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更新日:2023年12月11日
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令和元年版かながわ環境白書概要版「わたしたちの環境」のテキスト版です。
日本の経済や産業が急速に発展し、たくさんのビルや工場が建てられました。「高度経済成長の時代」と言われるこの時期は、環境を守ることよりも、より安く・より大量にモノを作ることが重視されたため、深刻な公害問題が発生しました。神奈川県でも、京浜工業地帯を中心に大気汚染や水質汚濁などの公害が大きな問題になりました。
そこで、こうした公害から健康や環境を守るため、条例や法律の制定、企業の取組など、国や自治体によって様々な対策がとられました。
県の対策
神奈川県事業場公害防止条例(昭和26年)
神奈川県公害の防止に関する条例(昭和39年)
良好な環境の確保に関する基本条例(昭和46年)など
国の対策
公害対策基本法(昭和42年)
大気汚染防止法(昭和43年)
水質汚濁防止法(昭和45年)
産業公害が法律や企業の努力により改善された一方で、人口や社会経済活動の都市への集中により、生活排水による河川や海の汚濁、大量に排出されるごみの処理、自動車交通量の増大に伴う大気汚染・騒音・振動など、都市生活に関係した公害が顕著になりました。
モノやエネルギーを大量生産・大量消費・大量廃棄する社会経済活動やライフスタイルが定着し、私たちがより便利で快適な生活を求めることにより、地球温暖化やオゾン層(注)の破壊など地域や国を超えた地球規模の環境問題が生じ、注目されるようになりました。
(注)オゾン層
太陽光に含まれる有害な紫外線の大部分を吸収して、地球上の生物を守っています。しかしながら、このオゾン層がフロン等の化学物質によって破壊され、著しく減少しています。
平成30年8月に鎌倉市由比ガ浜の海岸にクジラの赤ちゃんが打ち上げられ、胃の中からプラスチックごみが発見されました。本県は、これを「クジラからのメッセージ」と受け止め、持続可能な社会を目指すSDGs(注)の具体的な取組として、「かながわプラごみゼロ宣言」を発表しました。
現在、深刻化する海洋汚染は世界規模の問題になっており、本県では同宣言のもとプラスチック製ストローやレジ袋の利用廃止・回収などにより、2030年までのできるだけ早期に、リサイクルされない、廃棄されるプラごみゼロを目指し、取組を進めています。
(注)SDGs(エス・ディー・ジーズ):持続可能な開発目標
(Sustainable Development Goals)
詳しくは、本編14ページ特集「『かながわプラごみゼロ宣言』に係る取組について」
この環境白書「概要版」は、「令和元年版かながわ環境白書」をもとに、神奈川県の現状や取組をわかりやすくまとめたものです。この冊子を利用して、環境問題に対する理解を深めましょう。(一部、平成30年度のデータを集計中のため、平成29年度のデータを掲載しています)
「気候変動に関する政府間パネル(IPCC)」の「第5次評価報告書」では、「人為起源の温室効果ガスの排出は、20世紀半ば以降に観測された温暖化の支配的な要因であった可能性が極めて高い」と指摘しています。また、同報告書では、1986年~2005年を基準とした21世紀末における世界の平均気温は、最大で4.8℃上昇すると予測しています。神奈川県内でも平均気温は全体的に上昇傾向にあります。
太陽からのエネルギーで地上が温まると、地上から放射される熱を温室効果ガス(注)が吸収・再放射して大気が温まります。
温室効果ガスの濃度が上がると、温室効果がこれまでより強くなり、地上の温度が上昇します。
これが、地球温暖化と呼ばれる現象です。
(注)二酸化炭素(CO2)、メタン、一酸化二窒素、代替フロン等7種類
(出典)全国地球温暖化防止活動推進センターWebサイト(http://jccca.org/)
