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更新日:2024年2月2日

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第11期第5回神奈川県男女共同参画審議会議事録(その1)

第11期第5回神奈川県男女共同参画審議会議事録(その1)

[日時]令和4年12月22日(木曜日)14時30分から16時30分まで
[場所]オンライン会議による開催

〇事務局から、12名の委員中11名の委員に出席いただき、会が成立する旨を確認。

 

<岩田会長>
皆さん本日もどうぞよろしくお願いいたします。今日は議題が二つありまして、一つ目が「かながわ男女共同参画推進プラン第4次の改定について」、二つ目が、かながわ男女共同参画推進プランの改定に関する答申について」です。
最初の議題ですけれども、「かながわ男女共同参画推進プラン第4次の改定について」を始めたいと思います。まず、資料の説明等、事務局からお願いいたします。

 

<事務局>
 資料1、資料2、資料3に基づき説明。

 

<岩田会長>
事務局からも説明がありましたように、今日がプランについての審議の最終回です。お手元にあります最終案は、これまでのこの審議会での議論を反映し、またパブリックコメントで出された意見、それから庁内の調整、議会との調整等を経て、まとめていただいたものです。ですから今日の段階で、内容を実質的に変更するとか、追加するというのは、難しいタイミングになっております。もちろん、県民に向けて、もう少し分かりやすくするためにはどうすればよいかというような観点からのご意見というのはあるかもしれませんけれども、今日は主として、今ご説明いただいた資料2と資料3について、ご意見を頂戴したいと思います。まず、資料2から入りたいと思います。どなたか、ご発言、挙手をお願いいたします。白河副会長どうぞ。

 

<白河副会長>
資料2のコラムの記載についてですけれども、ナビゲーターを猫と犬にして、性別がないように工夫されているところは大変素晴らしいと思うのですが、記載内容についてはどなたか専門家のチェックは経ているのでしょうか。

 

<事務局>
専門家のチェックは入っておりません。私どもの事務局案です。

 

<白河副会長>
これは非常に難しいところなので、是非専門家のチェックを受けられた方がいいと思います。この「「ジェンダー平等」と「男女共同参画」ってどこが違うの」というのは本当にすごく難しい議論です。例えば男女共同参画大臣でも英語でスピーチをするときは、「男女共同参画」は「ジェンダーイクオリティー」という言い方をされています。これはすごく政治的な問題もあります。岩田会長もよくご存知だと思うのですけれども、なかなかこれを説明するのは本当に難しいです。ただやはりここはそのままにしておくと炎上してしまいそうだなというところについて申し上げます。資料2の2ページ目の「ジェンダー平等」は「男女共同参画」と比べて何が違うのという四角い枠のところに「①性別による不平等や不均衡は社会的な構造に起因する」と書いてあります。しかし「男女共同参画」も、これは内包していると私は理解してずっと男女共同参画の委員をやっておりましたので、逆に、これ以外の何に起因するのかと思います。もし能力等の意味合いで言ってしまうとまさに差別になってしまいます。それから「LGBT等の性的マイノリティを内包する」というところも非常に難しい問題です。なぜなら日本の場合、男女共同参画局がLGBTQプラスのことを今やっていないのは基本法がないからです。「そのため、今どこの局が、LGBTQプラスの問題をやるのかということに関しては未定です。」と、私は内閣府の男女共同参画局の方に伺ったことがあります。
それから、資料2の3ページ目「コラム ジェンダー主流化とジェンダー統計(最終案P53)」のところで、ここの「男女の違いのニーズに配慮して物資を備蓄する、多様性に考慮した避難所の運営を行うこともジェンダー主流化の一例だよ」と書いてあるのですが、すごく分かりやすいですが、事例として軽すぎるかなという感じがします。ジェンダーを全ての政策の主流に置いていこうというものなので、そのような非常時の避難所の運営というものを例にしてしまうと少し矮小化してしまうかなと感じます。
本当にこの「ジェンダー平等」と「男女共同参画」の違いに真っ向からきちんと書かれているのは素晴らしいことだとは思うのですが、誤解を受けると炎上してしまうのではないかなと私は懸念しておりますので、他の皆様のご意見も伺いたいのですが、是非ジェンダー専門家のチェックを受けた方がよろしいのではないかと思います。以上です。

 

<岩田会長>
非常に貴重なご意見を頂戴したと思うのですけれども、白河副会長を含め、この審議会のメンバーの中に専門家、専門家といってもレベルはいろいろかもしれませんけれども、この問題について長年関わってきた方はたくさんいらっしゃるので、是非他の委員のご意見も頂戴したいと思います。そのうえで、この場にいない方でチェックを受けた方がよいというのは、例えばどういう方が念頭にありますか。私は非常に政治的でセンシティブな問題に発展しかねないと感じております。我々は今日ここでチェックをさせていただくのですが、専門家のチェックというと、それ以外にどういう方を念頭に置いてらっしゃいますか。

