神奈川県廃棄物焼却施設の解体工事におけるダイオキシン類等 汚染防止対策要綱
(目的)
第1条 この要綱は、廃棄物焼却施設として使用していた施設等の解体の工事について必要な事項を示し、ダイオキシン類(ダイオキシン類対策特別措置法(平成11年法律第105号)第2条第2項に定めるものをいう。以下同じ。)及び重金属等有害物質を含むばいじん等の飛散並びにばいじん等を含む汚水の流出によって生じるおそれのある周辺環境への汚染の未然防止を図るとともに、工事によって発生する廃棄物の適正処理を目的とする。
(要綱の位置付け等)
第2条 この要綱は、神奈川県行政手続条例(平成7年神奈川県条例第1号)第2条第1項第7号に規定する行政指導を行うためのものとする。
2 廃棄物焼却施設として使用していた施設等の解体の工事を行う者は、解体の工事を行うにあたって、当該工事を行う地域の状況等を考慮して、自ら必要と考えられる安全対策を講ずる等自主的な対応に努めるものとする。
(定義)
第3条 この要綱において「焼却施設」とは、廃棄物を焼却するための施設の廃棄物の投入口又は供給設備(前処理設備を含む。)から煙突までの総体(排水処理設備、灰ピット、灰処理設備等の附帯設備を含む。)であって、使用していた施設及び現に使用している施設をいう。
2 この要綱において「解体工事」とは、焼却施設に係る次に掲げる工事をいう。
(1)焼却施設の全体を撤去するための解体の工事
(2)焼却施設の一部の除却及び当該除却部分の解体の工事
3 この要綱において「ばいじん等」とは、焼却施設において廃棄物を焼却した結果生じたばいじん及び焼却灰その他の燃え殻をいう。
4 この要綱において「設置者」とは、解体工事を行う焼却施設の設置者又は管理者であって解体工事を発注する事業者をいう。
5 この要綱において「元請業者」とは、設置者から焼却施設の解体工事を請け負った事業者をいう。
(適用範囲)
第4条 この要綱は、神奈川県生活環境の保全等に関する条例施行規則(平成9年神奈川県規則第113号。以下「県生活環境保全条例施行規則」という。)別表第1に掲げる第51号の作業に係る廃棄物焼却炉を有する焼却施設において行われる解体工事について適用する。
(工事の管理等)
第5条 設置者は、焼却施設の解体工事を行おうとするときは、この要綱に定める事項を元請業者に示し、当該解体工事を発注すること。
2 設置者及び元請業者(以下「設置者等」という。)は、解体工事を行うにあたってこの要綱を遵守し、周辺環境に影響のないよう、常に工事の状況を把握し、管理すること。
3 元請業者は、解体工事の作業を他の事業者に請け負わせて行う場合は、当該解体工事の作業について、この要綱が遵守されるよう監督すること。
(計画書等の提出)
第6条 設置者は、解体工事に着手する14日前までに、解体工事計画書(様式1)に次に掲げる書類等を添えて、解体工事を行う焼却施設の所在地を所管する地域県政総合センター所長に提出すること。(様式1)(ワード:24KB)(様式1)(PDF:9KB)
(1)解体工事を行う焼却施設の周囲の状況、施設の配置(地下部分の設備を含む。また、焼却施設の基礎部分がコンクリート等で覆われている場合はその範囲を表示し、焼却施設の全体又は一部が建屋内にある場合は、建屋の位置を合わせて表示する。)、車両等の洗浄場所及び解体工事により発生する廃棄物の保管場所を示した図面
(2)解体工事におけるばいじん等の飛散防止及び汚水の流出(地下への浸透を含む。)防止のための措置(排気及び排水の処理の方法を含む。)の概要を記載した書類
(3)解体工事により発生する廃棄物(焼却施設から除去した汚染物及び排気処理及び排水処理により発生する廃棄物を含む。)の種類ごとの発生見込量、保管方法(保管場所の雨水対策及び地下浸透防止対策を含む。)並びに収集運搬及び処分の方法を記載した書類