平成28年度の県内の温室効果ガス排出量(速報値)は7,696万t-CO2で、前年度と比べると約0.4%増加、基準年(注)である平成25年度と比べると6.1%減少しています。
また、平成28年度の県内の二酸化炭素排出量(速報値)は7,345万t-CO2で、温室効果ガス排出量のうち95.4%を占めています。二酸化炭素排出量の部門別の構成比では、産業部門が34.5%と最も大きく、業務部門(20.7%)と家庭部門(16.0%)が続いており、これらの部門における対策が重要です。
(注)「神奈川県地球温暖化対策計画」での温室効果ガス削減目標の基準
県では、一層の温暖化対策の強化を図るため、平成22(2010)年3月に策定した「神奈川県地球温暖化対策計画」を平成28(2016)年10月に改定しました。この計画では、「2030年度の県内の温室効果ガス排出量を2013年度比で27%削減」するという目標を設定したほか、新たに適応策(地球温暖化への適応を図るための取組)を位置付けました。
また、県庁自らが排出する温室効果ガスを抑制するため、平成29(2017)年2月に改定した「神奈川県庁温室効果ガス抑制実行計画」では、「2030年度のエネルギー起源の二酸化炭素排出量を2013年度比で40%削減」するという目標を設定しました。
この2つの計画に基づき、次のような地球温暖化対策に取り組んでいます。
県では、大規模な「事業活動」や「建築物」、「開発事業」に対して、温室効果ガスの削減策などを記載した「計画書」の提出を義務付け、それを県が公表する「温暖化対策計画書制度」を、平成22年度から実施しています。
県では、エネルギー管理士が事業所やテナントビルに直接伺い、電気やガスなどの使用状況などを診断し、改善に向けた技術的なアドバイスを行う省エネルギー診断事業を実施しています。
県自らも再生可能エネルギーの率先導入に努めています。
平成30年度は運転免許センター本館棟、厚木警察署、大船フラワーセンターの3施設に太陽光発電設備を設置しました。
冷凍空調機器には、以前は冷媒として特定フロン(CFC、HCFC)が多く使われていましたが、オゾン層を破壊するため、生産・消費が規制され、オゾン層を破壊しない代替フロン(HFC)に転換が進みました。
しかし、この代替フロンも高い温室効果があるため、ノンフロン等への転換と既に使用されているフロン類の排出抑制対策が重要となりました。そこで、平成27年に「フロン類の使用の合理化及び管理の適正化に関する法律」が施行され、機器の定期点検や廃棄時の確実なフロン類の回収など包括的な対策が実施されています。
県内で熱中症搬送者数が増加するなど、気候変動の影響が既に現れていることから、県では、農業・水産業、自然災害、健康といった分野ごとに気候変動による影響を整理し、各分野で気候変動適応の取組を行っています。
平成30年に成立・施行された「気候変動適応法」では、国・地方公共団体・事業者に気候変動適応の取組が求められるとともに、県民の皆様にも気候変動適応について理解していただくこと等が求められています。
かながわ地球環境保全推進会議(注)において、平成27年7月、一人ひとりが地球環境問題を自分事として考え、解決するための行動を、10の項目、90の行動メニューとして取りまとめたものです。この90の行動メニューの中から、自分が取り組みたい項目を10個選んで宣言する「マイエコ10(てん)宣言」の普及を進めており、平成30年度末の累計宣言者数は30万人を超えました(「プラごみゼロ宣言バージョン」の宣言者数を含む。)。
(注)かながわ地球環境保全推進会議
地球環境保全に向けた行動指針である「私たちの環境行動宣言 かながわエコ10トライ」の推進母体として、県全体を活動対象とする県民の団体、企業の団体、県及び県内市町村を構成団体として設置
平成29年度における県内の一般廃棄物の排出量は287万トンとなっています。これらの処理状況は、再生利用量が70万トン、焼却などによって減量化された量が193万トン、埋め立てなどによる最終処分量は24万トンとなっています。排出量は、ピーク時の平成12年度から減少傾向にあります。