 

<白河副会長>
用語ということに関して言えば、やはりフェミニズムを専門とされている方で、第一人者の学者・研究者としては東大の林香里副学長が適任だと思うのですけれども、かなりの部分を直されてしまうかなと思います。また、もう少しビジネスや政策を専門とされている方ですと大崎麻子さんですかね。大崎さんに関しては普段の発言等、全部拝聴しているので、同様にかなり直されるのではないかと思います。

 

<岩田会長>
ご意見ありがとうございます。今の情報も含めて、最終的には事務局がどう判断するかということでお任せしたいとは思うのですが、今挙がった方のご意見も必要であれば、是非参考にしていただきたいと思います。それでは野村委員お願いします。

 

<野村委員>
今の点については同意見です。「ジェンダー平等」と「男女共同参画」というのは基本的には目指すものは変わらないというのが日本政府の立場で、「ジェンダー平等」の言葉を使えなかったという経緯があると私は理解をしております。
それ以外のところでお話をしますと、資料2の2ページ目「ジェンダー平等とは(最終案P26)」〈基本的人権の保障・男女平等〉のところです。今回「ジェンダー平等とは」という問いかけから入るので、この国際的なもので強調すべきは世界人権宣言よりも女子差別撤廃条約ではないかと思います。この辺りは岩田会長の方が詳しいと思います。流れとしては確かに世界人権宣言があったからこそですが、今回「ジェンダー平等」という話をするならば、女子差別撤廃条約があり、それを批准しようとしたということで男女雇用機会均等法も生まれました。その後の日本の女性関連の施策も、この女子差別撤廃条約に沿ったものです。世界的にも日本でも、今の「ジェンダー平等」の流れという意味では女子差別撤廃条約が起点になるものではないかと私は理解しています。女子差別撤廃条約を説明するとしたらものすごく包括的なもので、政治、経済、社会文化、市民活動というあらゆる分野で、人として男女の差別をなくして基本的人権を保障することを目指すというような文言になると思います。
それから、最後のジェンダー主流化の部分が、私も違和感を抱いたところです。物資を備蓄するというのはイメージしやすいところですが、最初に事例が出てくるのはどうかという違和感がありました。案としては、上の方のセリフに、本文と重なってしまうのですけれども、ジェンダー主流化とは政策、あらゆる施策に、ジェンダーの視点を持ってということを、もう一度定義を易しい言葉で説明したうえで、次のセリフで例えば、「避難所の運営を行ったりすることも一例だよ。」というのであれば、抵抗なく読めるかなと思いました。


<岩田会長>
ご意見を二ついただいたのですけれども、最初のご意見ですけれども、まず日本国憲法に触れ、世界人権宣言に触れ、そして女子差別撤廃条約となっているのですが、野村委員のご意見は、日本国憲法や世界人権宣言に触れるのが不適切だということではなくて、そこを少し軽くして、女子差別撤廃条約が2行で書いてありますけれども、ここを少し膨らませてしっかり書くという、そのようなイメージで受け取っていいですか。

 

<野村委員>
そうですね。日本国憲法や世界人権宣言を削りましょうという話ではなくて、その部分を軽くして、女子差別撤廃条約に関する説明がより必要ではないかということです。

 

<岩田会長>
2番目におっしゃったジェンダー主流化のところですけれども、白河副会長も同じご意見だったのですけれども、やはり二度書きになるかもしれないし、本文をまた移すことになるかもしれないけれども、ジェンダー主流化というのはそもそも何なのかということを書いた上で、一つの事例として避難所の問題を書くということであれば、白河副会長もそれでよろしいですか。

 

<白河副会長>
はい。

 

<岩田会長>
分かりました。井上委員どうぞ。

 

