「教えて!かにゃお先生」@東海大学実施結果

掲載日:2018年2月25日

平成26年(2014年)11月19日(水曜日) 17時から18時30分
東海大学湘南キャンパス15号館にて

参加者

  • 東海大学チャレンジセンターの学生 22名 
  • (株)ファンケルCSR推進事務局 蜷川絵美氏
  • (株)ファンケルヘルスサイエンス 戦略推進本部広告宣伝・PR部 岩本浩昭氏
  • 県NPO協働推進課

講座概要

かにゃおの活動について

かにゃおの取組みについて、NPO協働推進課から説明しました。

企業の活動紹介
(株)ファンケルCSR推進事務局 蜷川 絵美氏 (CSR活動について)

ファンケル1

ファンケルのCSR推進事務局の蜷川と申します。今日は、ファンケルの社会貢献活動の取組みをお話しさせていただきます。

皆様はプロジェクトを推進するリーダーが多いのでしょうか。今日は社会貢献の全体的なことをお話しした後に、ファンケルで、「ファンケルクラシック」という社会貢献のゴルフ大会をやっていますので、そのリーダーをしていた者から、プロジェクトの進め方についてお話しさせていただきたいと思います。

最初に会社の紹介です。

ファンケルは、化粧品とサプリメントを主な事業としています。本社は横浜市中区です。製造から販売まで、全て一貫して自社で行っています。1980年に創業し、今年で35年目です。従業員が1052名、直営店が全国に約160店舗あり、売り上げ構成比は、主に化粧品が約60パーセント、健康食品が約30パーセント、発芽米・青汁などが約10パーセントになります。

様々なタイプの化粧品がありますが、全て無添加で、添加物を一切使っていません。特に敏感肌用のFDRラインはお医者様と一緒に開発しました。健康食品では、サプリメントの他、発芽米、青汁なども販売しています。テーマとしては、美容と健康を軸にやっています。

企業理念として「不の解消」があります。不というのは、世の中の不満や不安、不便などを見つけて、それを解消して商品やサービスにしていくということです。

化粧品のはじまりを少しお話しすると、当時の化粧品は添加物がたくさん入っていて、化粧品を使うと肌が荒れてしまうという化粧品公害が社会問題となっていました。創業者の池森賢二の奥様も化粧品の肌トラブルに悩むひとりでした。池森は女性をきれいにする化粧品を使うことで、女性の肌が悪くなっていくのはおかしいのではという正義感に駆られ、添加物が一切入っていない無添加の化粧品を思いつきました。当時池森は異業種のガス会社で働いていたのですが、専門家に相談したところ、添加物が入っていない化粧品なんかありえないと言われてしまいましたが、諦めずに何度も自分で考え、7日間で使い切るような小さな小瓶に入れたら、無添加の化粧品ができると思いついて、それを成し遂げました。それが無添加化粧品のはじまりです。それ以来ファンケルは添加物を一切使わない無添加化粧品を貫いています。

サプリメントも同じように世の中に不便があり、当時サプリメントはとても高価なものでした。安価で誰でも続けられるサプリメントを開発しようと、ファンケルの健康食品が生まれました。ファンケルの事業は全て不を解決するところに基づいています。

CSR活動についてお話します。CSR活動も全て不の解消が根本にあります。世の中の不便を解消していく、利益に結びつかなくても、社会をよくしていくという思いがあります。一般的にCSRは何かというと、Corporate Social Responsibilityの略で、社会のルールを守って、ステークホルダー(会社をとりまく人々全て、お客様や株主様、取引先様、従業員、社会、自然環境も含め全て)と共存して、信頼を得る活動がCSR活動です。私が所属しているのが、CSR推進事務局というところで、11名でCSR活動を行っています。CSR活動は世界的には10年くらい前から、企業は自分の利益追求だけではだめだと言われていて、社会のことを考えない企業は評価が低くなっています。グローバルコンパクトという基準があり、ファンケルもその基準に基づいてCSR活動を行っています。

