「教えて!かにゃお先生」@関東学院大学 実施結果

掲載日:2018年2月25日

平成26年(2014年)10月21日(火曜日) 10時40分から12時10分
関東学院大学 金沢八景キャンパス 7号館 201教室にて

参加者

  • 「経営と社会II(ローマ数字の2)」受講生約100名
  • シュアールグループ((特非)シュアール、(株)シュアール)代表  大木洵人氏
  • 県NPO協働推進課

講座概要

 大木さんの講義に登場するかにゃおの写真

かにゃおの活動について

かにゃおの取組みについて、NPO協働推進課から説明しました。

シュアールグループの取組みについて
シュアールグループ 代表 大木洵人氏

 大木さんの講義の様子

 手話について

  • 確認されているだけで、世界に手話は126個あります。また、世界に手話者は約7,000万人います。
  • 私たちはこういった環境でビジネスを行おうとしています。

シュアールについて

  • 企業理念は、「聴覚障害者と聴者が対等な社会を創造する」です。聴覚障がい者と皆さんが同じ情報を得られる社会を創ろうということです。特にIT技術を使って進めています。
  • シュアールグループは2008年創業で、株式会社とNPO法人の2つから成ります。現在、社員は10人程度でやっています。
  • 創業したきっかけについて簡単にお話しします。私には聴こえない友人がいました。彼女には2歳のお子さんがいたのですが、お子さんが夜中の2時に倒れ、耳が聴こえないため119番できずにとても困ったと。結果的には近所の方が助けてくれたそうですが、そもそも、このような救急車を呼べない社会は怖いと思いました。こういった社会をなんとかしないといけないと思い、会社を興しました。
  • 「手話の通訳がいない」、「手話から引ける辞典がない」、「手話の娯楽が少ない」という問題に対して、遠隔の手話の通訳、手話キーボード、手話TV、手話ガイドの4つの事業を展開しています。前2つを株式会社で、後2つをNPO法人でやっています。
遠隔の手話の通訳
  • テレビ電話を使って、365日体制で遠隔の手話の通訳を行っています。手話の通訳士が6名働いていて、拠点は、藤沢市、川崎市、福岡市にあります。大きく分けて、設置型と電話型の2つのタイプがあります。
  • まずは設置型です。例えば、皆さんがコンビニ等で接客をしているときに、聴こえない人がいらっしゃった場合、皆さんは手話ができないので接客に困ると思います。その時に受付に設置してもらったタブレットなどを通じて、手話通訳者につながり、手話の通訳をしてもらえるという仕組みです。JRの東京、新宿、渋谷などの大きな駅の窓口に導入されています。
  • 次に電話型です。聴こえない人が電話をかけたいと思っても、耳が聴こえないので電話をかけられません。そこで、一度シュアールにテレビ電話をかけてもらい、シュアールがその手話を読み取り、シュアールから代わりに電話をかけるというサービスです。これで聴こえない人も電話ができるようになります。通常のコールセンターの、手話で通訳を行うものをイメージしてもらうと分かりやすいかと思います。
  • 震災などの避難訓練では、手話通訳者を事前に用意しておくことが多いです。しかし、実際に震災が起きた場合、通訳者を事前に用意しておくことはできません。そこで、佐賀県と契約して、佐賀県で震災が起きたときには、神奈川県の拠点からテレビ電話で通訳に入るというシステムを試験導入しました。
手話キーボード
  • 手話を知らない人にとっては、手話を見ても意味が分かりません。手話を使う人にとっても、その手話の意味が分からないということがあります。手話には「手の動きから日本語が引けない」という課題がありました。この課題を解決するために、手話のキーボードを作りました。SLinto.comというサイトです。手の位置と手の形から手話を検索することができます。手話のwikipediaを目指しています。
手話ガイド
  • 聴こえない人も観光に行きます。ガイドを聞きたいと思っても聞くことができません。そのような方たちに対して、鎌倉市にて、アプリでガイドするというサービスを始めました。聴こえない人も手話で観光ガイドが楽しめます。聞こえる人は音声を通じて、聴こえない人と一緒にガイドを楽しめます。
手話TV
  • 「手話ポッドキャスト」から変更して、2015年1月に再リリースするものです。聴こえない人がテレビを楽しみたいなと思っても、ニュースくらいしかありません。そこでオンラインの番組を作ろうということで手話のポッドキャストを作っています。