<井上委員>
資料2についてですけれども、基本的には白河副会長、野村委員と同じ方向の意見ですが、これは資料2だけではなくて本体の資料1にも関わってくることかなと思いますので、ここは少し頑張って充実させていただき、専門家に見てもらうということも含めて、文章として精査していったらいいかなと思っています。その上で、「男女共同参画」と「ジェンダー平等」の関係が問題になっていますけれども、野村委員もおっしゃいましたが、私も「男女共同参画」と「ジェンダー平等」がバッティングするとは思っていないのですね。方向性とか、取り組む方策という意味では同じ方向なのだけれども、「ジェンダー平等」という概念、視点をとることによって、新しい課題が浮上してくるのだというふうにまとめられるといいのではないかなと思います。
例えば、マジョリティとマイノリティの関係が、男性と女性というだけではなく、もう少し多面的に表れてくるとか、性的マイノリティの概念の説明の仕方が少し違う気もするのですけれども、単純な男女というくくりだけではない、様々な構造的な差別の問題が浮上してくる、社会的課題として浮上してくるというところがポイントなので、その辺りが書ければ、炎上をしないで、しかもアグレッシブさを表せると思います。今回の「ジェンダー平等社会へ」という副題を付けるというのは、本当に県の皆さんが頑張ってくださったと思うので、それを実質化させる意味でも、是非、もう少し説明をしていただきたいと思っています。
その上で、資料2の2ページ目の「ジェンダー」「ジェンダー平等」の説明を枠で囲っているところについてです。「ジェンダー平等」について①と②の二つの視点を挙げられるということは良いことだと思うのですけど、「①性別による不平等や不均衡は社会的な構造に起因する」というのはすごく重要なポイントですが、この社会的な構造に起因すると書かれただけでは、分からないと思います。社会的な構造に起因するのだから、個人の責任ないしは個人に帰責しないというところを書かなくては意味がないと思いますので、個人の責任としないというのが社会的な構造に起因するということの結果ですと書かないと意味がないと思います。さらに「ジェンダー平等」の難しいところ、重要なところは、個人に起因しないからといって、個人の様々な個別の行動がそれに関係しないわけではないのですよね。日々の我々の様々な行動や選択が構造を作り上げているのだということも書かないと意味がないと思います。個人も構造を構築することについて加担している、だからこそ行動は変えられるから、私たちは頑張って平等を目指しましょうということになるので、そこを書かないと、「ジェンダー平等」の①を書くということの意味がないと思います。
「②LGBT等の性的マイノリティを内包する」については、少し意味が取り辛いです。LGBT等の性的マイノリティと、マジョリティの間での平等の問題、不均衡の問題を内包するといったら分かります。ここはもう少し工夫していただければ分かりやすくなるかなと思います。
それから、資料2の4ページ目の「コラム ジェンダー主流化とジェンダー統計(最終案P53)」のジェンダー主流化のところについて、ここのポイントは、多くはジェンダー問題や女性問題といったら女性労働問題等の、典型的なジェンダー問題だけでなく、それ以外の施策でもジェンダーの視点が必要だということがポイントです。定義をする時もそれを是非書いていただいたうえで、例えば、女性政策の対象だと思わないような領域においても、ジェンダーの視点が重要なのだというところを書き、太字で強調していただき、その一例として避難所の運営という説明になるのであれば、それはいいのかなと思います。意見の方向としては先に話された委員と同じですけれども、表示するポイントを是非忘れずに書いていただきたいなと思っています。以上です。

 

<岩田会長>
それでは結斐委員お願いします。

 

<太田バークレイ委員>
井上委員がほぼ言ってくださったので、一つだけ、私もこのコラムは専門家の方に、きちんと見ていただいた方がいいのかなと思います。なぜかというと、そもそもコラムを入れる理由が、より多くの人に理解を促進するという目的があるのであれば、コラムにエッセンスが確実に入っていることを、担保するのは大事かなと思います。
資料2の2ページの一番下のにゃんこさんがしゃべっている言葉で、「「男女共同参画」も「ジェンダー平等」とめざすものは変わらないんじゃないかな。日本の現状は世界とまだまだ開きがあるけど、言葉の意味は変化するから、同じように使われるようになるといいね。」と書いてあるのですが、私はこれ正しいのかどうか少し疑問に思っていています。違う言葉だから同じように使うのは逆に困るのではないかと思っていて、将来的には、「男女共同参画」よりも「ジェンダー平等」という広い目線でやっていくのが正しいのではないかなと思っているので、この最後の一文も少しそういった面から変える必要があるのではないかなと思った次第です。以上です。

 

<岩田会長>
それでは橋本委員お願いします。

 

<橋本委員>
ほぼ皆さんがおっしゃっていただいたなという気がします。コラムなので、この資料2の2ページ目の「コラム ジェンダー平等とは(最終案P26)」ついては、この中身で独立して、完成していないといけないのかなと思うのですけど、4ページ目の「コラム ジェンダー主流化とジェンダー統計(最終案P53)」のジェンダー主流化については、本文があってその下にコラムが入るものなので、これは別に例示でもいいのではないかなという気がします。
LGBTQのところのイラストが、多分この縞模様がレインボーカラーになっているのかなと推測しているのですけど、それをしていただいたのはすごくいいなと思います。