「ファンケルレポート」に活動内容がまとまっています。環境や社会貢献以外にも、従業員の働きやすい職場環境づくりや、最近は女性の活躍しやすい会社が評価されることもありますが、これもCSR活動の基準に基づいて企業は努力しています。特にファンケルが力を入れているのが、地域貢献とハンディキャップの方々に対しての社会貢献活動です。

他にも、寄付とか環境に特に力を入れています。具体的には、本業で化粧品とサプリメントを扱っている会社ですので、「ファンケルセミナー」といって、地域の養護学校や高齢者の施設でメイクをして差し上げたり、メイク教室を開いています。2011年の東日本大震災以降は、被災地支援活動を継続して行っています。実際に東北へ行ったり、神奈川県に避難されている方に対して、ハンドマッサージやネイルケアをしています。

また、従業員参加型の寄付活動をしています。給料から天引きで寄付活動を行っていて、寄付したい団体を従業員からあげてもらい、そこに対して寄付を行います。約85パーセントの従業員が参加しています。

目の見えない方は容器の区別がしにくく、化粧品が使いづらいですが、「タッチマークシール」という、識別するための凹凸のついたシールの開発をしています。従業員の中に目が見えない方が3人いまして、その方々と一緒に取り組んでいます。

環境に対しては、平成25年に、環境大臣表彰を受賞しました。主な取り組みは、工場や研究所の電力を抑えるほか、従業員の家庭で光熱費を下げて、家庭でも自然環境に対応していこうということを全従業員でやっています。

(株)ファンケルヘルスサイエンス 戦略推進本部広告宣伝・PR部 岩本浩昭氏 (ファンケルクラシックについて)

ファンケル2

「ファンケルクラシック」というシニアのプロゴルフトーナメントを主催しています。このゴルフ大会を実施するにあたって、社内でプロジェクトを組んで準備をし、大会当日を迎えます。皆さんは学生の中でプロジェクトを組んだり、企業の方と折衝したりと様々な活動をしていると伺いましたので、CSR活動とプロジェクトの運営管理方法を絡めながらお話したいと思います。また、事前のアンケートから、プロジェクトの進行管理のコツや、メンバーのモチベーションを上げる方法についてなど、たくさんの質問をいただいているので、この質問内容にお答えする形で話しを進めていきたいと思います。

ファンケルクラシックは、今年で14回目を迎えました10回目を迎えた時に、メディアの方や社内向けに大会の趣旨や活動内容を理解してもらうための記念映像を作りました。この映像には、従業員やボランティアさんにインタビューした生の声も盛り込んでいます。まずはこの映像をご覧ください。

いかがでしたでしょうか。これは、自分たちのやっていることを分かりやすく、魅力的に伝えていくための方法のひとつかと思います。社内外に向けて、こんな活動をしているとPRできる映像を、短編のものや長編のものなど数パターンを作って、使い分けをしていました。皆さんは、自分たちの活動を、外部に対して告知したり、企業とコラボレーションしたりと、色々なことを行っていると思います。外に向けて情報を発信することも大切ですが、実は仲間(生徒)や大学の先生といった「身内」にもPRすることが意外と重要です。自分たちの味方をつくる。そのためには何をしたら良いか?を考えながら進めていくと、プロジェクトが運営しやすくなると思いますよ。

さて、ファンケルクラシックは「シニアの元気は日本の元気!!」というテーマを掲げたシニア世代を応援する社会貢献活動です。大会がスタートした2001年は、バブルが崩壊して日本経済が停滞し、日本社会の高齢化が叫ばれていました。もちろん若者がしっかり支えていかなければいけませんが、シニア世代が元気になることで、日本の経済がどんどん良くなるのではないか、そんな考えのもと、ファンケルではシニアトーナメントを開催しました。元々化粧品が主力の事業ですので、レディースのトーナメントをするのが一番よかったのかもしれませんが、あえてシニアの大会を開催し、シニアプロが活躍する姿を見た同年代のシニアに元気になってもらいたい。大会にはそんな想いが込められています。

