ホーム > 健康・福祉・子育て > 福祉 > 地域福祉・助け合い > バリアフリーの街づくりについて > みんなのバリアフリー街づくり条例 > 令和元年度第1回みんなのバリアフリー街づくり条例見直し検討会議(会議結果)
更新日:2023年10月27日
ここから本文です。
次の審議会等を下記のとおり開催した。
令和元年度第1回神奈川県みんなのバリアフリー街づくり条例見直し検討会議
令和元年11月26日(火曜日)10時00分から12時00分
シルクセンター地下1階 大会議室
秋山 哲男、石渡 和実【副会長】、大原 一興【会長】、長田 克樹(金子 修司代理出席)、小野 和佳、河原 雅浩、小山 遊子、鈴木 孝幸、滝澤 広明、西川 和朗、山口 英生、吉富 多美 〔五十音順、敬称略〕
令和2年3月(予定)
地域福祉課 調整グループ
電話 045-210-4804(直通)
ファックス 045-210-8874
議事録
(事務局)
定刻になりますので、ただいまから第1回神奈川県みんなのバリアフリー街づくり条例見直し検討会議を開催させていただきます。私は冒頭で進行を務めさせていただきます、神奈川県地域福祉課の鳥井と申します。よろしくお願いいたします。それでは初めに、福祉部長の柏﨑の方からご挨拶を申し上げます。
(柏﨑福祉部長)
皆様おはようございます。福祉部長の柏﨑と申します。このたびは、神奈川県みんなのバリアフリー街づくり条例見直し検討会議の委員をお引き受けいただき、また、本日はお忙しい中ご出席いただきまして、誠にありがとうございます。
さて、2020年の東京オリンピックパラリンピック競技大会まで、1年を切っておりますが、今回の開催を一つのきっかけとしまして、障がい者の方、あるいは高齢者の方をはじめとした、誰にもやさしいバリアフリーの街づくりの推進に対する機運が高まっているという状況にございます。
こうした中、国ではいわゆるバリアフリー法の一部改正を平成30年度に行ったところでございます。神奈川県といたしましても、神奈川県みんなのバリアフリー街づくり条例に基づきまして、バリアフリーの街づくりに取り組んでおりますが、平成26年度に続きまして、見直し検討会議を設置させていただき、2回目の見直し検討を行うことといたしました。
平成26年度の検討会議では、様々な貴重なご意見をいただきまして、その後に設置しました整備基準見直し検討会議も踏まえまして、平成28年度に施行規則を改正したところでございます。今回の見直しにおきましても、施行後5年ごとに条例の見直しを行うという、県庁全体の考え方に基づいて行うものでございますが、これまでの条例の運用実績、また、バリアフリー法等の関係法令の動向、さらには、条例を取り巻く様々な状況を踏まえまして、見直しを進めて参りたいと考えております。
来年の9月までの約1年間でございますが、皆様のご意見を踏まえまして、検討を進めて参りたいと考えておりますので、ぜひ忌憚のないご意見をお願いできればと存じます。
最後になりますが、神奈川県では、津久井やまゆり園で発生した悲惨な事件を受け、県議会とともに、ともに生きる社会かながわ憲章を策定いたしました。
県では、この憲章の理念を広める取組みを通じて、誰もがその人らしく暮らすことのできる、ともに生きる社会の実現を目指しております。これまでも皆様には、この憲章の普及にご協力をいただいているところですが、引き続きこの取組みにご理解とご協力を賜りますようよろしくお願いいたします。それでは本日の会議もよろしくお願いいたします。
(事務局)
続きまして、本日は第1回目の開催でございますので、委員の皆様のご紹介をさせていただきたいと思います。お手元に出席者名簿がありますので、その名簿順にお名前を読み上げさせていただきますので、簡単に一言ずつご挨拶いただければと思います。
〔事務局で名簿順に読み上げ、各委員より挨拶〕
(秋山委員)
中央大学の秋山と申します。神奈川県に来るのが久しぶりですが、いくつか新しい流れが出てきておりますので、それについてご協力させていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
(石渡委員)
石渡です。よろしくお願いいたします。10年ほど前も関わらせていただいたのですが、その時にも心のバリアフリーということが話題になっていたかと思います。そういう視点からもいろいろ検討できたらと思います。よろしくお願いいたします。
(大原委員)
大原です。よろしくお願いします。都市イノベーション研究院となっていますが、専門は建築や都市計画等、わりと物理的な環境の話なのですが、縁があって神奈川県の福祉のまちづくり、みんなのバリアフリーの街づくりということに関わっておりまして、ソフトとハードを統合させていくということの難しさと、また面白さも感じています。また、たまたま前回も見直しの時に、関わらせていただいたのですが、5年ごとの見直しということですから、結局今回は5年先を見るということだろうと思っていますので、みなさんといろいろ方向性を考えていきたいと思います。よろしくお願いします。
(小野委員)
小野です。本日はよろしくお願いします。私は福島県出身で東日本大震災後に神奈川で生活を始めておりまして、7年になります。神奈川に来た当初は、やはり地元に比べますと、非常に生活しやすい環境が整っているとは思っているのですが、この7年間で経験したこと、感じてきたことを生かしていければいいなと考えておりますので、よろしくお願いいたします。
(長田様)
長田でございます。金子がよんどころない用事で欠席させていただきますので、代理出席ということでよろしくお願いします。
(河原委員)
神奈川県聴覚障害者協会の河原と申します。バリアフリーは進んでいますが、物理的なバリアフリーに比べて情報、コミュニケーションのバリアフリーはまだまだ残っていますので、それについてもっと進めていきたいと思っております。よろしくお願いします。
(小山委員)
小山でございます。日本チェーンストア協会関東支部からイトーヨーカ堂として参りました。
イトーヨーカ堂では神奈川県内に32店舗構えてございます。しかし、心のバリアフリーや物理的なことも含めて、やはりアップデートしなくてはいけないと思っておりますので、この会議でも皆様のお役に立てればと思いますのでよろしくお願いいたします。
(鈴木委員)
皆様こんにちは。何回かこの会議に出させていただいております。先ほど大原先生からも5年先を見越してというお話がございました。私共障がいのある立場として、今後そういったことをやっていく上でいわゆる心のバリアフリーと物理的なバリアフリー、さらには情報だとか、いろいろなところで困っていることについて、当事者の立場で発言をしていきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
(滝澤委員)
日本民営鉄道協会の滝澤でございます。冒頭、柏﨑部長からお話がありましたように、バリアフリーに関しては、オリパラを契機として、日本は大きく変わろうとしていると私も感じております。交通系の協会として今回のメンバーの中では日本民営鉄道協会だけでございますが、いろいろできることは協力したいと思いますのでよろしくお願いいたします。