(4)土壌、水質及び大気に係る周辺環境の状況調査の方法、時期及び試料採取の場所を記載した書類
(5)解体工事を行う焼却施設内部の汚染物の事前サンプリング調査結果
(6)解体工事の工程表
(7)解体工事に係る住民に対する情報提供の方法を示した書類
2 設置者は、解体工事の計画に主要な変更が生じたときは、速やかに解体工事変更届出書(様式2)に当該変更事項を記載した書類を添えて、地域県政総合センター所長に提出すること。(様式2)(ワード:24KB)(様式2)(PDF:7KB)
3 設置者は、解体工事が終了したときは、解体工事終了報告書(様式3)に次に掲げる書類を添えて、地域県政総合センター所長に提出すること。(様式3)(ワード:23KB)(様式3)(PDF:6KB)
(1)第9条に定める周辺環境の状況調査の結果を記載した書類
(2)解体工事により発生した廃棄物の種類ごとの数量、処分方法等を記載した書類
(3)第10条に定める対策を講じた場合は、その対策の内容を記載した書類
(周辺環境対策)
第7条 設置者は、解体工事を行うにあたっては、当該解体工事によるばいじん等の飛散を防止するとともに、当該解体工事に伴って生じる排気、汚水等による環境汚染を防止するため、元請業者に次に掲げる措置を講ずるよう指示すること。
(1)ばいじん等の飛散防止
ア 解体工事を行う焼却施設の全体又は解体工事を行う区画の全体を仮設の壁等及び天井により隔離すること。ただし、煙突等全体を覆うことが困難な設備については、作業を行う箇所ごとに隔離するなどの飛散防止対策を実施すること。なお、解体工事を行う焼却施設が屋内にある場合で、当該建屋の開口部を目張りにより塞ぐ等の措置を行った場合は、これにより全体の隔離とする。
イ 解体工事の作業を行うにあたっては、当該作業を行う場所の内部の空気を排気処理設備を設けた排風機により一定方向に誘引するとともに、必要に応じて外部に対し減圧して行うこと。ただし、溶断により解体する場合にあっては、必ず当該溶断の作業を行う場所は外部に対し減圧された状態とすること。
ウ 解体工事の作業は、湿潤化等によりばいじん等が飛散しないように措置を講じて行うこと。
エ 解体工事の作業場所で使用した車両、機材、保護具等を当該作業場所の外へ移動する場合は、あらかじめ洗浄、拭き取り等を行い、付着したばいじん等の飛散を防止すること。
(2)排気の処理
ア 解体工事の作業を行う場所から出る排気の処理の管理目標は、ダイオキシン類による大気の汚染、水質の汚濁及び土壌の汚染に係る環境基準(平成11年環境庁告示第68号)別表に掲げる大気の基準値とする。
イ 解体工事の作業を行う場所から出る排気の処理設備は、ばいじん等の除去の性能に支障が生じないように維持管理を行うこと。
(3)汚水の流出防止等
ア 汚染物の飛散防止のための湿潤化、汚染物を除去するための高圧洗浄等水を使用する作業を行う場合は、ダイオキシン類等で汚染された水の周囲への流出及び地下への浸透を防止するための措置を講ずること。
イ 前アの作業を行う場所に溜まった汚水は、吸収材を用いての回収、排水処理設備への移流等により速やかに排除すること。
ウ 焼却施設の基礎部分及び周囲がコンクリート等の不浸透性材料で覆われていない場合は、当該焼却施設の周囲を十分な強度を有するシート等で養生し、作業で発生した汚水の周囲への流出及び地下への浸透を防止するとともに、焼却施設の内部に溜まった汚水が焼却施設の外に流出しないよう当該汚水を吸収材等で速やかに回収する等の措置を講ずること。
(4)汚水の処理
ア 解体工事により発生した汚水の処理は、貯留して産業廃棄物としての搬出、排水処理設備による処理後場外への排出又はその両方によること。