平成29年度における県内の産業廃棄物の排出量は、1,837万トンとなっています。これらの処理状況は、再生利用量が717万トン、焼却や脱水などによる減量化量が1,046万トン、最終処分量は74万トンとなっています。
このように、廃棄物の排出量は近年横ばい傾向で推移しており、私たち一人ひとりが、物や資源を大切にし、廃棄物をできるだけ少なくする循環型社会づくりを進める必要があります。
(1)廃棄物の排出抑制(リデュース)→(2)再使用(リユース)→(3)再生利用(リサイクル)→(4)再使用、再生利用ができないときでも適切な方法を選んで処分することによって、天然資源の消費を抑え、環境への負荷が低減される社会のことです。
県では、循環型社会の実現に向けて、様々な施策を進めています。
平成21年5月以降、「神奈川県におけるレジ袋の削減に向けた取組の実践に関する宣言」の賛同者とともに、日常生活の中で誰もが簡単にできるレジ袋の削減を進めています。
県では、リユース(再使用)を促進するため、平成26年度から、一定の基準を満たしているリユースショップの認証を行っています。
県では、廃棄物の排出抑制、資源の循環利用の促進を図るため、平成22年度から、品質、安全性について一定の要件を満たすリサイクル製品の認定を行っています。
県では、不法投棄を防ぐために、不法投棄防止キャンペーンやパトロールなどを実施しています。
こんな行為を見かけたときは、市町村、県又は警察(110番通報)に連絡してください!
・今、目の前で不法投棄が行われている。
・これから不法投棄をしようとしている。
・不法投棄をして逃げて行った。
神奈川県は、都市化が進んだ一方で、箱根や丹沢大山の広大な山地や裾野に広がる里地里山、相模川や酒匂川などの河川、芦ノ湖などの湖沼、海などといった変化に富んだ地形を有し、多様な自然環境に恵まれています。これらの多様な自然環境を守り、次の世代に引き継いでいくことが求められています。
生物多様性とは、全ての生物が複雑に関わりあって存在していることで、人の暮らしは生物や生態系の恵みに支えられています。県では、生物多様性を保全していくため、平成28年3月に「かながわ生物多様性計画」を策定し、各地域の特性に応じた取組や生物多様性への理解を深めてもらうための取組を進めています。
県では、市町村と連携して各種法令に基づく地域指定をしたり、かながわトラストみどり基金、(公財)かながわトラストみどり財団を中心に、県民・企業・団体・市町村と連携して、「かながわのナショナル・トラスト運動」を推進することによって、みどりの量と質の確保に取り組んでいます。
・県土に占める農地及び森林の割合(注)の推移
1972年(昭和47年)54.0%→2018年(平成30年)47.1%
(注)農地面積と森林面積の合計を市町村面積で除したものです。
県では、里地里山の多面的機能を発揮し、次世代へ継承するため、土地の所有者や地域住民が主体となり、地域の農林業を尊重しながら継続的に行われる里地里山の保全等の取組を支援しています。
平成30年度は、相模原市小松・城北地区ほか23地区において、認定を受けた里地里山保全等活動に対して支援しました。また、「子ども里地里山体験学校」の開催などを通して、県民への積極的な情報発信に努めました。
県では、「丹沢大山自然再生計画」として8つの特定課題を掲げ、このうち「ブナ林の再生」については、ブナ林衰退の調査研究、土壌保全対策、シカの管理捕獲などを行っています。
また、各特定課題を推進する取組として、県民協働による植樹や清掃活動なども行っています。
県では、鳥獣やその生息環境を保護する拠点として、鳥獣保護区を指定しており、この区域では鳥獣を捕獲することを禁止しています。
野生鳥獣は自然環境を構成する重要な要素である一方、農林業被害、生活被害、丹沢山地の植生劣化などの発生要因となっています。県では、ニホンジカ、ニホンザル及びイノシシを対象とした管理計画を策定し、個体数調整などの取組を市町村と連携しながら進めています。
