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更新日:2023年11月30日

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神奈川県の若年者におけるヘリコバクター・ピロリ感染症対策のモデル事業(胃がん一次予防普及啓発モデル事業)

「大学発・政策提案制度」採択提案に基づくモデル事業です。

モデル事業実施の経緯

「平成29年度大学発・政策提案制度」において、横浜市立大学より「神奈川県の若年者におけるヘリコバクター・ピロリ感染症対策のモデル事業」の提案があり、公開コンペを経て採択されました。

公開コンペ審査会では「ピロリ菌の除菌だけでは、県との協働に馴染まないが、ピロリ菌感染に対する啓発という部分にも力点を置くのであれば、協働事業として行うことは可能」といった意見のほか、「胃がんの主な原因がピロリ菌にある点は、医学的には明らかであり、これを啓発していくことは重要」といった意見がありました。

県では、「神奈川県がん対策推進計画」(平成30年度~平成35年度)の推進にあたって、「県民のみなさんが正しくがんを知り、がんを予防し、また、がんになっても自分らしく生きることのできる社会を構築し、がんを克服する。」という全体目標の達成・実現に向け、胃がんとヘリコバクター・ピロリ菌に関する正しい理解の促進を図るため、平成30年度に横浜市立大学と協働して「神奈川県の若年者におけるヘリコバクターピロリ感染症対策モデル事業(胃がん一次予防普及啓発モデル事業)」を実施します。

モデル事業の概要

目的

大学生へのヘリコバクター・ピロリ菌感染検査及び除菌治療を通して、胃がんとヘリコバクター・ピロリ菌に関する若年者への理解促進を図るとともに、感染検査等に参加した大学生の意識・行動の変化を調査します。

現状と課題

県内の部位別がん罹患割合を見ると、胃がんは男性で第2位、女性では第3位と、多くの県民が罹患するがんとなっています。
胃がんの罹患者数は、昭和49年から増加の一途を辿っていますが、胃がんはヘリコバクター・ピロリ菌の持続感染が原因となる場合が多いと言われており、世界保健機関(WHO)の専門機関は平成26年の報告書において「全胃がんの78%はピロリ菌感染が原因である」としています。
今後の罹患者減少のためにも、若年層に対する一次予防の普及啓発が重要ですが、現時点では胃がんとヘリコバクター・ピロリ菌の関係についての周知が十分ではありません。

事業概要

大学新入生に対するヘリコバクター・ピロリ菌感染一次検査

横浜市立大学及び横浜国立大学の新入生のうち事業実施に関する同意が得られた方を対象に、大学での健康診断時に採取した尿を用いて、ピロリ菌の感染有無を調べます。 ⇒横浜市立大学が作成したパンフレットはこちら(PDF:3,606KB)

健康診断で採取した尿を使用するため、新たな採尿等はしません。

ヘリコバクター・ピロリ菌感染者に対する除菌治療の実施

一次検査で陽性(ピロリ菌に感染している)との結果が出た方に対して除菌治療に関する説明を行い、同意が得られた方を対象に二次検査を実施し、陽性であった方に薬剤を処方して除菌治療(服薬)を行います。

一次検査で「ピロリ菌に感染していないのに陽性になる」ことがあるため、二次検査で検便を行い、本当に感染しているか、感染していない方が必要のない治療を受けなくて済むよう、二重チェックで判断をします。

また、処方薬の服用後、除菌ができたかどうか、再度検便で判定を行います。

大学新入生を中心とした若年者に対するヘリコバクター・ピロリ菌に関する知識の普及啓発

入学時のオリエンテーション等でヘリコバクター・ピロリ菌と胃がんの関連について説明するほか、感染検査に参加していただいた大学生には、一次検査の結果通知時に漫画ベースで作成したパンフレットを配布し、ヘリコバクター・ピロリ菌と胃がんの関連についてさらに正しい知識を深めていただきます。

また、アンケート等を実施して、理解が進んだかどうか、モデル事業に参加した方から周囲への普及啓発効果について検証します。

スケジュール(事業開始当初)

ピロリ菌モデル事業スケジュール

モデル事業の結果(2019年3月29日更新)

モデル事業の結果については、以下のとおりです。

一次検査結果速報

検査対象となった大学の新入学生は2,704名、そのうち健診に来た学生は2,651名でした。対象者のうち90%以上である2,436名の学生が同意書を提出し、尿ピロリ検査を受診しました。
検査の結果、参加者の7.1%が陽性となりました。

1次検査速報用

除菌治療結果速報

陽性者には、除菌のために受診をお勧めするメールを送信しました。横浜市立大学の学生は同大学病院にて、横浜国立大学の学生は大学内健康管理センターにて受付・治療を行ったことにより、講義の合間に待ち時間なしで除菌が可能となり、受診率の向上につながったと考えられます。
除菌のレジメンにはVAM(ポノプラザン・アモキシシリン・メトロニダゾールの併用)を選択し、受診者全員の除菌に成功しました。

最終結果(事業報告書)

今回の研究では、高い参加率を達成し、被験者の7.1%が陽性であると判明しました。さらに、VAMを用いた除菌治療では受診者全員が除菌に成功しました。
これらの成果とは別に、対象学生に検査結果を通知する際、アンケートを実施しました。アンケート結果(PDF:876KB)の詳細は下記「関連リンク」からご覧いただけます。
また、今回の事業結果については、研究責任者がME-BYO JAPANにおいてプレゼンテーションを行っています。今回の事業イメージをお伝えするための漫画(PDF:824KB)と合わせて、プレゼン資料は下記「関連リンク」内のサイトでご覧いただけます。

最終報告用

 

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