イ 解体工事により発生した汚水を貯留して産業廃棄物として搬出する場合は、有害物質を含有する廃棄物の中間処理をすることができる処理業者に委託すること。
ウ 解体工事により発生した汚水を排水処理設備により処理して場外に排出する場合は、ダイオキシン類対策特別措置法施行規則(平成11年総理府令第67号)別表第2に定める排出基準及び県生活環境保全条例施行規則別表第9に掲げるカドミウム及びその化合物、鉛及びその化合物、六価クロム化合物、ひ素及びその化合物、水銀及びアルキル水銀その他の水銀化合物並びにセレン及びその化合物の排水規制基準を満足すること。この場合において、解体工事を行う焼却施設にすでに設置されている排水処理設備を利用するときは、当該排水処理設備が水質及び水量についての処理能力を有している場合に限る。
エ 前ウの排水処理設備は、排水処理に支障が生じないように維持管理を行うこと。
(廃棄物の適正処理)
第8条 元請業者は、当該解体工事によって発生する廃棄物の排出者としての責任に基づき、飛散及び流出を防止するため、次に掲げる措置を講ずること。
(1)廃棄物の適正保管
廃棄物は、廃棄物保管場所であることを表示した場所に、ばいじん、燃え殻、がれき類、金属くず、廃プラスチック等の廃棄物の種類及び固体、液体、粉体等の性状ごとに分別し、飛散及び流出しない構造の容器、コンテナ、ピット等に、廃棄物の種類等に従って適切に保管すること。
(2)保管場所の雨水対策
廃棄物の保管場所を屋外に設ける場合は、テント等により雨水対策を行うとともに、周囲から雨水が流入しないための措置を講ずること。
(3)地下浸透防止対策
廃棄物の保管場所の底面は、水分を含んだ廃棄物から流出した水、汚染された廃棄物に触れた雨水等が地下に浸透しないための措置を講ずること。
(4)廃棄物の適正処理
廃棄物の収集・運搬、中間処理及び最終処分については、委託する許可業者との書面による契約、マニフェスト交付等の手続きを確実に行い、廃棄物の適正処理を実施すること。
2 焼却施設から発生した廃棄物は、特別管理産業廃棄物(ばいじん、燃え殻及び汚泥以外の廃棄物については、有害物質を含む産業廃棄物)として取り扱うものとする。ただし、特別管理産業廃棄物等でないことを確認した場合はこの限りではない。
(周辺環境の状況調査)
第9条 元請業者は、解体工事を行う焼却施設の周辺環境の状況を把握するため、次に掲げる調査を実施すること(焼却施設をそのまま撤去する場合(溶断・切断することなく煙突の分離のみを行う場合を含む。)を除く。)。この場合において、調査の対象物質は、ダイオキシン類、水銀、カドミウム、鉛、六価クロム、ひ素、セレン(大気環境調査にあっては、ダイオキシン類、水銀及びひ素)とする。
(1)解体工事の着手前の調査
ア 土壌環境調査
解体工事の着手前に、解体工事を行う焼却施設を中心にした4方向の敷地境界内の場所で、土壌を概ね1平方メートル(深さ1cm)の範囲で採取し、当該土壌について、ダイオキシン類については「ダイオキシン類に係る土壌調査測定マニュアル(環境庁水質保全局土壌農薬課)」、その他の物質については「土壌汚染に係る環境基準について(平成3年環境庁告示第46号)」に定める分析方法に基づき分析すること。ただし、解体工事を行う焼却施設が設置されている敷地内に採取する土壌がない場合については、それに代わる方法により実施すること。
イ 大気環境調査
解体工事の着手前に、前アの土壌環境調査と同じ場所において大気試料を採取し、当該大気試料を保管しておくこと。この場合において、大気試料の採取は、粉じん補集用ろ紙とウレタンフォームが直列に装着できるウレタンホルダーをセットしたハイボリュームサンプラーを用い24時間吸引すること。