(西川委員)
西川でございます。よろしくお願いいたします。私は神奈川県身体障害者連合会の代表として出ておりまして、肢体不自由の方を中心に意見を出していきたいと思っていますのでよろしくお願いいたします。
(山口委員)
こんにちは。山口です。今日初めてこちらには邪魔させていただきました。普段実務としてお力になれることがあればという気持ちでおります。よろしくお願いいたします。
(吉富委員)
吉富と申します。おはようございます。私の本職は児童文学作家でございますので、せっかく作った条例が子供たちに届くような言葉で、というような点でご協力できたらと思っております。神奈川子ども未来ファンドは、子供たちのいろいろなバリアや、子育て中の母親たちが抱えるバリア等に関わっておりますので、そちらの方についての発信もできたらと思っております。よろしくお願いいたします。
〔事務局の紹介〕
この検討会議の事務局は地域福祉課と建築指導課の両課で担当させていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。
それから、この会議の記録についてですが、委員の皆様のお名前も記載させていただいて、会議の内容を要約させていただいた形で会議終了後に、県のホームページに掲載をすることとしていますのであらかじめご了承いただければと思います。
また、皆様のお席の前にあるマイクは会議録を効率的に作成するための録音機器ということでございますので、皆さんに操作いただくことはありませんので、そのままお話いただければと思います。
この会議の傍聴については参考資料1の傍聴要領を定めております。今日、傍聴の方はいらっしゃいませんが、傍聴される方がいらっしゃれば、受け止めるという会議になっております。
それでは、議事の方に入らせていただきます。まず議題1でございますが、今回は第1回ということになりますので、会長と副会長を選任する必要がございます。選任までの間は引き続き、事務局の方で進行させていただきたいと思います。まずは会長の選任でございます。資料1にこの検討会議の設置要綱を配布させていただいております。会長の選任につきましては、この要綱の第5条第2項で規定されておりまして、委員の互選により、選任をするとされています。どなたかご推薦いただきたいのですが、いかがでしょうか。
(鈴木委員)
私自分でやるというのも難しいので、確か5年前も大原先生が会長だったと思うので、秋山先生もいらっしゃいますが、大原先生にお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。
(事務局)
鈴木委員から大原委員に会長をお願いしてはどうかというお話をいただきましたが、いかがでしょうか。
〔異議なし〕
(事務局)
ありがとうございます。それでは、大原委員に会長にご就任いただきければと思います。恐れ入りますが会長席の方にご移動をよろしくお願いいたします。
続きまして、副会長の選任でございます。同じく要綱の第5条第3項では、副会長が会長の指名した者をもって充てるとされております。大原会長にご指名をお願いできればと思います。
(大原会長)
はい、早速、第一番の仕事がそういうことだということで、わかりました。メンバーの中でバランス良くということを考えて石渡先生にお願いしたいと思います。
(事務局)
それでは、石渡委員にご就任いただければと思いますので、それでは石渡委員、副会長席の方にご移動いただければと思います。
ありがとうございました。それでは大原会長、石渡副会長の方から一言ずつ改めて御挨拶いただければと思います。よろしくお願いいたします。
(大原会長)
大原です。先ほど少し申し上げましたが、確か5年前や、その前、条例づくりから関わっているということと、それから、地元の大学の教員であるということで、とりあえずまとめ役といいますか、進行役というようなことでこの場に立たせてもらっています。それは地元の責務かなと思っております。
ただ、内容に関しては皆さんのご意見を聞きながら進めたいと思います。5年というのは割とあっという間に過ぎてきてしまったなという感じがあります。前回の見直しの時も、その5年間というのは、なかなか評価しづらかったのですが、今回もそういうことで、今までの振り返りをするということが「見直し」ということだと思いますし、先ほども言いましたように先を見るということだろうと思いながら、ぜひ皆さんのいろいろな今後の展開の仕方というようなことを踏まえて、ご意見いただいて、何かいい形でまとめて方向づけをしたいなと思っております。よろしくお願いします。
(石渡副会長)
石渡です。私も地元で働いて、地元で住んでという人間です。福祉の仕事も横浜も含めて県内で30年くらいやっておりますので、今日お集まりの当事者の委員の皆様にはいつもお世話になっていますし、本当に心強い方々がお集まりなので、先ほど河原委員が情報やコミュニケーションについてまだまだ進んでいないとおっしゃったのですが、やはりそういうところをしっかり見据えながら、検討ができたらと思っています。どうぞよろしくお願いいたします。
(事務局)
ありがとうございました。それでは、これからの進行は大原会長、よろしくお願いいたします。
(大原委員)
それでは今日の議事の一番が今終わったところですので、議題の2ということで、条例の検討項目及び論点についてというざっくりとしたテーマですが、これから、この会議で何をやるかというようなことを皆さんと確認をして、ご意見を自由にもらうというのが恐らく今日の趣旨だと思います。
それでは議題2というのに入るところで、一応皆様に一つお諮りすることがありまして、代理出席の方が1名いらっしゃいますけれども、委員ご本人の代理ということですので発言権を付与したいと思います。よろしいでしょうか。
〔異議なし〕
(大原会長)
それでは代理出席の方に発言権を付与したいと思います。出席の方、皆さん発言権がありますので、ぜひ忌憚のないご意見をお願いしたいと思います。どうぞよろしくお願いします。
それではこの議題の2ですね、条例の検討項目及び論点についてということです。若干資料もたくさんあるかと思いますので長時間の説明かもしれませんが、説明していただいた後、ご意見をいただくということです。大体一言ずつは何かしらご発言いただきたいと事務局も考えているようですので、時間の許す限り皆さんからいろいろなご意見をいただきたいと思っています。
それでは事務局から資料の説明をお願いします。
〔事務局より資料2、3-1、4-1、4-2、参考資料2から5に基づいて説明〕
(大原会長)
ありがとうございました。資料もたくさんあり、内容的にもいくつかあるのですが、まずは、質問のような形で、ご意見をいただきたいと思います。今の説明の中で、こういう点をもう少し聞きたいといったことがありましたら、まずご指摘いただければと思います。
(鈴木委員)
先ほどの建物の遵守率、適合率の部分なのですが、面積的な問題だとかいろいろなことがあって低いのかなと思ったりしているのですが、よくわからないのが、いわゆる公的施設として官公庁施設の遵守率が60%と低いのですが、ここが良くならないと、一般の方達は、そっちだってやってないだろうと言いそうな気がしています。90%とか、そういう数字ではない点に何か原因があるのでしょうか。