環境に配慮した大会運営も特徴のひとつです。今はカーボンオフセットと言って、中国の内モンゴル地区で、風車をまわして電力を作っているのですが、その電力を買い取ってファンケルクラシックで使った電力分を相殺するという取組みや、募金活動で様々なところに寄附したりとか、社会貢献を兼ねた大会ということになります。

次に、ファンケルクラシックプロジェクトがどんな組織図になっているのかお伝えします。皆さんのプロジェクト運営の参考になればと思います。ファンケルクラシックプロジェクトは全体を統括する部門として事務局を設置しています。そして、事務局の下部組織として、宣伝活動を行う広報宣伝チーム、プロアマトーナメントの運営を行うプロアマ戦・前夜祭チーム、社会貢献活動を企画・実行する社会貢献チーム、社内にファンケルクラシックプロジェクトの活動を広報する社内PRチームの5つのチームを作っています。

また、事務局の中に、経理担当、購買担当、物流担当、ファンケル従業員500人のシフトや宿泊、交通などを管理するメンバーがいます。それをリーダーでの私が統括する組織図です。なお、私の上には事務局長として、ファンケルの執行役員がいます。

このファンケルクラシックは少し特殊で、私は会社では課長などの役職はついていませんが、ファンケルクラシックにおいては私に大きな権限が与えられています。プロジェクトのメンバーには課長もいて、通常の業務譲渡は逆転現象が起きることもありますが、これはファンケルクラシックを通じた人材育成という視点があるからです。プロジェクトリーダーは、大会当日に手伝いに来る、約500人の従業員、約700人のボランティアや企画の管理・運営をしていく必要があります。マネジメントや、イベント運営に関わりながら、人や組織、関係会社をどう動かすかということを教えてもらいました。

皆さんのプロジェクトも、きっとほとんどが今年で終わりではないと思います。皆さんが卒業した後、後輩に引継がなければいけませんので、その時のためにどう人を育てるかを考えながら人を育てるための組織を作って、人を育てるための役割分担をしなければいけません。

少し遅くなりましたが、私の自己紹介をいたします。私はファンケルに入って8年目になります。大学を出て、一度社会に出ました。その後、会社を辞めて大学院に行き、新卒でファンケルに入社をいたしました。ファンケルクラシックには、入社1年目から関わっていて、1年目は大会当日のお手伝いメンバーとして会場に行きました。2年目からは、プロジェクトに入り、3年目でチームリーダー、4年目からは事務局に入っています。

今年は、私の個人的なミッションとして、今まで培った経験をサブリーダーに伝えていくという、人材育成がありました。皆さんのプロジェクトは多いところで50人以上、少ないところでも10人以上いると伺っています。リーダーはその50人をマネジメントし、リーダーでない人はプロジェクトの一員として組織を運営していくことになると思いますが、リーダーの方はぜひ、どの人がどの仕事をしたら一番能力を引き出せるかを考えながら、役割分担をしていただきたいと思います。

ただし、人材育成という観点で考えると、必ずしも適材適所に役割分担をしないという方法もあります。例えば社外の人と話をするのが得意ではない人を渉外担当にしても、最良の結果は得られないかもしれませが、来年その人にプロジェクトを任せたいと思っていたら、あえて渉外担当を任せるという人材育成の方法もあると思います。全体のバランスを考えながら人を育てる意識を持ってプロジェクトを進めていくと、皆さんのやっているプロジェクトがより大きく発展していくと思います。

次に、ファンケルクラシックのスケジュールについてお話しします。大会は8月に開催され、終わったら1ヶ月おいて、検証ミーティングで全ての検証をします。お客様は何人来たか、企画立案した施策で何人がファンケルのお客様になってくれたか、お配りしたものの反応はどうだったのか、お客様の声はどうなのか、混乱はなかったか、けが人はいなかったのか等、いろいろな検証をします。検証が終わったら、それを元に次の事務局体制の構築を始めます。そして、12月か1月に新しい事務局を発足させます。その後、社内からプロジェクトメンバーを集め、プロジェクトをスタートさせるスケジュールです。その後、大会に関わる色々な企画の立案、準備をして実行、大会が終わったら検証するということを行っています。

