品にこまを差し上げました。小さいものでしたが、それが非常に好評でした。こういったキャンペーンでは3割もアンケートが戻ってくることはないんですけれども、半分が戻ってきたので、こまの持つ魅力を改めて感じました。

 知事

その発想がすごく大事だと思います。

可愛いこまをもらって、女性がハンドバッグや携帯電話につけている。「それ何?いいね。かわいいね」と、それをもらいたいために行くような。

横浜にカップヌードルミュージアムがありますね。これも観光大賞をとりました。カップヌードルをそこで作ると、独特なパッケージをもらいます。

それを持って歩くとすごく目立つんですよね。カップヌードルミュージアムで作るともらえるとなれば、皆が行く。お客さんが宣伝マンになってどんどん歩いてくれる。こまのうまく生かす方法があるかもしれませんね。

 参加者発言12(伊勢原市・男性・高校生)

伊勢原市在住の高校生です。

こまというと、「クルリン」を思い出します。ゆるキャラの活動も観光に大事なのではと思います。これは国内に関する政策ですが、海外に住んでいる人たちへのPRも大事だと思います。

伊勢原市はアメリカのラミラダ市と姉妹都市です。そこから、大山に来てホームステイをしてもらう。そこで体験する機会があればいいと思います。

また、海外向けの政策として大山を世界遺産にする努力をしてみることも必要だと思います。世界遺産にするには時間がかかりますが、まずは努力をすることが大切だと思います。富士山は世界遺産になりましたが、その理由としては富士山が神聖な場所だったから。今までの話だと、大山も神聖な場所なので、同じ理由で登録できるのではと思います。

富士山に関することですが、成田空港から富士山の近くの駅まで、成田エクスプレスが直通で通ったニュースがありました。成田空港と羽田空港から、伊勢原まで直通の特急列車ができればと思います。

それができなくても新宿発伊勢原、秦野だけに止まるロマンスカーを出して、格安にするのも大事と思います。

 知事

大山を世界遺産にということ。神秘性や歴史でいうなら、ないわけじゃない気もしてきました。目黒さん、どうでしょう。その話はなかったですか。

 目黒 仁 氏(大山阿夫利神社宮司)

今、お話があったように、私たちもなることよりもなるまでの過程を大事にしながら地域が努力できるような環境を作っていけたら、まちづくりとして皆さんの協力がより力強くなると思います。その方向で、まずは頑張っていきたい。

 知事

だんだん夢じゃないような気がしてきました。

 参加者発言13(厚木市・女性・高校生)

伊志田高校からきました。

さきほど小田急の活動が多くのメディアにとりあげられたことが分かりました。でも、隣の厚木市に住んでいる私でも大山で行われているイベント情報があまり入ってきません。

改善策として、情報発信がうまくいけば近隣からの観光客も増えると思います。

そこで、伊志田高校などの近くの高校で意見をだして高校生に来てもらおうとか、高校生がアイデアを出して大人に何かやってもらうのではなく、高校生自身が情報発信の核になれると思っています。どうでしょうか。

 知事

これはいいですね。高校生が企画をする。自分達で大山の魅力を再発見する。こんなふうに楽しみ方があるよと。

斉藤先生、可能性ありますよね。どうですか。

意見交換3

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斉藤 進 氏(産業能率大学情報マネジメント学部教授(兼)地域マネジメント研究所長/地域政策プランナー)

可能性がありすぎるくらいですね。

さきほどから若い人がこれだけ本気になって大山のことを意見としてではなく、地域づくりのアイデア・提案に繋げて発言してくれています。これだけ若い人が関心を持って、なおかつそのアイデアが新鮮で具体性があるということ。これは大山の今後の展開、つまり魅力を高めていくことにつながっています。若い人に言っていただけるのは、すごい力になると改めて思います。

 参加者発言14(伊勢原市・男性・高校生)

伊勢原には、太田道灌公のお祭りの道灌まつりがあります。それは10月の第1の土日だったと思います。太田道灌公にはあまり詳しくないんですけど、特別な日ではないのなら、新しくできた「山の日」の祝日と道灌まつりをあててみるのはどうでしょう。

 知事

観光協会会長が、「いいね」といっていますね。いろんなアイデアが出ています。時間がなくなってきました。

 参加者発言15(伊勢原市・男性)