(2)解体工事の期間中の調査
ア 水質環境調査
解体工事の期間中に発生した汚水を排水処理設備により処理して場外に排出する場合にあっては、解体工事の期間中で、排水処理設備に最も多くの汚水及び除去した汚染物が流入する時期に1回、排水口(排水口が複数箇所ある場合は、それぞれの排水口)の水を採取し、ダイオキシン類については「JIS K0312」、その他の物質については県生活環境保全条例施行規則別表第9の備考11に定める分析方法に基づき分析すること。
イ 大気環境調査
解体工事の期間中で最も多くばいじん等が飛散すると考えられる時期(汚染物の除去作業中等)に、前号イの大気環境調査の場所と同じ場所において大気試料を採取し、当該大気試料を保管しておくこと。この場合において、大気試料の採取は、同号イの大気環境調査の方法と同じ方法で行い、1週間連続(解体工事の期間が1週間以内の場合は、当該解体工事の期間中)吸引すること。
(3)解体工事の終了後の調査
ア 土壌環境調査
解体工事の終了後に、第1号アの土壌環境調査と同じ場所及び方法で土壌(第1号アのただし書きにより土壌以外の試料を採取する場合は当該試料(以下この号において同じ。))を採取し、当該土壌について分析すること。
イ 大気環境調査
第1号アの土壌環境調査及び前アの土壌環境調査の結果から、解体工事によるばいじん等の飛散の疑いが生じたときは、第1号イ及び前号イの大気環境調査により保管していた大気試料について、ダイオキシン類については「ダイオキシン類に係る大気環境調査マニュアル(環境省水・大気環境局総務課ダイオキシン対策室、大気環境課)」、水銀及びひ素については「有害大気汚染物質測定方法マニュアル(環境庁大気保全局大気規制課)」に定める分析方法に基づき分析すること。
(事業者の責務)
第10条 元請業者は、前条に定める周辺環境の状況調査を実施した結果、ダイオキシン類等の飛散又は流出が確認された場合は、速やかに設置者に連絡し、原因究明のための調査、飛散等の拡大防止のための措置等必要な対策を講ずること。
2 設置者等は、解体工事の期間中に、当該解体工事による周辺環境への影響が生ずるおそれがあると認められたとき又は支障が生じたときは、速やかに必要な対策を講ずること。
3 設置者等は、前2項(設置者にあっては前項)により対策を実施した場合は、その内容を記録し、保管すること。
(情報提供)
第11条 設置者又は元請業者は、解体工事を行う焼却施設の近隣住民に対し、当該解体工事の着手前及び終了後に、次表に掲げる項目について情報の提供に努め、また解体工事の期間中は、同表の1から5の項目について、常に見やすい場所に表示すること。
解体工事の着手前 | 解体工事の終了後 |
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1.焼却施設の設置者 2.元請業者 3.工事の期間 4.工事の概要 5.工事の工程 6.焼却施設内部の汚染物の事前サンプリング調査結果 |
1.周辺環境の状況調査の結果 2.第10条に定める対策を講じた場合はその内容 |
(その他)
第12条 この要綱に定めのない事項については、地域県政総合センター所長と設置者等が協議する。
(要綱を適用する地域)
第13条 この要綱を適用する地域は、廃棄物の処理及び清掃に関する法律(昭和45年法律第137号)第24条の2の規定に基づく政令で定める市(横浜市、川崎市、横須賀市及び相模原市)の地域を除く地域とする。
附則
本要綱は、平成13年12月1日から施行する。
附則
本要綱は、平成14年11月12日から施行する。
附則
本要綱は、平成19年4月1日から施行する。
附則
本要綱は、平成20年4月1日から施行する。
本文ここで終了