(事務局)
官公庁施設は守ってしかるべきだというご意見だと思うのですが、まだ一つ一つの具体的な事例まで分析しておりませんので、具体的な原因はよくわかっておりません。ただ、学校等で言えば、全部が全部公立ではないというところに理由もあるのかというところが一つです。
ただ官公庁施設について、おっしゃる通り、低い水準であるという点は事実であると思いますので、できれば次回までに具体的な事例を調べてみたいと思います。
(鈴木委員)
もし調べていただけるとすれば、私立の学校と公立の学校とで違いがわかればという点が一つです。それから、官公庁施設等で遵守率が悪かったとしても、この部分は人的な対応をして支援しているのだということが、ここでは読めないので、そういうことがあったとすれば、それはそれでハード面だけの適合率だけで考えなくていいのかなという気がします。そういった点が、可能ならばお願いします。以上です。
(事務局)
承知しました。補足で申し上げますが、国や地方自治体が建てる施設であれば、官公庁施設と扱われるというところがありまして、また、その対象規模がすべてのものでありますので、例えば、いわゆる市役所のような施設ではなく、本当に小さな施設といったものが、もしかしたらあるかもしれませんので、ご指摘いただいたように、建物の属性等も含めて集めて調べてみたいと思います。
(大原委員)
ありがとうございます。
(小野委員)
今の質問に関連して、福祉施設の協議件数が200を超えることに対して、適合率が4%、遵守率が6%となっています。私は少し知識不足かもしれませんが、一般的に考えて福祉施設がこういう状況になるということが少し理解できないので、その辺り詳しく教えていただければと思います。
(事務局)
福祉施設についてはご指摘の通り、全体が低い中でも少し低い傾向が見てとれるという状況ですが、福祉施設は法令に基づいて福祉施設と扱われるものと、その他類するものとして福祉施設として整備を求めているものの二種類あるかと思います。主観が入ってしまうかもしれませんが、もともと戸建住居であった建物を用途変更してグループホーム等にした場合も、福祉施設として扱われれば、規模にかかわらず、整備対象としておりますので、そういったところでどうしても元の建物の制約がある中で、多少は改修等で対応できるとは思いますが、規則で求めている基準までのものを全部整備するのが難しいであるとか、あるいは同等以上と扱えないのですが、人的な介護で対応するであるとかそういったケースもあるかと思います。平成26年度の時にもご意見として出てきた点が今回も出てきてしまうことになってしまうのですが、福祉施設の中で、守る気がなく破っているということは基本的には少ないのではないかと推測しています。ただ、先ほど申し上げたような、どうしても小規模な建物で用途変更した、あるいは小規模な建物を新築した場合に、例えばエレベーターを設けることが経済的、物理的に厳しいといったケースもあるようです。ただ、具体的な理由までは把握できていないところが実情でございます。
(小野委員)
やはり福祉サービスの内容が建物にも影響してくるところはあるのかと思います。どういう方々を対象としているかによって、建物の状況も変わってくるということがあるのではないかという印象を受けるのですが、ぱっと数字を見たときに、やはり他の方々が受ける印象としては、疑問を持たれてしまうということはあるかと思います。
少し話が趣旨と変わるかもしれないですが、福祉サービスは、障がいの種別を超えてサービスを提供するというところがあるので、やはり相談を受けに来た方々が、本当に障がいの種別を超えて、例えば基幹相談支援センターなどがバリアフリーになっているのか、そういった点の確認はやはり必要になってくるのかなという印象は受けました。
(大原委員)
ありがとうございました。少し記憶が戻ってきて、前回も確か1回目に遵守率・適合率の数字の低さに衝撃が走って、それをどうするかという点に集中したような記憶があります。今回もそうなのですが、私が思うに、一つは先ほど説明の中でもありましたが、新築と改築で違うだろうというのがあり、実際の新築の場合の協議件数に占める割合などが資料としてあったら教えていただけるといいかと。新築の場合はそれほど悪くはないのではないかと思うのですが、実態はわかりません。特に改築の場合など、学校に関しては、たくさんの建物の中の附属施設を少し改修するなど、例えば備蓄倉庫を変えるとかいうようなときに、本体のトイレなども全部改修しないと適合しなくなってしまうので、そういう話なども、いろいろ実は数字の裏にはあるのかとは思います。
なので、比較的自由にできるというと変ですが、既存の建物のしがらみのない新築の場合に、実際どのような感じなのかということを聞きたいと思うのですが、今わかりますか。
(事務局)
細かい情報まではないのですが、単純に新築と新築以外での比較した数字は手元にありまして、新築の場合の遵守率が17%程度、新築以外の場合ですと10%程度というような差があります。実際は様々な要因が絡んでくるかと思いますが、一つ一つの用途や規模等まで含めて考えていない中で、新築とそれ以外の二種で分けたときの結果はその程度ということになっております。
(大原委員)
わかりました。それ程ではなかったと。
(秋山委員)
今おっしゃっている適合率や遵守率のところは、法律制度をどういじるのかということの琴線に触れる部分だと思いますので、どこをターゲットにして、どういう操作をして水準を上げていくのかというその辺りにポイントをひとつ絞るのも、ありかと思います。むしろ、守られなかったところがどういう理由で守られなかったかを明らかにすることによって、かなりレベルを上げることができるのではないかと思いますが、いかがでしょうか。
(河原委員)
遵守率の問題ですが、資料4-1の5ページ、4の(1)のアで、「事前協議のときに、もう内容や設計が決まってしまっているので、変える事ができない」という話がありますが、これでは事前協議の意味がないと思いました。いつまでに事前協議をやらなければならないのか、その辺りがはっきりしているのかどうか、いつまでと決まりがあるのかどうかを確認したいと思います。
それからもう一つ、適合していなくても特に罰則がない。ということは言われても、それを無視してそのまま進めてしまっても特に何もないということなのでしょうか。そのあたりも確認したいと思います。
(秋山委員)
今の点に関連してなのですが、まちづくり条例で行くケースだと、その場合最終的にやらなくてもいいということになると思います。ところが、バリアフリー法に基づいた規定にする場合には、必ず守らなくてはいけないので、そこはクリアできるはずです。そのあたりの条例でやるのか、それとも法律でやるのかということの判断もかなり重要かと思います。
それからもう一つは、事前協議の水準はよくわかりませんが、その事前協議がかなりねちっこくやるのか、さらっとやるのかという点で、どうすれば遵守率を上げることができる事前協議ができるのかという、そのあたりの努力はあり得るのかどうか、そこもあるのかと思います。以上です。
(事務局)