伊勢原市職員です。一伊勢原市民としての意見です。

いろいろ話を聞いていてびっくりしたのは、皆さん大山のいいところを知っている。

私もずっと伊勢原に住んでいて、大山は当たり前にそこにあるもので、特別な理由がないと行くこともないと思っていました。でも皆さんがいいところを知っていてすごいと思います。

その反面、情報発信不足があります。ツイッター、Facebook、個人ブログなどで、伊勢原を検索しますが、びっくりするほど話題がないんですね。それはなぜかというと、インターネットを使うのは40から30代以下の人が多いと思います。大山の魅力をよく知る人はそれよりも上の年代の人だからだと思います。下の年代の人が、そういう話を聞いて、継続的に発信していくことができたらよいと思います。

 知事

大山の話をしながら、ターゲットをどこへもっていくか、戦略を考える必要があるという気がしました。

いままでは中高齢者向けで、若い人にはメッセージが届いていないかもしれない。でも、絵とうろうまつりというと、若い人が来てもきれいだなと、来てくれるきっかけになると思います。

では、若い人が魅力を感じる形にちゃんとなっているかどうかは、一つの課題かもしれないという気がします。

 参加者発言16(伊勢原市・男性)

伊勢原にはクレー射撃場があります。それは、他にはなかなかない施設です。来年は和歌山国体でも伊勢原射撃場を使用するようです。クレー射撃は若い世代にとって、やってみたい人も多いと思います。

小田急の方にはそのあたりを含んで売り込んでもらえると、若い世代が来ることになると思います。

 知事

大山の魅力がいろいろある中で、斉藤先生、どうでしょう。

皆さんから率直なアイデアもいろいろありましたが。

 斉藤 進 氏(産業能率大学情報マネジメント学部教授(兼)地域マネジメント研究所長/地域政策プランナー)

今日ここに出席して本当によかったと思います。普段、大山のまちづくりをどうするのか、どう活性化するのかという意見をたくさんもらいます。でも、意見を出すのは大体大人の方です。しかし今日は半分以上が若い人でした。

最初に若い人が発言し、次々に若い人が発言してくれた。歴史を集積した大山ですが、新たな若者のエネルギーが、大山のまちづくりに投影されつつあると感じました。そういう意味では、大山の歴史に加えて、ここに新たな活力が生まれつつあり繋がりつつあると確信しました。

最初に知事が言っていましたが、第4の観光の核づくりは、地元の本気度、やる気度だと。そのことから考えると、もう大山に決まったと思います。つまり地元の本気度、やる気度、それから、若い人に支えられた大山の観光地づくりの可能性がたくさんあることがわかりました。

私は歴史を軸においていきたいと思っています。その場合、歴史をどうやってもう一度地域の中で活かしていくべきか。

「あるものまとめのないものねだり」という言葉があります。多くの人はないものをねだろうとする。でも大山には魅力がたくさんある。それをまとめていくことを改めて気づかされました。その時に、今日のように若い人の意見を活用していく。そこでは、あるものが更に繋がりまとまるように思いました。

そういう意味では、本気度が改めてここで確認できました。

ぜひ、今日参加された皆さんのご意見を踏まえ、大山のまちづくりを一緒になって、更に本気度を高めて実行していきたいと思います。

今日はそういう印象を強く持つことができ、参加させていただきとてもうれしく思いました。

 知事

ありがとうございました。最後に市長どうぞ。

 髙山伊勢原市長

いろいろなご意見を拝聴しました。

国際観光地伊勢原を目指しています。若い人の話などいろんなご意見をいただいてよかったなと思います。

実は先日、ある方に世界遺産の登録をめざさないか、というお話をいただきました。まさかと思いましたが、今日は半分やってみようかと思いました。

ありがとうございました。

 知事

ありがとうございました。

今日はいろいろな皆さんからアイデアが出ました。若い人もいろいろ意見を持っていらっしゃる。これが大事だと思います。人の力で盛り上げることが何よりも大事です。これは具体のアクションをおこさないとすぐに終わってしまいます。気運を大事にし、本当の第4の観光の核をつくる。第4の観光の核は大山、すごいですよ、ここを見なければ日本はわかりませんよ、と世界に言えるくらいな所に皆さんと共にしていきたいと思います。よろしくお願いいたします。

ありがとうございました。

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