野生鳥獣による農林業被害、生活被害を防ぐためには、鳥獣の捕獲、被害防護対策、集落環境整備の3つの対策を地域ぐるみで行うことが効果的です。県では、平成29年4月に「かながわ鳥獣被害対策支援センター」を設置し、地域ぐるみの対策の立ち上げ支援や、広域的・専門的観点による戦略的支援、対策の中心となる人材の育成を行っています。
大気汚染物質は、主に工場や自動車などから排出されますが、法令による規制などにより改善傾向にあります。県では、住宅地などに設置される一般環境大気測定局と道路沿道に設置される自動車排出ガス測定局の常時監視測定局においてモニタリング調査を行っています。平成30年度は、県内92の常時監視測定局で大気汚染物質の測定を行いました。その結果、二酸化窒素(注1)及び浮遊粒子状物質(注2)については、測定を行った90局のうち環境基準の評価対象となる年間6,000時間以上測定した89局すべてで環境基準(注3)を達成しました。また、二酸化硫黄(注4)及び一酸化炭素(注5)についても、測定を行ったすべての局で環境基準を達成しました。さらに、微小粒子状物質(PM2.5)(注6)は測定を行った68局のうち環境基準の評価対象となる年間250日以上測定した67局すべてで環境基準を達成しました。しかしながら、光化学オキシダント(注7)については、これまでと同様、測定を行った60局すべてで環境基準を達成しませんでした。
(注1)二酸化窒素
空気中で燃料などが燃えるときに発生し、工場や自動車などから排出されます。のどや気管支、肺などの病気を引き起こすおそれがあります。
(注2)浮遊粒子状物質
0.01mm以下の小さな粒子状物質で、工場や自動車などから排出されます。のどや気管支、肺などの病気を引き起こすおそれがあります。
(注3)環境基準
健康を守り、生活環境の保全をするために維持されることが望ましい基準のことです。
(注4)二酸化硫黄
工場や火力発電所などで石炭、重油などを燃やすときに排出されます。のどや気管支、肺などの病気を引き起こすおそれがあります。
(注5)一酸化炭素
血液が酸素を運ぶ機能を低下させる物質です。工場や自動車などから排出されます。濃度が高いと生命の危険があります。
(注6)微小粒子状物質(PM2.5)
浮遊粒子状物質と同様の発生源から排出される0.0025mm以下の微細な粒子状物質で、気管支や肺の奥深くまで入り込み、気管支や肺、血管などの病気を引き起こすおそれがあります。
(注7)光化学オキシダント
工場・自動車などから大気中に排出された窒素酸化物や揮発性有機化合物などが、太陽光に含まれる紫外線により化学反応を起こし、生成される物質です。これが多く集まり、白くもやがかかったようになった状態を光化学スモッグといいます。
県では、煙やスス(ばい煙)を発生させる工場や事業場に対し、立入検査を行っています。施設の状況や管理方法、燃料や原料の使用状況などを調査し、規制基準が守られているか確認しています。加えて、公害防止装置の設置、燃料や燃焼方法の改善についての指導も行っています。
また、光化学オキシダントが高い濃度となった時は、光化学スモッグ注意報等を発令し、工場や関係機関、市町村に連絡して、県民の健康被害の防止に努めています。光化学スモッグは人の目やのどに刺激を与え、植物の葉が枯れるなどの被害をもたらします。平成30年の光化学スモッグ発令日数は8日で、被害届出者数は13人でした。
県では、平成25年4月に「神奈川県自動車NOx・PM総量削減計画」を改定し、国や市町村などと連携を図りながら対策を行っています。具体的には、粒子状物質を多量に排出する旧式ディーゼル車の運行規制や、環境にやさしい車(低公害車)の普及促進、エコドライブ(注)の推進などを実施しています。また、県の業務遂行により発生する排出ガスを抑制するため、県が物品の購入等をする際に、契約の相手方にエコドライブの実施等を求める「グリーン配送」にも取り組んでいます。