いくつかご質問がありましたので、お答えいたします。まず、事前協議をいつ行うのかという点の規定なのですが、施行規則上で、確認申請が必要なものにおいてはその申請をする日の30日前までに協議することを求めております。確認申請の必要がないものについては、新築等の工事に着手する日の30日前までに事前協議書により協議することを求めております。
もう一点ご指摘のあった、事前協議で不適合があった場合という点ですが、バリアフリー法の対象となっていれば確認申請の中で法の基準は審査し、当然クリアするであろうということですが、それと別の流れで実施していただいている、県条例に基づく協議では、県の独自の条例の基準について、窓口の方で相談・協議があった時点でチェックをしつつ、改善を促すのですが、実際に窓口の方でどのようにやっているのか、どこまで辛抱強くやっているのかという詳しい現状までは把握してはおりません。何度か相談・協議していただきますが、最終的には特に罰則等はなく、事前協議を終え、確認申請が必要ものについては別途確認申請の手続きがあり、民間の検査機関に行くこともあるかと思いますが、その後工事に着手するということになり、県の条例の基準を守らないことを理由に確認申請が下りない、ということはないということになっています。
ただし、秋山委員からもお話がありました通り、条例の第4章で定めております、法に追加している事項等については、守らない場合は違法建築物になります。
(鈴木委員)
さきほど30日前という規定が二つほど出てきたのですが、設計士の皆さんからすると、役所から、もう少しこうして欲しいと言われた場合、それを直そうとすると、恐らく施行主や施主から「いやそんな無理だろう」と言われてしまい、板挟みなのだろうと思うのです。なので、30日という期限が妥当なのか、遅いのではないか、例えばこれが90日だったら、もう少し設計の変更もできる等、そういった日数的な点について、建築の方々のご意見を伺いたいのですが。
(山口委員)
実務として普段やらせていただいております、山口でございます。私もこの数字を見て愕然としました。私の中ではもう当たり前に守っていますので、こういう方がいるということにすごくショックを受けています。
今、まず日数のお話で30日というお話がありました。これが確認申請の例えば30日前という考え方でいくと、実質的には間に合わないです。指摘の内容にもよりますが、例えば、30日前に、大きく大きさが変わるとか、何か廊下の幅などと言ったら、これを変えるというのは建物の計画に影響してくる話です。それを30日前に変えるということは、最初から全部考え直すというようなところまで、いかなくてはいけない場合も想定されます。そうすると当然オーナー側からすれば、今頃何を言っているのだという話になります。ですので、全部がそうとは思わないですが、この数字を見ますと、先ほど県の方から小規模の案件の数字が少し厳しいという話もあったのですが、この資料4-1の4ページの規模ごとの適合状況を見させていただくと、先ほどご指摘のあった福祉施設や、不特定多数大勢が集まる商業施設、店舗、それから複合用途施設というのが下の方にあります。この辺りを見ると2000平方メートル以上という案件がかなり不適合となっています。我々の感覚からすると2000平方メートル以上というのはそれなりの大型の建築物になります。ですので、この規模でこの数字という原因等についても私も少し知りたいです。
全部がこれ全く守っていないという話ではないのではないかという気はします。普段実務をやっていますので、みんなが守っていないというスタンスで、やっていないというのは少し想像がつかないのです。
また、先ほどもう一つお話がありました新築と改修の話です。これについては、最近、実務としても新築よりも改修が増えてきています。当然、新しいものを作る時代が少し終わりまして、再開発などは大きなものを作っていますが、街の中で建て替えていくというのは、どちらかというと既存の建物を何とか利用しようというお話が増えています。それは皆さんも社会的に感じていらっしゃると思いますが、そうすると当然そこには、構造的なできる、できないという話が出てきます。
それから、もっと言ってしまいますと、今ここに出ている件数というのは、恐らく申請をしっかりと行っている人たちだけの数字です。していない人も当然いると思います。やらなくてはいけないことをわかっていない人が多いのです。例えば建築士事務所が入らず、リフォーム屋さんだけがやります、工務店さんだけでやってしまいます、となると、この規定そのものがあまり理解されていない場合があります。という含み数字を考慮すると、もっと厳しい話になってくると思います。こいうことが、改修が増えてくるということを考えると、物理的な話としては非常にシビアな状況に今後なっていくはずです。
申し訳ないのですが、不愉快な話ばかりしてしまいました。
(秋山委員)
率直な疑問で2000平方メートル以上の福祉施設が協議を25して、22が不適合となっていますが、これは法律で決められている施設で、もし既存不適格というところを作っても不適格になってしまっているというのは一体どういういうことなのか。それとも、改修ばかりが出て運悪く数字が上がらなかったということなのか。どうしてなのだろうという非常に不思議な数値だと思います。
(事務局)
この不適合というのは県独自の第三章の基準についての結果なのですが、2000平方メートル以上の福祉施設218中200が不適合という中で、2000平方メートル以上も多いというご指摘の中で、この25中の22の内訳の詳細までは本日持っておりません。先ほど官公庁施設等について調査するということもありましたので、こちらについても、少なくとも詳細を把握したいと思います。
(大原委員)
今の話に関連して、この後の(4)で基準を満たしてない整備項目というのがあり、具体的にどこで引っかかっているかというのが、もう少し見えてくるとよいかと思います。99%適合なのだが、1点で不適合になっているというのがあるのではないかと、優しく考えるとそのようにも思います。
そういった点はもう少しわかりませんか。ここに挙げられているのは、一番が便所と書いてあり、350件なので、相当これが引っかかっているかと思いますが、便所というのは例えばどういうケースで不適合となっているのでしょうか。例えば福祉施設でいうと、保育所とかにオストメイト対応設備を設置しないであるとか、そういうことでしょうか。
(事務局)
申し訳ないのですが、一つ一つの不適合理由として、オストメイト対応設備がないのかであるとか、幅が足りないであるとか、そもそもみんなのトイレを設けていないのかといった詳細のデータまでは本日取り揃えておりません。
ただ、補足で申し上げますと、施行規則改正の中で、保育所、幼稚園におけるオストメイト対応設備の設置については基準を緩和しております。後ほど参考資料3をご覧いただければと思いますが、保育所についてオストメイト対応設備を設けないということで不適合となっていることはないかと思います。
(秋山委員)
この表を見ると誤解を生むというか、こういった資料を作ってはいけないようにも思います。
ただ、この資料があることによって、もう少し詰めて分析をしなくてはいけない点がわかりましたので、これがまずスタートラインかと思いました。
