「教えて!かにゃお先生」@関東学院大学 実施結果

掲載日:2018年2月25日

平成27年(2015年)7月14日(火曜日) 10時40分から12時10分
関東学院大学 金沢八景キャンパス Foresight21・ 201教室にて

参加者

  • 「経営と社会1」受講生約70名
  • (株)えと菜園代表取締役、NPO法人農スクール代表  小島希世子氏
  • かにゃお、県NPO協働推進課

講座概要

かにゃおの活動について

かにゃおについて説明

「多様な主体による協働型社会の実現」を目指し、SNS等を活用して企業の社会貢献活動やNPO活動を発信している「かにゃお」の取組みについて、県NPO協働推進課職員が説明しました。

株式会社えと菜園とNPO法人農スクールの取組みについて
小島希世子 氏

 小島氏の講話

 株式会社 えと菜園について

えと菜園では、「つくる・たべる・まなぶ」をテーマに、農薬・肥料を何も加えず、自然の力だけで野菜を作っている。100年後の自然や人間、次世代に命を繋ぐ活動と考えている。最近の農業では、種は種苗会社から購入して栽培するが、えと菜園では畑で種を採種して栽培を行っている。

熊本県からの有機栽培の農産物、こだわりの農産物を直接届けるネットショップを行っている。消費者とのつながりが、農家さんの「もっといいものを作ろう」というやる気につながっている。

藤沢市にお客さんと作る直売所「くまもと湘南館」を開いている。

食べるものが、どのようにできて、口に入るのかを五感を使って知ってもらえるよう、農業体験も行っている。農業体験は、企業の研修やメンタルケアとしての受入れもしている。屋外で農作業をしていると、気持ちがいい。苦手な上司のいい面が見えて、人間関係がうまくいくようになった、などの効果も上げている。

農業を志すきっかけ

私は熊本県の農村地帯で育った。両親は教師で家にあるのは小さな車一台だったが、近所の農家さんにはかっこいい農機具があって、農家さんにかっこ良さを感じて育った。小学校低学年のとき、餓死していく子どもたちがいる食糧難の発展途上国のドキュメンタリーを見て衝撃を受けた。家の食べ物をあげられないかな、と親に話したら、遠くの国に食べ物を送っても途中で腐ってしまうかもしれない。あなたが大きくなって将来、海外に行ってそこで食べ物を作ってあげたらどうか、とアドバイスされ、農業を志すことに決めた。

農業が抱える問題

農作物の卸売会社で働らく傍ら、農家になりたいと熊本で相談すると、皆に農地もないし無理だと言われる。なぜ無理なのか、無理な点が解決できれば農家になれるのではないかと思い、無理な点について教えてもらうと主に3つの点が問題であることがわかった。

 1つ目は農産物が1キロあたり何円の世界だということ。味や見た目にこだわって作った作物も、大量につくることだけで作られた作物も一緒にされて重さだけで値段をつけられる。こだわって作るほど損をするということだった。

 2つ目は価格を決めるのは、農家でなく市場だということ。現場でかかったコストを積み上げて作物に価格がつけられない。経営の見通しが立てられずに苦しいということだった。

 3つ目は食べた人のありがとうが聞けないということ。食べた人はどの農家さんが作ったものか知る事ができないから、おいしくてもありがとうと言ってもらえない。

農作物を食べるのも人であり、作るのも人である。未来の農業は安全な食卓を一緒に支えられる関係が必要だと感じた。問題の解決方法がえと菜園の事業内容や農スクールの活動につながっている。

    NPO法人 農スクールの活動について

農業界の人手不足と故郷の空家問題を年々耳にすることが多くなり、農業界と働きたいホームレスを繋げたら、みんなハッピーになれると思いつく。ホームレスの人に農業に触れてもらって、本当に農業がやりたい人に地方に行ってもらう取り組みを始めた。 

最初は周囲の人に不可能だといわれた。行政で取り組んでもらえばと思い、農林水産省や厚生労働省に相談に行ったが、縦割りでできないといわれ、それなら自分でやってみようと思い、2008年にチーム畑を立ち上げる。畑を借りてホームレスをアルバイトで雇い働いてもらった。

    2011年に藤沢に移ったが、ホームレスの中には自暴自棄だったり問題をかかえ、希望が持てない状態の人が多かった。話をしていくうち、共通の糸口として、1つ目に自分に存在価値があると思いたい、2つ目に他人に認められたい、3つ目に人の役に立ちたいということが見えてきた。この3つを満たすのに一番の近道は働くことと感じた。

    農作業をして、種をまいた、野菜が育ったという経験が、自分への自身を取り戻す。畑で土に向き合うと人間以外の生き物、昆虫などに出会う。生きているだけでいい、ただ一生懸命生きている昆虫などに触れて、自分自身を見つめなおす場になっている。青空の下での共同作業は、人を開放的にしコミュニケーションが生まれる。また畑が居場所になる。人は野菜を育てながら自分自身を育てている。私には人を変える力はないが、隣にいて人が自分で自分を変えていくのを目の当たりにして、それがやりがいになっている。

    聴講するかにゃお

これからの活動について

     当初は無理といわれたが、2014年から農林水産省と厚生労働省がコラボして縦割りを超えた農業への就農の取組みが始まるなど、取組みが広がっている。詳しい話は「ホームレス農園」という本にして出版した。自分が関われる人数は限られているが、取組む人が増えてくれば社会が変わっていく。私は福祉分野の人間ではない。農業が抱える問題を解決していこうと取り組んでいるだけである。食料と職業について、これからも人々が農業で幸せになる道を探していきたい。

学生との質疑

質問:子どもの頃、海外で農業をしたいという夢があったと思いますが、これからの人生設計があったら教えてください。

小島氏:今の仕事を50歳まで続けて、50歳から60歳までに砂漠で栽培できる作物を研究して、60歳になったらそれを持って海外で農業をしたいと考えている。

質問:ホームレスに直接声をかけるのはリスクがあると思ってしまう。人対人で関わるのに何が大事ですか。

小島氏:人生や社会についてホームレスのおじさん達に教えてもらった。本気で接していくことが大事だと思う。

アンケートから

農業を中心にホームレスやニート、生活保護者に向け、活動しているのがとてもすごいし、社会貢献がすばらしいと思った。

「作る」だけでなく、その土地のものを食べられるような活動だったり、一緒に学びながら活動できる場がとてもいいなと思った。

自然の力を借りて栽培する方法を取り入れているので、地球にやさしいと思った。

農家直送のオンラインショップを作ることで、農業をやる上でのデメリットを解決することができて、すごいと思った。

昨年、NPOでインターンをしており、改めて人をつなぐ活動などNPOならではのできることがあると感じた。

意外に気軽に参加できること。もともとNPO活動に興味があったので今回をきっかけに参加してみようと思いました。