私が起業した理由

  • 手話に出会ったのは中学2年生のときです。NHKの手話の番組を見て面白いなと思ったのがきっかけです。14歳の頃は「国境なき記者団」にあこがれて、戦場カメラマンになりたかった。それから19歳までは、芸術大学志望で写真に打ち込み、アメリカにも1年間留学しました。帰国後、高校の最後の写真の大会では、関東大会で敗れ全国大会に行けず、慶應義塾大学の湘南藤沢キャンパスに進学しました。
  • 大学には最初、手話サークルはありませんでしたが、1年生の8月に、友人と2人で手話サークルを立ち上げました。いろいろな縁もあり、2007年12月の紅白歌合戦に一青窈さんの手話コーラスとして出演しました。そこで手話の娯楽が少ないということに気がつきました。手話の娯楽を作る団体を作ろうと、「手話ネット」(現:リンクサイン)という団体を作りました。助成金などをもらいながら、手話の旅番組を作りました。聴こえない人と旅をしながら、手話通訳の派遣が申請から2、3日かかるといった話を聞いたり、電車のアナウンスが聞こえないことの不都合さ等を目の当たりにしました。
  • そのような問題を知らなかった自分に怒りを覚え、その怒りは今も活動の原動力になっています。大学の「知的財産権とビジネスモデル」や「新事業創造ワークショップ」という授業を活用し、遠隔の手話の通訳と手話キーボードを作りました。
  • もともと「起業しよう」と思って生きてきたわけではありません。その場でやってきたことがつながって、今のシュアールになったということです。聴こえない人のために何ができるかと考え、動いてきた結果が起業だったということです。
  • 遠隔の手話の通訳、手話キーボード、手話TV、手話ガイドなどを通じて、聴覚障がい者が障がいを感じることなくチャレンジできる社会を目指して活動しています。

Q&A

「手話が美しいと感じた」という記事を以前ネットで拝見しましたが、そのように感じたのはなぜですか。
  • 明確に言えませんが、異文化を楽しむ環境にいたので、聴こえない人がもっている異文化も私にとってはアメリカ文化とあまり変わらない異文化だと感じています。何か新しいものを知るのは面白いと思います。皆さんが英語を勉強したときに、日本とは文化が違うと感じたと思います。手話と日本語では、英語と日本語の比ではないくらい言語的な違いあります。シュアールは「聴こえない人の支援をしている」とよく言われますが、個人的には、聴こえない人の文化と聴こえる人の文化があり、そのブリッジをしながら、私は手話を通じて異文化に入れてもらったので、逆にできることは、聴こえる人に聴こえない人のブリッジを、事業を通じて恩返しとして行っていると思っています。
手話通訳者などの人数などはどれくらいいますか。
  • 手話の資格は全部で4つあります。まず、「手話検定」で、趣味のレベルと言えます。累計で数十万人います。
  • 次に「手話奉仕員」という資格があります。これはボランティアレベルと言われています。
  • その次が「登録手話通訳者」といい、全国の現場で通訳を行っています。
  • 最後は「手話通訳士」という資格です。全国で3,200人いますが、実際に活動しているのは1,500人程度です。テレビの手話通訳や裁判での通訳などを行っています。
  • 全体的に、アメリカなどに比して、人口比で考えても圧倒的に少ないと思います。
手話がビジネスとして成り立つのでしょうか。
  • 普通に起業するよりははるかに大変だと思います。
  • ただ、今は「ソーシャルベンチャー」という言葉がありますが、クロネコヤマトも、創業時は、郵便局がやっていた事業を民間でやろうとしました。無理だと言われながらも、現在は物流の中心になっています。
  • シュアールの活動も同じではと思っています。今、行政がやっている手話の事業は、多くが税金でまかなわれています。そこでカバーできないものを民間で行うことで相乗効果が生まれます。
  • また、ニッチであるということも強みになります。ビジネスとして成り立つのか分からないとなると、その業界に入ってくる人が少なくなります。インフラ化することで生き残ることも可能だと思います。
設置型のサービスはこれからどんな場所にあると便利になると思いますか?
  • 駅等の公共交通機関や、県立の図書館等の行政の出先機関、金融機関などがあると思います。

アンケート結果から

シュアールに関する感想

  • 社会の課題に目を向けて取り組んでいる姿勢が素晴らしいと思った。応援していきたい。
  • 手話について深く考えたことがなく、大木さんの考えが新鮮だった。知らない人に教えてあげたいと思った。
  • 耳が聴こえる人が聴こえない人の気持ちを考えることはとても難しいことだと思います。しかし、大木さんはその気持ちを考え、耳が聴こえない人がもっと便利に過ごせるように様々な取り組みを行っていて、とても素晴らしいと感じました。

本講義を通じた意識の変化など

  • かにゃおの活動や、シュアールの活動など、NPOの活動の一部を見ることができたので、他にどのような活動があるのか興味を持った。
  • NPOについてもっと調べてみようと思った。