 

<事務局>
その通りです。レインボーカラーです。

 

<岩田会長>
それではほかには手を挙げておられないので、皆さんのご意見と重なるところもあるのですけれども、私の気付いたことを述べたいと思います。
まず今回、「男女共同参画」と「ジェンダー平等」の違いをどういうふうに説明するかということにチャレンジしていただいて、難しい部分ですが是非これはやっていただきたいと思います。委員の皆さんのご意見をお聞きして、やはり念のために、専門家にチェックしてもらった方がいいかなと思います。例えば、お名前が出た、林香里さん、大崎麻子さんについては、白河副会長もご紹介してくださると思いますし、私も林先生であればご紹介できると思います。他の委員の皆さんも、この方のご意見を聞いた方がいいということがあれば、是非事務局にご連絡いただいて、ご紹介いただいたら良いと思います。
その上で、「ジェンダー平等」と「男女共同参画」について、私は「ジェンダー平等」の方が、範囲が広くて、目指すべきレベルが高いと思うのですね。ですから、方向は同じなのですけれども、最終的には結斐委員がおっしゃったみたいに、「ジェンダー平等」に収束してもらいたいと思います。何が違うかというと、まず範囲が違うということについては、「男女」が「ジェンダー」に変わったということで、説明の上、書き方は今日の委員の先生方のご意見を踏まえて、資料2の2ページ目の「ジェンダー」「ジェンダー平等」を枠で囲ってある②を更にブラッシュアップしていただいたらいいと思います。それからもう一つの違いは、「共同参画」と「平等」というのは違うと思います。「共同参画」というのは、私は機会の均等を目指しているのだと思います。「平等」というのは結果の平等も志向していると思いますが、これはなかなか政治的に難しいことで、「平等」とは書けない事情があったので「男女共同参画」にしたということです。そのため「共同参画」と「平等」というのは、そのように違うのではないかと私は考えています。
それから資料2の2ページ目の「ジェンダー」「ジェンダー平等」を枠で囲ってある①の「性別による不平等や不均衡は社会的な構造に起因する」というところですけれども、これは井上委員がおっしゃったみたいに、もう少し深く書いていただいたらいいと思うのと同時に、この「社会的な構造に起因する」というのは、「ジェンダー平等」だけではなくて、「男女共同参画」もそのような考え方に立脚していると思いますので、これを「男女共同参画」との違いの中で書くのがいいのかどうかというのは、もう一度検討していただければと思いました。
そして最後の、「ジェンダー主流化」についてですけれども、確かに、橋本委員がおっしゃいましたように全体の話は本文中にありますので、例示でもいいというのはその通りだと思います。その上でもう少し分かりやすいものとするなら、例えば、男女共同参画、女性の活躍ということを念頭に置いた法律や政策だけではないということ、また所管する部署も、男女共同参画等を担当する部署だけではなくて、全庁的な問題であるということ等、そのようなことを分かりやすく書いていただいたら、その上での事例の記載であればいいのではないかと思いました。
資料2については以上としたいと思いますが、よろしいですか。

 

<白河副会長>
岩田会長に追加させていただいて、さらに広いとおっしゃったのは確かにその通りだなと思っています。「ジェンダー平等」は進んだ概念なのではないかといったことで優劣つけるというよりは、さらに広義な、対象が広いというのは、すごく良い表現の仕方だなと思いました。
ただ、それは外から来たものではなくて、もう既にに日本も国連の一員ですから、世界で合意した基本原則でもあるのですよね。それに関して最近でもG20、G7でもジェンダー主流化というのは首脳が宣言しておりまして、日本も約束していたことです。これから始まる新しいことではなく、グローバルなスタンダードであって、日本もそれに合意しているというところは、是非忘れずに入れていただきたいなと思います。
それから、最近「ジェンダー平等」という言葉が非常に若い人にも知れ渡るようになったのは、やはりSDGsのゴールⅤとして知れ渡ったことが大きいと思うのですね。だから最近の動きとしては、歴史的な動きだけじゃなくて、SDGsのゴールⅤでもあるので注目されています。それから責任投資原則ですね。これはまさにジェンダー主流化なのですが、経済の問題でもあるということ。経済と人権に関しての責任投資原則の中にもジェンダー平等が入っておりますので、より広義でもあり、グローバルな決め事でもあり、日本もそれに同意していることでもあります。さらに、女性に関わることだけではなくて、経済の大きな問題で、投資等もそれによって選別されていくのだというような、そこまでもう今きています。ですから、そういった国際的な課題であって、日本ももちろん同意している課題であるというところも、是非含めていただければと思います。

 

