第7次神奈川県栽培漁業基本計画

掲載日:2018年9月4日

第7次神奈川県栽培漁業基本計画

沿岸漁場整備開発法第7条の2第1項の規定に基づき、平成27年3月24日に第7次神奈川県栽培漁業基本計画を次のとおり定めました。

平成27年4月14日

神奈川県知事 黒岩 祐治

本県では、「海・川の豊かな恵みと潤いを提供する活力ある水産業」を目指し、水産物の安定供給、担い手の確保、水域環境の保全、県民の交流促進等様々な施策に取り組んでいる。

その中でも栽培漁業は、種苗生産、放流及び資源管理による積極的な資源増大の手段として、漁家経営の安定化に大きく寄与しており、重要な取組の一つとなっている。

また、効率的な栽培漁業を進めるため、都県の区域を越えて回遊する広域種については、関係する都県間の連携により海域栽培漁業推進協議会が設立され、今後一層の取組の強化が求められている。さらに、より効果的な資源の維持及び回復を目指し、親魚を取り残して再生産を確保する資源造成型栽培漁業の取組が進められている。

このような中で今後、栽培漁業を一層計画的かつ効率的に推進し、安定的に事業を展開するため、平成33年度を目標年度として、次の事項を基本とする計画を策定する。

第1 水産動物の種苗の生産及び放流並びに水産動物の育成に関する指針

(1)種苗の生産及び放流並びに水産動物の育成

ア 種苗生産は、本県海域の特性、漁業者等からの要請、資源の状況、種苗生産施設の能力等を勘案し、効率的に行う。また、疾病等のまん延を防止するため、日常の飼育管理の徹底に努めるとともに、県は疾病対策のための検査や指導等を行う。

イ 種苗放流は、自然条件、疾病等のまん延防止及び生態系・遺伝的多様性に対する影響を考慮した上で、適正な放流を計画的に行う。

ウ 栽培漁業の対象となる水産動物の資源管理については、各漁業協同組合が策定している資源管理計画に基づく漁業者等の自らの取組を支援する他、放流効果や資源状況の把握に努め、その知見を基に、小型魚の保護や産卵親魚の維持・増大を進める。

エ 稚魚が生育しやすい環境づくりについては、広く県民の協力を得て海の環境改善活動を進めるとともに、稚魚の保護育成機能を有する藻場や魚礁などの整備を推進する。

(2)栽培漁業の推進体制

県は、種苗生産技術及び放流技術の開発並びに種苗生産施設の維持管理に努めるとともに、漁業者や遊漁者の理解と協力を得て資源管理型漁業への取組を推進する。

公益財団法人神奈川県栽培漁業協会(以下「県栽培漁業協会」という。)は、種苗の安定的な量産技術が確立し、放流による効果が期待できるものについて、種苗の生産及び放流を行う。また、栽培漁業の必要性について県とともに普及啓発を図るほか、広く経費負担を求め、栽培漁業の継続的な実施が可能となるよう努める。

第2 種苗の生産及び放流又はその育成を推進することが適当な水産動物の種類

種苗の生産及び放流又はその育成を推進することが適当な水産動物の種類は、次のとおりとする。

魚類 まだい、ひらめ、くろだい、まこがれい、とらふぐ、かさご及びめばる類

貝類 あわび類及びさざえ

その他 まなまこ

このうち、種苗生産技術開発、放流技術開発又は放流効果実証事業(種苗の安定的な量産技術が確立し、放流による経済効果が期待し得る水産動物で、経済効果を実証するとともに、その成果を漁業者等に対し普及する事業をいう。以下同じ。)等を重点的に行う水産動物の種類は、次のとおりとする。

魚類 まだい、ひらめ、とらふぐ、かさご及びめばる類

貝類 あわび類及びさざえ

その他 まなまこ

第3 水産動物の種類ごとの種苗の放流数量の目標

水産動物の種類ごとの目標とする種苗放流数量及び放流時の大きさは、次のとおりとする。なお、種類ごとの資源状態及び社会的な要請等を考慮し、必要に応じて数量を見直して、放流を実施するものとする。

水産動物の種類

種苗放流数

放流時の大きさ

まだい

70万尾

全長60ミリメートル以上

ひらめ

20万尾

全長60ミリメートル以上

くろだい

7万尾

全長60ミリメートル以上

まこがれい

5万尾

2万尾

全長20ミリメートル以上

全長40ミリメートル以上

とらふぐ

5万尾

全長40ミリメートル以上

かさご

15万尾

全長30ミリメートル以上

めばる類

2万尾

全長30ミリメートル以上

あわび類

30万個

殻長25ミリメートル以上

さざえ

65万個

殻高20ミリメートル以上

第4 放流効果実証事業に関する事項

放流効果実証事業の対象とすべき水産動物の種類及び当該事業の指標は、次のとおりとする。

(1)放流効果実証事業の対象とすべき水産動物の種類

まだい及びひらめ

(2)放流効果実証事業の指標

区分

事業に関する指標

まだい

ひらめ

放流尾数

1海域当たりおおむね10万尾以上、合計40万尾以上

1海域当たりおおむね1万尾以上、合計5万尾以上

放流時期

7月から9月まで

4月から8月まで

放流場所

幼稚仔(し)の育成に適した海域であり、かつ幼稚仔の保護管理等につき、関係者の十分な協力を期待し得る場所とする。

放流時の大きさ

全長60ミリメートル以上

全長60ミリメートル以上

放流に係る水産動物の生育の助長に関する協力

全長20センチメートル以下の採捕の自粛

全長30センチメートル以下の採捕の自粛

経済効果の把握とその周知

放流魚の一部に標識を付すこと等により、漁業協同組合、遊漁者等に対し広く再捕報告を呼び掛ける。また、その結果については、ホームページへの掲載、パンフレットの配布、放流効果の説明会等により、漁業者、遊漁関係者等に対し広く周知する。