(河原委員)
事前協議についてですが、建築設計書を作るときに、もちろん担当者はいろいろな法律を見て、それに合うように設計していると思うのですが、それでも条例に合わないということは、条例があるということを知らなかったということもあるかと思います。よくわからないのですが、設計担当の人は県のバリアフリー街づくり条例があるということを知らないまま設計してしまったのだとすると、条例そのものの問題というよりも、存在のPRが足りないのではないかと思います。今までどのように、この条例に従って造るようにということのPRや指導をしてきたのか、そういった点をお伺いしたいと思います。
(事務局)
初めて条例として事前協議制度ができたのが平成8年頃ということもありますので、条例の存在を建築士向けにPRするという点で言えば、この直近数年間で言うと積極的には行っていないということはありますが、過去に平成8年に福祉のまちづくり条例が制定された時であるとか、平成21年度に、福祉のまちづくり条例からバリアフリー法の委任規定も加わってみんなのバリアフリー街づくり条例に改正された時には、パンフレットも作成したと思いますし、建築士向けの説明会等も開催したと記憶しておりますが、具体的にどこまで行ったかという点については調べさせていただければと思います。
(長島地域福祉課長)
今のご質問で、この条例には3章と4章、県が自主的に設けている規定と、バリアフリー法の付加事項として設けている規定の両方がありまして、設計する際に第4章の方は守らないと建築確認がおりないので、これを設計される方がご存知ないということは恐らくほとんどないと考えております。一方で第3章の方は先ほども話題になりましたように罰則規定がないものですから、恐らく様々な理由で第3章のすべての基準は守れないという事は承知の上で事前協議に臨んでいらっしゃる方が多いので、こういう結果になっているのではないかと思います。先ほど秋山委員がおっしゃったように、たくさん守らなくてはいけないことがある中のどこが守られておらず、誰が守れていないのかという点を我々の方で少し分析をしまして、その結果、遵守率を上げるために基準を下げるということをするのか、それとも望ましい姿というのはこれだから、遵守率そのものにはこだわらずに、遵守率は徐々に上げていけばいい、という考え方もあるかと思いますので、そういった点を含めて今後議論させていただきたいと思います。
(大原委員)
資料についてもう少し詳しく知りたいということもありましたが、今の話の中ではいくつか事前協議の方法などについてももう一度考えるなど、基準そのものというよりも、プロセス、手続きについて何点か意見がありましたので、その点は今回、見直しのポイントとして考えられると思います。一つ一つの基準については施行規則であったり、このガイドブックであったりと話が細かくなってしまうのですが、今回は事前協議の仕組みという点も重要かと思います。
そこで、私が一つお聞きしたいのは、官公庁の場合は確認申請ではなく、計画通知を内部でやるかと思います。その場合はこの30日ルールというより、恐らくもっと前にやっているのではないかと思いますが、その点から、これぐらいの規模だと大体何日前に協議を開始するとうまくいくのではないかといったノウハウのようなものはないでしょうか。
(事務局)
事務局の建築指導課でございます。計画通知の場合も、発注者が公的機関というだけで、設計事務所に委託して建物の設計をしますのでプロセスとしてはあまり変わらないのですが、官公庁発注の場合には、当然条例に適合することを目指して設計するということはやっているかと思います。遵守率が低いというのは、先ほどおっしゃった通り、小規模な倉庫であるとか、そういうものもかなりこの数字の中に入っているかと思います。
先ほどの30日という点ですが、やはり設計も余裕がないケースが中にはかなり多いので、どうしても30日ぎりぎりになって提出というようなケースも多々あるのではないかと思います。
(大原委員)
その点がどれぐらいなら十分だとか、具体的な数字というのはまだわからないということでしょうか。
(事務局)
先ほどもお話があったとおり、やはり設計の見直しが相当必要となれば、とても1ヶ月では間に合いませんので、設計する段階から適合するという前提で進めていかないと何ヶ月あっても時間としては足りないのではないかと思います。
(大原委員)
ありがとうございます。私も長く神奈川県と関わっているのですが、昔の福祉のまちづくり条例の時には、実はこの30日という日数の規定がなく、事前協議という言葉はあったのですが、何の事前かという点がはっきりしていなかったので、結局着工までに1回相談すればいいといった運用で骨抜きになっていたということがあったので、その後この記述が入ってきたのだと思います。それでも一歩前進で来ているのだと思うのですが、今回改めて30日というのが適当かどうかという点も一つ検討する内容としてあるということだと思います。そういった点を次回までに資料等をお願いしたいと思います。
(秋山委員)
資料4-2の条例の検討事項で、2点目の「施設等の整備に係る基準について」ということで、(1)(2)が上がっていると思うのですが、これについて、恐らく公共交通機関の整備基準についていくつか新しいものが出てきていると思います。例えばWebデザインについて、今回法律で決まったことは、AA(ダブルエー)以上であるということです。AAというのはJISの指すAAですが、どういうものかというと、A(シングルエー)とAAとAAA(トリプルエー)という三種類あります。AA以上を守ること、100項目近くあると思いますので、その中で障がい者に対応した項目がAAである程度今回は行きましょうということになりました。AAAというのは、聴覚障がい者の手話を入れるなど、そういったもっとハードルが高いものになりますので、今回はそこまで行けなかったのですが、Webデザインというのはかなりそういう意味で基準として出てきました。
そして、ここの根本に、Webに対するアクセシビリティとユーザビリティの二つの概念があります。アクセシビリティというのは障がいをお持ちの人がアクセスできるということです。ユーザビリティというのは、アクセスできた上で使いやすいかどうかということです。この二つが満足して使えるということになります。例えば成田空港で実施しているやり方は、1年かけて視覚障がい者が使えるデザインをまず作り、その上で、一般の人のアクセシビリティをどう担保するか検討するという、かなり難しいことをやっていました。そうしないとできないのです。一般の人向けに作り、その後視覚障がい者向けに作り変えていくというのはかなりハードルが高いと思いますので、そういうデザインの方法をとっています。これは偶然我々のグループが議論しながら進めているところです。そういう意味でWebデザインというのが一つ法律に決まってきました。