(注)エコドライブ
急発進・急加速をしないなどの環境に配慮した運転
県では、平成25年1月以降に関心が高まった大気汚染物質、微小粒子状物質(PM2.5)について、監視体制の整備や発生源の低減に向けた取組など、総合的な対策を進めています。
主な取組
・県内各地の測定局における常時監視
・PM2.5濃度の情報提供(高濃度予報等)
・自動車排出ガス対策(ディーゼル車運行規制等)
・原因物質を発生する事業所への立入検査
・生成機構の解明に向けた調査研究
常時監視測定結果の速報値(1時間値)や高濃度予報の結果など、PM2.5に関する情報は、県のホームページ等で提供しています。
騒音は、私たちの生活に直接関わる公害です。工場や建設工事、店舗の営業などの事業活動から発生するもの、自動車、航空機、鉄道などの交通手段から発生するもの、家庭の電気機器、楽器、ペットなどの家庭生活から発生するものなど、発生源は様々です。
平成29年度の騒音に関する苦情件数は1,198件で、平成28年度(1,077件)に比べ121件増加しています。
振動は、騒音と並んで生活に直接関わる公害です。工場や建設工事などの事業活動によって地面が揺れ、家や建物に伝わった振動を感じることによって不快感が生じるものです。振動を発生させる工場や工事現場などの周囲からの苦情が多いという特徴があります。
平成29年度の振動に関する苦情件数は275件で、平成28年度(268件)に比べ7件増加しています。
悪臭は、以前は工場などに対する苦情が中心でしたが、最近では市街地の店舗などからの様々な「におい」による悪臭問題が増加しています。
平成29年度の悪臭に関する苦情件数は1,271件で、平成28年度(1,249件)に比べ22件増加しています。
県では、法律や条例により、工場などから発生する騒音等の規制を行っています。また、道路交通騒音の対策にもなる排水性舗装の敷設等を進めています。
厚木基地周辺では、激しい航空機騒音が周辺住民の生活環境を悪化させてきました。県は、基地周辺市と連携して騒音問題の解決に取り組んでいます。
県では、悪臭防止法に基づき、アンモニアなど22物質に限定した「特定悪臭物質規制」によって悪臭対策を行ってきましたが、近年では市街地の店舗などからの様々な「におい」による悪臭問題が増加しており、今までの規制方法では対応が難しくなってきました。そこで県では、人の嗅覚を用いて悪臭を測定し、すべての臭気物質を対象とする「臭気指数規制」を平成15年11月から採用し、悪臭問題の解決を図っています。
河川や湖沼、海などの水質汚濁の原因には、人の活動に伴うもの(工場や研究施設などからの排水や家庭からの生活排水)のほか、自然現象による影響(火山活動など)もあり、様々です。水質汚濁の状況を表す環境基準(BOD又はCOD(注1))の達成率は、下水道などの整備により長期的には改善傾向にありますが、100%には至っていません。
平成30年度の県の水質調査において、健康保護のために定められた基準(健康項目)の環境基準の達成率は98.7%(150地点のうち148地点)、生活環境保全に関する基準(生活環境項目)のうちBOD又はCODの環境基準の達成率は、河川100%(36水域のうち36水域)、湖沼60%(5水域のうち3水域)、海域61.5%(13水域のうち8水域)でした。
東京湾では、赤潮(注2)の原因となる全窒素(注3)及び全りん(注4)の測定も行っており(4水域、22地点)、平成30年度の環境基準の達成率は、全窒素及び全りんいずれも100%でした。
(注1)BOD、COD
BODは、川の汚れを示す代表的な指標です。CODは湖、海の汚れを示す代表的な指標です。数値が大きいほど汚れていることを示します。
(注2)赤潮
海中のプランクトンが大量に増殖し、水が赤褐色などの色になる現象をいいます
(注3)全窒素
窒素化合物の総量を表す語です。
(注4)全りん
りん化合物の総量を表す語です。りんは窒素とともに水域を富栄養化させ、赤潮の原因となります。