皆さんのプロジェクトにも何らかの目標があると思います。目標から逆算して、いつどの段階で何をすべきかを考えながらスケジュールを立てていくと良いと思います。スケジュール管理は大変で、スケジュールが管理できないと、たぶんプロジェクトはうまくいかないでしょう。我々は、スケジュール管理表のフォーマットを作り、各チームに提供して入力してもらいます。それを事務局が見て、進捗具合を管理・把握しています。

この仕組みにより、どのチームがいつまでに何をしなければならないかがはっきり分かります。この管理がしっかりと行われないと、制作物ができてない、企画が立案されたものの、準備が進んでいないとうことになりかねません。このスケジュール管理を可視化させる作業は、本当に労力がいるので、きちんと入力してもらうように、再三指示を出すのも事務局の仕事です。

もうひとつ、この仕組みの良いところは、次年度に全くこの仕事をしたことのない人でも、スケジュール管理表を見ると、いつまでに何をしなければならないかが一目で分かることです。したがって、スムーズに引継ぎが行えます。学生の皆さんと違って、社会人は転職しない限りずっと同じ会社にいるので、人から人に引継ぎができますが、学生の皆さんは基本的に4年間で卒業します。プロジェクトを運営するのは大体4年生の1年間だと思いますので、運営することに精いっぱいで、直接引継ぎができないこともあるかもしれません。しかし、スケジュール管理表を作って毎年毎年更新していけば、スムーズに引継ぎができると思います。

何かをしようとすると、大抵の場合は締切のギリギリになってようやく本気で動き出します。逆に言えば、ギリギリにならないとなかなか本腰が入らないのです。ですが、ギリギリになるとやりたいことの全部はできません。「時間がないからこれでやるしかない」ということになりかねませんので、学生のうちからしっかりとしたスケジュールを立てて、常に早め早めに動くクセを付けておくと、社会に出てからきっと役に立つと思いますよ。

今お話しした、進行管理のコツ、目標を立て締切を設定すること。つまり、いつまでに何をやらなければならないかをしっかり設定し、それを自分だけではなく、担当している方々がしっかり認識することが大事です。

次に、ファンケル社内の話しではなく、協力会社との折衝に関する話しをいたします。皆さんのプロジェクト運営に当てはめると、企業の方への協賛依頼や、他団体との交渉に関わる話しです。我々事務局の役割としては、社外との調整と折衝、交渉があります。ゴルフ大会ですので、競技としてゴルフを進行しなければいけませんが、我々は素人なので、ゴルフ大会を運営する会社に協力してもらっています。また、広告宣伝活動においては、プロのPR会社や広告代理店にも協力してもらっています。このように、事務局は他の協力会社さんとの交渉や調整も行っています。

プロジェクト内にある社内の各チームから、企画内容を進めるにあたって「これを発注したいがどこに依頼すればいいか?どの会社に相談をすればいいか?」などいろいろな話しが出てきます。こういったファンケル以外の会社が関わってくる場合、事務局が内容を把握していないと、プロジェクトが思わぬ方向に進んでいきます。管理できていないと、大会のテーマに沿わない内容になりかねないので、事務局で一元管理をしないといけません。そのために、我々は「質問依頼表」というフォーマットを作っています。各チームで協力会社に質問がある場合は、必ずこの表に入力してもらいます。入力してもらうことで、事務局が一度目を通すことができます。わざわざ社外に話ししなくても、社内で解決できるもの、つまり皆さんに当てはめると、去年やっていた人に聞けば答えられることや、自分で答えられることがあれば、わざわざ誰かに確認しなくても自分達で答えを出すことができる仕組みにしています。社外の協力会社にお願いしなければいけない場合、確認しなければいけない場合は、この表をそのまま送り、入力して返してもらいます。こうすることで記録としても残りますし、後で見返すこともできます。

