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更新日:2024年3月13日

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同和問題に関する偏見や差別をなくしましょう。

同和問題(部落差別)は、ただその地区の出身という理由だけで、偏見や差別を受け、自由と平等が侵害される不合理な人権課題です。一人ひとりが同和問題(部落問題)について正しい理解と認識を深めましょう。

1同和問題(部落差別)とは2解決に向けたこれまでの経緯3同和問題(部落差別)の現状4県民ニーズ調査(平成30年)実施結果5部落差別解消法の施行6えせ同和行為とは7最近特にお問い合わせをいただく事項Q&A8パンフレット9関連リンク

1 同和問題(部落差別)とは

 同和問題(部落差別)とは、日本の歴史の中で、人為的に形成された身分制度に基づき、一部の人々が特定の地域出身であることや、そこに住んでいることを理由に、住居や職業、結婚などを制限される差別を受けてきたわが国固有の人権問題です。

 昭和40(1965)年の「同和対策審議会答申」では、次のように定義されています。

 いわゆる同和問題とは、日本社会の歴史的発展の過程において形成された身分的階層構造に基づく差別により、日本国民の一部の集団が経済的・社会的・文化的に低位の状態におかれ、現代社会においても、なおいちじるしく基本的人権を侵害され、とくに、近代社会の原理として何人にも保障されている市民的権利と自由を完全に保証されていないという、もっとも深刻にして重大な社会問題である。

同和問題と部落差別

2 解決に向けたこれまでの経緯

 明治4(1871)年に「解放令」が出て江戸時代の身分制度は廃止され、それまで被差別身分とされていた人々は、制度上は多くの武士や百姓・町人とともに平民となりました。しかし、多くの人々に身分差別の意識が残っている中で、被差別身分だった人々は、身分に伴って認められていた皮革加工などの権利が否定され、経済的に厳しい状況に置かれました。そうした状況の中で、差別から解放を求める運動が各地ではじまりました。
 その後、大正11(1922)年に同和地区の人々が自らの手で全国水平社を創設し、自主的解放運動が広がっていきましたが、戦後、基本的人権を保障した日本国憲法が昭和22(1947)年に施行された後も、部落差別にかかわる事件はあとを絶ちませんでした。
 この問題の解決をめざし、総理大臣の諮問機関として、同和対策審議会が設置され、昭和40(1965)年8月に「同和地区に関する社会的及び経済的諸問題を解決するための基本的方策」について答申が出されました。

 この答申に基づいて、同和対策に関する特別措置法が昭和44(1969)年から平成14(2002)年3月まで33年間にわたり施行され、生活環境の改善や教育文化の向上等を目的とした同和対策事業が推進されました。

Tips 「同和対策審議会答申」って?

 昭和35(1960)年に総理府の附属機関として設置された同和対策審議会が、「同和地区に関する社会的及び経済的諸問題を解決するための基本的方策」について内閣総理大臣から受けた諮問に対し、昭和40(1965)年に提出した答申です。

 この答申では、「同和問題は憲法に保障された基本的人権にかかわる課題である。これを未解決に放置することは断じて許されないことであり、その早急な解決こそ国の責務であり、同時に国民的課題である」として、その同和問題(部落差別)解決のための具体的方策を示し、その後の同和対策事業の指針となっています。

同和対策に関する関係法の変遷

同和問題(部落差別)の解消を図るため、これまで様々な法律が施行されています。

施行年 動き 備考
昭和40(1965)年 同和対策審議会答申  
昭和44(1969)年 同和対策事業特別措置法の制定

10年間の時限法

昭和54(1979)年

同和対策事業特別措置法の延長

(昭和57(1982)年失効)

(3年間延長)

昭和57(1982)年

地域改善対策特別措置法の制定

(昭和62(1987)年失効)

5年間の時限法

昭和62(1987)年

地域改善対策特定事業に係る国の財政上の特別措置に関する法律の制定(地対財特法) 5年間の時限法
平成4(1992)年

地対財特法の延長

(平成9(1997)年失効)