<岩田会長>
様々なご意見をいただきました。事務局は大変だと思いますけど、これは是非乗り越えましょう。
それでは、資料3の用語の定義に進みたいと思いますが、ご意見ある方どうぞ。橋本委員お願いします。

 

<橋本委員>
何か所か気になったところを指摘させていただきます。資料3の1ページ目の「JKビジネス」の問題」の用語ですが、「児童による性的なサービスを客に提供させているものの問題」というところが、少し意味が分からないなと思います。「させている等の問題」といった表現がよいのかなと思いました。
それから、「性的マイノリティ」の用語について、「性的マイノリティのカテゴリーを表す言葉の一つとして「LGBT」がある。」とは書いてあるのですけども、最近LGBTというよりはLGBTQや、Qプラスという言い方の方が前に出てきていると思うので、その説明をしてもいいのではないかと思いました。
それから2ページ目の「パタニティ・ハラスメント」と「マタニティ・ハラスメント」の用語ですが、これは定義として、「不利益な取り扱いを受けること。」と、受け身になっています。その対比として、「セクシャアル・ハラスメント」の用語を見ると、「その者に不利益を与えることをいう。」とあるので、同じように「与えること」というような記載に変えたらいいのではないかと思いました。

 

<岩田会長>
井上委員お願いします。

 

<井上委員>
まず、資料3の1ページ目の「M字カーブ」ですけれども、M字カーブ自体の説明はいいと思うのですが、このようなM字を描くグラフが、女性の就労状況と男性の就労状況とで違うのが、世界の中で非常に珍しく日本及び韓国に特徴的なものだということ、そして合理的に見えるけれども、実際は合理的ではなく、生涯賃金とキャリア形成という観点からも合理的ではないのだということは、是非入れていただきたいです。
それから、もう一つ気になったのは、「性的マイノリティ」と「性的指向・性自認(ソジ・ソギ)」の用語の説明で、これは本文とも連携してくることかと思いますけれども、LGBTというのは「性的マイノリティ」の中でも代表的な属性であるという書き方をしないと、正確性を欠くかなと思います。それ以外のもので、「Q」や「I」等、いろいろありますので、そこはもう少し記載の工夫が必要かなと思います。私は基本的には「I」ないしは「DSD」が必要かと思いますが、適切な表現が当事者の中でもまだ意見が分かれるところですので難しいですけれども、他のカテゴリーと問題がかなり違うということも含めて、私は「I」は是非入れていただきたいなと思います。LGBTがあくまでも代表的な属性なのだという説明が重要と思います。
それと「性的指向・性自認(ソジ・ソギ)」の用語説明も同様だと思います。なぜなら、今まで「LGBT」と言ってきたのが、「SOGI」という新しい単語が突然出てきので、「SOGI」という新しい単語の使用理由が分からないと読み手としては受け入れ難いためです。さらに「LGBT」と「SOGI」は全く違います。「SOGI」の用語説明で「すべての人にかかわる」というところはいいと思ますが、「LGBTよりもより広い概念といえる」というのは、不正確だと思います。「LGBTs」としてもいいですけれども、「LGBTs」というのは、それぞれの主体の属性に注目した、誰がというところに注目した概念であるのに対し、「SOGI」は、セクシュアリティないしはジェンダー・アイデンティティ、その他もありますが、それらの性にまつわる事柄に注目した概念です。その区別がとても重要なので、だからこそ「SOGI」という視点をとると、すべての人が、いかなるセクシャリティ、いかなるジェンダー・アイデンティティを持っている人も対象になり、そのため人権問題だといえます。「LGBT」というのは少数者への配慮の問題であるのに対して、「SOGI」というのは、人権問題としてセクシュアル・マイノリティの問題を考えていこうという立場なので、全然違います。施策は似てきますけれども、考え方が違うので、是非書き加えていただきたいと思います。「SOGI」は、関心のない人がいても、関係のない人はいない問題なので、したがって人権なのですと、質的に違うことだということを是非書いていただきたいと思います。
それから「積極的改善措置(ポジティブ・アクション)」の用語ですけれども、「男女が、互いにその人権を尊重し」とあります。男女共同参画推進プランなので「男女」に限って書くのは、ある意味自然なことではありますが、ポジティブ・アクションというのは、性別に関わることだけではないので、社会改革、マイノリティに対するインクルーシブな制度をつくり出して社会的な意識を変えていく、そのための一般的な普遍的な方策ですので、その説明が必要と思いました。
それと全体的に、そろえる必要はないのかもしれないのですけれども、「男女」と書いているところと、「性別」と書いているところがあって、「男女」という書き方がふさわしいところと、生物ないしセクシュアリティ、あるいはジェンダーと書いてもいいかと思いますが、表現のする際に用語の統一がされていない気がしました。以上です。