同じように、社外の協力会社からの質問や依頼もこの表に入力してもらいます。社内外ともに、直接話してしまえば早いので、毎回入力するというのは手間になりますが、この1つの表作ることで、いつ・誰が・誰にどういったことを依頼しているか、どういったことを質問しているかを、全員が共有できる仕組みになります。

なお、「社外の方とコミュニケーションをとるコツは何ですか」という質問がありましたが、ただ単純にこれをよろしくとお願いするのではなく、一緒に考えることが大切だと思います。一方的にお願いするのではなく、一緒に考え、一緒に物を作っていけば、相手の方も本気でやってくれると僕は思っています。例えば、予算がこれしかない。この中で何ができるか。どうしたら一番良いものができるかを腹を割って話す。相談することで、「一緒にやっている」という感覚が生まれ、信頼関係を築くことができます。これが社外の方とコミュニケーションをとって良いものを創るコツだと思います。

また、皆さんが企業の方に何かをお願いする場合には、「これをやってくれたらあなたの会社にこんなメリットがあります」というのをきちんと明示できるかが大切です。企業は常に利益を求められるので、メリットがなければなかなか首を縦に振ってくれません。皆さんの活動に協力することで、企業としてどんな良いことがあるのか、きちんと明確にしてお伝えすることが大事だと思います。ファンケルにも様々な話しが来ますが、私たちの学園祭にブースを出してもらえれば、こんなに良いことがあります、ファンケルのターゲットがたくさん来ます、そういったメリットを明確にして話しをしてもらえると、検討しやすいのです。

続いて、チーム間の調整のコツについてです。皆さんもメンバーから色々な課題や調整事が出てくると思いますが、基本的にメールや電話で済ませないということが大事です。結局、仕事は「人対人」ですので、「○○さんだから協力してあげよう」と思ってもらうことが大事です。そのために大事なのは、直接相手の所へ出向いて、きちんと顔を合わせて話しをする、という当たり前のことが一番大事だと思います。

続いて、皆さんのプロジェクトをより意味のあるものにするためにはどうしたらよいのか、というお話しをします。例えば、皆さんが行っているプロジェクトと似た活動をしているプロジェクトが、世の中にあるかもしれません。その団体とどう差別化するかを考えなければなりません。ファンケルクラシックの一番大きな特徴は、家族で楽しめるゴルフ大会であるという事です。この大会は、約2万人のギャラリーが来場し、国内のシニアツアーではダントツの来場者を誇ります。2001年の第1回大会では2,000人ちょっとのギャラリー数でしたが、10年かけて2万人が集まる大会に成長しました。どんなことをしたのか。それは、ゴルフに興味がない方でも楽しめる大会にしました。ファンケルクラシックを開催する静岡県のゴルフ人口は限られていて、ゴルフ好きの人を集めても限界があります。そこで、ゴルフをしない人、興味がない人にも来てもらえる大会にするという発想です。ゴルフ観戦にいらっしゃる方の多くは中高年の男性です。ファンケルクラシックは、毎年お盆前後に開催するので、家族で来場してもらうための施策を充実させて来場促進を図りました。例えば、お母さんはファンケルのお肌チェックコーナーに、お子様はミニ縁日や動物ふれあいコーナーがある子供広場に、そしてお父さんはゴルフ観戦やプロの愛用品が手に入るチャリティオークションに、と家族で楽しめる企画を充実させることで、国内屈指のシニアツアーになりました。家族で楽しめる大会をというコンセプトにしたことで、他のゴルフ大会とは大きな差別化を図ることができました。

最後に、私が学生の皆さんに伝えたいことをお話しします。プロジェクトリーダーの方には、自分がどういうリーダーなのかをしっかりと認識することが重要だと思います。これは私の自論ですが、リーダーには3パターンあると思います。1つ目がメンバーをぐいぐい引っ張っていく人。多少強引でも自分が先頭に立ってぐいぐい引っ張っていくタイプです。2つ目は、周りに目を配り、調整しながら進めていく人。全体のバランスを取りながら物事を進めていくタイプです。3つ目は、自分が前に出るのではなく、メンバーを前に出して物事を進める人タイプのリーダー。僕はこの3パターンだと思います。