(5年間延長)
平成8(1996)年

地域改善対策協議会意見具申

 1 同和対策は一般対策へ移行

 2 人権教育・啓発に再構成

 3 人権救済制度の確立

 
平成9(1997)年

地対財特法改正法の制定

(平成14(2002)年失効)

(一部事業を5年間延長)
平成12(2000)年 人権教育及び人権啓発の推進に関する法律 制定 -
平成14(2002)年

地対財特法改正法が失効

同和対策に関しては、特別対策事業から一般対策事業に移行

-
平成28(2016)年 部落差別の解消の推進に関する法律 法令の有効期間を定めない恒久法

3 同和問題(部落差別)の現状

 同和対策事業の結果、生活環境面の改善などは一定の成果をあげることができましたが、かつての同和地区、被差別部落出身者等への偏見や差別は、現在もまだ存在しています。

 また、近年は、インターネットの匿名性を悪用した差別情報の掲載等の問題など、情報化の進展に伴って、同和問題(部落差別)に関する状況は大きく変化しています。こうした差別を解消するためには、県民一人ひとりが同和問題(部落問題)について正しく理解し、「部落差別は許されないものである」という認識をもつことが重要です。

Tips寝た子は起きる!

 「同和問題(部落差別)はそっとしておけば、このままなくなるのではないか」、「知らない人にまであえて伝えることは、差別を教えることになりかねない」という、いわゆる「寝た子を起こすな」という考え方があります。

 このような考えでは、同和問題(部落差別)は解決できません。明治4(1871)年に「解放令」(太政官布告)が出されてから約150年、昭和22(1947)年、基本的人権の保障をうたった日本国憲法が施行されてから80年近く経過した現在でも、「差別をしてはいけない」とわかっているのに、いまだ差別が現存しています。それは、事実を正しく伝えてこなかったり、多くの人々が「できることならかかわりたくない」「傍観者でいたい」あるいは「そのうちに自然になくなるから…」などとして同和問題(部落差別)と向き合うことなく、避けてきたからです。その結果、偏見や間違った考えが人から人へと伝えられ、差別が繰り返されてきたのです。無関心であったり、よく知らなかったりすると、社会の中の差別に気づかないばかりか、自分が差別的な言動をしてしまったことさえも分からなくなり、結果的に差別を助長することにもなりかねません。

 寝た子は必ず起きます。私たちは、同和問題(部落差別)を正しく認識するとともに、一人ひとりの心の中に差別を許さない心をしっかりと育み、人権感覚豊かな生き方をすることが大切です。そして、いつも相手の立場に立って考え行動する姿勢を持ち続けることが求められます。

4 県民ニーズ調査(令和5年)実施結果

設問1 県内での、同和地区出身者に対する差別についてどう思いますか。(○は1つ)

 「実際に見聞きしたこ とはないが、今でもあると思う」が35.6%で最も多く、次いで「実際に見聞きしたこともないし、 今ではないと思う」が17.9%であった。

同和地区出身者に対する差別意識

 

設問2 もし、あなたにお子さんがいて、そのお子さんの結婚する相手が同和地区出身者であると分かったら、どうしますか。(〇は1つ)

 「子ども の意思を尊重して結婚を認める」が43.7%で最も多く、次いで「結婚相手の出自(家柄)にはこだ わらない」が27.4%であった。

結婚に関する差別意識

5 部落差別解消法の施行

 平成28(2016)年12月には「部落差別の解消の推進に関する法律(部落差別解消法)」が施行されました。この法律では、「部落差別は許されるものではない」という認識のもと、部落差別解消のための基本理念や、国や地方公共団体の責務、教育・啓発の必要性等について明記されています。

法律のポイント

 全6条の条文からなる法律です。この法律では、初めて「部落差別」という言葉が用いられました。

  • (第1条)現在もなお部落差別は存在し、基本的人権の享有を保障する日本国憲法の理念にのっとり、部落差別は許されるものではないこと。
  • (第2条)部落差別を解消する必要性について、国民一人一人の理解を深めるよう努めること。
  • (第3条)国及び地方公共団体は、連携を図りつつ施策を講じること。
  • (第4条)国及び地方公共団体は、相談に的確に応ずるための体制の充実を図ること。
  • (第5条)国及び地方公共団体は、部落差別を解消するために必要な教育及び啓発を行うこと。
  • (第6条)国は、地方公共団体の協力を得て、部落差別の実態に係る調査を行うこと。