 

<岩田会長>
結斐委員どうぞ。

 

<太田バークレイ委員>
LGBTQの説明を入れるか、入れないかというところなのですけど、資料1の「かながわ男女共同参画推進プラン最終案」を見ると、14ページにTOPICとして記載されている部分もあるので、関連させて付け加えることになるかなと思います。井上委員がおっしゃっていたとおりLGBTというのは代表的な属性で、LGBT当事者の友人と話した際に、LGBTQという単語を使うことの問題は、男女とその他大勢に分けられてしまい、当事者としては個人の問題として捉えられないことが問題だと言われました。あくまでLGBTというのは代表的な属性であるということと、必ずしもLGBTQに合致しない人もいるということ、そのような特性でその他大勢としてくくられてしまっているという事実も、説明として加えた方がいいのかなと思いました。
二つ目は、資料3の1ページ目の「ジェンダー」の用語で、3行目に「このような男性、女性の別を「社会的・文化的に形成された性別」」とありますが、「ジェンダー」は、男、女に含まれない人というアイデンティティも関わるはずなので、男女の別に限定しない方が正しいと思っています。それに比べて資料2の2ページ目のジェンダーの説明では、「生物学的性別(セックス)に対し、社会的・文化的に形成された点に着目して「性別」に言及するために用いられる表現」と書いてあるので、そこは合わせた方が正しいのかなと思いました。
次に、資料3の2ページ目の「ダイバーシティ」ですが、「多様性のこと」と説明していますが、ダイバーシティ社会というのは、多様性がただ単に存在する社会で、その社会は何をしなくてもあります。しかし、ここで説明されている「多様な個性が力を発揮し、共存できる社会」というのは、ダイバーシティという多様性がある社会より一歩進んだ、インクルーシブな社会となっているはずで、各個人がその所属、その社会に対して所属意識を持ってやっている社会となっているので、ダイバーシティ社会とインクルーシブな社会と、区別をしっかりつけた方がいいと思います。
最後に、「リプロダクティブ・ヘルス/ライツ(性と生殖に関する健康と権利)」の用語で、「全てのカップルと個人が自分たちの子どもの数、出産間隔、並びに出産する時を責任をもって自由に決定でき」と書いてありますが、子どもを持たない選択、中絶や避妊といったことへのアクセスや予期せぬ妊娠の対処方法もリプロダクティブ・ライツの一つなので、子どもを持つ選択肢や、子どもを持たない選択肢の側面も、書いた方がいいのではないかと思ったところです。

 

<岩田会長>
続きまして白河副会長、そのあとに野村委員お願いします。

 

<白河副会長>
「ジェンダー平等」の用語については、先ほど申し上げた通りです。
それから「SOGI」の用語に関しても、LGBTQと比較して説明するのは、やはり少し種類の定義が違うという先ほどのご意見に賛成です。
さらに、「リプロダクティブ・ヘルス/ライツ」の用語についても、先ほどおっしゃったように、子どもを持たないという選択もあるので、リプロダクティブ・ライツということに関して言えば、「いつ産むか産まないか、いつ何人子どもを持つかを自分で決める権利」というのが適当な説明と思います。これは国際協力NGOジョイセフのホームページから引用しているのですけれど、「産むか産まないか、いつ・何人子どもを持つかを自分で決める権利」「妊娠、出産、中絶について十分な情報を得られ、「生殖」に関する全てのことを自分で決められる権利」とされています。最近は、これにSがついて、「セクシュアル・リプロダクティブ・ヘルス/ライツ」となっており、「性と生殖に関する健康と権利」と訳されています。これは四つに分かれていて、「セクシュアル・ヘルス」、「リプロダクティブ・ヘルス」、「セクシュアル・ライツ」と「リプロダクティブ・ライツ」となっています。最近は若い人の間などではそのような言い方をしています。
それから「無意識の思い込み(アンコンシャス・バイアス)」の用語ですけれども、この説明の中に「脳にきざみこまれ」と書いてあるのですが、かなり強い表現ではないかなと思っています。「誰もが、無意識に持っている思い込みのことで無意識の偏見とも言う。育つ環境や所属する集団、人に掛けられた言葉やメディアの表現等によって無意識のうちに作られる固定概念、既成概念」ということで、脳に刻み込まれるというと、何か覆せないような感じがあるので、この部分はいらないと思います。
そして「固定的な性別役割分担意識」の用語ですが、「男女を問わず個人の能力等によって役割の分担を決めることが適当であるにもかかわらず」とあって、これは内閣府男女共同参画局のホームページにこのように書いてあります。しかし、やはり能力によって決めるのという表現は不適当ではないかなと思っています。どのように言うのが一番適当かといえば、いろいろなところにも書いてありますが、「男女それぞれの責務、役割について明確に区分すること」としています。だから能力について区分するわけではないので、男女それぞれの責務、役割について明確に区分するというような言い方が適当ではないかなと思っています。
それから「SOGI」「LGBTQ」等の用語について確認するのに適当な方がいるとしたら、松中権さん、松岡宗嗣さんという本を出されている方もいらっしゃるので、そのお二人が良いかなと思います。