自分がどういうタイプなのかしっかりと認識すること。自己分析をして、自分のタイプに合ったプロジェクトの進め方をしていくのが大事です。さっきも言いましたが、何をするにも最終的には人と人です。「あの人のためならがんばってあげよう」、「大変そうだから手伝ってあげるよ」と思ってもらう。そう思わせるために、自分がどうしたらよいかを考えながら行動してください。プロジェクト進行時は意見が衝突しても、目標を成し遂げた時に「たくさんケンカしたけどやって良かったね!」とお互いに思えればいい。そういう人間関係をいかに作っていくというのが、組織を動かしていく一番の秘訣だと思います。そのようなことを意識しながら進めていけば、うまくいくのではないかと思います。そして、それは最終的に人を喜ばせることに繋がると思っています。

学生とのディスカッション

議論

学生

ボランティア活動を行っているプロジェクトのリーダーをしています。プロジェクトの目標を設定する場合に、明確な数値化の方法や意識するポイントはありますか。また、人材育成について、期待をされたくないタイプの人をどう育てて、役割を与えればよいでしょうか。

蜷川氏

CSR活動をやっていて、数値化はすごく難しいです。数値は2パターンあって、環境分野であれば、環境負荷の数値を抑えていく目標が立てられます。ボランティアは、メンバーのモチベーションを上げるための数値だと思うので、自分たちでとにかく設定してみることです。ただ大事なのは、数値目標を達成したことに目が向いてしまうと、人がどう感じたかを忘れがちになるので、まずはどれ程喜んでいただけたか、そこのバランスをリーダーは見失ってはいけないと思います。

岩本氏

ファンケルクラシックは、来場者数という明確な数値があるので、人が集まればとりあえず目標達成となりますが、来てくれた人が本当に楽しんでくれたかはわかりません。一つの手法ですが、ボランティア活動に参加してくれた方にアンケートをとって点数化しています。そうやって、出てきた数字の平均点を上げるということを目標にしてはどうでしょうか。人材育成についてですが、その人はなぜそのプロジェクトに参加したのかがポイントになると思います。何か目的があって参加しているはずなので、そこをリーダーとしてまず把握する。できるだけその目的に沿った仕事を与えることです。そして、いきなり大きな仕事を与えると大変なので、徐々に負荷を与えていけばよいのではないでしょうか。また、ある程度の負荷がかかってくると、その人がやらないと何かが達成されないはずで、普通の人であればそれはまずいと思ってがんばるはずです。また、人の性格や特徴など適正に合わせて仕事を振り分けるのも大切です。最初は自分が一緒になって仕事をしていき、徐々にその人に任せる仕事割合を大きくしていくことも方法の一つだと思います。

学生

ケンカをしても、最後よかったとなればいいと仰いましたが、そうならない場合はどうすればよいでしょうか。リーダーやみんなの前ではイベントが良かったと言っても、本音を聞くとそうでないことが多いです。

岩本氏

不満はつきものです。私が言った、やって良かったという意味は、大変だったけれど終わったら良かった、達成感があった、そういう意味です。イベント自体の良し悪しとは違います。一瞬でも、最後にやって良かったと思ってもらえればそれで良いのではないでしょうか。

学生

私はもっと改善したいのですが、みんな言いたいことを隠してしまいます。

岩本氏

終わったあとに検証の場はありますか?ファンケルクラシックは、終わった後1ヶ月は検証期間です。検証は面倒なのでみんなやりたがりませんが、これをやらないと問題点が出てきませんし、改善点も出てこないので、次につながりません。そういった場を設けて、PDCAのC(check)の部分を明確にする場を作ってみるといいと思います。

学生

ファンケルクラシックは、2001年から始まって、お客さんが増えているのがわかったのですが、毎年同じ企画をしているのではなくて、新しい企画を毎年行っていると思います。お客様からニーズはどうやって探しているのですか。

岩本氏

方法はいくつかありますが、一番分かりやすいのは、お客様アンケートです。その結果を検証ミーティングで担当のチームにフィードバックしています。もう一つは、従業員500人、ボランティア700人に直接聞けば、現場の声が上がってきます。直接出向いてヒアリングも行っています。