県では、法律や条例に基づき、工場や研究施設などから排出される水や地下に浸透する水を規制しています。
カドミウム、シアンなどの有害物質はBOD、COD等の有機汚濁物質(注)などを含む汚水又は廃液を排出する施設等を設置する工場・事業場に対して、施設の設置届出を義務付けています。これらの工場などに対し、立入検査や指導を行い、排水基準に違反した場合には、勧告、改善命令等の措置を行っています。
(注)有機汚濁物質
すべての物質は、有機物質又は無機物質に分類される。有機物質は、炭素を含む化合物(一酸化炭素(CO)と二酸化炭素(CO2)を除く。)の総称であり、生物体で作られる炭水化物、脂肪、タンパク質などのほか、人工的に合成された多数の有機化合物がある。通常、有機汚濁物質という場合は、生物によって代謝分解されやすく、特に毒性のない化合物を対象とし、有機リン系農薬や有機塩素化合物などの毒性が問題となる物質は有害物質として取り扱う。
河川や湖沼、海などの汚濁は、家庭などから排出される処理されていない水が大きな原因となっています。県は、下水道や合併処理浄化槽などを効率的に整備するため、「県生活排水処理施設整備構想(生活排水処理100%計画)」を平成9年3月に策定(平成23年2月及び平成31年1月に改訂)しました。市町村は、この構想を指針とし、国や県の支援を受けて、地域の特性を踏まえた整備を進めています。
県では、平成19年度以降20年間にわたる水源環境保全・再生の取組全体を示す「かながわ水源環境保全・再生施策大綱」に基づき、第1期(平成19年度~23年度)、第2期(平成24年度~28年度)と、「かながわ水源環境保全・再生実行5か年計画」を策定し、県民の皆様にご負担をいただいている個人県民税の超過課税(水源環境保全税)を活用して特別の対策を推進してきました。
水源環境の保全・再生を図るためには、長期の継続的な取組が必要であること、これまで取組を進めてきた中で、新たな課題も生じていることから、こうしたことに対応するため、平成28年11月に第3期実行5か年計画(平成29年度~令和3年度)を策定し、引き続き県民共通の財産である水源環境を守る取組を進めていきます。
自然浄化や水循環の機能を高め、水源河川としてふさわしい水環境を形成するため、県は市町村が計画的に行う生態系に配慮した河川・水路の整備を支援しています。
現在、数万種類の化学物質が流通していると言われ、工業製品や家庭用品などとして生産、使用されています。また、化学物質の中には、ダイオキシン類のように廃棄物の焼却などに伴い非意図的に生成される物質もあります。
化学物質は便利な生活に欠かせない反面、環境の中へ排出されると人や生態系に害を与えるものもあり、排出削減が求められています。このため、今までの排出規制に加えて、化学物質を取り扱う事業者自らが排出量を把握し、適切な管理や削減を行っていく仕組みが法律や条例で設けられています。
国の調査によると、平成29年度の県内の化学物質排出量は14,931トンとなり、全国の排出量390,737トンに占める割合は3.8%でした。平成29年度の全排出量は、化管法に基づく届出制度が始まった平成13年度の全排出量(38,768トン)と比べると、61.5%減少しています。
排出された化学物質のなかで、最も排出量の多い物質はトルエン(注)(3,706トン)でした。
(注)トルエン
トルエンは、塗料や染料に多く使われている化学物質です。吸入すると、めまいや吐き気などを引き起こすこともあります。
自分の住む地域でどんな化学物質が、どこから、どれだけ排出されているかを知るための仕組みとして、PRTR制度があります。PRTR制度は「化学物質排出移動量届出制度」の略称で、化学物質の排出・移動に関する情報を、事業者からの報告などをもとに、国が1年ごとにまとめて公表する制度です。
県ではPRTR制度に加えて、条例によって、化学物質の管理目標やその目標の達成状況を事業者に報告してもらうことなどによって、排出量削減の取組を進めています。