二つ目は、赤羽大臣が法律を作ると言い始めているのですが、実際に恐らくソフト系の法律が策定されるだろうということです。例えば心のバリアフリーに関連するものが恐らく次の国会ぐらいには提案されると思いますので、心のバリアフリーについても視野に入れておいたほうがよろしいかと思います。これは、内閣官房で昨年から心のバリアフリーとまちづくりの委員会と二つあり、心のバリアフリーの委員会から発したものは小学校2万校の教育プログラムをやるであるか、また、企業の教育プログラムをやるであるとか、様々にすでに動いておりますので、これをどういう形で受けとめるかというのが、心のバリアフリーについてです。
三つ目は、全く世の中にまだないと思うのですが、見えない障がいということを考えたときに、認知症が上がってくると思うのですが、認知症に対するまちづくりや交通はほとんど0に近いのです。これに対してどのように取り組むかということが、神奈川県としてはいずれ課題になるはずですので、早いほどいいと思います。どう作るかはお任せですが、例えば一つの例として、バスでは通常千円札を入れるとおつりが出てくる、という仕組みではなく、千円札が全部両替されてその中から百何十円払うという仕組みですが、それができないという事例が上がってきています。それは認知症なのです。そういう事例をたくさん積み上げないと認知症の対策はわからないのですが、こうだよということが言えないという辛さがありますが、確実に困る人が増えてきていますので、それをどうするのかということが新しい課題として、イの「公共交通機関の整備基準」のところに対する対応です。
それから(2)の道路については、2012年に道路が市町村に移管されたといいますか、いわゆる地方分権によってそれ以来、道路の工夫が国ではやられていないのです。それぞれ独自にやっているのですが、国はようやく腰を上げつつあり、今年度中に会議を作ってスタートするようです。来年度議論されますので、9月までに間に合うものがあるのかどうかわかりませんが、そういう流れが道路にはあるだろうということです。公園については今のところ動きがないというところです。以上、かなり大事なところに来ておりますので、ぜひ、新しいものも取り入れていただければと思います。私が忘れているものもまだあるかもしれません。その他9月ぐらいに決まったことは、共生社会や理念規定について、いくつかあるのはもうすでに皆さん情報としてご存知のようですので、ここではお話しません。以上です。
(石渡委員)
今の秋山先生の話と関連してなのですが、見えない障がいということで認知症の話をしてくださったのですが、発達障がいの支援といったことも、今10人に1人とかというようなことが言われていて、大学等どこでもすごく対応に苦労しているのですが、似た点があるのではないかとお話聞いていて思いました。
それで、秋山先生最後におっしゃったのですが、このまちづくりやバリアフリーに関連する法律の動向ということで整理をしてくださって、国内それからいろいろな実際のレベルは整理してくださったと思うのですが、障害者権利条約を日本でも批准していて、差別解消法ができたことによって、特に公共交通機関の利用などに関していろいろな議論がされているのです。バリアフリー法の改正でもこの理念規定を設けて共生社会の実現や、社会的障壁の除去という点を入れたなどといった資料をいただいたのですが、やはり神奈川県の条例でもその辺りの視点をしっかり入れ込んでいただくとよいのではないかと思います。心のバリアフリーについて内閣府が検討しているという点はすごく関心があるところですが、神奈川県の今までの蓄積というのが、きちんと5年後を見据えてというように大原会長もおっしゃったのですが、そのあたりを整理しておくと、神奈川県の視点のようなものが明確になるかと思いました。
(秋山委員)
今の石渡委員に関連する話ですが、実は空港の人的支援のあり方というのを調べてきていました。これは視覚障がい者の誘導用ブロックの敷設に関連する重要な部分というように私は認識しておりますが、EUの空港のあり方というのは、空港の空ビル会社などが障がい者をしっかり誘導しなければならないと、エアラインに任せていてはまかりならんとなっています。理由としてはエアラインに任せた場合、例えばJALはすごくよくやるけれどANAは全然駄目だとか、こういう差があってはいけないからです。今は両方とも頑張っていますが、差があってはいけないという、これはIPC、インターナショナルパラリンピックコミッティーが作ったガイドラインの思想と一致するものです。そのガイドラインは東京2020ガイドラインにしっかり繋がれています。そして、今回の差別解消法の基本的な考え方は、かなり海外でも入っておりまして、そういう流れをどう取り込んでいくかということも併せてやることがかなり必要になってきているのだと思います。鉄道は今、見守りということで頑張ってやっていますが、そこが法制度にできてないのです。そういうこともございますので、大規模駅などは視覚障がい者の方がどう動くかということをその人の自立だけで任せるのは非常に大変なので、選択というレベル、例えばその人が自分で動きたいという選択と、介助を頼みたいという選択ができるようにするというような流れも将来的には考えたほうがよろしいかと思います。ここのEUの空港での対応人的支援のあり方、これについてアメリカはまた別の形でやっております。それは法制を全部まとめましたので、読んでいただければわかるかと思います。一応航空局と内閣官房とそれから安心生活科総合政策局、バリアフリーの本家本元には全部2時間ぐらいかけてお話はしています。残念ながらこれは日本のバリアフリーを担当する部署にはほとんどまだ伝わってないという状況です。これは最新のことです。
(鈴木委員)
今いろいろなところのお話があったのですが、交通機関に関して、私いつも感想を持っておりまして、特にホームドアだとか駅の整備については非常に計画ができて、順調に進んでいるなと思っているので、そこはそのまま取り組んでもらえばいいかと思っています。
先ほどおっしゃっていた心のバリアフリーについてですが、小中学校において、やはり最近福祉教育というのが少しおろそかになっている気がするのです。なので、そういった点と、あとやはり当事者が参加した上で小中高の福祉教育を充実させていくというのはどこかに盛り込まれないかなと思っています。学校教育のカリキュラムというか、神奈川県としてどう学校に働きかけるかというところと、最近バスやタクシーの乗務員の教育がものすごくよくなってきておりまして、いろいろなところで配慮がなされているなと感じています。
また、一般の方たちのバリアフリーの中で困っているのが、セルフレジの対応として、できない人たちに対する人的支援がどこかに欲しいということです。セルフレジであってもいいのですが、多分これは視覚障がいの方だけじゃなく、高齢の方など、いろいろな方でセルフレジがわからないという方が多いのではないかと思います。また、先ほど出ておりました駅での声かけサポートが非常に充実してきて、ここ1、2年で私なども1人で歩いているときに随分声がかけられてきたなと思っています。
終わりにですが、いわゆる情報のバリアフリーと先ほど河原さんいろいろおっしゃっていたのですが、特に選挙公報については、点字と録音と拡大文字というのがあるのですが、これが各市町村において確実に発行されてないという現実が先日調査をしてわかりました。それはまずいのではないかと思います。また、同じように、市町村広報紙のバリアフリー化も進んでいない現状が調査でわかりました。
