「教えて!かにゃお先生」@横浜市立大学 影山ゼミ 実施結果

掲載日:2018年2月25日

平成26年(2014年)7月2日(水曜日) 14時30分から16時
横浜市立大学金沢八景キャンパス理学系研究棟436教室にて

参加者

  • 影山ゼミ ゼミ生19名 
  • (特非)ディスカバーブルー 代表理事 水井涼太氏
  • (株)小田原鈴廣 マーケティング課長 小川典江氏
  • 県NPO協働推進課

講座概要

かにゃお先生の様子

NPOの活動紹介 
(特非)ディスカバーブルー 代表理事 水井涼太氏  

ディスカバリーブルー水井氏講義の様子ディスカバーブルーの理念は「いつまでもこの海と暮らしていくために」です。海の生物や生態系に対する知識を提供し、もっと一般市民の方々に海のことを知ってもらいたいと考えています。

実は、最初はNPO等を立ち上げるつもりはなくて、大学を出て(独)海洋研究開発機構で事務の仕事をしていました。そのときに、一般市民の方が海について全然知らないことに気付き、もっとちゃんと海のことを知らせたいなと思い、大学発のベンチャーとしてNPO法人を設立しました。

日本周辺は海洋生物のホットスポットと言われていて、約15万種の生物が生息していると推定されています。さらに海は、気候や資源に影響を与え、人類にとって必要不可欠な存在です。しかし、小学校の学習指導要領ですら、ほとんど海のことは扱われていないのが現状です。

  • 日本では、海の人への影響と、人の海への影響の相互関係の理解があまり進んでいません。最終的には、投票行動でそれらについて意思表示できるくらい、海のことを知ってもらうことが目標です。
  • 水族館はありますが、魚以外の生物も含めてきちんと海の生態系を知る機会はほとんどありません。そこで、観察会や小学校の出前授業、学習塾の夏の合宿に行ったりもしています。
  • また、神奈川県の「パートナーシップ支援事業」を通じて、いろんな企業とのマッチングもしています。猿島や城ヶ島で企業とコラボし、海を知ってもらうためのイベントを実施しています。
  • さらに、地域振興につなげるため、真鶴町で、町役場、遠藤貝類博物館、漁協、横浜国立大学、観光協会で協議会を設立し、様々ないろんなイベントやっています。神奈川県外からも参加者が来てくれますし、真鶴町に来る機会がなかった人たちが来てくれるので、町の観光促進になっています。

企業の活動紹介 
(株)小田原鈴廣 マーケティング課長 小川 典江氏

鈴廣小川氏講義の様子

今日、皆さんにお話ししたいことは3つあります。

私たちは神奈川県で商いをしています。魚を取って蒲鉾を作っています。自然の恵みを得ていますので、その素材を大切に使うということが1点。

2点目として、その資源を大切に使うために企業として何ができるか。

最後に、地域に根付いた企業として何ができるかです。

一つの蒲鉾を作るのに、5~6匹の魚を使っていますが、魚は白身魚の白身しか使いません。骨と皮と内臓などのアラが残ります。昔は、農家にアラを肥料として使ってもらっていましたが、今は臭いの問題もあり使えません。

  • そこで、鈴廣ではそれを肥料として加工しました。魚の残渣を捨てるのではなくて、「うみからだいち」という魚肥を作りました。この魚肥を作ることで、農家にしそを作ってもらい、そのしそで商品を作りました。そこで小さな循環が生まれています。 この循環で農家さんもうれしいですし、あとは運営しているレストラン「えれんなごっそ」の野菜は、この魚肥で育った野菜が使われています。
  • 鈴廣は来年で150周年を迎えますが、何が大切かというと、皆さんがずっと食べ続けてくれることです。ぜひこれからも愛し続けていただきたいですし、小田原という地域をもっと愛してもらいたいという想いをこめて、季刊誌を年4回発行しています。もっと多くの人に「小田原に行きたい、住んでみたい」と思っていただければ、蒲鉾は皆さんの食卓にずっとあがり続けると思っています。
  • 企業としては、売上げがないとやっていけませんが、売上げだけではやっていけないのも事実です。自然の恵み、魚があるが故の蒲鉾屋ですので、感謝しながらやっています。木があって、森があって、海がないと私たちはやっていけません。
  • 神奈川は海や水、山があります。地元の産物である蒲鉾をこれからも召し上がっていただきたいと思っています。企業としては今ある資源を無駄なく使い、皆さまに美味しいものを提供したいという思いで、これからも商いを続けていきたいと思っています。