第5 特定水産動物育成事業に関する事項

特定水産動物育成事業(栽培漁業によって経済的効果が実証された特定の水産動物について、漁業協同組合等が一定の水面を設定の上、種苗の放流から漁獲までの育成管理を行い、特定の水産動物を採捕する第三者からの利用料の徴収等を行う事業をいう。)を適正に実施することが可能となった場合には、円滑な移行を図るものとする。

第6 水産動物の種苗の生産及び放流並びに水産動物の育成に係る技術の開発に関する事項

県及び県栽培漁業協会の種苗生産の技術水準の目標及び解決すべき技術開発上の課題並びに技術水準の到達すべき目標は、次のとおりとする。

(1)種苗生産の技術水準の目標

水産動物の種類

種苗生産施設(水槽)における

単位当たりの生産量

左欄における種苗の大きさ

まだい

7,000尾/立方メートル

全長20ミリメートル以上

ひらめ

700尾/平方メートル

全長60ミリメートル以上

とらふぐ

800尾/立方メートル

全長40ミリメートル以上

あわび類

2,500個/平方メートル

殻長25ミリメートル以上

さざえ

2,500個/平方メートル

殻高20ミリメートル以上

(2)解決すべき技術開発上の課題

解決すべき技術開発上の課題 水産動物の種類
まだい ひらめ とらふぐ かさご めばる類 あわび類 さざえ まなまこ

種苗生産技術

遺伝的多様性の確保

 

 

 

   

 

 

 

良卵安定確保

 

 

           

種苗生産基礎技術の開発

     

 

 

   

 

疾病まん延防止及び健苗育成技術の確立

   

 

         

飼育管理作業の効率向上

   

 

   

 

 

 

放流技術

適正放流条件解明

   

 

 

       

放流の経済効果の調査

 

 

 

   

 

   

モニタリング調査

 

 

 

   

 

   

備考 ○印を付したのは、目標年度(平成33年度)までの重要課題を示す。

(3)技術水準の到達すべき段階

水産動物の種類

平成27年度における

平均的技術開発段階

目標年度における

技術開発段階

まだい

F

F

ひらめ

E

F

とらふぐ

B

C

かさご

A

C

めばる類

A

B

あわび類

F

F

さざえ

E

F

まなまこ

A

B

備考 上記の符号は、技術開発の段階を次のとおりの分類で表したものである。

A:新技術開発期 (親魚養成及び種苗生産の基礎技術開発を行う。)

B:量産技術開発期(種苗生産が可能な種について、種苗の量産技術の開発を行う。)

C:放流技術開発期(種苗の量産技術の改良を行うとともに、放流による効果を得る上で、最も適した時期、場所、サイズ及び手法の検討を行う。)

D:事業化検討期 (対象種の資源量、加入量を把握し、資源に応じた放流数量を検討するとともに、受益の範囲と程度を把握する。)

E:事業化実証期 (種苗の量産・放流体制を整備した上で、放流による効果を実証し、経費の低減を図るとともに、効果に応じた経費の負担配分を検討する。)

F:事業実施期 (持続的な栽培漁業が成立する。)

第7 水産動物の放流後の育成、分布及び採捕に係る調査に関する事項

県及び県栽培漁業協会は、水産動物の放流前後に次の調査を行う。また、調査を継続的に行う体制の整備に努める。

(1)栽培漁業に取り組む水産動物については、事前にその資源生態等を明らかにするための調査を行うとともに、放流後の増殖効果、経済効果等を的確に把握するための調査を行う。

(2)種苗の放流に当たっては、できるだけ標識を付して放流し、その回収に努める。

(3)栽培漁業に取り組む水産動物の漁獲調査は、関係漁業の漁獲調査、市場調査等を通じて行う。なお、遊漁者による採捕の状況に関しても可能な限り調査する。

第8 その他水産動物の種苗の生産及び放流並びに水産動物の育成に関し必要な事項

(1)栽培漁業実施計画(栽培漁業に取り組む水産動物の種苗生産数、放流時の大きさ、放流効果実証事業の内容等を年度ごとに定めた実施計画をいう。)その他本県栽培漁業の推進に関する事項については、神奈川県水産審議会で審議を行う。

(2)栽培漁業の技術水準については、国、国立研究開発法人水産総合研究センター及び近隣都県との協力の下向上を図る。また、栽培漁業に取り組む水産動物のうち広域に回遊する魚種については、公益社団法人全国豊かな海づくり推進協会及び太平洋南海域栽培漁業推進協議会と連携し、より一層の効率的な推進体制の構築に努める。

(3)種苗放流数を確保するため、関係都県の種苗生産施設間での連携・分業などによる生産体制の構築又は民間技術力の活用による生産体制の構築に努める。

(4)水産業改良普及事業との連携を強化することにより、栽培漁業の漁業者への定着化を図る。また、広く県民にも普及啓発を行っていく。特に、種苗放流の効果についての積極的な情報提供により、遊漁者の放流事業への理解の醸成に努める。

(5)水産動物の種苗の放流及び水産動物の育成に当たっては、沿岸における漁業の操業、公共事業の計画及びその実施、船舶の航行等について十分配慮し、尊重する。

(6)種苗生産施設については、施設の老朽化に伴う作業効率の低下や生産コストの増加を抑制し、新たな飼育技術の導入等による生産性の向上を図るとともに確実な防疫対策に取り組める体制を整えることで、安定的な放流用種苗の供給を行えるよう、施設の改善に努める。

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