あともう一つなのですが、母子健康手帳です。母子健康手帳の点字版があるようなのですが、ものすごく高く、実際に発行されていても各市町村にもない。それから、拡大文字というのもないですし、さらにはデータ版の母子健康手帳というのは、やはりこれから子供を産み育てていく人たちには重要なポイントだろうと思っていますので、そういった点は何らかの形で盛り込むことはできないかなと思っているところです。
(小野委員)
先ほどから秋山委員や石渡委員、大原会長のお話を聞いていて、感じているのは、心のバリアフリーという視点では先ほど秋山委員がおっしゃっていた公共のバスの料金の支払い方法などというのは、正直認知症の方々だけではなく、他の人たちのどのお客様もこれ面倒だなと思ったことが結構あったりするのではないかと思います。5年後、10年後を見越した場合に、もちろん当事者の意見を聞いて当事者が困ることから始まる困りごとということを拾い上げていくことは重要なのですが、すでに今差別解消法でも権利条約でも、個人の機能の障がいだけで障がいを見てはいけないという考え方があるのですから、そこから始まって、誰もが使いやすい発想ということを掲げていく必要があるかと思います。そういった意味で心のバリアフリーという視点では、いろいろなことを教育分野で養ってもらうということは重要なのですが、むしろ、車椅子に乗ってもらって、この人たち大変だなと思ってもらうよりも、こういうお金を払うときにこういう困り事があるよねとか、そういう発想力を養う教育の方が、これからは必要になってくるかと思います。車椅子に乗って「ここは凸凹で大変だ、みんな障がいがある人は大変だと思いました」と、これで心のバリアフリーが本当に養えるのかという印象があります。
だから、全員が困る困りごと、誰もが使いやすい環境は何なのかというアイディアを生み出せる発想力のようなものを養う教育、心のバリアフリーの教育の方が、私は、5年後、10年後を見越した場合に必要なのではないかと皆さんのお話を聞いて感じたところです。
(河原委員)
今のお話に似ていますが、これまでのバリアフリー街づくり条例の中身は、やはり物理的な面が多かったので、これからは、心のバリアフリー教育や、人的な支援、そういったことも入れ込めたらと思いました。それで、題名が「バリアフリー街づくり」という題名なので、これだと皆さんがものを作ることだけと思ってしまうので、この際、条例の名前を変えることも考えたらいいのではないかと思いました。
それともう1点、目的のところに「安心して生活し、自分の意思で自由に移動し、及び社会に参加することができる」とあり、これはいいのですが、最近では災害が起きていますし、災害が起きても安心して避難することができる、移動することができるということも考えていったほうがいいのではないかと思いました。というのは、聴覚障がい者は普段は特に移動にも困りませんが、災害が起きたときにどうすればいいのか情報がなくて困るということが多いのです。どこかの新聞に載っていたのですが、避難所に指定されたところに障がい者が行ったら、全く障がい者のために作られていなかったので、避難してもそこにいることができなかったというような話もありますので、やはり災害が起きたときに、障がい者が避難してきてもしっかりと対応できるような設備を初めから整えておく、特に災害が起きた時に避難所になることが想定されている場所にはこういう設備を最初から作っておくということも、この条例の中に盛り込んで考えていったほうがいいのではないかと思いました。
(大原委員)
ありがとうございます。時間があと15分程度ですので、まだご発言されてない方はぜひ何か一言ずつお願いします。
(滝澤委員)
いろいろご意見いただいて、先ほど秋山先生からも丁寧な説明がありましたが、国のバリアフリー法もかなり改正され、そうした動きの中で、感想めいたことを申し上げますと、先ほど話が出ましたように、神奈川県の条例はどちらかというとハード面に少し偏っているところがあると感じます。バリアフリー法の改正の中ではソフト面がかなり入ってきております。私、交通系の団体でございますので、参考資料5の9ページ見ていただくと非常にわかりやすいと思いますが、概要のところで新しく基本理念が入ってきております。国及び国民の責務ということで、ここで明確に何をすべきかということがはっきり記載されております。そして交通事業者はかなり厳しい対応を求められております。具体的にはハード、ソフトの一体的な取組みをやってくださいということです。ハードにつきましては、これまでかなり整備し、進んでいるところでございますが、さらに一歩進み、ハード対策に加えて、駅員による旅客の介助ですとか、職員の研修等のソフト対策をしっかりやってください、そして交通事業者は、毎年度のバリアフリー対策について計画を作り、その計画を公表し、その後報告をするという義務づけがなされております。事業者にとっては大変な作業となってきています。神奈川県の条例の見直しにつきましても、こういったことを踏まえて見直すとよいのではないかと思います。
(小山委員)
先ほどお話しいただいたセルフレジについてですが、私どもはやはりセルフレジをたくさんのお客様が使っていただくにあたって、なかなか難しかったので今、セミセルフレジ、お会計だけをそちらでしていただくということを広げてはいます。おっしゃっていただいたように、おそらく今進んでいる駅での声かけサポートとかそういうところまでは至っていないのだなということを改めて思いましたので、実態をもう一度確認して心のバリアフリーというところ進めなくてはいけないなと改めて思いました。
認知証の話も先ほどあったと思うのですが、やはり今ハードな面だけでなく、ソフトな面も含めてのまちづくり、人と物理的なものをみんなで作る、誰も取り残さないという理念のもと行うまちづくりということの考えのもと、先ほど河原委員がおっしゃったように、この条例の名称もユニバーサルデザインというわけでないのですが、少し変えていくということも検討したらどうかということはすごく賛成です。
(吉富委員)
神奈川子ども未来ファンドでは2018年からいじめストップキャンペーン、ワールドキャンペーンというに取り組んでおりまして、神奈川県内でキャンペーンを広げようと今非常に頑張っているところなのですが、そのキャンペーンを実施しようと思い立ったのは、私どもは子供に関わる現場を持っている人たちですとか、子供に興味関心のある方たちが集まって、作っており、また、今の子供たちの様々な課題に地域で取り組んでNPOへ寄付を集めて助成をするという団体なのです。その寄付の助成先として応募してくる団体を見ていますと、その時々の課題が非常に多いのです。最近は外国籍の子供たちを支えるNPOが非常に多いのです。それから子供たちの貧困です。そうした中で、いろいろ私も子供たちの人権作文の審査に関わったり、小学生や中学生と関わることが多いのですが、その中で感じるのが、いじめの一番奥にあるものが、自分と違うものを差別したり排除したりする思想ということなのです。それが多様性を認め合う神奈川になろうということで何が一番子供たちにとって受け止めやすいかということを考えたときに、そのカナダから発祥したそのピンクシャツデーキャンペーンだったのです。これがすごくすんなりと入ってきていて、多様性、自分とは違う人達への尊重ということを考えてくれるきっかけになるかなということで取り組み始めたのですが、本当にそれが今とても大きな広がりを見せてきて、子供たちもいろいろなことを考えてメッセージを寄せてくれたりしまして、また、まずは大人たちがその一歩を踏み出して、自分たちも多様性を認め合う地域を作ろうというスローガンといったものを子どもたちに示すことが大事なのかなとすごく感じています。本当に心のバリアフリーが一番の解決方法になると思います。子供たちへの教育ということを、先ほどおっしゃっていましたが、本当にやわらかい心のうちに、1人でも多くの子供たちが、自分とは違う人達の尊厳を認めるということがとても大事なことだということを気が付いてくれればいいなと思って活動しております。そうしたことも、条例の中に何かこう入れていけたらありがたいと思います。