ゼミ生とのディスカッション

ゼミ生とのディスカッションの様子

ゼミ生

小学校などで海に関する授業があまり行われていないとのことでしたが、その背景はなぜでしょうか。

水井氏

戦前は海軍があったので、海洋国としての教育もそれなりにあったのですが、戦後は抜け落ちてしまいました。社会全体として海に興味を持っていませんでした。学習指導要領だと「環境」などは明記されていますが、海の生態系については教えられていないので、学校の先生も海辺で何かやりたいけど、できないということが多いです。

影山先生

魚肥「うみからだいち」のお話がありましたが、蒲鉾を作るために出た廃棄物を使っているのですか。

小川氏

一種類の魚で蒲鉾は作れないので、何種類かブレンドしています。そのために使った生の魚を肥料にしています。
今までは、この肥料を農家の方に無料で使ってくださいとお願いしていました。農家の方に良いものだと分かっていただけたので、やっと最近販売できるようになりました。販売で得たお金をさらにエコスポットで利用して、企業と地域と一体になるように取り組んでいます。

影山先生

事業として回り始めたのですね。

影山先生

海の教育は日本ではなかなかないですが、子どもたちを川辺や海へ連れて行くとすごく喜びます。教育効果が高いので、学校とNPOがコラボしたりもしていますが、そういったリピーター効果のようなことはありますか。

水井氏

まず学校に関しては、昨年度助成をもらって県内の小学校などで12回600人やりました。今、いろんな学校からお話をもらったりしています。
真鶴町では、学校教育に関してはかなり浸透していると思います。

NPO協働推進課

学校から直接お金はもらっていないのですか。

水井氏

学校から直は難しいです。教育委員会はあまりお金がないので、民間助成金など他のところからお金をもらったりしています。

影山先生

企業からお金を得たりはしていないのですか。

水井氏

NPO法人を立ち上げて3年ほどなので、企業に行くにしても説得材料が足りないと感じていました。いろいろ積み上げてきて、ようやく説得できる段階にきたのかなと思っています。

NPO協働推進課

水井さんはなぜNPO法人を立ち上げたのですか。

水井氏

以前の職場は忙しかったのですが、異動したら別の誰かが来たりします。こういう生き方は面白くないなと思いました。
海が好きだったので、自分がやりたいことをやろうと思いました。特に起業をしようとは思っていませんでしたが、博士号をもって人に海のことを教える仕事ができればいいなと思ってました。

ゼミ生

NPOはお金を給料という形でもらえるのですか。

NPO協働推進課

株式会社とNPOの違いは、株主配当の有無です。NPOは稼いだお金を事業に回さないといけないだけです。タダ働き=NPOではありません。

小川氏

私は小田原生まれの小田原育ちで、中途採用で鈴廣に入りました。以前は製薬会社に勤めていましたが、アルバイトとして鈴廣に入り、今は課長になっています。
自分たちが作ったもので、お客さんが喜んでくれる感動がやめられなくて、どんどん新しい企画を作っていくうちに、今のところにいます。季刊誌の編集にも関わっていますが、小田原にこんなものがあったのかと気付くことがあります。

水井氏

地方密着という話がありましたが、東京への資本と人の集中に疑問を感じる同世代の人たちが多くなってきました。彼らが様々な地域を盛り上げています。
地方では「お金はいいから、楽しいことしよう」とか、「子どもを育てやすくしよう」とか、そういう雰囲気が生まれてきています。東京では消耗戦が待っているだけですが、地方にチャンスがあると思います。

ゼミ生へのアンケートから

  • 海のことをみんな知っていないという問題に気づき、具体的に実行に移していてすごいと思った。(NPOの活動紹介について)
  • 地元に根ざした活動を多く行っているのが分かり、循環がなりたっているのが分かりました。(企業の活動紹介について)
  • 職業観について勉強になった(ディスカッションについて)
  • NPOは何かを変えたいという志を持った人たちが情熱を持って行っているのだと感じました。(ディスカッションについて)
  • 自分も地元を活性化するためにいろいろやってみたいと思った。(ディスカッションについて)
  • 社会や職について考えなおす機会になりました。(全体を通じて)
  • NPO=ボランティアという概念が壊された。(全体を通じて)