部落差別の解消の推進に関する法律 条文(PDF:96KB)

付帯決議(衆議院法務委員会、参議院法務委員会)(PDF:87KB)

6 えせ同和行為とは

 「えせ同和行為」とは、同和問題(部落差別)を口実にして個人や企業、行政などに不当な利益や義務のないことを要求する行為であり、行為を行う者がいかなる団体に属しているかということは問題ではありません。

 えせ同和行為に対する安易な妥協や恐怖感から相手の要求に応じることは、同和問題(部落差別)の解決を妨げることになるという意識を持って対応することが必要です。

もしもえせ同和行為に遭ったら…

下記、「えせ同和行為対応の手引き」を参考に、適切かつ毅然と対応ことが重要です。

えせ同和行為対応の手引き(法務省作成・県内連絡先追記版)(PDF:337KB)

冊子の点字版をご希望の方は、共生推進本部室のお問い合わせフォームまたはお電話にてご連絡ください。

えせ同和行為の相談窓口

同和問題(部落差別)を口実にする不当な要求を受けたとき

横浜地方法務局人権擁護課(電話 045-641-7926)

恐喝等、暴力行為が行われた、あるいは行われる危険性のあるとき

県警本部暴力団対策課(電話 0120-797-049)

 ※緊急を要する場合は、躊躇せず110番通報をしてください。

7 最近特にお問合せをいただく事項Q&A

最近特に多くお問い合わせをいただいている事項について、掲載しています。

Q1 「神奈川県人権啓発センター」は県行政の人権啓発機関か。また、当該センターの発信は県の公式見解として受け取ってよいか。

A1 県行政の人権啓発機関ではありません。当該センターに関するインターネット上の投稿等は、神奈川県とは関係がありません。

Q2 「神奈川県人権啓発センター」が行政としがらみのない、中立組織であると県が公式に認定しているというのは事実か。

A2 県が公式に認定した事実はありません。解釈の誤りや見解の相違に基づくものと思われますが、当該センターに限らず、いずれの機関に対しても、そのようなことを県が公式に認定することはありません。

Q3 インターネット上に、「ある特定の地域が同和地区である」などと紹介されている。県はどう考えているか。

A3 県では、「かながわ人権施策推進指針」を策定し、人権がすべての人に保障される地域社会をめざして、人権に関する教育、啓発および分野別の施策に取り組んでおり、その一つとして同和問題の解決に向けた施策事業を推進しています。

そうした中、特定の地区が同和地区である、又はあったなどと指摘する情報を公にすることは、原則としてその行為が差別の助長誘発目的に基づくものであるか否かにかかわらず、また当該地区がかつての同和地区であったか否かにかかかわらず、人権擁護上、許容しえないものと認識しています。

Q4 このような書き込みに対して、県はどのような対応をしているのか。

A4 県ではインターネット上の人権侵害の恐れのある書き込みについて、定期的にモニタリングを実施しており、そのような書き込みを削除するためプロバイダ等に依頼をするよう法務局に対して要請をしています。

なお、個別の事案(インターネット上に差別的な書き込みを見つけたので、書き込みした者に対し削除するよう指導してほしい等)に関するご相談については、法務局などの国の人権擁護機関および民間機関で相談を受け付けています。

http://www.moj.go.jp/JINKEN/jinken88.html(インターネットによる人権侵害:法務省ホームページ)

 国の見解では、同和地区に関する識別情報の適示は、目的の如何を問わず、それ自体が人権侵害のおそれが高いものであり、原則として削除要請等の措置の対象とすべきであるとしています。

このページに関するお問い合わせ先

このページの所管所属は福祉子どもみらい局 共生推進本部室です。