 

<岩田会長>
専門家のご紹介までありがとうございました。野村委員どうぞ。

 

<野村委員>
今日が最後だと思いますので若干細かなことまで駆け足で話します。皆さんがおっしゃったことを除くと、「M字カーブ」の用語の説明で、資料1の本文にはきちんと書いてあるのですけども、30代がなぜ谷になるかというと子育て期に仕事を離れることが多いということが大きな要因だと思うので、それをこの用語一覧にも入れた方がいいと思います。
それから「固定的な性別役割分担意識」の用語については白河副会長がおっしゃったように、「にもかかわらず」の前はとった方がいいと思いました。
そして、「積極的改善措置(ポジティブ・アクション)」の用語ですが、私の理解では、ポジティブ・アクションというのは、期間を限定して区切って行うということが一つのポイントだと思います。未来永劫そうするということではなくて、期間限定という表現を入れた方がいいということと、また、男女に限らず、例えば中途採用者に対するポジティブ・アクションを行う企業などもありますので、不利益を被っている少数派のために行うといった言い方がいいかもしれません。
それから「ダイバーシティ」の用語については、私も若干違和感を持ったところです。「多様な個性が力を発揮し、共存できる社会を実現することを、ダイバーシティ&インクルージョン(多様性と包括)という」といったことを入れれば、少し包括するこというニュアンスが出ると思いますが、「インクルージョン」という新たな用語が出てくるので理解を得るのに少し難しいことになってしまうという懸念はあります。
それから、「テレワーク」の用語ですが、細かな文言で恐縮ですが、「時間や場所を有効に活用できる」とありますが、これは「時間や場所に縛られずに働く」というのがテレワークのポイントではないかと思います。1日中オフィスに出勤していても時間と場所を有効に使っている人もいると思うので、「縛られない」という表現の方が適当かと思います。
最後に「ワーク・ライフ・バランス」の用語ですが、「多様な生き方が選択・実現できること」について、これはフレキシブルワークの少し違う概念も入ってきてしまいますので、「仕事のみならず、家庭や地域活動など私生活も充実させること」という言い方に留めた方がいいのではないかと思います。

 

<岩田会長>
他にはございますか。資料3についてはよろしいですか。
私から、今日話題に出なかった1点だけ、すごくテクニカルなことなのですけれども、「積極的改善措置」の用語について、これは女性に限らず、外国人もそうですし、いろいろな要素があります。時限的な措置であるということも書き加えたらいいと思います。それから、もう一つは、「男女のいずれか一方に対し」の「対し」というのが、少し気になります。「一方のために」というのであればいいのですけれども、男女共通の施策でも、ポジティブ・アクションということはあるわけです。例えば、やはり男性に有利なようにバイアスがかかっているのではないかという問題意識のもとに、それまでは評価基準が非常にアバウトだったものを具体的に決めるとか、評価者の研修をする等、それは別に女性に限って、女性だけを念頭に置いているわけではなくて、男女共通の施策なのですけれども、その結果として、不合理な評価の男女差が小さくなるということもあるので、その対策自体が、女性だけをターゲットにしているものだけではなくて、男女共通の対策でもポジティブ・アクションがあるのだということが、これでは少し読みにくいかなという感じもします。
たくさんのご意見をいただきまして、ありがとうございました。資料2と、それから資料3で、審議会は今年度最後ですので、今日いただいた各委員のご意見を参考にしていただいて、必要であれば専門家のご意見も聞いていただいて、あとは事務局の責任で、最終案を作っていただく、その結果をまた事後に報告していただくということで、よろしいかと思います。
冒頭、事務局からお話のあった、共生推進本部室長から追加のご説明をいただくというタイミングですが、この段階で資料2、資料3の意見はここまでということで、あとは、全体的な振り返りをしたいと思うのですが、その前に本間室長からご発言をお願いいたします。

 