学生

プロジェクトで社会貢献活動をやっているのですが、発足当初はメンバーのモチベーションが高かったのですが、今は少し下がっている現状があります。企画をやる上で、モチベーションは常に高い方がいいのか、ある程度下がってもいいのか。また、下がったモチベーションをどう上げればよいでしょうか。

岩本氏

常に高いことが理想ですが、私自身も下がるときもありますし、忙しくなってきたり、中だるみの時期はメンバーのモチベーションも下がってきます。そのときに、何のために活動をしているのか、目標は何なのか、もう一度再認識させるといいでしょう。何かをやりたいからそこに参加していると思うので、夢をもう一度膨らませる場を設けることが必要です。また、自分(リーダー)がやる気があることを常に見せるのも大切です。私もモチベーションを常に保っているわけではないので、それを見せないようにしています。また、メンバーに対してこまめに声をかけるようにもしています。メンバーを見かけたら足を運び、例え些細なことでもモチベーションが下がりきる前に声をかけることが大事です。リーダーが自分を見てくれていると思ってもらいましょう。

学生

来年のプロジェクトのリーダーに任命されたのですが、リーダーをやる自信が持てません。自分が仕切っていく上で、問題が起きたときにメンバーがついてこなくなったらどうしようと思ってしまいます。

岩本氏

リーダーは、何でも自分でやる必要はありません。メンバーを支えつつ、メンバーに支えられるような関係を作るリーダー像もあります。それに、任命されたと言う事は、あなたにリーダーの資質があるということです。自分が来年誰かに任せようと思った時、できないと思う人には任せないでしょう?大丈夫。自信をもちましょう。また、今後皆さんが下級生に組織を引き継いでいく時に、できるだけリーダーにプロジェクト内の他の役職につく人の人選を任せた方がよいと思います。可能であれば、その人が運営しやすい組織体制を作れる環境にする方がいいです。

学生

すごく仕事が好きそうに見えますが、働きたいと思うスイッチは何ですか。

岩本氏

つらいからこそ得られる達成感、充実感があります。極端な話、社会人だと食べていくために仕事をする部分もありますが、小さな喜びがたくさんあると思います。プロジェクトの中にはいろんな学部の人が集まっていると思いますが、プロジェクトに参加していなければ出会っていなかったはずですし、気が合う人に会えただけでも価値があります。私もファンケルクラシックをやっていなければ話しをしなかったと思われる社員がたくさんいます。人とのつながりができることも、プラスになるということを見つけていければいいと思います。

学生

企画をして人を集めようとする時に、興味を持ってもらうためのポイントはありますか。

岩本氏

メリットの部分を強調して、この活動に参加すればこんないいことがありますと、分かりやすい言葉で伝えていくのが一番肝心です。そして、伝えるメッセージは少ないほうがいいです。一番言いたいこと、伝えたいことをフォーカスして、端的にわかりやすい言葉で伝えていけば広がります。

学生へのアンケートから

  • あまり企業の社会貢献活動について調べたことがなかったので、今回の講義では、企業の社会貢献活動について詳しく知ることができた。
  • 他プロジェクトの質問がこれからの活動に活かせることがたくさんあった。
  • リーダーとしての姿勢に対する考えを聞けたことで、今までの自分の姿勢を見返すことができた。
  • これからリーダーになる人材に必要な能力を知ることができ、プロジェクトに対するモチベーションが変わった。
  • 学生をしていて普段企業とかかわる機会があまりないので、とても良い機会でした。ディスカッションでは、学生とはまた違った視点でアドバイスを下さり、とても感謝しております。
  • とても興味深い話だったので、これからのプロジェクトに活かしていけそうです。プロジェクト活動を行っていくうえで、必要なことを話してもらったので、とてもいい経験になりました。
  • 時間が経つのを忘れてしまうほど集中できる内容だった。企業の内側を知る機会がなかったので、別の企業も聞いてみたい。