(西川委員)
今までの皆さんの意見を聞かせていただいて、不適合が余りにも多いということは、資料4-1の4ページ目にありましたが、整備項目の中で、現状でオストメイトがついてないですとか、細かい項目の中の一つ二つが抜けていて不適合になっているものがかなりあると思います。ソフト面というよりもハード面でこういったものがないというだけであって、これみんなソフトの面でカバーできるものではないかと思っております。ですから、適合、不適合の部分に関しても、全部を調査するのは大変だと思いますので、これは大きな面から見まして、大体皆さんの意見もあったように、ハード面はほとんどクリアされているので、あくまでもやはりソフト面の方から話を進めていった方がいいのではないかと思いました。
(長田様)
戻りましたら金子会長に報告するつもりではありますが、本日いろいろな見直しにあたってのご意見が出ました。そのことは漏れなく伝えるつもりですが、恐らくこのテーマは地域福祉課だけで到底処理できないような問題もあるので、この会議の中で優先順位を付け、何が一番大事なのかという整理も必要になるのではないかと感じましたので、金子に申し伝えます。
(大原委員)
ありがとうございました。概ね予定していた時間が来てしまいます。本当に簡単には整理できない、いくつかの視点が出てきたと思いますので、記録をもとに整理して、課題をまとめたいと思います。特に、物理的な整備だけではなく、心や意識だとか、そちらの方に向いていっているというのは確かに了解できると思いますし、皆さんの同意が得られやすいかと思います。
あとは具体的にどのようにやっていくかということで、例えば今までもこの検討会議と、推進会議などの検討の成果の一つとして、今回の資料にもあると思いますが、例えば老人ホーム等の入口周りでいわゆる誘導用ブロックがたくさんあって、そこですべって転んだというようなことがあるということで、緩和という形ではありましたが、出入口から中の受付までの間の誘導用ブロックに関しては、そこに人的な対応ができる場合に限って、緩和されるということとしました。これは結構画期的な取組みであったと思っています。基本的に建築物をチェックするところで、人的な対応をしっかりと保障するということを代わりの対応策として保障した上でそれを認めていくという、そのようなことも入ってきているというのは、神奈川のやり方としては結構画期的なやり方かと思います。先ほどからお話のあるようにハードとソフトを上手く入れ込んでいくということの実は一歩を踏み出してきているのではないかとも思っています。
ということで、ぜひ、この条例でできる範囲、具体的にどのような形で条例に盛り込んでいくかということまで、この検討会議では進めていきたいと思いますし、今日挙がった心の問題ですとか、心のバリアフリーを特に育てるというような点でどのようにすればいいかという話ですとか、実際に見えない障がいを見えるようにしていく、そのために、これは教育の話とも関連すると思いますが、先ほど発想力という表現がありましたが、想像力を書き立てるというようなことも重要だとか、いくつか方向性が出て来て、特に情報をどのように伝えるかですとか、どのように気持ちを喚起するのかといったテクニックというのがハードなのかソフトなのかわからない、その中間を結びつけるような情報というようなところの課題というのが、これからますます重要であると感じています。少し抽象的な言い方になってしまったのですが、それをどのようにこの条例に落とし込んでいくのかということがこれからの課題かと思います。ついでに言うと、県の役割というものを少し考えていったらいいと思います。かなりの部分がそれぞれのコミュニティの問題だったり、それぞれの実際の事業者さんの話だったりとなりがちなのですが、県がそれをどうサポートしていくかというような話も、実際考えたらいいかと思います。
時間がないので言うのかどうか迷ったのですが、ブラックジョークの一つとして聞いてもらいたいのは、今、適合証を出していますが、不適合証というものを出すともしかしたら効果があるのではないでしょうか。
そういうことも含めて、何らかの方法でこの適合、不適合の問題等も情報でどういう形で皆さんに浸透させていくかという点なども皆さんと考えていきたいと思います。
少し余計なことも言ったかもしれませんが、1回目は頭出し、課題出しということで多くのご意見をいただけましたので、事務局の方でもぜひこれを整理して、次回、展開させていければと思いますのでよろしくお願いします。では、時間ですので、事務局の方にお返しします。
(事務局)
会長、副会長それからの委員の皆様ありがとうございました。本日出たご意見を整理させていただいて、資料としてまとめてご提供させていただければと思います。
2点ほど事務連絡でございます。まず、本日の配付資料ですが、条例本文などもありますので、次回の時もお持ちくださるようにお願いしたいと思います。もし次回まで使われないという場合には、机の上にそのまま置いていただければ、我々が保管して次回お持ちするようにいたします。
次に、次回の会議の日程と場所につきましては、今後日程調整させていただき、決まり次第お知らせしたいと思います。
それでは、本日はご多忙中ご出席いただきましてありがとうございました。これをもちまして令和元年度第1回神奈川県みんなのバリアフリー街づくり条例見直し検討会議を閉会させていただきます。
資料3-1 条例の概要(ワード:37KB)
資料3-2 神奈川県みんなのバリアフリー街づくり条例(ワード:29KB)
資料3-3 神奈川県みんなのバリアフリー街づくり条例施行規則(ワード:74KB)
資料4-1 条例の運用状況(ワード:45KB)
資料4-2 条例の検討事項について(ワード:22KB)
参考資料1 検討会議傍聴要領(ワード:19KB)
参考資料2 条例見直し調書(平成27年度作成)(ワード:21KB)
参考資料3 条例施行規則の一部改正について(平成29年施行分)(ワード:59KB)
参考資料4 整備ガイドブックの一部改正(平成29年10月1日施行)(PDF:247KB)
参考資料5 関係法令等の動向について
【PDF版】
【テキスト版】
このページの所管所属は福祉子どもみらい局 福祉部地域福祉課です。