<本間共生推進本部室長>
資料2と3についてご意見をいただきましてありがとうございました。我々の考え方を整理して、反映していければと思いますので、また検討した結果を共有させていただければと思います。
資料1の「神奈川男女共同参画推進プラン最終案」にお戻りいただいて、説明の補足をさせていただきたいと思います。53ページ、54ページ、重点目標5のところでジェンダー主流化を今回のプランの中に位置付けました。ジェンダー主流化の考え方を反映させる一つの取組として、県の施策が反映されるプランや計画に、当審議会の委員の皆様からご意見を述べる、あるいは審議会として意見を述べることができないだろうかと、そのようなご提案をいただいていていたところです。
我々もそういったご意見いただいて、検討した内容をお伝えできればと思います。まずは、共生推進本部室の姿勢の問題として、ジェンダー主流化をやっていくのは共生推進本部室という思いの元、やはり主体的にやっていかなくてはいけないということですが、県の様々な施策を進めていくことについては、法体系で言うと地方自治法に基づいて、我々の組織や、仕事が大きく決められています。例えば知事は、神奈川県の総括的な代表者となっているものの、全部の施策について責任を負っているわけではなく、あくまでも、知事の所管する範囲であり、それを執行機関という言い方で表現します。そのため知事は執行機関の一つに過ぎず、他にも、教育委員会や、監査委員や人事委員会等、それぞれが権限を持って地方自治法上の執行機関として仕事をしています。つまり知事はあくまでも自分の権限の及ぶ範囲のところだけになりますが、それでは、県として統一してやっていくテーマについて進めていくのが難しいので、男女共同参画については、資料1の「かながわ男女共同参画推進プラン最終案」の54ページ1行目に書いてあるとおり、「共生推進本部」という意思決定機関を設けています。こちらは知事をトップにして副知事も全員参加し、かつ、知事部局の中の各局長、その他の執行機関の長、事務局長が入って、知事の権限が及ばないところについても、会議の中で、県全体としての方向を決めていく仕組みを設けており、地方自治法の決まりの中であっても、県全体で進めていける仕組みを持っています。ですので、ジェンダー主流化を自分たちがやっていこうとするうえで、この共生推進本部の中で、まずは自分たちがそれぞれの施策を自分たちの責任の中でやっていく、その姿勢が重要だと思っています。
次に、審議会の法的な性格の部分なのですが、審議会は条例に基づいて設置されています。附属機関という性格を持っていて、これも地方自治法の中で決められており、どういうことを所掌するのかという役割が決まっています。当審議会の所掌事項には「男女共同参画の推進に関する重要事項」と書かれており、「知事の諮問に応じて調査審議し、その結果を報告し、又は意見を建議する。」とあります。ですので、他の審議会が所管する計画等に対して意見を述べることは、仕組上、課題があるというところでございます。
三つ目として、運用の問題です。実際に県の計画がどの程度あるのかを確認したところ、190ぐらいあります。その全てを男女共同参画審議会で審議できるかというと、それは現実的には難しいということと、また、男女プランの内容もそうですが、それぞれのプランもそれなりのボリュームがあり、1つの計画やプランを、専門外の内容について2時間で全部説明し、ご理解いただけるのかというと、なかなか難しいという問題もあると思っています。
以上のことを踏まえ、どういうことができるかというところで、資料1の「かながわ男女共同参画推進プラン最終案」の53ページ目の主要施策に、再掲で「県の審議会等における女性委員の登用促進」を加えました。間接的にはなりますが、女性の委員が登用されていき、女性の数が増えていけば、ジェンダー主流化の促進につながっていく一つのツール、仕掛けになっていくだろうということからです。
それから54ページ目の施策の基本方向3の本文で、1行目の「計画の進行管理は、共生推進本部(※)が行うこととし、」の後に、「ジェンダー主流化の観点を踏まえ」という言葉を挿入しました。それぞれの施策の責任者がそろう共生推進本部という場を使い、ジェンダー主流化について、まずはジェンダー主流化を意識しながらやっていくというところで、加えました。
さらにこの計画には加えていないのですけれども、考えていることとして、190の計画を全部審議するというのはなかなか難しいと思うのですが、例えば、共生推進本部室は福祉子どもみらい局にありますので、局内で、改定が一番近いタイミングにある計画を、審議会の中で1回分のお時間をいただいて、現在の計画内容と方向性を変更する議論をしていくにあたって、男女審の委員の皆様からアドバイスをいただける場をつくれないかと考えております。
ですので、この53ページと54ページは、検討した結果として、言葉を2か所挿入させていただいているところでございます。皆様の意見を可能な限り反映できないかと、検討し、まずはできるところからと考えています。


第11期第5回神奈川県男女共同参画審議会(その2)へ続きます。

このページの所管所属は福祉子どもみらい局 共生推進本部室です。