環境問題は、私たちの生活や活動によって引き起こされるものです。その環境問題を解決するために大切なことは、今を生きる私たち一人ひとりが、それぞれの地域や立場から主体的に取り組み、理解を深めることです。ここでは、環境について学びたい方を支援する学習施設等を紹介します。
「生命の星・地球」の誕生から現在までの46億年にわたる地球の歴史と生命の多様性を時間の流れを追って展示しています。小さな昆虫から巨大な恐竜まで、1万点にのぼる実物標本がお楽しみいただけます。また、展示だけでなく、自然に関する調査・研究、資料の収集・保管や、これらの資料を使った講座や観察会なども開催しています。
お問合せ先 0465-21-1515
URL http://nh.kanagawa-museum.jp/
県産木材を使った本館では、丹沢大山をはじめとした自然環境の現状、自然の仕組み、自然再生の取組を紹介しています。また、レクチャールームでの講習会、野外施設での自然観察会など自然環境保全の普及啓発や情報の発信を行っています。
お問合せ先 046-248-0323
URL http://www.pref.kanagawa.jp/docs/f4y/top.html
身近な川の水などの分析や実験ができる「実習室」や、視聴覚設備を備えた「環境学習室」、地元の河川に生息する魚類を飼育・展示する水槽を設置した「自由見学エリア」を設け、機材やDVDなどの教材の貸出しを実施して環境保全活動を行う方の支援をしています。
また、各種講座を開催するほか、「出前講座」も実施しています。
お問合せ先 0463-24-3311
URL http://www.pref.kanagawa.jp/docs/b4f/index.html
地球温暖化対策、環境教育など環境分野全般の相談、環境関係の図書や環境計測器等の貸出を行っている窓口です。また、ホームページを活用して、環境に関する情報提供も行っています。
お問合せ先 045-321-7453(直)
URL http://www.pref.kanagawa.jp/docs/ap4/cnt/f70237/
地球温暖化対策、再生可能エネルギー、資源循環について、見て・聞いて・さわって楽しく学べる環境学習施設です。メガソーラーを見学できるガイドツアーも行っています。
お問合せ先 044-223-8869
URL https://eco-miraikan.jp/
「資源循環」「地球温暖化対策」「自然共生」について、ARやグラフィックなどのデジタル技術を使ったゲームなど、楽しみながら環境を学ぶことができます。
お問合せ先 044-712-4637
URL https://www.eco-kankyoukan.jp/
川崎の自然や天文、科学に関する展示や体験活動を行っている博物館です。川崎の自然を「川崎の大地」「丘陵の自然」「街の自然」「多摩川の自然」「生田緑地ギャラリー」の5つのコーナーに分けて展示を行っているほか、プラネタリウムでは、世界最高水準の星空を再現する“MEGASTAR-3 FUSION”による、職員生解説の投影を行っています。
お問合せ先 044-922-4731
URL http://www.nature-kawasaki.jp
環境情報センターは、相模原市の自然環境保全・環境教育に貢献することを目的とした事業を実施しています。
当館は市民の方々に対する環境学習、活動の支援及び情報発信を行っている施設です。
環境講座や観察会の実施、さらに小・中学生を対象とした実体験や工作を通じて、楽しく自然環境について学んでいただける場作りに取り組んでいます。
また、出前講座の対応や、市民主体による学習会のコーディネート、会議室や学習教材の貸し出し等も行っております。
お問合せ先 042-769-9248
URL http://eic-sagamihara.jp
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